新 脊椎インストゥルメンテーション
テクニカルポイントと合併症対策
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定価 10,780円(税込) (本体9,800円+税)
- B5変型判 268ページ 2色,イラスト330点,写真462点
- 2014年9月1日刊行
- ISBN978-4-7583-1049-9
序文
本書の前書である『脊椎インストゥルメンテーション 基本手技とチェックポイント』が発刊されたのは,2002年5月のことである。脊椎インストゥルメンテーションに関する当時の医学的水準は,しばしば適応を間違えた使用がなされるなど,技術的問題のほかに知識的問題も散見された。その中で,正しい脊椎インストゥルメンテーションの使用法を普遍化させたいという願いから前書が発刊された。換言すると,正しい手術手技とその適応や応用に関する知識を脊椎外科医全体として共有する必要のあった時代である。それから10余年の月日が流れ,脊椎インストゥルメンテーションの功罪に関する議論も少し落ち着きはじめ,今や脊椎インストゥルメンテーションは脊椎疾患治療の中で欠くべからざるものとなった。特に,脊柱変形の変形矯正手術,腫瘍・炎症・外傷の手術治療において,各種操作後になされる脊椎固定術に内固定併用は必須で,さまざまな応用がなされ,脊椎インストゥルメンテーションの発展・進化がその治療成績を向上させてきたのも事実である。
新しい手技が出現すると初期には必ずMOBやmalpracticeが出現するが,腰椎除圧手術が発展し始めた1970年代と比較すると近年の脊椎インストゥルメンテーション手術におけるmalpracticeは驚異的に少ないといえる。これは,医師・病院サイドでは時代の変遷に伴い,医療安全に関する準備や対策行動の発展,一方患者サイドからは厳しい評価の視線があり,双方の相乗効果が寄与しているかも知れないが,常に研鑚を重ねている脊椎外科医の努力の賜に他ならない。
前書は,基本的手技とそのチェックポイントに主眼を置き発刊され,その時代の流れと進歩に貢献したと考えているが,それから10余年が経過し,その後に見られた著しい進歩(新しい手術手技の開発,脊椎インストゥルメンテーションの改良・改善等)に関し,補足ないしは変更の必要性を感じるようになった。さらに,未曾有の高齢社会により高齢患者の増加が顕著で,以前には見られなかった新たな合併症も出現するようになってきた。共有すべき知識や対策を今一度確認する必要があるだろう。
そのような中で本書『新 脊椎インストゥルメンテーション テクニカルポイントと合併症対策』は,現在使用されている脊椎インストゥルメンテーションの手技や注意点の最先端を網羅すると同時に,その陰にある基本をしっかりと把握して戴きたいと願い企画された。執筆いただいた第一線で活躍中の諸先生には心から御礼申し上げると同時に,本書が脊椎脊髄外科医の皆様のお役に立つことを祈念している。
2014年7月
野原 裕
新しい手技が出現すると初期には必ずMOBやmalpracticeが出現するが,腰椎除圧手術が発展し始めた1970年代と比較すると近年の脊椎インストゥルメンテーション手術におけるmalpracticeは驚異的に少ないといえる。これは,医師・病院サイドでは時代の変遷に伴い,医療安全に関する準備や対策行動の発展,一方患者サイドからは厳しい評価の視線があり,双方の相乗効果が寄与しているかも知れないが,常に研鑚を重ねている脊椎外科医の努力の賜に他ならない。
前書は,基本的手技とそのチェックポイントに主眼を置き発刊され,その時代の流れと進歩に貢献したと考えているが,それから10余年が経過し,その後に見られた著しい進歩(新しい手術手技の開発,脊椎インストゥルメンテーションの改良・改善等)に関し,補足ないしは変更の必要性を感じるようになった。さらに,未曾有の高齢社会により高齢患者の増加が顕著で,以前には見られなかった新たな合併症も出現するようになってきた。共有すべき知識や対策を今一度確認する必要があるだろう。
そのような中で本書『新 脊椎インストゥルメンテーション テクニカルポイントと合併症対策』は,現在使用されている脊椎インストゥルメンテーションの手技や注意点の最先端を網羅すると同時に,その陰にある基本をしっかりと把握して戴きたいと願い企画された。執筆いただいた第一線で活躍中の諸先生には心から御礼申し上げると同時に,本書が脊椎脊髄外科医の皆様のお役に立つことを祈念している。
2014年7月
野原 裕
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目次
インストウルメントを活かすテクニック
フックの設置 鈴木信正
頚椎椎弓根スクリュー 鐙 邦芳
胸椎椎弓根スクリュー(TPS) 金村徳相
腰椎,S1の椎弓根スクリュー 野原 裕
ナビゲーション下頚椎椎弓根スクリュー 伊藤康夫
経皮的椎弓根スクリュー(PPS) 佐藤公治
上位頚椎のC1 lateral massスクリュー 宮腰尚久
C2 laminarスクリュー 田中雅人
歯突起スクリュー(中西法) 湯川泰紹
頚椎lateral massスクリュー,transarticularスクリュー 安良 興,ほか
頚椎前方椎弓根スクリュー(APS) 新籾正明,ほか
胸椎胸腔鏡視下手術(胸椎VATS)を併用したスクリュー刺入 竹内一裕,ほか
腰椎前方アプローチによる椎体スクリュー刺入と椎体置換術 竹内一裕,ほか
O-C固定術 越後谷直樹,ほか
頚椎プレート 進藤重雄
Galvestonテクニック 稲見 聡
S2 alar iliacスクリュー(S2 AIS) 金村徳相
intrasacral buttress screw(ISBS) 福田健太郎
S4 SRI(spondylolisthesis reduction instrument) 高畑智宏
棘突起プレート 冨士武史
ワイヤリング,テーピング 山崎 健
PSO(pedicle subtraction osteotomy) 豊根知明
椎体切除術(VCR) 種市 洋
cortical bone trajectory(CBT) 二宮 研,ほか
疾患別テクニック
■脊柱変形
インストウルメンテーションによる側弯矯正原理の変遷 鈴木信正
脊柱側弯症手術における術後血液検査所見の推移 津田 肇,ほか
特発性側弯症に対するhybrid法 鈴木信正
特発性側弯症に対するMTPSテクニック(multiple thoracic pedicle screw technique) 渡辺航太
先天性側弯症に対する半椎切除術 渡辺航太
neurofibromatosis(NF)による側弯症 野原 裕
麻痺性疾患に伴う脊柱変形の手術 高相晶士
中・高年側弯症に対するPLIF(後方腰椎椎体間固定) 阿部栄二
側弯症に対するグローイングロッド法 鈴木信正,ほか
胸郭不全症候群(TIS)に対するVEPTR手術 辻 太一
頚椎後弯 アテトーゼ型脳性麻痺(CP)に伴う頚髄症 山崎正志
胸椎角状後弯症に対するclosing-opening correction(COC) 川原範夫,ほか
成人腰椎後側弯症に対する変形矯正術 松山幸弘
腰椎に対する前方short fusion 野原 裕
腰椎変性側弯に対するCorrective TLIF,Radical corrective TLIF(RCT),Asymmetrical PSO,Asymmetrical PSO-TLIF superior 佐野茂夫
腰椎変性後側弯に対するDVD法 大谷和之,ほか
高度形成不全すべり症に対するL5/S1単椎間整復固定術 種市 洋
分離症に対するsegmental hook screw fixation 大島正史,ほか
Parkinson病による脊椎後弯 飯田尚裕
■骨粗鬆症
椎体形成術(kyphoplasty,BKP,vertebroplasty) 戸川大輔
骨粗鬆症性圧迫骨折後遅発性障害に対するHAブロックとCPC併用椎体形成術 星野雅洋
前方手術 高畑雅彦,ほか
前後合併手術 三澤治夫
DISH(びまん性特発性骨増殖症)を伴う脊椎骨折 高橋雅也,ほか
■外傷
上位頚椎:歯突起骨折,ハングマン骨折 伊藤康夫
中下位頚椎脱臼骨折に対する後方法,前後合併法,前方法 湯川泰紹
上中位胸椎脱臼骨折(T1-10レベル)に対する後方法(PS)+TTIF,前方法(+VATS下前方法) 湯川泰紹
胸腰椎・腰椎脱臼骨折(T11-L5レベル)に対する後方法(PS),TTIF・TLIF,前後合併法 湯川泰紹
胸腰移行部破裂骨折に対する前方支柱再建術 須田浩太,ほか
仙椎骨折 杉本佳久
■腫瘍
頚椎腫瘍(巨細胞腫)に対する後方〜前方アプローチ 川原範夫,ほか
胸腰椎腫瘍に対する腫瘍脊椎骨全摘術(TES) 村上英樹,ほか
骨盤輪再建 瀧川朋亨,ほか
■炎症,ほか
化膿性脊椎炎 田中雅人
頚椎の関節リウマチ 田中雅人
上位頚椎の関節リウマチ 越後谷直樹,ほか
頚椎,腰椎DSAに対する後方脊柱再建術 森山徳秀,ほか
起こりうる合併症対策
1.脊柱側弯症手術における神経合併症 鈴木信正
2. 術後感染 岩井智守男,ほか
3. 硬膜外血腫 冨士武史
4. インストウルメントの折損・脱転・弛み 上井 浩
5. 椎弓根スクリュー(PS)の誤刺入・脱転 渡辺航太
6. 硬膜損傷:脊髄液漏 德橋泰明
7. 手術体位による空気塞栓 金 景成,ほか
8. 椎体骨折,椎弓根骨折,椎弓(facet)骨折 佐藤栄修
9. 隣接障害:不安定性,狭窄,圧迫骨折 佐藤栄修
10. 深部静脈血栓症(DVT),脂肪塞栓症 三澤治夫
11. ケージの脱転・migration 佐藤栄修
12. C5麻痺(頚椎前方,後方PS) 石井 賢
13. 後頭頚椎(O-C)固定術後の嚥下障害・呼吸障害 根尾昌志
14. 食道瘻 三澤治夫
15. 乳び胸 斉藤正
16. 骨癒合不全 佐野茂夫
17. 透析性脊椎症の合併症:腸管壊死 竹内一裕,ほか
プラスComment
・胸椎前方・後方スクリューでの大血管への配慮 竹下克志
・ケージの種類と設置の注意点 高畑智宏
・腸骨採骨部への配慮 鈴木信正
・骨粗鬆症に対するセメントスクリュー 小西 均
・Kライン 小西宏昭
・後側方固定術後の椎間板骨化・癒合例 野原 裕
・硬膜損傷による脳障害 山内太郎,ほか
・嚥下障害(O-C固定) 田中雅人
フックの設置 鈴木信正
頚椎椎弓根スクリュー 鐙 邦芳
胸椎椎弓根スクリュー(TPS) 金村徳相
腰椎,S1の椎弓根スクリュー 野原 裕
ナビゲーション下頚椎椎弓根スクリュー 伊藤康夫
経皮的椎弓根スクリュー(PPS) 佐藤公治
上位頚椎のC1 lateral massスクリュー 宮腰尚久
C2 laminarスクリュー 田中雅人
歯突起スクリュー(中西法) 湯川泰紹
頚椎lateral massスクリュー,transarticularスクリュー 安良 興,ほか
頚椎前方椎弓根スクリュー(APS) 新籾正明,ほか
胸椎胸腔鏡視下手術(胸椎VATS)を併用したスクリュー刺入 竹内一裕,ほか
腰椎前方アプローチによる椎体スクリュー刺入と椎体置換術 竹内一裕,ほか
O-C固定術 越後谷直樹,ほか
頚椎プレート 進藤重雄
Galvestonテクニック 稲見 聡
S2 alar iliacスクリュー(S2 AIS) 金村徳相
intrasacral buttress screw(ISBS) 福田健太郎
S4 SRI(spondylolisthesis reduction instrument) 高畑智宏
棘突起プレート 冨士武史
ワイヤリング,テーピング 山崎 健
PSO(pedicle subtraction osteotomy) 豊根知明
椎体切除術(VCR) 種市 洋
cortical bone trajectory(CBT) 二宮 研,ほか
疾患別テクニック
■脊柱変形
インストウルメンテーションによる側弯矯正原理の変遷 鈴木信正
脊柱側弯症手術における術後血液検査所見の推移 津田 肇,ほか
特発性側弯症に対するhybrid法 鈴木信正
特発性側弯症に対するMTPSテクニック(multiple thoracic pedicle screw technique) 渡辺航太
先天性側弯症に対する半椎切除術 渡辺航太
neurofibromatosis(NF)による側弯症 野原 裕
麻痺性疾患に伴う脊柱変形の手術 高相晶士
中・高年側弯症に対するPLIF(後方腰椎椎体間固定) 阿部栄二
側弯症に対するグローイングロッド法 鈴木信正,ほか
胸郭不全症候群(TIS)に対するVEPTR手術 辻 太一
頚椎後弯 アテトーゼ型脳性麻痺(CP)に伴う頚髄症 山崎正志
胸椎角状後弯症に対するclosing-opening correction(COC) 川原範夫,ほか
成人腰椎後側弯症に対する変形矯正術 松山幸弘
腰椎に対する前方short fusion 野原 裕
腰椎変性側弯に対するCorrective TLIF,Radical corrective TLIF(RCT),Asymmetrical PSO,Asymmetrical PSO-TLIF superior 佐野茂夫
腰椎変性後側弯に対するDVD法 大谷和之,ほか
高度形成不全すべり症に対するL5/S1単椎間整復固定術 種市 洋
分離症に対するsegmental hook screw fixation 大島正史,ほか
Parkinson病による脊椎後弯 飯田尚裕
■骨粗鬆症
椎体形成術(kyphoplasty,BKP,vertebroplasty) 戸川大輔
骨粗鬆症性圧迫骨折後遅発性障害に対するHAブロックとCPC併用椎体形成術 星野雅洋
前方手術 高畑雅彦,ほか
前後合併手術 三澤治夫
DISH(びまん性特発性骨増殖症)を伴う脊椎骨折 高橋雅也,ほか
■外傷
上位頚椎:歯突起骨折,ハングマン骨折 伊藤康夫
中下位頚椎脱臼骨折に対する後方法,前後合併法,前方法 湯川泰紹
上中位胸椎脱臼骨折(T1-10レベル)に対する後方法(PS)+TTIF,前方法(+VATS下前方法) 湯川泰紹
胸腰椎・腰椎脱臼骨折(T11-L5レベル)に対する後方法(PS),TTIF・TLIF,前後合併法 湯川泰紹
胸腰移行部破裂骨折に対する前方支柱再建術 須田浩太,ほか
仙椎骨折 杉本佳久
■腫瘍
頚椎腫瘍(巨細胞腫)に対する後方〜前方アプローチ 川原範夫,ほか
胸腰椎腫瘍に対する腫瘍脊椎骨全摘術(TES) 村上英樹,ほか
骨盤輪再建 瀧川朋亨,ほか
■炎症,ほか
化膿性脊椎炎 田中雅人
頚椎の関節リウマチ 田中雅人
上位頚椎の関節リウマチ 越後谷直樹,ほか
頚椎,腰椎DSAに対する後方脊柱再建術 森山徳秀,ほか
起こりうる合併症対策
1.脊柱側弯症手術における神経合併症 鈴木信正
2. 術後感染 岩井智守男,ほか
3. 硬膜外血腫 冨士武史
4. インストウルメントの折損・脱転・弛み 上井 浩
5. 椎弓根スクリュー(PS)の誤刺入・脱転 渡辺航太
6. 硬膜損傷:脊髄液漏 德橋泰明
7. 手術体位による空気塞栓 金 景成,ほか
8. 椎体骨折,椎弓根骨折,椎弓(facet)骨折 佐藤栄修
9. 隣接障害:不安定性,狭窄,圧迫骨折 佐藤栄修
10. 深部静脈血栓症(DVT),脂肪塞栓症 三澤治夫
11. ケージの脱転・migration 佐藤栄修
12. C5麻痺(頚椎前方,後方PS) 石井 賢
13. 後頭頚椎(O-C)固定術後の嚥下障害・呼吸障害 根尾昌志
14. 食道瘻 三澤治夫
15. 乳び胸 斉藤正
16. 骨癒合不全 佐野茂夫
17. 透析性脊椎症の合併症:腸管壊死 竹内一裕,ほか
プラスComment
・胸椎前方・後方スクリューでの大血管への配慮 竹下克志
・ケージの種類と設置の注意点 高畑智宏
・腸骨採骨部への配慮 鈴木信正
・骨粗鬆症に対するセメントスクリュー 小西 均
・Kライン 小西宏昭
・後側方固定術後の椎間板骨化・癒合例 野原 裕
・硬膜損傷による脳障害 山内太郎,ほか
・嚥下障害(O-C固定) 田中雅人
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脊椎インストゥルメンテーション手術のテクニックと合併症対策が集結した1冊
脊椎手術にインストゥルメンテーションを使用することが定着しているなかで,これからこの手技を習得するためには〈正確に器具を扱う技術〉〈症例に対して安全に操作できる技術〉〈起こりうる合併症に対する早期発見と適切に対応できる技術〉が求められる。この3つを章立てとして構成しているのが本書である。
「インストゥルメントを活かすテクニック」「疾患別テクニック」の章では〈テクニカルポイント〉としてコツ,注意点,トラブルが明記されている。「合併症対策」の章では〈早期発見のポイント〉〈適切な対応法〉が簡潔にまとめられている。
脊椎インストゥルメンテーション手術に関する必須知識と必須テクニックが網羅されている1冊。