OGS NOW 22

手術を要する産婦人科救急

こんなときどうする?

手術を要する産婦人科救急

■担当編集委員 竹田 省

定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
  • A4判  184ページ  オールカラー,イラスト100点,写真150点
  • 2015年5月7日刊行
  • ISBN978-4-7583-1242-4

在庫僅少です。


産科・婦人科におけるさまざまな緊急を要する手術手技について詳細に解説

産科領域では,胎盤早期剥離や前置胎盤など,母子の生命にかかわる緊急手術を行うシチュエーションも少なくない。また婦人科領域でも急性腹症などの女性特有の救急を要する疾患がある。本書は,そのような産婦人科領域における救急に対する手術手技を中心にまとめたものである。
産科救急では,産婦人科医師なら知っておきたい超緊急で行わなければならない帝王切開の手技や,さまざまな出血に対する対応,また母子の命を救う死戦期帝王切開術などの手技を取扱っている。婦人科救急では,下腹部痛の原因疾患を中心に外傷までを含めている。
“手術のコツと注意点”を中心に,豊富な写真・イラストでわかりやすく解説しており,手術手技という側面からみた「産婦人科における救急」というテーマを幅広くカバーする1冊となっている。

■シリーズ編集委員
平松祐司/小西郁生/櫻木範明/竹田 省


序文

 「OGS NOW」シリーズNo.1が2010年に発刊されて以来,1年に4巻ずつのペースで発刊し,6年目に入った。No.19,No.20では腹腔鏡・子宮鏡手術を,No.21ではロボット支援手術を取り上げ,最近の産婦人科手術分野の新しい技術,手術の急速な拡大,普及に対応している。この間にすでに古くなったところもみられるので,多少重複するところもあるが,産婦人科救急を取り上げることにした。
 大学を卒業し,麻酔科学講座に入局した。数カ月して妊娠27,8週の羊水過多症の妊婦が緊急帝王切開術のために手術室に搬送されてきた。呼吸苦と早産防止のため羊水穿刺をしたところ,しばらくして意識消失し,血圧も測れないとのことで,全身麻酔下に帝王切開術が行われた。流産と早産の境が28週であった時代のことで,児は挿管し蘇生を行ったが,救命できなかった。母体は術中心肺停止となり,蘇生にも反応せず,手術台で死亡となった。「死戦期帝王切開術」という言葉もなかった。羊水塞栓症をみたのも母体死亡をみたのも初めてで,これが契機で今でも産科救急に携わっている。この時,産科医からは「稀な疾患なので君はもう二度とみないよ」と言われたが,その後羊水塞栓症6例に遭遇し,26例の妊産婦死亡に立ち会い,また本年,心肺停止の母体は死戦期帝王切開術で救命できた。
 産婦人科入局1年目に受け持った子宮頸がんの術後,放射線療法後のイレウス症例患者は,2,3年の経過で救急手術を繰り返し,受けもったときには「小腸腹壁瘻」の管理であった。いつも「便を気にしないで,おいしいものを食べたい」と言っていたが,汎発性腹膜炎で亡くなられた。解剖したが,がんの再発は全くなく,無理してでも手術をしておけば,と思ったが,駆け出しのものには出過ぎたことだった。現在の職場に異動してから,他院でのpolysurgeryのイレウスを繰り返す巨大な顆粒膜細胞腫の「小腸腹壁瘻」症例が訪ねてきた。完全静脈栄養で,何度も腹膜炎を繰り返して死の淵をさまよっている状態であった。数カ所の都内の大学病院で手術を断られていたが,入局1年目の症例が目に浮かび,外科との協力で人工肛門を置いたが,腫瘍もイレウス解除も小腸腹壁瘻も修復した。8時間以上の手術となったが,現在,人工肛門も閉鎖し,元気にされている。
 卒後30年以上たった今でも,みたことのない初めての症例に出くわす。臨床に終わりはない。本書OGS Now No.22では産婦人科救急をもう一度見直し,最新の手術法,管理法について,経験豊富な先生方に解説いただき,症例を共有できるようにした。
参考になれば幸いである。

2015年3月
竹田 省
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目次

●産科救急
 超緊急帝王切開術
  麻酔科の立場から  水田菜々子ほか
  産科の立場から  平松祐司
 帝王切開術時のトラブル  松永茂剛
 常位胎盤早期剥離の帝王切開術  牧野真太郎ほか
 子宮破裂  平松祐司
 前置癒着胎盤の保存的対処法  近藤英治ほか
 子宮筋腫核出術後の癒着胎盤の子宮温存法  松永茂剛ほか
 弛緩出血(経腟分娩)  依藤崇志ほか
 uterine compression suture  松原茂樹
 死戦期帝王切開術:脳死妊婦  大場 隆ほか
 死戦期帝王切開術  新井隆成
 DIC合併症例の子宮全摘術  内田季之ほか

●婦人科救急
 急性腹症  工藤正尊ほか
 外傷  大野孝則ほか
 付属器捻転および卵巣出血  平池 修
 子宮内膜症性卵巣嚢胞  菊地 盤ほか
 骨盤内膿瘍,リンパ膿瘍  保坂昌芳ほか
 イレウス,腸管穿孔  久森重夫ほか
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