日本版救急蘇生ガイドライン2020に基づく
新生児蘇生法テキスト
[Web動画付]
第4版
定価 4,400円(税込) (本体4,000円+税)
- B5判 204ページ オールカラー,イラスト20点,写真70点
- 2021年3月28日刊行
- ISBN978-4-7583-1998-0
電子版
序文
序
日本周産期・新生児医学会が中心となって2007年7月から開始した新生児蘇生法普及事業の主たる活動は,出生時に子宮内環境から子宮外環境への移行,すなわち呼吸循環の確立が遅れる新生児に対して,いかにして効果的な心肺蘇生法を行うかを学んでいただくことを目的とした「新生児蘇生法(NCPR)講習会」の開催であります。この講習会は,講義・実習・試験を通して新生児蘇生についての知識・技術・態度を習得できるように企画されています。この講習会で学んでいただく心肺蘇生術は,国際蘇生連絡委員会(International Liaison Committee on Resuscitation)で作成された,Consensus on Science with Treatment Recommendations(CoSTR)に基づいて,日本蘇生協議会(Japan Resuscitation Council)がわが国の実情に合わせたJRC蘇生ガイドラインとして作成しています。講習会受講者がJRCガイドラインに基づいた最新の新生児蘇生法を効率的に学べるよう編纂されたのが,本書「日本版救急蘇生ガイドライン2020に基づく 新生児蘇生法テキスト」で,第4版に当たる改訂となります。このCoSTRは2015年までは5年ごとの改訂でしたが,2015年以降Continuous Evidence Evaluation(連続的エビデンス評価)に方針が変わり,一つの課題の検討が終わるごとにCoSTRを公表することになりました。2019年に新生児分野では2つの課題を含むCoSTR 2019が公表されましたが,結果的には2020年10月にCoSTR 2019の2項目を含む22項目について記載されたCoSTRとなり,アルゴリズム自体は2015から変更はありませんでした。NCPRアルゴリズム2020でも本質的な変更はありませんが,実臨床でより使いやすいアルゴリズムに修正いたしました。
わが国では周産期医療システムが全国的に整備され,地域・総合周産期母子医療センターでハイリスク妊娠および分娩が行われ,新生児科医・小児科医が分娩に立ち会う体制が確立しています。しかしながら,わが国の分娩の半数は産科診療所で行われており,すべての分娩で出生後の仮死を予測することは不可能です。そういった施設では,必ずしも24時間365日,新生児科医・小児科医が立ち会う体制にない現状があります。幸いなことに小児・成人の蘇生と異なり,新生児で蘇生を必要とする場合の多くは,特別な器具・薬物を必要とすることなく,マスクとバッグによる人工呼吸で改善するといった特徴があります。
本講習会は周産期医療に携わるすべての医療者を対象にしており,2020年12月現在Aコース,Bコースの延べ受講者は14万6,506人に上り,有効認定者数はインストラクターを含め6万7,643人になり,各方面から高い評価をいただいております。新規受講者および更新受講者の皆様方が,最新の蘇生ガイドラインのアップデートされた内容を理解し,臨床の場で実践していただくために,講習会事業を通してテキストに対する多くの意見をいただき,できる限り皆様方からいただいたご意見を反映させ,本書では本文の内容に留まらず,講義スライド掲載および自己学習に用いる問題集も大幅に増やしました。
本書の作成に当たり,執筆者以外に新生児蘇生法委員会委員を中心としたNCPRガイドライン作成委員,新生児蘇生法普及事業事務局(栗田真貴女史,飯島和子女史,矢野裕子女史,木村優子女史,田中智子女史),および短期間で本テキストの出版を実現してくださったメジカルビュー社に感謝いたします。
2021年1月19日
日本周産期・新生児医学会 新生児蘇生法委員会 委員長
国際蘇生連絡委員会 Neonatal Life Support Task Force
日本蘇生協議会 理事
細野茂春
日本周産期・新生児医学会が中心となって2007年7月から開始した新生児蘇生法普及事業の主たる活動は,出生時に子宮内環境から子宮外環境への移行,すなわち呼吸循環の確立が遅れる新生児に対して,いかにして効果的な心肺蘇生法を行うかを学んでいただくことを目的とした「新生児蘇生法(NCPR)講習会」の開催であります。この講習会は,講義・実習・試験を通して新生児蘇生についての知識・技術・態度を習得できるように企画されています。この講習会で学んでいただく心肺蘇生術は,国際蘇生連絡委員会(International Liaison Committee on Resuscitation)で作成された,Consensus on Science with Treatment Recommendations(CoSTR)に基づいて,日本蘇生協議会(Japan Resuscitation Council)がわが国の実情に合わせたJRC蘇生ガイドラインとして作成しています。講習会受講者がJRCガイドラインに基づいた最新の新生児蘇生法を効率的に学べるよう編纂されたのが,本書「日本版救急蘇生ガイドライン2020に基づく 新生児蘇生法テキスト」で,第4版に当たる改訂となります。このCoSTRは2015年までは5年ごとの改訂でしたが,2015年以降Continuous Evidence Evaluation(連続的エビデンス評価)に方針が変わり,一つの課題の検討が終わるごとにCoSTRを公表することになりました。2019年に新生児分野では2つの課題を含むCoSTR 2019が公表されましたが,結果的には2020年10月にCoSTR 2019の2項目を含む22項目について記載されたCoSTRとなり,アルゴリズム自体は2015から変更はありませんでした。NCPRアルゴリズム2020でも本質的な変更はありませんが,実臨床でより使いやすいアルゴリズムに修正いたしました。
わが国では周産期医療システムが全国的に整備され,地域・総合周産期母子医療センターでハイリスク妊娠および分娩が行われ,新生児科医・小児科医が分娩に立ち会う体制が確立しています。しかしながら,わが国の分娩の半数は産科診療所で行われており,すべての分娩で出生後の仮死を予測することは不可能です。そういった施設では,必ずしも24時間365日,新生児科医・小児科医が立ち会う体制にない現状があります。幸いなことに小児・成人の蘇生と異なり,新生児で蘇生を必要とする場合の多くは,特別な器具・薬物を必要とすることなく,マスクとバッグによる人工呼吸で改善するといった特徴があります。
本講習会は周産期医療に携わるすべての医療者を対象にしており,2020年12月現在Aコース,Bコースの延べ受講者は14万6,506人に上り,有効認定者数はインストラクターを含め6万7,643人になり,各方面から高い評価をいただいております。新規受講者および更新受講者の皆様方が,最新の蘇生ガイドラインのアップデートされた内容を理解し,臨床の場で実践していただくために,講習会事業を通してテキストに対する多くの意見をいただき,できる限り皆様方からいただいたご意見を反映させ,本書では本文の内容に留まらず,講義スライド掲載および自己学習に用いる問題集も大幅に増やしました。
本書の作成に当たり,執筆者以外に新生児蘇生法委員会委員を中心としたNCPRガイドライン作成委員,新生児蘇生法普及事業事務局(栗田真貴女史,飯島和子女史,矢野裕子女史,木村優子女史,田中智子女史),および短期間で本テキストの出版を実現してくださったメジカルビュー社に感謝いたします。
2021年1月19日
日本周産期・新生児医学会 新生児蘇生法委員会 委員長
国際蘇生連絡委員会 Neonatal Life Support Task Force
日本蘇生協議会 理事
細野茂春
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目次
1章 新生児蘇生法とは
新生児蘇生法(Neonatal Cardio-Pulmonary Resuscitation;NCPR)普及プロジェクト
GRADEによるエビデンスの確実性と推奨レベルの評価
CoSTR 2020に基づく日本版新生児蘇生法ガイドライン2020の主な改正点
2章 新生児蘇生法の実際(基本編)
新生児蘇生に必要な基礎知識
新生児蘇生法の対象
NCPRのアルゴリズム
新生児蘇生
STEP0 チームメンバーによるブリーフィング
STEP1 出生直後の児の状態評価
STEP2 ルーチンケア
STEP3 蘇生の初期処置
STEP4 蘇生の初期処置後の評価
STEP5 人工呼吸
STEP6 人工呼吸の効果の評価と次の処置(胸骨圧迫)
STEP7 薬物投与
STEP8 呼吸障害の安定化
蘇生後のケア
3章 新生児蘇生法アドバンス
気管挿管
早産児の蘇生
新生児蘇生に関するその他の推奨
4章 新生児蘇生法をより活用するために
新生児蘇生におけるチームワーク
NCPRにおける継続学習と実践トレーニング(OJT)の必要性
講習会講義資料
問題集
新生児蘇生法(NCPR)普及事業について
新生児蘇生法(Neonatal Cardio-Pulmonary Resuscitation;NCPR)普及プロジェクト
GRADEによるエビデンスの確実性と推奨レベルの評価
CoSTR 2020に基づく日本版新生児蘇生法ガイドライン2020の主な改正点
2章 新生児蘇生法の実際(基本編)
新生児蘇生に必要な基礎知識
新生児蘇生法の対象
NCPRのアルゴリズム
新生児蘇生
STEP0 チームメンバーによるブリーフィング
STEP1 出生直後の児の状態評価
STEP2 ルーチンケア
STEP3 蘇生の初期処置
STEP4 蘇生の初期処置後の評価
STEP5 人工呼吸
STEP6 人工呼吸の効果の評価と次の処置(胸骨圧迫)
STEP7 薬物投与
STEP8 呼吸障害の安定化
蘇生後のケア
3章 新生児蘇生法アドバンス
気管挿管
早産児の蘇生
新生児蘇生に関するその他の推奨
4章 新生児蘇生法をより活用するために
新生児蘇生におけるチームワーク
NCPRにおける継続学習と実践トレーニング(OJT)の必要性
講習会講義資料
問題集
新生児蘇生法(NCPR)普及事業について
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出産に携わるすべての医療従事者必携! 新生児蘇生法テキストの改訂版
日本蘇生協議会・日本救急医療財団合同委員会の作成による「日本版救急蘇生ガイドライン2020」に則った,「新生児蘇生法テキスト」の改訂版。
基礎的事項から蘇生の実際まで,さらにわかりやすく解説されており,本書1冊で新生児蘇生手技を学ぶことができる。日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法講習会の公式テキストに指定されており,予習・復習にも役立つ。
改訂に伴い,QRコードで見られるストリーミング動画を収載し,各章ごとにポイント解説を追加。また講習会で使用するスライド・問題集も掲載。
出産に携わるすべての医療従事者必携の書。