NS NOW No.16
機能的脳神経外科手術の基本
コツと注意点
定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
- A4判 164ページ 2色(一部カラー),イラスト100点,写真40点
- 2011年10月28日刊行
- ISBN978-4-7583-1195-3
序文
Neurosurgery NOW(NS NOW)は,従来の教科書とは一線を画し明日の手術に直接役立つ,よりpracticalな内容を読者に提供することを目的に企画されました。これまでに発刊された本シリーズでは,脳動脈瘤,神経内視鏡,髄膜腫,グリオーマ,脳虚血の外科といった特定の疾患や手術手技に焦点を絞って編集がなされてまいりましたが,今回のNo.16では「機能的脳神経外科手術の基本」というテーマを取り上げました。機能的脳神経外科手術の場合,若手の脳神経外科医が直接術者になるといったことは少ないとは思いますが,主治医として,あるいは手術の助手として,もう一度自分の知識を整理するために本書を手に取るといったことを想定し編集を行いました。筆者の先生方には,図表を多く用いて,より実際的,より具体的な内容での執筆をお願いし,副題にある「コツと注意点」を強調していただくようにいたしました。
本号の構成は,機能的脳神経外科全般を包含するために,「不随意運動」,「難治性疼痛」,「痙縮」,「てんかん」の四つに分かれています。それぞれの分野の手術について,体位・頭部固定に始まり,皮膚切開,手術器具・顕微鏡の使用法,さらには術前・術後管理,麻酔といった内容が,実践的に解説されています。また,機能的脳神経外科手術を安全かつ有効に行うためには,神経生理学的な知識がきわめて重要になります。同時に,機能的脳神経外科手術に独特の医療機器,すなわち刺激電極などの使用法に習熟しておくことも必要です。本書ではこれらの点についても,術前に確認しておくべきこと,術中の思わぬ落とし穴などが随所に示されており,机の本棚に収めるよりは手術室の片隅に置いておくのが適している内容になっています。
機能的脳神経外科は,今後益々の発展が期待される分野です。本書が,若手脳神経外科医に実践の書として活用されると同時に,機能的脳神経外科の入門書としての役割を果たすことを切に希望しております。
2011年10月
新井 一
本号の構成は,機能的脳神経外科全般を包含するために,「不随意運動」,「難治性疼痛」,「痙縮」,「てんかん」の四つに分かれています。それぞれの分野の手術について,体位・頭部固定に始まり,皮膚切開,手術器具・顕微鏡の使用法,さらには術前・術後管理,麻酔といった内容が,実践的に解説されています。また,機能的脳神経外科手術を安全かつ有効に行うためには,神経生理学的な知識がきわめて重要になります。同時に,機能的脳神経外科手術に独特の医療機器,すなわち刺激電極などの使用法に習熟しておくことも必要です。本書ではこれらの点についても,術前に確認しておくべきこと,術中の思わぬ落とし穴などが随所に示されており,机の本棚に収めるよりは手術室の片隅に置いておくのが適している内容になっています。
機能的脳神経外科は,今後益々の発展が期待される分野です。本書が,若手脳神経外科医に実践の書として活用されると同時に,機能的脳神経外科の入門書としての役割を果たすことを切に希望しております。
2011年10月
新井 一
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目次
I 不随意運動
パーキンソン病に対する視床下核DBS 深谷 親,山本隆充,片山容一
■本術式の特徴
■STN-DBS手術の要点
■視床下核の同定
解剖学的同定法
神経生理学的同定法
■手術手技
術前準備
手術手技
■手術合併症と刺激副作用2
パーキンソン病に対する淡蒼球DBS 小倉光博
■本術式の特徴
■手術手技
術前・術中の処置
ステレオリングの装着
淡蒼球の解剖学的基礎知識
ターゲットの設定
手術手技
■合併症
■DBS治療の意義と長期治療
ジストニアに対する定位脳手術 谷口 真
■本術式の特徴
■手術手技
術前準備
手術手技
II 難治性疼痛
脊髄硬膜外刺激療法 齋藤洋一
■本術式の特徴
■手術手技
術前準備
手術手技
術後刺激の調整
■合併症
脊髄後根進入部遮断術 佐々木寿之,平 孝臣
■本術式の特徴
■背景
■手術適応
■手術手技
術前準備
手術手技
術後管理
■おわりに
三叉神経痛に対する微小血管減圧術 増岡 淳,松島俊夫
■本術式の特徴
■手術手技
術前準備
手術手技
三叉神経痛に対するガンマナイフ治療 岩井謙育
■本術式の特徴
■三叉神経痛に対するガンマナイフ治療の実際
フレーム固定
治療計画用のMRIの撮像
GammaPlan(R)での線量計画
治療後の経過
■最後に
III 痙縮
髄腔内バクロフェン注入法 貴島晴彦
■本術式の特徴
■髄腔内バクロフェン投与療法の実際
概略
治療の流れ
対象
痙縮の軽減により期待される効果
評価方法
スクリーニングトライアル
■手術手技
術前準備
ポンプの準備
手術手技
■合併症
選択的脊髄後根遮断術 佐々木寿之,平 孝臣
■本術式の特徴
■手術手技
治療方法の決定
手術手技(マクロ操作)
手術手技(マイクロ操作)
Rhizotomy
■効果および術後合併症
IV てんかん
海馬硬化症に対する外科治療 川合謙介
■本術式の特徴
■手術手技
術前準備
手術手技
皮質てんかん原性焦点切除術 三國信啓
■本術式の特徴
■手術手技
術前準備
皮質形成異常に対する焦点切除術
脳腫瘍に関連する皮質てんかん原性焦点摘出
■重要なコンセプトとは
Multiple subpial transection(MST) 岩崎真樹
■本術式の特徴
■手術手技
MSTの概念
適応
術前検査
使用器具
手術手技
■合併症
半球離断術(垂直法) 菅野秀宣
■本術式の特徴
■手術手技
術前準備
手術手技(マクロ操作)
手術手技(マイクロ操作)
脳梁離断術 馬場啓至
■本術式の特徴
■手術手技
術前準備
手術手技
術後管理
迷走神経刺激装置植込術 山本貴道
■本術式の特徴
■手術手技
手術側
手術手技
■合併症
■迷走神経刺激療法
パーキンソン病に対する視床下核DBS 深谷 親,山本隆充,片山容一
■本術式の特徴
■STN-DBS手術の要点
■視床下核の同定
解剖学的同定法
神経生理学的同定法
■手術手技
術前準備
手術手技
■手術合併症と刺激副作用2
パーキンソン病に対する淡蒼球DBS 小倉光博
■本術式の特徴
■手術手技
術前・術中の処置
ステレオリングの装着
淡蒼球の解剖学的基礎知識
ターゲットの設定
手術手技
■合併症
■DBS治療の意義と長期治療
ジストニアに対する定位脳手術 谷口 真
■本術式の特徴
■手術手技
術前準備
手術手技
II 難治性疼痛
脊髄硬膜外刺激療法 齋藤洋一
■本術式の特徴
■手術手技
術前準備
手術手技
術後刺激の調整
■合併症
脊髄後根進入部遮断術 佐々木寿之,平 孝臣
■本術式の特徴
■背景
■手術適応
■手術手技
術前準備
手術手技
術後管理
■おわりに
三叉神経痛に対する微小血管減圧術 増岡 淳,松島俊夫
■本術式の特徴
■手術手技
術前準備
手術手技
三叉神経痛に対するガンマナイフ治療 岩井謙育
■本術式の特徴
■三叉神経痛に対するガンマナイフ治療の実際
フレーム固定
治療計画用のMRIの撮像
GammaPlan(R)での線量計画
治療後の経過
■最後に
III 痙縮
髄腔内バクロフェン注入法 貴島晴彦
■本術式の特徴
■髄腔内バクロフェン投与療法の実際
概略
治療の流れ
対象
痙縮の軽減により期待される効果
評価方法
スクリーニングトライアル
■手術手技
術前準備
ポンプの準備
手術手技
■合併症
選択的脊髄後根遮断術 佐々木寿之,平 孝臣
■本術式の特徴
■手術手技
治療方法の決定
手術手技(マクロ操作)
手術手技(マイクロ操作)
Rhizotomy
■効果および術後合併症
IV てんかん
海馬硬化症に対する外科治療 川合謙介
■本術式の特徴
■手術手技
術前準備
手術手技
皮質てんかん原性焦点切除術 三國信啓
■本術式の特徴
■手術手技
術前準備
皮質形成異常に対する焦点切除術
脳腫瘍に関連する皮質てんかん原性焦点摘出
■重要なコンセプトとは
Multiple subpial transection(MST) 岩崎真樹
■本術式の特徴
■手術手技
MSTの概念
適応
術前検査
使用器具
手術手技
■合併症
半球離断術(垂直法) 菅野秀宣
■本術式の特徴
■手術手技
術前準備
手術手技(マクロ操作)
手術手技(マイクロ操作)
脳梁離断術 馬場啓至
■本術式の特徴
■手術手技
術前準備
手術手技
術後管理
迷走神経刺激装置植込術 山本貴道
■本術式の特徴
■手術手技
手術側
手術手技
■合併症
■迷走神経刺激療法
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機能的疾患に対する手術の基礎から最新治療まで学べる実践書
No.16では「機能的脳神経外科手術」と題し,機能的疾患に対する手術を取り上げる。機能的疾患は器質的疾患と異なり,外科的手術が必ずしも完治につながるものではなく,手術適応も慎重な検討がなされる。本書では機能的脳神経外科全般を包含するように大きく4つのテーマに分け,そのなかでも特に重要と思われる手術術式や治療法を取り上げている。
I章は「不随意運動」とし,パーキンソン病やジストニアに対する定位脳手術を,II章は「難治性疼痛」とし,神経障害性疼痛,三叉神経痛に対する治療を取り上げている。III章,IV章はそれぞれ「痙縮」「てんかん」とし,代表的な外科治療につき紹介している。
また,機能的脳神経外科手術を行うにあたり重要な神経生理学的知識や刺激電極などの独特な機器などについても解説している。
専門施設で行われることが多い領域の手術であるが,本書を読めば最先端の治療法や各施設での実際の手技を学ぶことができる。