腹腔鏡下消化器外科手術 標準手技シリーズ 4

肝臓・脾臓

肝臓・脾臓

■編集 若林 剛

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
  • A4判  152ページ  オールカラー,イラスト200点,写真100点
  • 2015年7月21日刊行
  • ISBN978-4-7583-1164-9

在庫僅少です。


イラストでみる,腹腔鏡下消化器手術の決定版

イラストで腹腔鏡下消化器外科手術の基本を学べるシリーズ,部位別全4冊。
侵襲が少なく,消化器外科手術で主流となっている腹腔鏡下手術は,開腹手術とは視野も手技も異なり,安全かつ確実な手術のために,術者には一定の技術が求められる。本巻では,肝臓・脾臓の腹腔鏡下手術を取り上げ,術前管理から術後管理まで一連の手術の流れに沿って,助手が行うべき手技も含めて,手術場面ごとにポイントを解説。
「標準的手技」や「基本手技」をしっかり押さえて,安全かつ確実な腹腔鏡下手術を行うための手術書の決定版!

■シリーズ編集主幹
北野正剛


序文

 腹腔鏡下消化器外科標準手技シリーズ(肝臓・脾臓)を企画した時点では,保険適用外の術式もいずれ標準術式になるであろうとの判断で,本書には多くの保険適用外術式が含まれている。また,腹腔鏡下脾臓摘出術を加えたのは,肝臓と脾臓は肋骨弓に囲まれた実質臓器であるため手技に共通性があり,また標準術式として広く行われているからである。
 腹腔鏡下肝切除は保険収載を契機に,徐々に普及の兆しが見える。一方,昨今のマスコミ報道によると,無理な適応拡大が不幸な結果に繋がる可能性もあり,手技の習得にあわせ段階的で慎重な適応拡大が必須と思われる。内視鏡外科手術には低侵襲性・高整容性という患者にアピールする側面がある一方で,体腔外からの手術操作に伴う動作制限による手術手技の難易度の高さを併せ持つ。これは外科医から見ると手技習熟の困難性となる。2014 年の秋に岩手県盛岡市で開催された第2回腹腔鏡下肝切除術国際コンセンサス会議では,短期成績や長期成績を中心に腹腔鏡下肝切除の現状と今後の方向性が示され,エビデンスに基づくステートメントが発表された1)。腹腔鏡下大肝切除(区域切除や肝葉切除)に関しては倫理委員会の承認や適切な症例登録の重要性が強調された抑制的な推奨となったが,わが国で保険収載されている腹腔鏡下肝切除(部分切除と外側区域切除)は標準手術の1つと記載され,技術的な推奨も多く行われた。
 新しい術式が広く普及するためには,少なくとも既存の術式より明らかに勝った点があることが必要である。腹腔鏡下肝切除は,拡大視効果や気腹圧による出血量の減少など,開腹肝切除と比べて論理的な優位性をもつとされる2)。一方で,解剖誤認による重大脈管損傷やコントロール困難な出血など,腹腔鏡下肝切除に特有のリスクがあることも否定できない。本書に記載された標準術式が広く安全に行われるようになり,患者に優しい手術治療が肝・脾疾患に対する手術の主流になることを願っている。

2015年6月
編集 若林 剛

1) Wakabayashi G, Cherqui D, Geller DA, et al: Recommendations for laparoscopic liver resection: A report from the 2 nd International Consensus Conference held in Morioka. Ann Surg 2015 ; 261 : 619 - 29 .
2) Wakabayashi G, Cherqui D, Geller DA, et al: Laparoscopic hepatectomy is theoretically better than open hepatectomy: Preparing for the 2 nd International Consensus Conference on Laparoscopic Liver Resection. J Hepatobiliary Pancreat Sci 2014 ; 21 : 723 - 31 .
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目次

Ⅰ 良性疾患
 腹腔鏡下肝嚢胞開窓術(laparoscopic removal of liver cyst) (板野 理,藤田優裕,北川雄光)
 腹腔鏡下脾臓摘出術 (佐々木 章,若林 剛)

Ⅱ 悪性疾患
 腹腔鏡下肝部分切除術 (青木武士,村上雅彦,古泉友丈)
 腹腔鏡下亜区域切除 —レネック被膜の概念に基づく定型化— (杉岡 篤,加藤悠太郎,棚橋義直)
 腹腔鏡下外側区域切除術 (大塚由一郎,片桐敏雄,金子弘真)
 腹腔鏡下内側区域切除術 (武田 裕,桂 宜輝,大村仁昭)
 腹腔鏡下肝前区域切除術 (趙 明浩,山本 宏,貝沼 修)
 腹腔鏡下肝後区域切除術 (播本憲史,前原喜彦,池田哲夫)
 腹腔鏡下肝右葉切除術 (長谷川 康,新田浩幸,若林 剛)
 腹腔鏡下左肝切除術(laparoscopic left hemi-hepatectomy) (金沢景繁,塚本忠司)
 腹腔鏡下ラジオ波凝固療法 (石河隆敏,別府 透,馬場秀夫)
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