ゼロから学ぶ 医薬統計教室
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定価 3,080円(税込) (本体2,800円+税)
- A5判 168ページ 2色
- 2014年9月1日刊行
- ISBN978-4-7583-0044-5
電子版
序文
はじめに
最近,統計学が流行しているように感じることがあります。書店に行くと売り場には「統計学は最強!」というキャッチコピーが大きく書かれ,統計関連のビジネス・経済書籍が山積みになっているのを目にします。また,新聞やテレビなどでは「ビッグデータの活用に統計学が必要不可欠」などと注目されていたりします。なぜこのように統計学がブームになっているのでしょうか?
医学にかかわらずどの分野においても,意思決定が必要です。データの適切な要約と統計解析を通じて,データに基づいた客観的な意思決定の材料や根拠が得られるので,統計学やデータサイエンスが注目されているのです。本書が主に扱う医学,薬学,健康科学領域では,根拠に基づく医療(evidence based medicine;EBM)という考えが普及しています。その根拠(エビデンス)となるものは,統計的データとして表されるので,医薬統計学の考え方が不可欠です。
医薬統計学は,「医学・薬学・健康科学における統計的問題を解決するための方法論を発展させ,その方法論を用いて医学研究者たちと一緒に問題解決を行う固有の学問」です。したがって,生物統計家と医学研究者がコミュニケーションを図りながら,データの取り方(研究計画の立案),データ解析の方法,得られた結果の解釈,論文の執筆などを行っていきます。両者の連携と対話が不可欠ですが,医学研究者は生物統計学のことを,生物統計家は医学・薬学のことを,ある程度理解していないと対話が成立しません。
大学内外で医薬統計コンサルテーションを行っていると,「このデータのp値を計算してください」,ひどいときは「学会発表をするのでこのデータで有意差をつけてください」という相談を受けることがあります。医薬統計というものを,統計ソフトでp値を計算すること,平均と標準偏差を計算してグラフにすること,グラフにエラーバーを書き込んで有意差マーク★印をつけること,と思いこんでいる人が少なくないようです。
また困ったことに,統計手法はその使い方によって,解析結果が違ったり,本当は有意でないものが有意であるといった逆の結論を導いてしまったりすることがあります。特に医学・薬学研究では,統計解析の結果が治療法や医薬品の評価に直接的な影響を与えます。誤った結論を導くと多くの患者さんが大きな被害をこうむってしまうので,細心の注意を払う必要があります。
そこで,これから初めて医薬統計を勉強したい,これから臨床研究を始めたい,医学論文を読んでも統計手法がまったくわからない,生物統計家に質問をしたいけど何を聞いてよいかわからないので自分の頭のなかを整理したい,最強の学問といわれている統計学を身につけ,宇宙怪人しまりすの宇宙征服を阻止したい人などを対象に,臨床医学論文を読むときや,生物統計家との対話に事前に知っておいたほうがよい用語・統計手法,誤用しやすい統計手法などを中心に解説する入門書を執筆することにしました。
本書は3章からなっており,第1章では臨床研究論文を読み書き,または実施する際に最低限知っておくべきキーワードを解説します。第2章では,臨床研究論文などで最頻出の統計手法を中心に事例を通して解説します。本書を教科書代わりにする場合には,わかりにくいところを素通りしてもよいので,両章に一通り目を通してください(なお,第1章,2章で例としてあげた統計データの大半は,初学者の方に向けてわかりやすく説明するために,著者が作成したものです)。そして最後に,第3章では,世界で最も権威のある臨床医学雑誌New England Journal of Medicineに掲載された論文を取り上げて,臨床研究に適用された統計解析手法を第1章から第2章までの知識を生かして眺めてみましょう。
本書は,医薬統計学の基本概念を把握し生物統計家とのコミュニケーションを図りたいという研究者の要望に応えたつもりです。全般を通じて,統計学的概念を理解していただくことを優先して,数学的理論や数式的表現は極力避けました。実際の計算を行う場合は統計ソフトウェアを利用し,より専門的な統計理論を学びたい場合は統計学の専門書を参照していただきたいと思います。
最後に,原稿を読んで貴重な意見をしていただいた千葉大学医学部附属病院臨床試験部 大原璃恵さん,高橋 翔さん,長島健悟さんに心から謝意を表します。
平成26年8月
千葉大学大学院医学研究院未来医療グローバル治療学研究講座
佐藤泰憲
愛知医科大学先端医学研究センター
五所正彦
最近,統計学が流行しているように感じることがあります。書店に行くと売り場には「統計学は最強!」というキャッチコピーが大きく書かれ,統計関連のビジネス・経済書籍が山積みになっているのを目にします。また,新聞やテレビなどでは「ビッグデータの活用に統計学が必要不可欠」などと注目されていたりします。なぜこのように統計学がブームになっているのでしょうか?
医学にかかわらずどの分野においても,意思決定が必要です。データの適切な要約と統計解析を通じて,データに基づいた客観的な意思決定の材料や根拠が得られるので,統計学やデータサイエンスが注目されているのです。本書が主に扱う医学,薬学,健康科学領域では,根拠に基づく医療(evidence based medicine;EBM)という考えが普及しています。その根拠(エビデンス)となるものは,統計的データとして表されるので,医薬統計学の考え方が不可欠です。
医薬統計学は,「医学・薬学・健康科学における統計的問題を解決するための方法論を発展させ,その方法論を用いて医学研究者たちと一緒に問題解決を行う固有の学問」です。したがって,生物統計家と医学研究者がコミュニケーションを図りながら,データの取り方(研究計画の立案),データ解析の方法,得られた結果の解釈,論文の執筆などを行っていきます。両者の連携と対話が不可欠ですが,医学研究者は生物統計学のことを,生物統計家は医学・薬学のことを,ある程度理解していないと対話が成立しません。
大学内外で医薬統計コンサルテーションを行っていると,「このデータのp値を計算してください」,ひどいときは「学会発表をするのでこのデータで有意差をつけてください」という相談を受けることがあります。医薬統計というものを,統計ソフトでp値を計算すること,平均と標準偏差を計算してグラフにすること,グラフにエラーバーを書き込んで有意差マーク★印をつけること,と思いこんでいる人が少なくないようです。
また困ったことに,統計手法はその使い方によって,解析結果が違ったり,本当は有意でないものが有意であるといった逆の結論を導いてしまったりすることがあります。特に医学・薬学研究では,統計解析の結果が治療法や医薬品の評価に直接的な影響を与えます。誤った結論を導くと多くの患者さんが大きな被害をこうむってしまうので,細心の注意を払う必要があります。
そこで,これから初めて医薬統計を勉強したい,これから臨床研究を始めたい,医学論文を読んでも統計手法がまったくわからない,生物統計家に質問をしたいけど何を聞いてよいかわからないので自分の頭のなかを整理したい,最強の学問といわれている統計学を身につけ,宇宙怪人しまりすの宇宙征服を阻止したい人などを対象に,臨床医学論文を読むときや,生物統計家との対話に事前に知っておいたほうがよい用語・統計手法,誤用しやすい統計手法などを中心に解説する入門書を執筆することにしました。
本書は3章からなっており,第1章では臨床研究論文を読み書き,または実施する際に最低限知っておくべきキーワードを解説します。第2章では,臨床研究論文などで最頻出の統計手法を中心に事例を通して解説します。本書を教科書代わりにする場合には,わかりにくいところを素通りしてもよいので,両章に一通り目を通してください(なお,第1章,2章で例としてあげた統計データの大半は,初学者の方に向けてわかりやすく説明するために,著者が作成したものです)。そして最後に,第3章では,世界で最も権威のある臨床医学雑誌New England Journal of Medicineに掲載された論文を取り上げて,臨床研究に適用された統計解析手法を第1章から第2章までの知識を生かして眺めてみましょう。
本書は,医薬統計学の基本概念を把握し生物統計家とのコミュニケーションを図りたいという研究者の要望に応えたつもりです。全般を通じて,統計学的概念を理解していただくことを優先して,数学的理論や数式的表現は極力避けました。実際の計算を行う場合は統計ソフトウェアを利用し,より専門的な統計理論を学びたい場合は統計学の専門書を参照していただきたいと思います。
最後に,原稿を読んで貴重な意見をしていただいた千葉大学医学部附属病院臨床試験部 大原璃恵さん,高橋 翔さん,長島健悟さんに心から謝意を表します。
平成26年8月
千葉大学大学院医学研究院未来医療グローバル治療学研究講座
佐藤泰憲
愛知医科大学先端医学研究センター
五所正彦
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目次
プロローグ warm up – まずは医薬統計を身近に感じよう
医学・薬学研究にどうして統計学が必要なの?― 統計を学ぶ意味って何?
EBMの広まりと統計学/統計手法の種類が増えている/データの取り方・要約の仕方で結果が変わる!?
第1章 これだけは押さえておこう! 必須医薬統計用語
統計データの取り方
01 バラツキとバイアス
正確な血圧測定器と高めに出る血圧測定器での結果は!?/どんなデータにも「バラツキ」がある!/使った測定器でデータが偏る=バイアスあり!/Q真の値とデータから推定された値の系統的差って?
02 交絡
天然水と水道水? 長生きとの関係はあるの?/年齢別に調べたら結果が変わった!?/「高齢者の長生き志向」が原因だった!/Q統計学的に有意ってどういうこと?
03 ランダム化
治療法を割り付ける/治療選択バイアス?/ランダム化で正しく比較できる!/ランダム化はどうやって行うの?/ランダム化と無作為抽出の違い/無作為抽出は現実には不可能!
04 盲検化
割り付けや評価結果を隠して治療する=盲検化/試験の評価項目の判定を盲検化する「PROBE法」
統計データのまとめ方
05 データの種類
身の回りにあるデータ/データにも色々な種類がある!/「 0」 があったら比例尺度!/「値と値の差」に意味があったら間隔尺度!/間隔尺度は倍にできない!?/質的データ=カテゴリー分けするデータ/名義尺度は、順序づけに意味がない質的データ/順序がつけられれば、順序尺度
06 度数分布
自分の順位を知る方法?/第1ステップ! データの分布を調べる/第2ステップ! 度数分布表から値の位置を知る
07 平均
学部別の睡眠時間を調べる!/数字や図でデータの特徴をつかむ!/平均値=だいたい真ん中!?/歪んだ分布のとき →平均値≠だいたい真ん中
08 標準偏差
A薬とB薬は何が違うの?/平均は同じだけどバラツキが違う!?/ヒストグラムより正確な情報を与える分散や標準偏差/分散って何?/Qなんでn−1で割るの?/じゃあ標準偏差って何?/Column ①自由度って何?/②成長曲線のしくみ
09 標準誤差
平均値の平均値?/推定値の信頼度をみるには 「標準誤差」/Q結局、標準誤差は標準偏差とどう違うの?/ Column エラーバーの使い分け
10 図示表現法(ヒストグラム、箱ひげ図、散布図)
データの特徴を目でみるには?/ヒストグラムでデータを俯瞰する!/ヒストグラムからデータの特徴をとらえるために/箱ひげ図では少ないデータの特徴を調べる!/ 「ひげ」 は最大値から最小値まで伸びる/箱ひげ図の読み方/散布図で2つの変数の関係がわかる/やっとわかった! 正の相関、負の相関
データ評価・比較の方法(推定)
11 点推定と区間推定
日本中の患者の平均血圧が知りたい! どうする?/ 「点推定」と「区間推定」?/区間推定は誤差を考えて推定する方法/Qそもそも推定って何?
12 信頼区間
信頼区間を求めてみよう/95%信頼区間と母集団の関係/そもそも信頼区間って?/信頼度 「95%」 が意味すること/よい信頼区間とは?
13 比・率・割合
データから比・率・割合を計算してみる/比はX:Yの値/割合はX/ Yの値/率は時間あたりの頻度のこと/死亡率を実際に計算してみる
14 リスク比とオッズ比
喫煙者と非喫煙者の肺がんの 「リスク」 について調べたい/リスクを「 比」 でみてみよう!/肺がんの患者で喫煙者の割合をみてみると…?/リスク比が使えない? →そんなときはオッズ比!/そもそも、オッズって?/オッズからオッズ比を出そう!/オッズ比が出たら…結果をどう読む!?
データ評価・比較の方法(検定)
15 帰無仮説と対立仮説
自動血圧計の精度は? →水銀式と比べてみる/2つの血圧計で差はあるか? →検定で答える!/帰無仮説と対立仮説の違いは、「 知りたいことを否定から入るかどうか」 / Column 有意症
16 2種類の過誤(第1種の過誤・第2種の過誤)
対立仮説が正しいというために…/過誤の分類/第1種と第2種の過誤、どちらも小さくするのは無理!?/過誤をできるだけ小さくする基準「 有意水準」
17 p 値
プラセボと比較して新薬の効果を知る →まずは仮説から考える/帰無仮説を棄却する基準って?/解析結果がどんなに珍しいかを示すのがp 値/結果が珍しいのは、そもそも帰無仮説が間違っているから →棄却!/「有意差あり」が意味するもの/p値の弱点と対処法
第2章 シチュエーション別解析・結果解釈法
連続する値のデータを評価する
01 対応がある2群を比較するときには「 1標本t検定」
ダイエットドリンクの効果を調べるには?/1人1人のBefore and Afterを調べればOK/対応のあるt 検定って?/Qなぜ対応があるデータには「1標本t検定」を使うの?/Column 1標本t 検定の検定統計量t
02 対応がない2群を比較するときには「 2標本t検定」
2つの「群」で差があるかを調べたい →検定を実施する/第1ステップ! 仮説を立てる/第2ステップ! 検定統計量t 値を計算t値って?/最後のステップ! t 値からp値を出して有意か調べる
03 3群以上を比較するときには「 分散分析」
薬剤の用量別に薬効を比べるには?/2用量ずつ組み合わせて検定を行う? →誤る確率が高くなる!/分散分析を使えばOK!/一元配置とは? →1つの要素でグループを識別する/「全体の平均からのズレ」を分解して解析するのが分散分析!/二元配置とは →2つの要素でグループを識別する/共分散分析って?/3つ以上の要素があるときは…?
04 2つの群の関係性をみるときには「 相関と回帰分析」
相関の有無が知りたい →散布図を書いてみよう/相関の強さが知りたい →相関係数を使う!/相関係数が0.81=相関が強い!・・・と言い切れないときもある/相関の強さを予測に役立てる方法「回帰分析」/回帰分析では具体的に何を求めるの?/回帰直線が描けても満足はできない!?/寄与率だけで回帰式の評価をしてはダメ! →必ず散布図などで確認しよう/ Column 相関係数の計算式
05 因果関係を探るときには「 重回帰分析」
血圧に影響するのは年齢だけじゃない! →重回帰分析で解決/偏回帰係数の解釈に注意しよう!/Column 作った重回帰式が役に立つかを調べよう!
2つに分類したデータを評価する
06 関連性を調べるときには分割表の解析「 カイ二乗検定」
薬で症状が「改善するかどうか」を調べたい/質的なデータをまとめてみよう →分割表を作ってカイ二乗検定で調べる/期待頻度を求めてみる/Column 期待頻度が5未満の場合にカイ二乗検定は使えない!?
07 あるイベントが発生する確率を予測するときには「ロジスティック回帰分析」
薬の投与量と「生死」の関係を調べたい/ラットが半分死亡する投与量を求める →単回帰分析!?/ちょっと待って! 回帰分析できないデータに注意/ロジスティック回帰分析で万事解決!/ロジスティック回帰分析のよいところ/Q回帰分析できないデータはどうやって判別するの?
イベント発生までの時間を評価する
08 ある時点までの生存時間をみるときには「Kaplan – Meier法」
抗がん剤で生存期間に差があるか知りたい!/得られたデータから生存割合を計算してみよう! →Kaplan–Meier法/打ち切りがある場合の計算方法に注意!/求めた生存割合の結果を図示してみよう! →Kaplan–Meierプロット/生存曲線からわかることって?/Column 生存時間解析が開発されたワケ
09 生存曲線の比較をするときには「 log– rank検定と一般化Wilcoxon検定」
2つの生存曲線を比較してみる/STAR-1のほうがAU-5よりも生存期間を延ばす?/どうやって生存曲線の有意差を調べるの? →log– rank検定を使おう!/log– rank検定って何者?/一般化Wilcoxon 検定とどう使い分けるの?/実際にlog– rank検定を使って結論を出すと…?
10 ハザード比を推定するときには「 Cox回帰分析」
データに偏りがあるときの生存時間解析はどうする?/Cox回帰分析を使おう!/ハザード比って何?/やっぱり遠隔転移の有無が予後を左右していた!/Cox回帰分析を実際に使ってみると…?/Cox回帰分析も万能ではない!?
第3章 腕試し! −実際に論文を読んでみよう−
① 連続データの解析
まずは研究内容をチェックしよう!/結果をどう読む? →統計的にみてみよう!/Q調整平均って何?
② 2値データの解析
まずは研究内容をチェックしよう!/結果をどう読む? →統計的にみてみよう!
③ 生存時間データの解析
まずは研究内容をチェックしよう!/結果をどう読む? →統計的にみてみよう!
医学・薬学研究にどうして統計学が必要なの?― 統計を学ぶ意味って何?
EBMの広まりと統計学/統計手法の種類が増えている/データの取り方・要約の仕方で結果が変わる!?
第1章 これだけは押さえておこう! 必須医薬統計用語
統計データの取り方
01 バラツキとバイアス
正確な血圧測定器と高めに出る血圧測定器での結果は!?/どんなデータにも「バラツキ」がある!/使った測定器でデータが偏る=バイアスあり!/Q真の値とデータから推定された値の系統的差って?
02 交絡
天然水と水道水? 長生きとの関係はあるの?/年齢別に調べたら結果が変わった!?/「高齢者の長生き志向」が原因だった!/Q統計学的に有意ってどういうこと?
03 ランダム化
治療法を割り付ける/治療選択バイアス?/ランダム化で正しく比較できる!/ランダム化はどうやって行うの?/ランダム化と無作為抽出の違い/無作為抽出は現実には不可能!
04 盲検化
割り付けや評価結果を隠して治療する=盲検化/試験の評価項目の判定を盲検化する「PROBE法」
統計データのまとめ方
05 データの種類
身の回りにあるデータ/データにも色々な種類がある!/「 0」 があったら比例尺度!/「値と値の差」に意味があったら間隔尺度!/間隔尺度は倍にできない!?/質的データ=カテゴリー分けするデータ/名義尺度は、順序づけに意味がない質的データ/順序がつけられれば、順序尺度
06 度数分布
自分の順位を知る方法?/第1ステップ! データの分布を調べる/第2ステップ! 度数分布表から値の位置を知る
07 平均
学部別の睡眠時間を調べる!/数字や図でデータの特徴をつかむ!/平均値=だいたい真ん中!?/歪んだ分布のとき →平均値≠だいたい真ん中
08 標準偏差
A薬とB薬は何が違うの?/平均は同じだけどバラツキが違う!?/ヒストグラムより正確な情報を与える分散や標準偏差/分散って何?/Qなんでn−1で割るの?/じゃあ標準偏差って何?/Column ①自由度って何?/②成長曲線のしくみ
09 標準誤差
平均値の平均値?/推定値の信頼度をみるには 「標準誤差」/Q結局、標準誤差は標準偏差とどう違うの?/ Column エラーバーの使い分け
10 図示表現法(ヒストグラム、箱ひげ図、散布図)
データの特徴を目でみるには?/ヒストグラムでデータを俯瞰する!/ヒストグラムからデータの特徴をとらえるために/箱ひげ図では少ないデータの特徴を調べる!/ 「ひげ」 は最大値から最小値まで伸びる/箱ひげ図の読み方/散布図で2つの変数の関係がわかる/やっとわかった! 正の相関、負の相関
データ評価・比較の方法(推定)
11 点推定と区間推定
日本中の患者の平均血圧が知りたい! どうする?/ 「点推定」と「区間推定」?/区間推定は誤差を考えて推定する方法/Qそもそも推定って何?
12 信頼区間
信頼区間を求めてみよう/95%信頼区間と母集団の関係/そもそも信頼区間って?/信頼度 「95%」 が意味すること/よい信頼区間とは?
13 比・率・割合
データから比・率・割合を計算してみる/比はX:Yの値/割合はX/ Yの値/率は時間あたりの頻度のこと/死亡率を実際に計算してみる
14 リスク比とオッズ比
喫煙者と非喫煙者の肺がんの 「リスク」 について調べたい/リスクを「 比」 でみてみよう!/肺がんの患者で喫煙者の割合をみてみると…?/リスク比が使えない? →そんなときはオッズ比!/そもそも、オッズって?/オッズからオッズ比を出そう!/オッズ比が出たら…結果をどう読む!?
データ評価・比較の方法(検定)
15 帰無仮説と対立仮説
自動血圧計の精度は? →水銀式と比べてみる/2つの血圧計で差はあるか? →検定で答える!/帰無仮説と対立仮説の違いは、「 知りたいことを否定から入るかどうか」 / Column 有意症
16 2種類の過誤(第1種の過誤・第2種の過誤)
対立仮説が正しいというために…/過誤の分類/第1種と第2種の過誤、どちらも小さくするのは無理!?/過誤をできるだけ小さくする基準「 有意水準」
17 p 値
プラセボと比較して新薬の効果を知る →まずは仮説から考える/帰無仮説を棄却する基準って?/解析結果がどんなに珍しいかを示すのがp 値/結果が珍しいのは、そもそも帰無仮説が間違っているから →棄却!/「有意差あり」が意味するもの/p値の弱点と対処法
第2章 シチュエーション別解析・結果解釈法
連続する値のデータを評価する
01 対応がある2群を比較するときには「 1標本t検定」
ダイエットドリンクの効果を調べるには?/1人1人のBefore and Afterを調べればOK/対応のあるt 検定って?/Qなぜ対応があるデータには「1標本t検定」を使うの?/Column 1標本t 検定の検定統計量t
02 対応がない2群を比較するときには「 2標本t検定」
2つの「群」で差があるかを調べたい →検定を実施する/第1ステップ! 仮説を立てる/第2ステップ! 検定統計量t 値を計算t値って?/最後のステップ! t 値からp値を出して有意か調べる
03 3群以上を比較するときには「 分散分析」
薬剤の用量別に薬効を比べるには?/2用量ずつ組み合わせて検定を行う? →誤る確率が高くなる!/分散分析を使えばOK!/一元配置とは? →1つの要素でグループを識別する/「全体の平均からのズレ」を分解して解析するのが分散分析!/二元配置とは →2つの要素でグループを識別する/共分散分析って?/3つ以上の要素があるときは…?
04 2つの群の関係性をみるときには「 相関と回帰分析」
相関の有無が知りたい →散布図を書いてみよう/相関の強さが知りたい →相関係数を使う!/相関係数が0.81=相関が強い!・・・と言い切れないときもある/相関の強さを予測に役立てる方法「回帰分析」/回帰分析では具体的に何を求めるの?/回帰直線が描けても満足はできない!?/寄与率だけで回帰式の評価をしてはダメ! →必ず散布図などで確認しよう/ Column 相関係数の計算式
05 因果関係を探るときには「 重回帰分析」
血圧に影響するのは年齢だけじゃない! →重回帰分析で解決/偏回帰係数の解釈に注意しよう!/Column 作った重回帰式が役に立つかを調べよう!
2つに分類したデータを評価する
06 関連性を調べるときには分割表の解析「 カイ二乗検定」
薬で症状が「改善するかどうか」を調べたい/質的なデータをまとめてみよう →分割表を作ってカイ二乗検定で調べる/期待頻度を求めてみる/Column 期待頻度が5未満の場合にカイ二乗検定は使えない!?
07 あるイベントが発生する確率を予測するときには「ロジスティック回帰分析」
薬の投与量と「生死」の関係を調べたい/ラットが半分死亡する投与量を求める →単回帰分析!?/ちょっと待って! 回帰分析できないデータに注意/ロジスティック回帰分析で万事解決!/ロジスティック回帰分析のよいところ/Q回帰分析できないデータはどうやって判別するの?
イベント発生までの時間を評価する
08 ある時点までの生存時間をみるときには「Kaplan – Meier法」
抗がん剤で生存期間に差があるか知りたい!/得られたデータから生存割合を計算してみよう! →Kaplan–Meier法/打ち切りがある場合の計算方法に注意!/求めた生存割合の結果を図示してみよう! →Kaplan–Meierプロット/生存曲線からわかることって?/Column 生存時間解析が開発されたワケ
09 生存曲線の比較をするときには「 log– rank検定と一般化Wilcoxon検定」
2つの生存曲線を比較してみる/STAR-1のほうがAU-5よりも生存期間を延ばす?/どうやって生存曲線の有意差を調べるの? →log– rank検定を使おう!/log– rank検定って何者?/一般化Wilcoxon 検定とどう使い分けるの?/実際にlog– rank検定を使って結論を出すと…?
10 ハザード比を推定するときには「 Cox回帰分析」
データに偏りがあるときの生存時間解析はどうする?/Cox回帰分析を使おう!/ハザード比って何?/やっぱり遠隔転移の有無が予後を左右していた!/Cox回帰分析を実際に使ってみると…?/Cox回帰分析も万能ではない!?
第3章 腕試し! −実際に論文を読んでみよう−
① 連続データの解析
まずは研究内容をチェックしよう!/結果をどう読む? →統計的にみてみよう!/Q調整平均って何?
② 2値データの解析
まずは研究内容をチェックしよう!/結果をどう読む? →統計的にみてみよう!
③ 生存時間データの解析
まずは研究内容をチェックしよう!/結果をどう読む? →統計的にみてみよう!
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自分の理解度をはかれる,実践的な1冊である。