写真と動画で学ぶ

てんかんの手術

難治性てんかんに対する手術の極意を伝授

てんかんの手術

■著者 森野 道晴

定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
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  • A4判  160ページ  オールカラー,イラスト131点,写真229点,DVD-Video付き
  • 2013年9月25日刊行
  • ISBN978-4-7583-1191-5

電子版


難治性てんかんに対する手術療法の決定版,手術動画も要チェック!!

てんかんの患者は100人に1人といわれている。その大半は発作を抗てんかん薬の服用により抑えることができるが,10〜20%は薬では抑えることができず慢性化する難治性てんかんになるといわれている。これら難治性てんかんには手術により発作を抑制したり,または消失させることができる症例があり,適応を見極め手術療法が行われるようになってきている。本書では,すべての難治性てんかんの手術の実際を術中写真とシェーマで解説,著者が術中に行っている工夫を随所に盛り込み,わかりやすい内容となっている。またメインの手術の実際をDVDでみることもできる。


序文

 著者がてんかん外科治療を自分の専門領域としたきっかけはある人たちとの出会いで,これがなかったら今,手術書を書くこともなかったであろう。
 昭和62年に大阪市立大学脳神経外科に入局した当時は,教室が主な専門分野として力を注いでいた頭蓋底外科および脊椎・脊外科を習得することを目標にしていた。専門医を取得後,海外留学のチャンスが巡ってきたときに同時に当教室にてんかん外科分野を立ち上げることになり,留学先であるアーカンソー州立大学で当時名誉教授として手術をされていたYasargil先生から側頭葉てんかんの低侵襲的手術法の一法である経シルビウス裂到達法による選択的海馬扁桃体摘出術を学んでくることが著者の責務となった。当時,ほとんど顕微鏡手術の術者を務めたことがなかった著者にとって,その手術法を目の当たりにしたときは「こんな難しい手術を自分ができるようになるだろうか?」と唯々,手術場でYasargil先生の厳しい叱咤激励の言葉を聞きながら手術モニターを見入っていたことを思い出す。まずはてんかん外科治療に必要な診断や基礎知識もない状態で,手術法の習得からこの分野に入ったことは異例であると思われるが,このYasargil先生との出会い,厳密には経シルビウス裂到達法による選択的海馬扁桃体摘出術との出会いが,その後の著者の人生を大きく変えたといっても過言ではない。
 帰国してから,当時,東京都立神経病院脳神経外科部長としててんかん外科治療を数多く手がけておられ,日本のてんかん外科治療の草分け的存在であった清水弘之先生に手術を見学させていただきたいとお願いしたところ快く承諾いただいたことも大きな出会いである。その後,東京都立神経病院に国内留学し,清水弘之先生にはてんかん発作型を熟知することが診断に必要なことや,手術治療については脳機能解剖を習得することの重要性,てんかん外科治療の厳しさや面白さもご教授いただいた。
 3人目は,初めててんかん手術を行った女性患者さんとの出会いである。この患者さんは検査の結果,左内側側頭葉てんかんと診断され,手術前日に手術内容について説明を行ったのだが,著者は内心,てんかんの手術を行うことが初めてであることを伝えると手術を受けることを拒否されるのではと心配していた。しかしながら, 「私はてんかんの手術を他施設で学んできましたが,実際に執刀するのはあなたが初めてです。」 と正直に述べたところ,この患者さんは 「今までの人生で,こんなに私の病気に一生懸命に関わってくれた先生はいなかった。是非,先生に手術していただきたい。」 と手術を承諾してくれた。無事に手術は終了したが,この出来事で著者はてんかん患者さんが背負っている苦難の人生を垣間見た気がし,少しでもてんかん患者さんに役に立てるのなら,今後の脳神経外科医としての人生をてんかん外科治療に専念しようと決心した。
 その後,この第一例目の患者さんとの出会いを時折,思い浮かべながら頑張ってきたおかげで,この14年で700例を超えるてんかん手術を行うことができた。手術が問題なく終了して,術後に新たな神経脱落症状の出現をみなくても,発作が抑制されなければ大きな敗北感を味わう厳しいてんかん外科治療にいつの間にか夢中になっていた。脳腫瘍や脳血管障害と違って,必ずしも手術治療を必要としない疾患群であるため,その術後に重篤な合併症の出現は許されない。手術治療には他分野に比べてより正確で安全な手術技術が術者に求められる分野であると筆者は確信している。本書がてんかん外科治療を志す後輩たちのよい指標になることを祈っている。

2013年8月
森野道晴
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目次

Ⅰ イントロダクション
  難治性てんかんと手術

Ⅱ 側頭葉てんかんの手術
  側頭葉てんかんの手術に必要な解剖学的知識
  シルビウス裂の開放
  選択的海馬扁桃体摘出術
    経シルビウス裂到達法
    側頭下窩到達法
  海馬多切術-経シルビウス裂到達法
  前側頭葉切除術
  側頭葉てんかんを伴う側頭葉内側部器質病変の手術法
    Transsylvian transcisternal & ventricular approach(TSCV)
    Supracerebellar transtentorial approach(SCTT)

Ⅲ 前頭葉てんかんの手術
  前頭葉焦点切除術-眼窩面切除を中心に
  
Ⅳ 脳梁離断術
  脳梁離断術に必要な解剖学的知識
  前方脳梁離断術および全脳梁離断術
  後方脳梁離断術

Ⅴ 大脳半球離断術
  大脳半球離断術に必要な解剖学的知識
  Lateral approach
  Vertical approach

Ⅵ その他の手術(緩和手術など)
  迷走神経刺激装置植え込み術
  軟膜下皮質多切術
  
Ⅶ 頭蓋内電極
  術中脳波測定
  頭蓋内電極植え込み術

Column
  てんかんと運転免許
  女性のてんかん患者が抱える問題
  てんかんの精神症状
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