新OS NEXUS No.3
ベーシックな脊椎除圧術のすべて
[Web動画付]
定価 12,100円(税込) (本体11,000円+税)
- A4判 168ページ オールカラー,イラスト100点,写真60点,Web動画19本/69分
- 2022年8月1日刊行
- ISBN978-4-7583-2153-2
電子版
序文
このたび,『新OS NEXUS No.3 ベーシックな脊椎除圧術のすべて』を上梓させていただくことになりました。前回のシリーズである『OS NEXUS No.2 頚椎・腰椎の後方除圧術』が2015年4月に発刊され,それから約7年ぶりの新刊となります。
脊椎除圧術は脊椎外科の基本手技であり,患者さんの手術侵襲を減らし,安全・確実に神経の除圧を行わなければなりません。日本も超高齢社会を迎え,高齢者に対する脊椎外科の手術症例が増えています。高齢者の術後合併症予防には,確実で迅速な除圧の手術手技が不可欠であり,そのためには脊椎除圧の手術機器の特徴を十分に把握し,基本的手術手技のpointを押さえることから始まります。そして脊椎除圧術後の不安定性を惹起させず,長期に渡って良好な術後成績を得るためには,確実な除圧と脊椎支持組織の温存の両方が求められます。
そこでまず脊椎除圧における基本器具の特徴把握のために,ノミ,ケリソン鉗子,エアトーム,超音波骨メスの紹介を取り上げました。ダイナミックにノミを用い,短時間で脊椎除圧を完了する一方,脊髄レベルではエアトームや,超音波骨メスを繊細に使用するなど,臨機応変に手術器具を使い分けていただきたいと思います。続いて頚椎,胸椎,腰椎の部位別に代表的な除圧手技について,美しく一目で分かりやすいシェーマと術中動画を交え,手技をpointごとに解説いただいています。頚椎除圧術では日本で開発された代表的な椎弓形成術とともに,顕微鏡下の頚椎椎間板ヘルニア摘出術や低侵襲の頚椎前方除圧術をご紹介いただいています。比較的稀とされてきた胸髄圧迫病変についても画像診断の向上とともに手術症例が増加しておりますので,後方除圧法と前方除圧法(固定術手技含む)を解説いただきました。頻度の高い腰椎除圧術については先生方の様々な工夫を分かりやすくご説明いただいております。
また「基本的治療手技」として,最近広く行われている椎間板内酵素注入療法と,脊椎外科医として習熟すべきハローベスト装着を取り上げました。いずれも手術以外で重要な手技であり,是非ご参考にしてくだされば幸いです。
本書は,現在第一線でご活躍中の先生方にご執筆を賜りました。おかげさまで,脊椎外科医を目指す若手医師には脊椎外科の入門編として分かりやすく,すでにご経験のある先生方には更に安全・確実な手術手技を得られるよう,とても充実した内容となりました。大変ご多忙の中,ご執筆と手術動画作成をくださった諸先生方ならびに出版に関わる皆様に,心より御礼申し上げます。
2022年7月
名古屋大学大学院医学系研究科整形外科学
今釜史郎
脊椎除圧術は脊椎外科の基本手技であり,患者さんの手術侵襲を減らし,安全・確実に神経の除圧を行わなければなりません。日本も超高齢社会を迎え,高齢者に対する脊椎外科の手術症例が増えています。高齢者の術後合併症予防には,確実で迅速な除圧の手術手技が不可欠であり,そのためには脊椎除圧の手術機器の特徴を十分に把握し,基本的手術手技のpointを押さえることから始まります。そして脊椎除圧術後の不安定性を惹起させず,長期に渡って良好な術後成績を得るためには,確実な除圧と脊椎支持組織の温存の両方が求められます。
そこでまず脊椎除圧における基本器具の特徴把握のために,ノミ,ケリソン鉗子,エアトーム,超音波骨メスの紹介を取り上げました。ダイナミックにノミを用い,短時間で脊椎除圧を完了する一方,脊髄レベルではエアトームや,超音波骨メスを繊細に使用するなど,臨機応変に手術器具を使い分けていただきたいと思います。続いて頚椎,胸椎,腰椎の部位別に代表的な除圧手技について,美しく一目で分かりやすいシェーマと術中動画を交え,手技をpointごとに解説いただいています。頚椎除圧術では日本で開発された代表的な椎弓形成術とともに,顕微鏡下の頚椎椎間板ヘルニア摘出術や低侵襲の頚椎前方除圧術をご紹介いただいています。比較的稀とされてきた胸髄圧迫病変についても画像診断の向上とともに手術症例が増加しておりますので,後方除圧法と前方除圧法(固定術手技含む)を解説いただきました。頻度の高い腰椎除圧術については先生方の様々な工夫を分かりやすくご説明いただいております。
また「基本的治療手技」として,最近広く行われている椎間板内酵素注入療法と,脊椎外科医として習熟すべきハローベスト装着を取り上げました。いずれも手術以外で重要な手技であり,是非ご参考にしてくだされば幸いです。
本書は,現在第一線でご活躍中の先生方にご執筆を賜りました。おかげさまで,脊椎外科医を目指す若手医師には脊椎外科の入門編として分かりやすく,すでにご経験のある先生方には更に安全・確実な手術手技を得られるよう,とても充実した内容となりました。大変ご多忙の中,ご執筆と手術動画作成をくださった諸先生方ならびに出版に関わる皆様に,心より御礼申し上げます。
2022年7月
名古屋大学大学院医学系研究科整形外科学
今釜史郎
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目次
Ⅰ 除圧術の基本器具
ケリソン鉗子,骨ノミの基本的な使い方 [今釜史郎]
手術用高回転ドリル,超音波手術器の基本的な使い方 [今釜史郎]
Ⅱ 頚椎
片開き式頚椎椎弓形成術(ELAP) [石井 賢]
両開き式頚椎椎弓形成術 [加藤 壯ほか]
頚椎後方椎間孔拡大術 [勝見敬一]
顕微鏡視下経硬膜的ヘルニア摘出術 [藤原 靖]
頚椎前方椎間孔拡大術 [原 政人]
Ⅲ 胸椎
後方除圧術 [安藤 圭ほか]
前方除圧術 [進藤重雄]
Ⅳ 腰椎
椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアに対する髄核摘出術(Love法) [大江 慎ほか]
腰部脊柱管狭窄症
腰椎開窓術 [川口善治]
棘突起縦割式椎弓切除術 [渡辺航太]
片側進入両側除圧 [藤吉兼浩ほか]
すべり症など不安定性を伴う腰椎への後方除圧術の秘訣 [田中信弘]
Ⅴ その他
椎弓形成術(T-saw,菅笠手法) [小林和克]
基本的治療手技
腰椎椎間板ヘルニアに対する酵素注入療法 [新城龍一]
ハローベストの装着とその留意点 [宮本 敬]
ケリソン鉗子,骨ノミの基本的な使い方 [今釜史郎]
手術用高回転ドリル,超音波手術器の基本的な使い方 [今釜史郎]
Ⅱ 頚椎
片開き式頚椎椎弓形成術(ELAP) [石井 賢]
両開き式頚椎椎弓形成術 [加藤 壯ほか]
頚椎後方椎間孔拡大術 [勝見敬一]
顕微鏡視下経硬膜的ヘルニア摘出術 [藤原 靖]
頚椎前方椎間孔拡大術 [原 政人]
Ⅲ 胸椎
後方除圧術 [安藤 圭ほか]
前方除圧術 [進藤重雄]
Ⅳ 腰椎
椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアに対する髄核摘出術(Love法) [大江 慎ほか]
腰部脊柱管狭窄症
腰椎開窓術 [川口善治]
棘突起縦割式椎弓切除術 [渡辺航太]
片側進入両側除圧 [藤吉兼浩ほか]
すべり症など不安定性を伴う腰椎への後方除圧術の秘訣 [田中信弘]
Ⅴ その他
椎弓形成術(T-saw,菅笠手法) [小林和克]
基本的治療手技
腰椎椎間板ヘルニアに対する酵素注入療法 [新城龍一]
ハローベストの装着とその留意点 [宮本 敬]
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頚椎・胸椎・腰椎の部位毎に,脊椎除圧術をビジュアル解説!
「専攻医が経験すべき手術」を全20巻でほぼ網羅。メインの特集項目に加えて,手技の理解を深める解剖学的知識を示した「Anatomy Key Point」や,知っておくと有用な基本的手術・治療手技の紹介も毎号掲載し,専攻医として必要なスキルを漏れなくカバーできるシリーズ構成となっている。さらに前シリーズからの特徴である豊富な画像と精密なイラストに加えて近シーズンではストリーミング動画も配信し,静止画では伝わりづらい部分もよくわかる!(前半はシリーズ共通)
No.3では脊椎除圧術に使用する機器を紹介した後,部位ごと(頚椎・胸椎・腰椎)の除圧術について詳説,さらに脊髄腫瘍に対する応用的な椎弓形成術(T-saw,菅笠手法)についても解説する。