膀胱癌診療最前線

膀胱癌診療最前線

■編集 堀江 重郎
山口 雷藏
武藤 智
米瀬 淳二
納谷 幸男
三木 淳

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
  • B5判  296ページ  オールカラー,イラスト100点,写真200点
  • 2017年11月30日刊行
  • ISBN978-4-7583-1268-4

泌尿器科医が克服しなければならない3大泌尿器癌の一つである膀胱癌。その基礎から最新の治療までの全てを詳解

泌尿器科医が克服しなければならない3大泌尿器癌の一つである膀胱癌。本書では膀胱癌の基礎,診断,そして選択肢が多い膀胱癌の治療方法を,筋層非浸潤性膀胱癌,筋層浸潤性膀胱癌,転移性膀胱癌ごとに詳解。現在の膀胱癌診療のすべてを網羅した泌尿器科医必携の書籍である。


序文

 この30年間泌尿器癌診療は大きな変化をたどってきた。膀胱癌(尿路上皮癌)においても,2nd TUR,BCG,neobladder,腹腔鏡,ロボット手術,そして免疫チェックポイント阻害薬など,休みなく,新たな診断,治療が開発されている。一方で,腎癌や前立腺癌に比べて治療手段はまだまだ限られている。
 特に近年,高齢者での浸潤性膀胱癌(尿路上皮癌)の頻度が高くなり,根治治療や抗癌化学療法が困難なことも少なくない。膀胱癌では,いかにQOLを保ちながら,診療を行うかが大きな課題となっている。 本書は膀胱癌の「プロフェッショナル」と誰もが認めるメンバーで,基礎から臨床の最先端まで網羅した。これ一冊で膀胱癌のすべてがわかる,と太鼓判を押せる。
 膀胱癌診療には泌尿器科のエッセンスが詰まっている。カテーテル,膀胱洗浄といった「泌尿器科医」らしさを愛する臨床医が本書を執筆し,ベッドサイドや当直室で繙ける実践的な内容となっている。
 本書が,若き医師,学生,医療関係者が,膀胱癌診療に新たなページを切り開いていく参考になることを願っている。

2017年10月
編集を代表して
堀江重郎
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目次

■ I 膀胱癌の基礎
 膀胱癌の疫学と自然史
  膀胱癌の罹患率
  罹患率のデータソース
  罹患率の比較
  膀胱癌罹患のリスクファクター
  膀胱癌の死亡率
  死亡率のデータソース
  罹患率,死亡率の変化
  筋層非浸潤癌の自然史
  Stage Ⅱ/Ⅲの膀胱癌
  膀胱全摘後の予後
 膀胱発癌の分子生物学, 分子遺伝学メカニズム
  two-pathway model
  多発発生の機序
  molecular alteration

■II 膀胱癌の診断
 膀胱癌の病理診断と取扱い規約
  膀胱腫瘍異型度評価
  膀胱腫瘍の病期分類
 尿細胞診
  標本はどのように作製されるのか
  適正な検体量は
  細胞診でどこまでわかるのか
  細胞診の報告様式
 膀胱癌のバイオマーカー
  診断のバイオマーカー
  予後予測のバイオマーカー
  血中循環バイオマーカー
 新しい膀胱鏡の有用性と限界〜光技術を併用したTUR〜
  narrow band imagingの原理
  5-アミノレブリン酸
  5-アミノレブリン酸を用いた光力学診断
  NBI補助下経尿道的膀胱腫瘍切除術
  PDD補助下経尿道的膀胱腫瘍切除術
 画像診断のポイント
  膀胱におけるMRI・CT診断の役目
  重要な撮影上の話
  MRIによる膀胱癌の検出
  MRIによる膀胱癌の病期診断
  MRIによる治療後変化と再発の鑑別について

■III NMIBC(筋層非浸潤性膀胱癌)
 再発および進展危険因子
  NMIBCの再発および進展リスク分類
  NMIBCに対するBCG膀注療法後の再発危険因子
  NMIBCの疫学的およびその他の危険因子
 TURBTの手技
  TURBTの目的
  切除面に対する考え方
  膀胱内灌流液の至適容量に対する考え方
  部位ごとの切除方法
  繊細な切除を行うコツ
  ワンストローク法とタッピング法
  切除マージンの考え方
  narrow Band Imaging(NBI)
  合併症とその対策
  モノポーラとバイポーラについて
 2nd TURの適応と手技
  2nd TUR
  2nd TURの施行時期
  手技
  高リスクNMIBCに対する膀胱全摘除術の適応
 抗癌剤膀胱内注入療法の適応と治療成績
  これまでの研究経過
  NMIBCのリスク分類
  各種ガイドラインでの位置付け
 BCG膀胱内注入療法の適応と治療成績
  BCGの作用機序
  筋層非浸潤性膀胱癌のリスク分類について
  各リスク別BCG膀胱内注入療法の適応
  2nd line 以降のBCG膀胱内注入療法について
  2nd TUR後のBCG膀胱内注入療法について
  BCG有害事象対策
 CISに対する治療選択
  膀胱上皮内癌(CIS)
  CISの診断
  CISの治療

■IV MIBC(筋層浸潤性膀胱癌)
周術期抗癌化学療法
  術前補助化学療法(NAC)
  術後補助化学療法(AC)
  今後の展望
膀胱全摘除術の適応と手術手技
 開放手術
  適応
  術前準備
  体位,麻酔
  術式
 腹腔鏡下膀胱全摘除術
  体位,ポート造設
  側方靱帯(lateral pedicle)
  膀胱側腔の展開
  膀胱後腔の展開
  lateral pedicleの同定,処理
  prostatic pedicleの処理
 ロボット支援手術
  ロボット支援下膀胱全摘除術(RARC)の適応と術前準備
  ロボット支援下膀胱全摘除術(RARC)の手術手順
  RARCの治療成績
  今後の展望
 女性の膀胱全摘除術
  解剖
  術式
 神経温存膀胱全摘除術
  適応
  術前準備
  体位,麻酔
  術式
  ポイント
骨盤内リンパ節郭清の意義
  摘出リンパ節個数がもつ意味とは?
  拡大リンパ節郭清のメリットとは?
  拡大リンパ節郭清は実際にサバイバル・ベネフィットをもたらすか?
  拡大リンパ節郭清のピットフォール
  骨盤リンパ節郭清術の至適範囲:どこまで郭清すればよいのか?
  低侵襲手術における骨盤リンパ節郭清のクオリティ
高齢者に対する膀胱全摘除術の適応
  高齢者膀胱全摘除術の周術期合併症について
  高齢者に対する腹腔鏡手術,ロボット支援手術と開腹手術
  高齢者に対する尿路変向術
  高齢者に対する膀胱全摘除術の適応
  高齢者膀胱全摘除術のdecision making
膀胱全摘除術後の再発危険因子
  局所再発,上部尿路再発,尿道再発のリスク因子
  診断から膀胱全摘除術施行までの期間に関する話題
  ロボット支援手術を代表とする低侵襲性手術の再発部位に関する話題
  患者年齢と再発リスクに関する話題
  膀胱全摘後の予後予測ノモグラムについて
  分子生物学的アプローチを用いた再発リスク評価の可能性
尿路変向術の適応と手術手技
 新膀胱(Studer法)
  新膀胱(Studer法)の手術手技
  新膀胱の適応
  新膀胱の問題点―尿禁制―
 回腸導管
  術式
 尿管皮膚瘻
  適応
  手術のポイント
  尿管の血流について
  ストーママーキング
  手術手技
 体腔内の尿路変向術
  RARCの低侵襲性
  尿路変向術の選択
  体腔内尿路変向術の利点と欠点
  体腔内尿路変向術の種類と適応
  体腔内回腸導管造設術
  体腔内新膀胱造設術
  体腔内U字回腸新膀胱造設術
尿路変向術の予後と合併症
  尿路変向術の合併症
  尿路変向術の予後
  新膀胱・回腸導管のQOL
  長期生存例,高齢者について
膀胱温存治療の適応と治療効果(放射線療法,部分切除を含め)
  各ガイドラインにおける膀胱温存治療の位置付け
  膀胱温存治療の適応について
  膀胱部分切除術
  放射線療法
  化学療法
  放射線化学療法
  本邦における膀胱温存治療
周術期栄養管理
  ERASとは?
  周術期の栄養療法
  絶飲食回避による効果
  術前腸管処理は必要か?
  免疫栄養
  術後経口栄養摂取の重要性
  術後イレウスの予防

■V 転移性膀胱癌
抗癌化学療法のレジメン
  尿路上皮癌に対する抗癌化学療法
  M-VAC療法
  GC療法
  2nd line化学療法や腎機能および心肺機能低下時の化学療法
  抗癌化学療法の予測因子
  今後の展望
2nd line化学療法の限界
  ガイドラインにおける2次化学療法
  単剤治療による2次化学療法
  併用治療による2次化学療法
  分子標的治療
immuno-oncologyの現状
  癌と免疫
  尿路上皮癌における免疫チェックポイント阻害剤
BSC(best supportive care)と在宅ケア
  BSCとは
  癌終末期と在宅医療のかかわり
  末期膀胱癌で問題となる泌尿器症状とその対処法
  当院での状況と在宅に移行するうえでの注意点
癌薬物療法での腎機能の評価と用量調節
  腎機能の評価法
  膀胱癌の薬物療法における腎機能評価
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