OGS NOW basic 3
いきなり帝王切開術
[Web動画付]
局所解剖を熟知し,コツを盗もう
定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
- A4判 200ページ オールカラー,イラスト100点,写真100点,Web動画24本/65分
- 2020年8月3日刊行
- ISBN978-4-7583-1983-6
序文
OGS NOW basicの刊行にあたって
この度,産婦人科手術書OGS NOW の姉妹編としてOGS NOW basic を刊行することになりました。OGS NOWはわかりやすいイラストを用い,各手術のストラテジー,コツ,ピットフォールなどの項目を設け,従来の手術書の行間に書かれていた内容を解説してもらいました。これは,より安全な術式を効率よくマスターしてほしいとの思いからでた発想であり,2010年から2015年にかけて全24 巻発刊し,今も多くの先生方に愛読していただいております。
今も昔も,多くの産婦人科手術に対するストラテジーには大きな変化はありませんが,この10 年間に腹腔鏡手術やロボット手術が急速に発展し,パワーデバイスや周術期管理なども年々進歩してきています。このような現況を踏まえ,OGS NOW は継続して刊行していきながら,それをさらに補い,主に卒後10 年位までの若い先生を対象とした手術入門書として,up-to-dateな内容を盛り込み,基本的な術式をよりわかりやすく解説する書籍としてOGS NOW basicを発刊することにしました。
本シリーズでは,OGS NOWの編集方針は継承しつつ,次のような編集方針で企画していきます。
1)卒後10年位までの若い先生を主たる対象とする。
2) 難易度の高い手術は「OGS NOW」を参照してもらい,難しいテーマはできるだけ取り扱わない。
3)その手術に必要な解剖知識を記載する。
4)各操作の理解を助けるために必要な短い動画をつける。
4)麻酔や合併症対策も記載する。
多くのup-to-dateな内容を取り入れていくと同時に,鏡視下手術で得られる画像,解剖を掲載しますのでベテランの先生方にも役立てていただけるものと思っています。
手術はScienceを基盤にしたArt です。本シリーズではこのtechnical skillをわかりやすく解説します。また,よい外科医と呼ばれるのにはtechnical skill に加え,non-technical skillを備えておく必要があります。これについてもコラム等で可能な限り伝えていきたいと考えています。
OGS Now 全24 巻とともに,年4冊発刊予定であるOGS NOW basicも手元においていただき,手術前後に必ず該当項目を読んで修練し,手術の達人そしてbest Surgeonを目指してほしいと思います。
2020年3月吉日
編集委員 平松祐司 岡山市立総合医療センター顧問,岡山大学名誉教授
竹田 省 順天堂大学医学部産婦人科学講座特任教授,母子愛育会愛育研究所所長
万代昌紀 京都大学医学研究科婦人科学産科学分野教授
小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学教授
----------------------
序 文
私の産婦人科研修医時代1 年目は,大学病院の婦人科勤務から始まりました。産科勤務の3 カ月の終わりに“ いきなり”「来週の帝王切開をやってください」と言われ,うれしくもありつつ,緊張したことをいまでも鮮明に思い出します。産婦人科手術の研修は,シミュレーショントレーニングから始まります。実地トレーニングとしては,流産手術や腹壁切開,卵巣嚢腫核出術や帝王切開術になるのでしょう。帝王切開術の頻度も高く,“いきなり帝王切開術” もいまではめずらしくありません。しかし,帝王切開術は緊急や超緊急での施行も珍しくなく,準備不足や急いでの操作,術中の大量出血,凝固異常症の併発,新生児の蘇生など急変リスクや思わぬ合併症もあり,また刻々とダイナミックに変化する手術でもあり,あらゆる変化に向かう対応も想定しての奥の深い手術でもあります。術中のさまざまな変化に対応しうる知識を種々の媒体から学び,いくつもの対処の引き出しをもって手術に当たることは重要です。
手術の実地研修はもっぱら第二助手か第三助手の位置で実際に見て習得しますが,“ 熟練者の技を盗め”とよく言われたものです。実際の役割は“ 鉤引き” といわれ,術野の確保に気を遣い,執刀者や第一助手が手術をやりやすいように,円滑に行えるようにすることです。そのためには,局所解剖の本を読み,手術の手順をそらで言えるようにし,教室の手術書だけでなく,海外の手術の教科書を読み,手術に臨んだものです。毎回手術後は,指導者と手術を振り返り,議論し,症例を重ねて学んできました。
現在は時間がゆっくり流れていたころとは異なり,決まった研修期間で手技を習得しなければならず,じっくり学ぶことが厳しくなっています。しかし,チーム医療としての安全確実な手術は,医療安全やチーム医療の考え方と同じで,大事なのは知識(局所解剖,疾患,合併症,管理法など),スキル(技術,手順,チーム内のコミュニケーション),そして姿勢(熱い思い)であることは,今も昔も変わりません。
今回,OGS NOWシリーズに続くOGS NOW basic シリーズNo.3として,「いきなり帝王切開術」をお届けいたします。OGS NOWシリーズをさらにバージョンアップし,若い人たちが帝王切開術のダイナミックな変化に対応できるようにStep by Step の手技や対応についてもわかりやすく,また動画でも解説しました。高度な技術や難しい操作,まれな疾患などはOGS NOWシリーズを見ていただき,本シリーズと併せて参照していただきたいと思います。手術の学び方や指導法も含めて,初心者から熟練者まで幅広い読者の参考になれば幸いです。
2020年7月
竹田 省
この度,産婦人科手術書OGS NOW の姉妹編としてOGS NOW basic を刊行することになりました。OGS NOWはわかりやすいイラストを用い,各手術のストラテジー,コツ,ピットフォールなどの項目を設け,従来の手術書の行間に書かれていた内容を解説してもらいました。これは,より安全な術式を効率よくマスターしてほしいとの思いからでた発想であり,2010年から2015年にかけて全24 巻発刊し,今も多くの先生方に愛読していただいております。
今も昔も,多くの産婦人科手術に対するストラテジーには大きな変化はありませんが,この10 年間に腹腔鏡手術やロボット手術が急速に発展し,パワーデバイスや周術期管理なども年々進歩してきています。このような現況を踏まえ,OGS NOW は継続して刊行していきながら,それをさらに補い,主に卒後10 年位までの若い先生を対象とした手術入門書として,up-to-dateな内容を盛り込み,基本的な術式をよりわかりやすく解説する書籍としてOGS NOW basicを発刊することにしました。
本シリーズでは,OGS NOWの編集方針は継承しつつ,次のような編集方針で企画していきます。
1)卒後10年位までの若い先生を主たる対象とする。
2) 難易度の高い手術は「OGS NOW」を参照してもらい,難しいテーマはできるだけ取り扱わない。
3)その手術に必要な解剖知識を記載する。
4)各操作の理解を助けるために必要な短い動画をつける。
4)麻酔や合併症対策も記載する。
多くのup-to-dateな内容を取り入れていくと同時に,鏡視下手術で得られる画像,解剖を掲載しますのでベテランの先生方にも役立てていただけるものと思っています。
手術はScienceを基盤にしたArt です。本シリーズではこのtechnical skillをわかりやすく解説します。また,よい外科医と呼ばれるのにはtechnical skill に加え,non-technical skillを備えておく必要があります。これについてもコラム等で可能な限り伝えていきたいと考えています。
OGS Now 全24 巻とともに,年4冊発刊予定であるOGS NOW basicも手元においていただき,手術前後に必ず該当項目を読んで修練し,手術の達人そしてbest Surgeonを目指してほしいと思います。
2020年3月吉日
編集委員 平松祐司 岡山市立総合医療センター顧問,岡山大学名誉教授
竹田 省 順天堂大学医学部産婦人科学講座特任教授,母子愛育会愛育研究所所長
万代昌紀 京都大学医学研究科婦人科学産科学分野教授
小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学教授
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序 文
私の産婦人科研修医時代1 年目は,大学病院の婦人科勤務から始まりました。産科勤務の3 カ月の終わりに“ いきなり”「来週の帝王切開をやってください」と言われ,うれしくもありつつ,緊張したことをいまでも鮮明に思い出します。産婦人科手術の研修は,シミュレーショントレーニングから始まります。実地トレーニングとしては,流産手術や腹壁切開,卵巣嚢腫核出術や帝王切開術になるのでしょう。帝王切開術の頻度も高く,“いきなり帝王切開術” もいまではめずらしくありません。しかし,帝王切開術は緊急や超緊急での施行も珍しくなく,準備不足や急いでの操作,術中の大量出血,凝固異常症の併発,新生児の蘇生など急変リスクや思わぬ合併症もあり,また刻々とダイナミックに変化する手術でもあり,あらゆる変化に向かう対応も想定しての奥の深い手術でもあります。術中のさまざまな変化に対応しうる知識を種々の媒体から学び,いくつもの対処の引き出しをもって手術に当たることは重要です。
手術の実地研修はもっぱら第二助手か第三助手の位置で実際に見て習得しますが,“ 熟練者の技を盗め”とよく言われたものです。実際の役割は“ 鉤引き” といわれ,術野の確保に気を遣い,執刀者や第一助手が手術をやりやすいように,円滑に行えるようにすることです。そのためには,局所解剖の本を読み,手術の手順をそらで言えるようにし,教室の手術書だけでなく,海外の手術の教科書を読み,手術に臨んだものです。毎回手術後は,指導者と手術を振り返り,議論し,症例を重ねて学んできました。
現在は時間がゆっくり流れていたころとは異なり,決まった研修期間で手技を習得しなければならず,じっくり学ぶことが厳しくなっています。しかし,チーム医療としての安全確実な手術は,医療安全やチーム医療の考え方と同じで,大事なのは知識(局所解剖,疾患,合併症,管理法など),スキル(技術,手順,チーム内のコミュニケーション),そして姿勢(熱い思い)であることは,今も昔も変わりません。
今回,OGS NOWシリーズに続くOGS NOW basic シリーズNo.3として,「いきなり帝王切開術」をお届けいたします。OGS NOWシリーズをさらにバージョンアップし,若い人たちが帝王切開術のダイナミックな変化に対応できるようにStep by Step の手技や対応についてもわかりやすく,また動画でも解説しました。高度な技術や難しい操作,まれな疾患などはOGS NOWシリーズを見ていただき,本シリーズと併せて参照していただきたいと思います。手術の学び方や指導法も含めて,初心者から熟練者まで幅広い読者の参考になれば幸いです。
2020年7月
竹田 省
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目次
局所解剖 竹田 省
どのように学ぶか,どのように教えるか 小辻文和
麻酔法の選択 角倉弘行
術前評価と術式の選択 松岡 隆
周術期管理と合併症対策 長﨑澄人 ほか
Step by Stepの手術手技解説
(1)器具の種類と選択 大口昭英
(2)腹壁の切開法と縫合法 大口昭英 ほか
(3)子宮壁の切開法と縫合法 味村和哉
(4)胎児の娩出法 味村和哉
(5)止血法 牧野真太郎
(6)腹壁縫合 牧野真太郎
(7)洗浄,ドレーン留置 牧野真太郎
子宮下部横切開術 藤井達也 ほか
古典的帝王切開術 平松祐司
腹膜外帝王切開 小辻文和
常位胎盤早期剥離への対応 竹田 純
前置胎盤の帝王切開術 川﨑 薫 ほか
子宮筋腫合併例での帝王切開 平松祐司
大量出血時の対応・予防法 竹田 純
合併症とその対応
(1)膀胱損傷 橘 大介 ほか
(2)腸管損傷 橘 大介 ほか
(3)子宮創部縫合不全・術後出血 岩端秀之 ほか
(4)術後イレウス 松永茂剛 ほか
(5)腹壁創部離開 松永茂剛 ほか
どのように学ぶか,どのように教えるか 小辻文和
麻酔法の選択 角倉弘行
術前評価と術式の選択 松岡 隆
周術期管理と合併症対策 長﨑澄人 ほか
Step by Stepの手術手技解説
(1)器具の種類と選択 大口昭英
(2)腹壁の切開法と縫合法 大口昭英 ほか
(3)子宮壁の切開法と縫合法 味村和哉
(4)胎児の娩出法 味村和哉
(5)止血法 牧野真太郎
(6)腹壁縫合 牧野真太郎
(7)洗浄,ドレーン留置 牧野真太郎
子宮下部横切開術 藤井達也 ほか
古典的帝王切開術 平松祐司
腹膜外帝王切開 小辻文和
常位胎盤早期剥離への対応 竹田 純
前置胎盤の帝王切開術 川﨑 薫 ほか
子宮筋腫合併例での帝王切開 平松祐司
大量出血時の対応・予防法 竹田 純
合併症とその対応
(1)膀胱損傷 橘 大介 ほか
(2)腸管損傷 橘 大介 ほか
(3)子宮創部縫合不全・術後出血 岩端秀之 ほか
(4)術後イレウス 松永茂剛 ほか
(5)腹壁創部離開 松永茂剛 ほか
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第3巻では帝王切開における解剖,麻酔の選択から具体的な手術手技まで,帝王切開術の基礎知識を解説。「アシスタントの介助」では,助手などの補助的な立場の手術参加者にもより役立つ作りとなっている。