OGS NOW basic 9

アドバンス帝王切開術と関連手術
[Web動画付]

アドバンス帝王切開術と関連手術[Web動画付]

■担当編集委員 竹田 省

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
  • i_movie.jpg
  • A4判  160ページ  オールカラー,イラスト60点,写真150点,Web動画1本/2分
  • 2022年2月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-1989-8

最新の手技をマスターして高度な配慮や管理が必要な事例に備えよう!

若手産婦人科医を対象に「基本的に身につけなければならない手技」を解説し,“十分な理解に基づく手術”をマスターできる実践的シリーズ。緻密で美しいイラストにより読むだけで手術をシミュレートできるビジュアル重視の紙面に加え,スマートフォン等でアクセスできる本文とリンクした動画をストリーミング配信。解説は簡潔かつ初心者フレンドリーで,今さら聞けないような事柄についても丁寧に記載し,助手などの補助的な立場の手術参加者にもより役立つ作りとしている。
第9巻では「アドバンス帝王切開」として,全身状態が悪い症例,大量出血が予想されあらかじめ準備の必要な前置癒着胎盤症例,子宮腺筋症や肥満症例,死戦期帝王切開術など高度な配慮,管理が必要な事例を取り上げ,帝王切開術応用編としてまとめている。産科危機的出血や前置癒着胎盤症例の管理も数年前の手技から日々変化しており,多くの臨床家の役に立つ一冊になっている。

■シリーズ編集委員
平松祐司/竹田 省/万代昌紀/小林裕明


序文

OGS NOW basicの刊行にあたって

 この度,産婦人科手術書OGS NOW の姉妹編としてOGS NOW basic を刊行することになりました。OGS NOWはわかりやすいイラストを用い,各手術のストラテジー,コツ,ピットフォールなどの項目を設け,従来の手術書の行間に書かれていた内容を解説してもらいました。これは,より安全な術式を効率よくマスターしてほしいとの思いからでた発想であり,2010年から2015年にかけて全24 巻発刊し,今も多くの先生方に愛読していただいております。
 今も昔も,多くの産婦人科手術に対するストラテジーには大きな変化はありませんが,この10 年間に腹腔鏡手術やロボット手術が急速に発展し,パワーデバイスや周術期管理なども年々進歩してきています。このような現況を踏まえ,OGS NOW は継続して刊行していきながら,それをさらに補い,主に卒後10 年位までの若い先生を対象とした手術入門書として,up-to-dateな内容を盛り込み,基本的な術式をよりわかりやすく解説する書籍としてOGS NOW basicを発刊することにしました。
 本シリーズでは,OGS NOWの編集方針は継承しつつ,次のような編集方針で企画していきます。
1)卒後10年位までの若い先生を主たる対象とする。
2) 難易度の高い手術は「OGS NOW」を参照してもらい,難しいテーマはできるだけ取り扱わない。
3)その手術に必要な解剖知識を記載する。
4)各操作の理解を助けるために必要な短い動画をつける。
5)麻酔や合併症対策も記載する。
 多くのup-to-dateな内容を取り入れていくと同時に,鏡視下手術で得られる画像,解剖を掲載しますのでベテランの先生方にも役立てていただけるものと思っています。手術はScienceを基盤にしたArt です。本シリーズではこのtechnical skillをわかりやすく解説します。また,よい外科医と呼ばれるのにはtechnical skillに加え,non-technical skillを備えておく必要があります。これについてもコラム等で可能な限り伝えていきたいと考えています。
 OGS NOW 全24 巻とともに,年4冊発刊予定であるOGS NOW basicも手元においていただき,手術前後に必ず該当項目を読んで修練し,手術の達人そしてbest Surgeonを目指してほしいと思います。

2020年3月吉日
編集委員
平松祐司 岡山市立総合医療センター産婦人科顧問,岡山大学名誉教授
竹田 省 順天堂大学医学部産婦人科学講座特任教授,母子愛育会愛育研究所所長
万代昌紀 京都大学医学研究科婦人科学産科学分野教授
小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学教授

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序 文

 今から40数年前の医学部卒業後,勇んで麻酔科学講座に入局し臨床研修を始めた。数カ月したとき,妊娠27週頃の羊水過多症例に羊水穿刺をしたところ意識消失,ショックとなり手術室に搬送された。心停止となり,蘇生しながら帝王切開を行った。早産限界が28週の時代で,母児ともに死亡した。今から考えると初めてみる死戦期帝王切開術であった。この症例がその後母体救急を専門にした理由の一つであり,今も産科を続けるモチベーションになっている。
 その後,産婦人科医に転向し,3つの大学病院と3つの出先の病院に勤務,合わせて26例の母体死亡を経験した。そのほとんどは埼玉県での日本初の総合周産期医療センターでの経験で,重症例や搬送例も多く,いつも戦闘状態であった。帝王切開術後の死亡が8例で,いまでも個々の情景を思い出す。異動するころには帝王切開率が50%を超えていた。母体死亡は確実に減少してきているもののまだまだゼロには程遠く,重症例の管理の改善が必要である。
 日本最初の帝王切開術は,1852年(嘉永5年)に秩父郡大宮郷(現埼玉県飯能市)で,難産で苦しむ妊婦を救うために伊古田純道と岡部均平によって行われた。オランダ医学書を見ながら母体救命のために行ったもので「子宮載截開術実記」にその経過が詳しく書かれている。術後腹膜炎を起こしながらも腹壁創部が離開し,膿が流出するとともに解熱,回復し,満88歳の長寿を全うした。子宮切開創部は縫合しなかったが,子宮収縮に伴って自然に閉鎖したようである。今日でも帝王切開術後感染症は重篤になりうる要因である。
 OGS NOW basic No.3「いきなり帝王切開術」では,基本的な帝王切開術について取り上げた。今回は全身状態が悪い症例,大量出血が予想され,あらかじめ準備の必要な前置癒着胎盤症例,子宮腺筋症や肥満症例,死戦期帝王切開術など高度な配慮,管理が必要な事例を取り上げ,帝王切開術応用編として「アドバンス帝王切開術」を企画した。
 産科危機的出血や前置癒着胎盤症例の管理も多少変化してきている。産婦人科専攻医のみならず産婦人科専門医も含め臨床の一助になることを願っている。
 前述したOGS NOW basic No.3やOGS NOW No.9「前置胎盤・前置癒着胎盤の手術」なども併せて参考にしていただきたい。
 各執筆者の思いが伝われば幸いである。

2022年1月
竹田 省
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目次

アドバンス帝王切開術:概説  [竹田 省]
術前評価と手術の選択  [増山 寿]
術前準備と合併症対策  [牧野真太郎]
止血および予防的血流遮断,IVR  [松永茂剛ほか]
帝王切開術後の子宮摘出  [坂井淳彦ほか]
子宮筋腫核出術後の(常位)癒着胎盤  [竹田 純]
前置癒着胎盤  [山口宗影ほか]
子宮峡部の菲薄化した反復帝王切開術  [松崎慎哉ほか]
子宮腺筋症と帝王切開術  [平松祐司]
肥満妊婦の帝王切開術  [藤井達也ほか]
死戦期帝王切開術  [荻田和秀 ]
術後創部感染の対応
 難治性子宮筋層炎・筋層縫合不全  [竹田 省]
 骨盤膿瘍・敗血症  [中村永信ほか]
 創部完全呷多開 evisceration  [ 平山貴士ほか ]
ノンテクニカルスキルを学ぶコーチング  [平松祐司]
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