理学療法マネジメント
肘関節理学療法マネジメント
機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く
定価 5,940円(税込) (本体5,400円+税)
- B5判 240ページ 2色,イラスト100点,写真540点
- 2020年2月3日刊行
- ISBN978-4-7583-2023-8
電子版
序文
編集の序
肘の権威であるMorrey 氏は肘関節のことを“unfortunate joint”と称した。肘関節治療における同氏の功績は偉大であり,日本で開催された学会で講演を拝聴した際,スタンディングオベーションが起きたことを今でも鮮明に覚えている。また,肘関節外科医の大家である伊藤恵康先生はその膨大な臨床経験を著書「肘関節外科の実際」にまとめ,肘関節疾患の外科的治療に光明をもたらした。肘関節は言わば精密機械であり,その構造の精巧さと運動の複雑さが治療にあたるセラピストを悩ませる。一方,肘関節への理解を深めることで,整然と順序立てて理学療法をマネジメントすることが可能となる。
また,肘関節の理学療法について語られる際,肩の延長としての肘と,ハンドセラピィとしての肘という観点があるように見受けられる。これまで肩・肘あるいは手・肘をテーマとした理学療法の専門書はあっても,肘を主とし,かつ肩・手双方からまとめられた書籍はみられない。本書を編集するにあたり,それらの点を考慮した内容構成とすることで,肘関節理学療法に必要な知見を十分に盛り込んだ新たな1冊を目指した。
本書では,私が肘関節機能について執筆し,上肢疾患を専門とする日本の代表的なセラピストの方々に,肘関節に関するエビデンスや遠位および近位関節機能からの影響,運動連鎖からの影響について執筆をお願いした。私の専門がスポーツということもあり,これまで野球肘を多く加療してきたことから,内容に偏りがあることはお詫びしたい。しかしながら,他の理学療法マネジメントシリーズ同様,機能障害という切り口で理学療法についてまとめた本書は,他の多くの肘関節疾患に応用が可能であると確信する。本書が発刊されることで,この不運な肘関節に興味を抱くセラピストが増え,その先にいる患者,特に野球肘に苦しむ選手たちの笑顔が少しでも増えれば幸いである。
最後に,多大なる尽力を頂いたメジカルビュー社の小松朋寛氏,図表やエビデンスとして引用させて頂いた多くの研究者の方々,これまでリハビリテーションを関わらせて頂いた野球少年をはじめとした多くの患者様方に感謝したい。
2020年1月坂田 淳
肘の権威であるMorrey 氏は肘関節のことを“unfortunate joint”と称した。肘関節治療における同氏の功績は偉大であり,日本で開催された学会で講演を拝聴した際,スタンディングオベーションが起きたことを今でも鮮明に覚えている。また,肘関節外科医の大家である伊藤恵康先生はその膨大な臨床経験を著書「肘関節外科の実際」にまとめ,肘関節疾患の外科的治療に光明をもたらした。肘関節は言わば精密機械であり,その構造の精巧さと運動の複雑さが治療にあたるセラピストを悩ませる。一方,肘関節への理解を深めることで,整然と順序立てて理学療法をマネジメントすることが可能となる。
また,肘関節の理学療法について語られる際,肩の延長としての肘と,ハンドセラピィとしての肘という観点があるように見受けられる。これまで肩・肘あるいは手・肘をテーマとした理学療法の専門書はあっても,肘を主とし,かつ肩・手双方からまとめられた書籍はみられない。本書を編集するにあたり,それらの点を考慮した内容構成とすることで,肘関節理学療法に必要な知見を十分に盛り込んだ新たな1冊を目指した。
本書では,私が肘関節機能について執筆し,上肢疾患を専門とする日本の代表的なセラピストの方々に,肘関節に関するエビデンスや遠位および近位関節機能からの影響,運動連鎖からの影響について執筆をお願いした。私の専門がスポーツということもあり,これまで野球肘を多く加療してきたことから,内容に偏りがあることはお詫びしたい。しかしながら,他の理学療法マネジメントシリーズ同様,機能障害という切り口で理学療法についてまとめた本書は,他の多くの肘関節疾患に応用が可能であると確信する。本書が発刊されることで,この不運な肘関節に興味を抱くセラピストが増え,その先にいる患者,特に野球肘に苦しむ選手たちの笑顔が少しでも増えれば幸いである。
最後に,多大なる尽力を頂いたメジカルビュー社の小松朋寛氏,図表やエビデンスとして引用させて頂いた多くの研究者の方々,これまでリハビリテーションを関わらせて頂いた野球少年をはじめとした多くの患者様方に感謝したい。
2020年1月坂田 淳
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目次
Ⅰ章 肘関節理学療法の概要
1 肘関節理学療法の考え方 坂田 淳
はじめに
肘関節疾患の機能障害
他部位からの影響
病態・病期に応じたマネジメント
おわりに
2 肘関節の機能解剖とバイオメカニクス 鈴木龍大
肘関節と前腕の機能解剖
肘関節と前腕のバイオメカニクス
Ⅱ章 病態・病期別マネジメント
1 肘関節における病態・病期別マネジメント(リスク管理)のポイント 坂田 淳
病態の基本的知識
病態別マネジメントのポイント
病期別マネジメントのポイント
Ⅲ章 機能障害別マネジメント
A 局所を中心とした評価と理学療法
1 肘関節伸展機能障害 坂田 淳
はじめに
肘関節伸展時の異常運動
肘関節伸展機能障害の評価
肘関節伸展機能障害の治療
2 肘関節外反制動機能障害 坂田 淳
はじめに
肘関節外反制動機能とその低下
肘関節外反制動機能障害の評価
肘関節外反制動機能障害の治療
3 前腕回旋機能障害 坂田 淳
はじめに
前腕回旋機能障害
前腕回旋機能障害の評価
前腕回旋機能障害の治療
B 他部位からの影響の評価と理学療法
1 手関節・手指把握機能低下による肘関節への影響 宇良田大悟
はじめに
基本的知識
手関節・手指把握機能障害の評価
手関節・手指把握機能障害の治療
2 肩複合体・胸郭可動性障害による肘関節への影響 松井知之
はじめに
基礎的知識
評価
治療
3 肩複合体・体幹安定化機能障害による肘関節への影響 鈴木 智
はじめに
肩複合体の障害による肘関節への影響
体幹安定化機能障害による肘関節への影響
肩複合体における実際の評価
体幹安定化機能障害における実際の評価
肩複合体・体幹安定化機能障害に対する治療の実際
4 運動連鎖の破綻による肘関節への影響 内田智也
はじめに
基礎的知識
下肢関節機能の評価
運動連鎖の破綻に対する治療
Ⅳ章 機能障害別ケーススタディ
A 局所を中心とした評価と理学療法
1 肘関節伸展機能障害 坂田 淳
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
2 肘関節外反制動機能障害 坂田 淳
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
3 前腕回旋機能障害 坂田 淳
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
B 他部位からの影響の評価と理学療法
1 手関節・手指把握機能低下による肘関節への影響① 宇良田大悟
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
2 手関節・手指把握機能低下による肘関節への影響② 坂田 淳
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
3 肩複合体・胸郭可動性障害による肘関節への影響 松井知之
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
4 肩複合体・体幹安定化機能障害による肘関節への影響 鈴木 智
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
5 運動連鎖の破綻による肘関節への影響 内田智也
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
1 肘関節理学療法の考え方 坂田 淳
はじめに
肘関節疾患の機能障害
他部位からの影響
病態・病期に応じたマネジメント
おわりに
2 肘関節の機能解剖とバイオメカニクス 鈴木龍大
肘関節と前腕の機能解剖
肘関節と前腕のバイオメカニクス
Ⅱ章 病態・病期別マネジメント
1 肘関節における病態・病期別マネジメント(リスク管理)のポイント 坂田 淳
病態の基本的知識
病態別マネジメントのポイント
病期別マネジメントのポイント
Ⅲ章 機能障害別マネジメント
A 局所を中心とした評価と理学療法
1 肘関節伸展機能障害 坂田 淳
はじめに
肘関節伸展時の異常運動
肘関節伸展機能障害の評価
肘関節伸展機能障害の治療
2 肘関節外反制動機能障害 坂田 淳
はじめに
肘関節外反制動機能とその低下
肘関節外反制動機能障害の評価
肘関節外反制動機能障害の治療
3 前腕回旋機能障害 坂田 淳
はじめに
前腕回旋機能障害
前腕回旋機能障害の評価
前腕回旋機能障害の治療
B 他部位からの影響の評価と理学療法
1 手関節・手指把握機能低下による肘関節への影響 宇良田大悟
はじめに
基本的知識
手関節・手指把握機能障害の評価
手関節・手指把握機能障害の治療
2 肩複合体・胸郭可動性障害による肘関節への影響 松井知之
はじめに
基礎的知識
評価
治療
3 肩複合体・体幹安定化機能障害による肘関節への影響 鈴木 智
はじめに
肩複合体の障害による肘関節への影響
体幹安定化機能障害による肘関節への影響
肩複合体における実際の評価
体幹安定化機能障害における実際の評価
肩複合体・体幹安定化機能障害に対する治療の実際
4 運動連鎖の破綻による肘関節への影響 内田智也
はじめに
基礎的知識
下肢関節機能の評価
運動連鎖の破綻に対する治療
Ⅳ章 機能障害別ケーススタディ
A 局所を中心とした評価と理学療法
1 肘関節伸展機能障害 坂田 淳
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
2 肘関節外反制動機能障害 坂田 淳
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
3 前腕回旋機能障害 坂田 淳
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
B 他部位からの影響の評価と理学療法
1 手関節・手指把握機能低下による肘関節への影響① 宇良田大悟
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
2 手関節・手指把握機能低下による肘関節への影響② 坂田 淳
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
3 肩複合体・胸郭可動性障害による肘関節への影響 松井知之
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
4 肩複合体・体幹安定化機能障害による肘関節への影響 鈴木 智
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
5 運動連鎖の破綻による肘関節への影響 内田智也
症例情報
理学療法評価
治療および治療効果
まとめ
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肘関節の機能障害に対する評価・解釈・治療アプローチを詳細に解説!
関節の機能障害に対する評価・解釈・アプローチ法を詳細に解説する『理学療法マネジメント』シリーズ。
本書では,機能障害別(肘関節伸展機能障害,肘関節外反制動機能障害,前腕回旋機能障害)に,評価法や理学療法を解説。また,手,肩,体幹などからの影響の評価と理学療法についてもそれぞれ解説した。
機能障害についてはケーススタディも掲載して読者の理解促進を図り,また経験則に陥りがちな臨床思考について,多数のエビデンスを掲載して可能な限り客観的な記載を提供。学生の実習レポート作成時の参考資料としても有用。