患者指導に役立つ!

体操療法オールブック
[Web動画付]

エビデンス&プラクティス

改訂第2版

体操療法オールブック[Web動画付]

■編集 高平 尚伸

定価 6,600円(税込) (本体6,000円+税)
  • i_movie.jpg
  • B5判  268ページ  2色(一部カラー),イラスト280点
  • 2024年11月3日刊行予定
  • ISBN978-4-7583-2188-4

近刊のため予約販売となります。


これさえあれば,患者さんの「どんな体操?」「なんで体操?」に自信を持って答えられる!

外来で患者さんに対し,どの筋肉・骨を,どのように,どの程度(頻度・回数)動かしたら効果的であるかを多数のイラストと動画を用いて詳述。また,多くの患者さんが必要としている最も効果的な体操を厳選した指導箋をPDF形式でダウンロードして外来での配布が可能。
改訂にあたっては,初版刊行後に蓄積されたエビデンスを追加し,またタオルやペットボトルなど身近なグッズを使ってできる体操も追加。さらに昨今注目されているファシアやエコー,運動と栄養の併用療法や術前の栄養指導,音楽を取り入れた体操(ダンス),腎臓病患者を対象とする体操についても取り上げている。
超高齢社会における実診療ですぐに役立つ一冊!


序文

 古代ギリシャ時代の医聖ヒポクラテスが,「運動は人間にとって最良の薬である」と言われました。いまだにそれを覆すほどの代わりになる治療法は出現していません。つまり「運動(体操を含む)が疾病や障害の予防に役立つ」(逆説的にいえば,「運動不足(不活動)が疾病や障害を惹起する」)とするエビデンスは,古代ギリシャの史実から現代の医科学的研究成果に至るまで,これまでに数多く示されています。「運動はきわめて重要な役割を果たす。近年では多くの新薬が開発され,そのさまざまな効果が明らかとなっているが,運動ほど多面的効果を発揮し,かつ経済的な治療は存在しない」「薬物療法,たとえば消炎鎮痛薬と,体操療法を含む広い意味での運動療法との違いは,前者は効果が認められたら中止するが,後者は効果が認められたら継続・習慣化することである。後者はいわば予防薬とも言える」と本書では解説されています。
 今回,初版からすでに8年が経過しました。お陰様で改訂第2版の発行に至ったことは,体操療法という切り口でのまとまった成書はきわめてまれであったことや,具体的な体操の方法が実技解説とともに,各々の臨床症状や病態に対応にして記載されていたことなどが,多くの読者の手元に届いた理由なのかと推測されます。今回,第2版を上梓する運びになりましたが,時代に合わせて大きく新たな事項を追加しました。
 基礎的な生理学的観点からは,骨格筋におけるエネルギー代謝および骨格筋への酸素供給の視点から循環と呼吸について述べられ,体操療法の基本をより深く理解できるように追加されました。栄養面では,高齢者の6割以上は低栄養もしくは低栄養リスクといった問題を抱えており,体操には栄養についても十分に考慮する必要が出てきました。つまり,医療従事者は,栄養に関する知識を高め,適切な栄養指導(栄養素の種類,適切な量,タイミングなど)も行う必要が求められる時代になりました。さらに,画像診断技術が進歩しており,最新機器としての超音波エコーが最前線に躍り出てきましたので項目に加えました。そして,体操を含む運動について組織を考える際に,骨,筋肉,腱などが重要に関与していますが,近年運動連鎖の主体となる組織としてファシアが注目されており,ファシアの最前線の研究者にも原稿をお願いしました。
 臨床的には,鼡径部痛,膝痛,足関節・足痛は独立した項目とさせて頂きました。究極の体操とも言える音楽をバックにしたダンスについてのリズムトレーニングも追加しました。さらに,内部障害系の範囲を広げて,心疾患だけでなく腎臓病も取り上げました。コラムも経験豊富な先生に加わって頂き,充実した内容に仕上がっています。
 新たに加わって頂いた執筆者の先生には,無理なお願いをさせて頂きました。しかしながら快くお引き受けいただき,相当なレベルの内容に仕上げられ,大きなお力添えを頂きました。そのため,初版よりも内容が一段と充実し,第2版では時代に見合ったフレキシブルな改訂になりました。もちろん初版でご執筆頂いた先生も,ブラッシュアップをお願いしており,さらなる玉稿を作成して頂きました。この場をお借りして深く感謝を申し上げます。すべての先生に, 可能な限りエビデンスも念頭に置いたうえで,ワクワクする内容に仕上げて頂きました。最新の進歩した技術として,ウェアラブル機器のアプリやSNS,YouTubeなどの近年のテクノロジーの用語にも触れられています。本書をお手に取って頂いた読者の皆様には,きっと実践にお役に立て頂ける内容であると確信しています。
 最後に,本書の発行にはメジカルビュー社の矢部涼子氏に多大なるお力添えを頂きました。今回はさらにQRコードをスキャンして頂くだけで各々の体操の動画が視聴できるように工夫されています。本書と併せてご覧頂くと,体操がよりわかりやすく,さらに実診療で実践的に正しいフォームで継続して使用頂ける課題解決策になります。是非ともご活用頂きたいと存じております。本書を再び企画監修させて頂いたことは,この専門領域に注力してきた私にとってこのうえない喜びです。再び本書が多くの読者の手に取って頂けることを心から願っており,薬剤や手術以外の治療法の選択肢として,あるいは相乗効果として,体操療法が多くの患者さんの症状や運動機能を改善させ,QOLの向上による満足度を向上させる一助になり,さらには国民の健康寿命の延伸まで目標を到達することができれば正に本望です。

2024年10月
北里大学大学院医療系研究科医学専攻主任教授
北里大学医療衛生学部教授
高平尚伸
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目次

1章 体操指導の準備
「体操を指導する」とは  北川 淳
指導のための運動機能評価  小野高志
体操の効果判定評価手法  小野高志
予防医学としての体操  小野高志
生活習慣病における体操療法のエビデンス  神谷健太郎
 Column 血管機能とストレッチング  堀田一樹

2章 筋肉ファシアを理解する
運動療法のエビデンス  佐藤春彦
体操と筋肉の働き  坂本美喜
筋肉(生理学的観点から)  堀田一樹
ファシアⅠ(基礎的−解剖生理など)  金田浩明
ファシアⅡ(臨床的な治療)  佐々木秀一
栄養学Ⅰ  二宮一成,大久保朝子
 Column 睡眠の質の改善にタンパク質が有用  二宮一成,大久保朝子
栄養学Ⅱ  二宮一成,大久保朝子
 Column 手のひらサイズ  二宮一成,大久保朝子
 Column 時間栄養学の観点から  二宮一成,大久保朝子
エコー  河端将司

3章-1 実践 いざ体操の指導 — 疾患症状にあわせた体操—
頚部痛の体操  宮城正行,倉坪亮太
 Column 運動は患者さんの協力と努力によって成り立つ!  中西理佐子
肩こり肩痛肘痛の体操  見目智紀
 Column 関節可動域と動作方法が上肢の生活動作に影響を及ぼす  中西理佐子
手や手指痛の体操  小沼賢治
 Column 患者さんの生活に必要な手の使用方法を考慮する  中西理佐子
腰痛の体操  井村貴之
 Column まずは日ごろの作業姿勢や作業環境の見直しから!  松永篤彦
股関節痛の体操  大橋慶久,高平尚伸
 Column 変形性股関節症の痛みだけでなく,進行予防も期待されるジグリング体操!  大橋慶久
 Column 腰痛やほかの関節の痛みにも注意して!  松永篤彦
鼡径部痛(グロインペイン)の体操  福島健介,高平尚伸
 Column 鼡径部痛症候群(グロインペイン)  渡邊裕之
膝痛の体操  迎  学
 Column 腰痛などほかの関節に痛みは出ていないか?  松永篤彦
足関節足痛の体操  東山礼治
 Column 立位バランスの向上や日常使用する靴にも配慮を!  松永篤彦

3章-2 実践 いざ体操の指導 — 健康増進のための体操—
ロコモ体操  福島健介,高平尚伸
 Column 歩行距離の増加よりもロコモ体操が優先!  松永篤彦
サルコペニア予防進行防止のための体操  上出直人
 Column 運動導入時のコツは?  神谷健太郎
骨粗鬆症(骨折)予防の体操  村田幸佑,宮城正行
 Column 運動継続のコツは?  神谷健太郎
運動器疾患への体幹トレーニング  渡邊裕之
 Column メタボリックシンドロームと腹筋群との関係  渡邊裕之
音楽を取り入れた体操  渡邊裕之,津田幸保
 Column 音楽を取り入れた体操:ダンス  河端将司
静脈血栓塞栓症予防のための体操動画  中西啓祐,高平尚伸
 Column 患者さんの生活習慣に合わせた提案を!  神谷健太郎
心疾患患者を対象とした体操  忽那俊樹,東條美奈子
 Column 運動のし過ぎで心不全?  忽那俊樹
腎臓病患者を対象とした体操  松沢良太
 Column 痛みや骨折のリスクを考慮したうえで総合的な運動指導を!  松永篤彦
地域在住高齢者を対象にした体操  柴 喜崇
 Column 嬬恋村村民のためのキャベササイズ  柴 喜崇
健康増進のためのラジオ体操  植田拓也,柴 喜崇
 Column ラジオ体操などの運動継続の効果~ Covid-19 での自粛から見えたこと~  植田拓也
姿勢改善のための体操動画  高平尚伸
 Column 正しい姿勢のチェックは日常的に実施を!  松永篤彦
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