劇的に上げる・最大限に引き出す
トップジャーナル掲載への
戦略と思考法 徹底図解

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定価 3,960円(税込) (本体3,600円+税)
- A5判 184ページ 1色(一部カラー)
- 2025年3月31日刊行
- ISBN978-4-7583-0971-4
電子版
序文
Prologue はじめに
本書は,generalな観点で診療をされている臨床医の先生が臨床現場で実施している臨床研究について,研究方法や結果を共有し,ディスカッション形式でいいジャーナルに通るためのロジックや戦略といった,僕の頭の中の思考過程,ロジックを可視化しようとするものです。すでにたくさんの臨床研究の実績もあり,さらなる向上を目指す臨床医にとっても参考になると思いますが,さらに臨床研究をやったことがない,もしくは簡単な発表しかやったことがなく,英文ペーパーに掲載されるような臨床研究はハードルが高くて,手を付ける勇気がない,といった若手臨床医の皆様にこそ,役に立つ本になったと思います。臨床研究というのは,実はこんな感じであれやこれや,みんな悩みながらやっているので,まずは頭の中の曖昧なアイデアや計画,モヤモヤを少し整理してみませんか,というのが狙いです。旅行に行く前に,事前に現地の情報を得ておくと,安心して旅行に行けるし,スムーズで楽しい旅行になる,そんな臨床研究の旅行ガイドです。
すでに,疫学や統計学に関する成書はたくさんあります。それら成書は原理・原則を確認するのにはとても優れており,僕も辞書的に使っています。一方で,ケースレポートや臨床研究は一つとして同じものがありません。それでも臨床試験なら,ある薬剤の効果をこういう患者を対象としてこういうプロトコルで実施し,こういう報告書を作ればよい,というパターンがあって,それをどこまできちんとなぞれるか,ということになります。しかし,日常診療をベースにした観察研究や,その最小単元であるケースレポートを作成する場合,出たとこ勝負みたいなところがあります。僕はRCTもたくさん実施していますが,どちらかといえば日常診療ベースの観察研究や,RCTやレジストリ研究のサブ解析研究のほうが大好きです。そういう臨床の経験やセンスに基づいた探索的な研究は,教科書的なことだけでは解決できないことが多く,疫学や統計学についての理論的な背景も踏まえたうえで,できるだけ診療の現実や限界も勘案しつつ,でもいいジャーナルに通るような堅牢性や安定性,また臨床医学への適用法やその範囲など,いろんなことを考えながら研究を企画し,実施し,解析し,論文化します。
臨床研究では,症例一つ,症状一つ,p値一つとっても,すべてにロジックがあるはずです。過去の研究や論文の模倣だと絶対にコケます。診療と同じで,検査や治療の選択肢はたくさんありますが,臨床医は日々きちんとしたロジックに基づいて選択をしているはずです。臨床研究も同じように,ロジックはたくさんあり,正直僕よりも優れたロジックをもっている研究者はたくさんいます。ぜひいろいろなロジックに触れることをお勧めします。一通りできた論文を誰かに送って添削してもらっても,ロジックはわかりません。修正後の結果だけです。
そこかしこにColumnを入れています。これらは,僕がやっているワークショップなどで休憩時間に僕のところに持ち込まれる質問や研究を指導していて気になっていること,などを題材に,僕はどう考えて研究をしているか,というトピックを集めてみました。こちらも成書などではあまり触れられませんが,研究をやっているとよく遭遇する問題です。
章ごとに感想戦を入れています。臨床研究もケースレポートも,同じネタを使っても同じ論文にはならず,必ずオルタナティブがあります。しかし,現実世界ではたった一つのアクションしか選べません。同じネタを使って別のロジック,別のやり方で論文を書けば,それはそれで成立するかも知れませんが,二重投稿になってしまいます。でも,もし別のやり方だったらどうだろう? このロジックだとジャーナルはどう判断するだろう? と,いつも頭の中で戦っています。臨床研究のコンサルテーションを毎週のようにやっていますが,「どうしたらいいですか」と聞かれたらほとんどの場合,即断で「僕なら……とするかなあ」と答えます。でも頭の中では,ああしようかな? こうしようかな? と考えながらやっています。囲碁や将棋の棋士が,対局後に棋譜を思い出しながら検討する,そんな感じで,一度ディスカッションを終えた,もしくは投稿済みの論文について,オルタナティブや改めて考えたことを文章にしてみました。
メジカルビュー社は社名の通り,視覚を重視した書籍作りが得意ということでしたので,僕がスケッチしたたくさんのイメージ図を全編にわたってちりばめてもらいました。僕が研究コンサルテーションをしているときは,このようなイメージ図が頭の中を駆け巡っています。僕の解説は喩えが多い,と言われるゆえんです。ぜひ僕の頭の中に描かれているロジックをイメージ図からも感じ取ってみて下さい。
本書の企画や事例の準備,ディスカッションの運営など,多方面にわたり西﨑祐史先生,志水太郎先生,本多通孝先生,鋪野紀好先生にご協力いただきました。この場を借りて深謝申し上げます。また,僕のわがままな絵描きに最後まで付き合っていただいたメジカルビュー社編集部の加賀智子さんと山田麻祐子さんにも大変お世話になりました。
さあ,本書を手に取って,日常診療から生まれる臨床研究の実際,いいジャーナルを目指す道筋,そしてそのロジックを,本書に協力頂いた臨床医の先生方になったつもりで,模擬体験してみて下さい。
2025年3月
森本 剛
兵庫医科大学 社会医学データサイエンス部門 主任教授
本書は,generalな観点で診療をされている臨床医の先生が臨床現場で実施している臨床研究について,研究方法や結果を共有し,ディスカッション形式でいいジャーナルに通るためのロジックや戦略といった,僕の頭の中の思考過程,ロジックを可視化しようとするものです。すでにたくさんの臨床研究の実績もあり,さらなる向上を目指す臨床医にとっても参考になると思いますが,さらに臨床研究をやったことがない,もしくは簡単な発表しかやったことがなく,英文ペーパーに掲載されるような臨床研究はハードルが高くて,手を付ける勇気がない,といった若手臨床医の皆様にこそ,役に立つ本になったと思います。臨床研究というのは,実はこんな感じであれやこれや,みんな悩みながらやっているので,まずは頭の中の曖昧なアイデアや計画,モヤモヤを少し整理してみませんか,というのが狙いです。旅行に行く前に,事前に現地の情報を得ておくと,安心して旅行に行けるし,スムーズで楽しい旅行になる,そんな臨床研究の旅行ガイドです。
すでに,疫学や統計学に関する成書はたくさんあります。それら成書は原理・原則を確認するのにはとても優れており,僕も辞書的に使っています。一方で,ケースレポートや臨床研究は一つとして同じものがありません。それでも臨床試験なら,ある薬剤の効果をこういう患者を対象としてこういうプロトコルで実施し,こういう報告書を作ればよい,というパターンがあって,それをどこまできちんとなぞれるか,ということになります。しかし,日常診療をベースにした観察研究や,その最小単元であるケースレポートを作成する場合,出たとこ勝負みたいなところがあります。僕はRCTもたくさん実施していますが,どちらかといえば日常診療ベースの観察研究や,RCTやレジストリ研究のサブ解析研究のほうが大好きです。そういう臨床の経験やセンスに基づいた探索的な研究は,教科書的なことだけでは解決できないことが多く,疫学や統計学についての理論的な背景も踏まえたうえで,できるだけ診療の現実や限界も勘案しつつ,でもいいジャーナルに通るような堅牢性や安定性,また臨床医学への適用法やその範囲など,いろんなことを考えながら研究を企画し,実施し,解析し,論文化します。
臨床研究では,症例一つ,症状一つ,p値一つとっても,すべてにロジックがあるはずです。過去の研究や論文の模倣だと絶対にコケます。診療と同じで,検査や治療の選択肢はたくさんありますが,臨床医は日々きちんとしたロジックに基づいて選択をしているはずです。臨床研究も同じように,ロジックはたくさんあり,正直僕よりも優れたロジックをもっている研究者はたくさんいます。ぜひいろいろなロジックに触れることをお勧めします。一通りできた論文を誰かに送って添削してもらっても,ロジックはわかりません。修正後の結果だけです。
そこかしこにColumnを入れています。これらは,僕がやっているワークショップなどで休憩時間に僕のところに持ち込まれる質問や研究を指導していて気になっていること,などを題材に,僕はどう考えて研究をしているか,というトピックを集めてみました。こちらも成書などではあまり触れられませんが,研究をやっているとよく遭遇する問題です。
章ごとに感想戦を入れています。臨床研究もケースレポートも,同じネタを使っても同じ論文にはならず,必ずオルタナティブがあります。しかし,現実世界ではたった一つのアクションしか選べません。同じネタを使って別のロジック,別のやり方で論文を書けば,それはそれで成立するかも知れませんが,二重投稿になってしまいます。でも,もし別のやり方だったらどうだろう? このロジックだとジャーナルはどう判断するだろう? と,いつも頭の中で戦っています。臨床研究のコンサルテーションを毎週のようにやっていますが,「どうしたらいいですか」と聞かれたらほとんどの場合,即断で「僕なら……とするかなあ」と答えます。でも頭の中では,ああしようかな? こうしようかな? と考えながらやっています。囲碁や将棋の棋士が,対局後に棋譜を思い出しながら検討する,そんな感じで,一度ディスカッションを終えた,もしくは投稿済みの論文について,オルタナティブや改めて考えたことを文章にしてみました。
メジカルビュー社は社名の通り,視覚を重視した書籍作りが得意ということでしたので,僕がスケッチしたたくさんのイメージ図を全編にわたってちりばめてもらいました。僕が研究コンサルテーションをしているときは,このようなイメージ図が頭の中を駆け巡っています。僕の解説は喩えが多い,と言われるゆえんです。ぜひ僕の頭の中に描かれているロジックをイメージ図からも感じ取ってみて下さい。
本書の企画や事例の準備,ディスカッションの運営など,多方面にわたり西﨑祐史先生,志水太郎先生,本多通孝先生,鋪野紀好先生にご協力いただきました。この場を借りて深謝申し上げます。また,僕のわがままな絵描きに最後まで付き合っていただいたメジカルビュー社編集部の加賀智子さんと山田麻祐子さんにも大変お世話になりました。
さあ,本書を手に取って,日常診療から生まれる臨床研究の実際,いいジャーナルを目指す道筋,そしてそのロジックを,本書に協力頂いた臨床医の先生方になったつもりで,模擬体験してみて下さい。
2025年3月
森本 剛
兵庫医科大学 社会医学データサイエンス部門 主任教授
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目次
1 ケースレポート
➀「珍しい発症機序」を論文にしたい
急性胃アニサキス症による突然発症の激しい背部痛 宮上泰樹
■伏線はスルーせず回収する
■ケースレポートは「言語化」トレーニング!
■投稿する雑誌に合わせてフォーカスするテーマを変える
■いいジャーナルにアクセプトされる確率を上げる方法
感想戦 「伏線回収」という視点から考える別プラン
➁「珍しい疾患の合併」を論文にしたい
自己免疫性胃炎に合併した胃底腺型胃癌の1例 永橋尭之
■1つ1つが弱ければ,複数で闘う
■タイトルで「ジャケ買い」を狙う
■病理と放射線科を巻き込むとチャンス↑
■日本人の報告なのだから,医中誌は大事
感想戦 「まれ」で終わらせてはいけない
トークセッション ケースレポートのキモ 志水太郎×鋪野紀好×森本 剛
■「全部いける」発想
■論文では「一番言いたいことだけ」を言う
■新規性とは「PubMed で検索して100件以下のテーマ」
■独自性とは「着眼点を変えること」
■書こうと思ったら,すぐに誰かにサクッと相談
■著者メンバーはどうする?
■英語で書いたほうがケースレポートのお作法がわかる
■英語のハードルが高いなら日本語から?
■どういう順番で書く? 「おもろいポイント」を絞るために
■あるあるピットフォール
■投稿戦略をどうするか?
■論文を書くのは「楽しい長期投資」
感想戦 ケースレポートの道は臨床研究論文に通ず
2 前向き観察研究
➀「従来型」と「新規型」を前向き比較したい。
研究デザインはどう考える? モニタリングシステムを用いた院内血糖管理は入院患者の血糖コントロールを改善するか? 関 隆実/小坂鎮太郎
■分割時系列解析(ITS,Interrupted Time Series Analysis)って?
■医療システム変更の研究,2群はどうやって設定する?
■研究はトレードオフ
感想戦 「前提」をしっかりアピールする書きっぷり
➁前向き研究の精度を高めて
ネクストステージであるRCT に進みたい
もしも誤嚥性肺炎患者に歯科医が口腔ケアをしたら,予後が改善するか調査した研究 宮上泰樹
■ヒストリカルだからバイアスがかかるわけではない
■観察研究のサンプルサイズは根拠が言えればそれでいい
■単一施設vs.多施設,どちらがaccept されやすい?
■カプランマイヤーに必ず入れるべき3行
■Surrogate はどっちなのか?
■対照群の不利益をどう考える?
感想戦 前向き研究か? シングルアームの介入試験か? の分岐点
3 後ろ向き観察研究
➀DPC データベースを用いて論文を書きたい
75歳以上の切除不能進行・再発胃癌患者に対する一次治療としての減量多剤併用療法の有効性:過去起点コホート研究 山本竜也
■データベース研究の難しさ
■Discussion の構成は?
■解析手法の評価について詳細に書くべき?
■IPW(Inverse Probability of Treatment Weighting)は信頼性が高い?
■畑を耕す
感想戦 「先行研究との比較」では何に気をつけなければならないか?
➁多施設共同コホート研究から新しい予後予測モデルを作りたい
Stage Ⅳ 大腸癌患者における遠隔臓器転移様式による全生存期間予測モデルの開発:地域基盤型多施設共同コホート研究 河村英恭
■別論文にするには?
■海外の基準に合わせる?
■変数の数が多いと,内的妥当性は上がり,外的妥当性は下がる
■スコアはアプリ化する時代
■いいカプランマイヤー,悪いカプランマイヤー
感想戦 きちんとしたデザインで1,000例集めて,いいジャーナルを目指す!
➂レセプトデータを用いた観察研究で入院を減らしたい
日本の大都市圏の急性期病院におけるAmbulatory Care Sensitive Conditions の入院率とその特性 藤田 聡/安本有佑
■分母と分子を明確に
■COVID—19の影響をどう考える?
■先行研究をどこまでなぞる?
■χ2検定に両側p 値はない
■新規性はどう出す?
■キングギドラ論文になってはいけない
感想戦 カルテからの情報をフルに活かせるのは,単施設研究ならでは
4 ランダム化比較試験
➀研修医を対象として教育的なテーマで行ったRCT を論文にしたい
救急外来の症例引継ぎのプレゼンテーションをするときの暫定診断の情報提示のタイミング,そしてその正誤が診断精度に与える影響 天野雅之
■対象のキャラクターは詳しく書く
■論理的整合性を整えるべし
■省くことがアピールになるときがある
■人単位ではなく,シナリオ単位にしてみる
■p 値よりも95%信頼区間
■状況がわかりやすいことが大事
■Limitation はトリセツ
■都合が悪いことも書く
■ランダム化ではなく,準実験的解析
■層別化解析する?
感想戦 RCT にはランダムの神様がついている
➁「ダンスで世界中の脂肪を幸せにする」RCT がしたい
高血圧患者におけるダンス動画の継続率・効果を評価したランダム化比較試験 宮上泰樹
■1人だけ逸脱したデータを出す被験者がいたらどうする?
■サンプル数の少ないRCT は層別化を考慮
■ストーリーは必ずあるはず
■ドロップアウトをどう解釈する?
感想戦 サブグループ解析を通して,実臨床が見えてくる
スペシャルトーク 臨床研究の表と裏―NEJM 掲載秘話― 森本 剛
■脳梗塞に対する血管内治療
■keep in touch の大切さ
■ローマは1日にして成らず,研究も1日にして成らず
■前のデータを参考にする
■戦略的にスケジュールを立てる
主要評価項目
画像評価認定システム
直接指示できる体制をつくる
ターゲット学会,雑誌を決める
■Science ! Drinking ! Golf ! hot Spring ! 論文合宿
ライバルの情報を収集し,担当editor とのチャネルを作る
怒涛の年末
元旦の朝7時にrevision の連絡
■飲み歩く時間が未来への研究の礎になる
感想戦 最高峰にはチームワークの信頼性で挑め!
Column
➀論文執筆における「正解ルート」は,一つではない
➁指導医に恵まれなかったらどうする?
➂「これは対象群じゃない」ってどういうこと?
➃論文執筆に必要な「大局観」は囲碁と似ている
➄森本先生の論文合宿はブートキャンプ?
➅論文で「パンデミックの影響」はどう扱う? どう書く?
➆「これから論文を書き始めて,最終的にはトップジャーナルに載りたい!」,
まずなにからどうする?
➇よいFigure 1 とTable 1 を見極めるチェックポイント
➈AI 時代に論文執筆はどうなる?
➉最新の統計解析を学ばないといいジャーナルには通らない?
⑪「これから統計解析を学びたい」,なにから始める?
⑫p 値の考え方が変わった!?
⑬p 値よりも95%信頼区間が大事
➀「珍しい発症機序」を論文にしたい
急性胃アニサキス症による突然発症の激しい背部痛 宮上泰樹
■伏線はスルーせず回収する
■ケースレポートは「言語化」トレーニング!
■投稿する雑誌に合わせてフォーカスするテーマを変える
■いいジャーナルにアクセプトされる確率を上げる方法
感想戦 「伏線回収」という視点から考える別プラン
➁「珍しい疾患の合併」を論文にしたい
自己免疫性胃炎に合併した胃底腺型胃癌の1例 永橋尭之
■1つ1つが弱ければ,複数で闘う
■タイトルで「ジャケ買い」を狙う
■病理と放射線科を巻き込むとチャンス↑
■日本人の報告なのだから,医中誌は大事
感想戦 「まれ」で終わらせてはいけない
トークセッション ケースレポートのキモ 志水太郎×鋪野紀好×森本 剛
■「全部いける」発想
■論文では「一番言いたいことだけ」を言う
■新規性とは「PubMed で検索して100件以下のテーマ」
■独自性とは「着眼点を変えること」
■書こうと思ったら,すぐに誰かにサクッと相談
■著者メンバーはどうする?
■英語で書いたほうがケースレポートのお作法がわかる
■英語のハードルが高いなら日本語から?
■どういう順番で書く? 「おもろいポイント」を絞るために
■あるあるピットフォール
■投稿戦略をどうするか?
■論文を書くのは「楽しい長期投資」
感想戦 ケースレポートの道は臨床研究論文に通ず
2 前向き観察研究
➀「従来型」と「新規型」を前向き比較したい。
研究デザインはどう考える? モニタリングシステムを用いた院内血糖管理は入院患者の血糖コントロールを改善するか? 関 隆実/小坂鎮太郎
■分割時系列解析(ITS,Interrupted Time Series Analysis)って?
■医療システム変更の研究,2群はどうやって設定する?
■研究はトレードオフ
感想戦 「前提」をしっかりアピールする書きっぷり
➁前向き研究の精度を高めて
ネクストステージであるRCT に進みたい
もしも誤嚥性肺炎患者に歯科医が口腔ケアをしたら,予後が改善するか調査した研究 宮上泰樹
■ヒストリカルだからバイアスがかかるわけではない
■観察研究のサンプルサイズは根拠が言えればそれでいい
■単一施設vs.多施設,どちらがaccept されやすい?
■カプランマイヤーに必ず入れるべき3行
■Surrogate はどっちなのか?
■対照群の不利益をどう考える?
感想戦 前向き研究か? シングルアームの介入試験か? の分岐点
3 後ろ向き観察研究
➀DPC データベースを用いて論文を書きたい
75歳以上の切除不能進行・再発胃癌患者に対する一次治療としての減量多剤併用療法の有効性:過去起点コホート研究 山本竜也
■データベース研究の難しさ
■Discussion の構成は?
■解析手法の評価について詳細に書くべき?
■IPW(Inverse Probability of Treatment Weighting)は信頼性が高い?
■畑を耕す
感想戦 「先行研究との比較」では何に気をつけなければならないか?
➁多施設共同コホート研究から新しい予後予測モデルを作りたい
Stage Ⅳ 大腸癌患者における遠隔臓器転移様式による全生存期間予測モデルの開発:地域基盤型多施設共同コホート研究 河村英恭
■別論文にするには?
■海外の基準に合わせる?
■変数の数が多いと,内的妥当性は上がり,外的妥当性は下がる
■スコアはアプリ化する時代
■いいカプランマイヤー,悪いカプランマイヤー
感想戦 きちんとしたデザインで1,000例集めて,いいジャーナルを目指す!
➂レセプトデータを用いた観察研究で入院を減らしたい
日本の大都市圏の急性期病院におけるAmbulatory Care Sensitive Conditions の入院率とその特性 藤田 聡/安本有佑
■分母と分子を明確に
■COVID—19の影響をどう考える?
■先行研究をどこまでなぞる?
■χ2検定に両側p 値はない
■新規性はどう出す?
■キングギドラ論文になってはいけない
感想戦 カルテからの情報をフルに活かせるのは,単施設研究ならでは
4 ランダム化比較試験
➀研修医を対象として教育的なテーマで行ったRCT を論文にしたい
救急外来の症例引継ぎのプレゼンテーションをするときの暫定診断の情報提示のタイミング,そしてその正誤が診断精度に与える影響 天野雅之
■対象のキャラクターは詳しく書く
■論理的整合性を整えるべし
■省くことがアピールになるときがある
■人単位ではなく,シナリオ単位にしてみる
■p 値よりも95%信頼区間
■状況がわかりやすいことが大事
■Limitation はトリセツ
■都合が悪いことも書く
■ランダム化ではなく,準実験的解析
■層別化解析する?
感想戦 RCT にはランダムの神様がついている
➁「ダンスで世界中の脂肪を幸せにする」RCT がしたい
高血圧患者におけるダンス動画の継続率・効果を評価したランダム化比較試験 宮上泰樹
■1人だけ逸脱したデータを出す被験者がいたらどうする?
■サンプル数の少ないRCT は層別化を考慮
■ストーリーは必ずあるはず
■ドロップアウトをどう解釈する?
感想戦 サブグループ解析を通して,実臨床が見えてくる
スペシャルトーク 臨床研究の表と裏―NEJM 掲載秘話― 森本 剛
■脳梗塞に対する血管内治療
■keep in touch の大切さ
■ローマは1日にして成らず,研究も1日にして成らず
■前のデータを参考にする
■戦略的にスケジュールを立てる
主要評価項目
画像評価認定システム
直接指示できる体制をつくる
ターゲット学会,雑誌を決める
■Science ! Drinking ! Golf ! hot Spring ! 論文合宿
ライバルの情報を収集し,担当editor とのチャネルを作る
怒涛の年末
元旦の朝7時にrevision の連絡
■飲み歩く時間が未来への研究の礎になる
感想戦 最高峰にはチームワークの信頼性で挑め!
Column
➀論文執筆における「正解ルート」は,一つではない
➁指導医に恵まれなかったらどうする?
➂「これは対象群じゃない」ってどういうこと?
➃論文執筆に必要な「大局観」は囲碁と似ている
➄森本先生の論文合宿はブートキャンプ?
➅論文で「パンデミックの影響」はどう扱う? どう書く?
➆「これから論文を書き始めて,最終的にはトップジャーナルに載りたい!」,
まずなにからどうする?
➇よいFigure 1 とTable 1 を見極めるチェックポイント
➈AI 時代に論文執筆はどうなる?
➉最新の統計解析を学ばないといいジャーナルには通らない?
⑪「これから統計解析を学びたい」,なにから始める?
⑫p 値の考え方が変わった!?
⑬p 値よりも95%信頼区間が大事
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「ロジックとアイデア盗め! 戦闘力を上げろ!」
伝説の論文執筆セミナーがついに書籍化!
トップジャーナルに掲載される人はいったい何をどう考えているのか?
アクセプトまでの「戦略」と「思考法」にスポットを当てて徹底図解。
「戦略」は一つではなく、常にオルタナティブな別解が存在するが、その別解までもを詳解。
日本から掲載するのはほぼ不可能といわれるトップジャーナルにアクセプトされた、百戦錬磨の著者による思考のロジックを惜しみなく公開。論文のポテンシャルを劇的に上げ、最大限に引き出すための方法がわかる!