Crosslink 理学療法学テキスト
内部障害理学療法学
定価 5,280円(税込) (本体4,800円+税)
- B5判 376ページ オールカラー,イラスト200点,写真100点
- 2019年9月30日刊行
- ISBN978-4-7583-2004-7
電子版
序文
編集の序
わが国の呼吸リハビリテーションは,肺理学療法や呼吸理学療法といった名称で古くから行われてきました。しかし,2006 年の診療報酬改定・疾患別リハビリテーションの導入に至るまで,診療報酬として認められるまでに長い期間を要しました。一方,急性心筋梗塞のみを対象とした心疾患理学療法料は1988年に認められ,その適応が狭心症や開心術後まで拡大したのは,疾患別リハビリテーション料よりも10 年早い1996 年でした。しかし,その厳しい施設基準から普及には同様に時間を要しました。現在では,いわゆる内部障害理学療法として体系化される疾病として,心大血管疾患,末梢循環障害,呼吸器疾患,糖尿病,腎臓病などがありますが,高齢期の中枢神経疾患や運動器疾患でも内部障害を併存症として有する方が多い現状を考えると,内部障害理学療法は今やリハビリテーションの中核ともいえる存在となりました。
本書は内部障害を有する対象者への理学療法について,疾患別リハビリテーションの枠組みにとらわれずに臨床現場で必ず対応に迫られる疾病を中心に,その疾患概念・病態・治療・理学療法について系統的に,かつ網羅的に解説しています。また,呼吸・循環にかかわる解剖学・生理学,そして運動療法の理解には必須の運動生理学についてページを割いて解説を行い,学生や若い理学療法士が病態や理学療法介入の意義が理解しやすいよう,章構成を工夫しています。巻末の症例検討では,画像のほか,内部障害特有の血液ガス分析,生化学検査,スパイロメトリなどの診断のための各種検査結果を示し,これらに基づいた理学療法の展開をわかりやすく説明しています。各疾患別の理学療法を学んだあとに,ストーリーをなぞるように読むことで,臨床的な思考が疑似体験できるものと思います。
本書を手にとる理学療法を目指す学生のみなさんが,本書を読むことでインスピレーションを開花させ,新しい理学療法を切り開くきっかけになれば幸いです。
2019年8 月
解良武士
椿 淳裕
わが国の呼吸リハビリテーションは,肺理学療法や呼吸理学療法といった名称で古くから行われてきました。しかし,2006 年の診療報酬改定・疾患別リハビリテーションの導入に至るまで,診療報酬として認められるまでに長い期間を要しました。一方,急性心筋梗塞のみを対象とした心疾患理学療法料は1988年に認められ,その適応が狭心症や開心術後まで拡大したのは,疾患別リハビリテーション料よりも10 年早い1996 年でした。しかし,その厳しい施設基準から普及には同様に時間を要しました。現在では,いわゆる内部障害理学療法として体系化される疾病として,心大血管疾患,末梢循環障害,呼吸器疾患,糖尿病,腎臓病などがありますが,高齢期の中枢神経疾患や運動器疾患でも内部障害を併存症として有する方が多い現状を考えると,内部障害理学療法は今やリハビリテーションの中核ともいえる存在となりました。
本書は内部障害を有する対象者への理学療法について,疾患別リハビリテーションの枠組みにとらわれずに臨床現場で必ず対応に迫られる疾病を中心に,その疾患概念・病態・治療・理学療法について系統的に,かつ網羅的に解説しています。また,呼吸・循環にかかわる解剖学・生理学,そして運動療法の理解には必須の運動生理学についてページを割いて解説を行い,学生や若い理学療法士が病態や理学療法介入の意義が理解しやすいよう,章構成を工夫しています。巻末の症例検討では,画像のほか,内部障害特有の血液ガス分析,生化学検査,スパイロメトリなどの診断のための各種検査結果を示し,これらに基づいた理学療法の展開をわかりやすく説明しています。各疾患別の理学療法を学んだあとに,ストーリーをなぞるように読むことで,臨床的な思考が疑似体験できるものと思います。
本書を手にとる理学療法を目指す学生のみなさんが,本書を読むことでインスピレーションを開花させ,新しい理学療法を切り開くきっかけになれば幸いです。
2019年8 月
解良武士
椿 淳裕
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目次
第 1 章 総論
【1】循環器の構造としくみ 堀田一樹
1 循環器系の構造
2 循環器系のしくみ
まとめ
【2】呼吸器の構造としくみ 野添匡史
1 呼吸器系の解剖
2 呼吸器の生理
まとめ
【3】運動生理と運動処方 椿 淳裕
1 運動時の生体反応と運動処方
2 運動時の呼吸代謝反応
3 運動強度
4 運動処方
まとめ
第 2 章 各論 −循環器疾患−
【1】心不全と理学療法評価 安達裕一,齊藤正和
1 疾患の病態
2 症候・障害
3 医学的検査
4 医師による治療
5 理学療法評価
6 理学療法士による治療
まとめ
【2】虚血性心疾患 笹沼直樹
1 疾患の病態
2 症候・障害
3 医学的検査
4 医師による治療
5 理学療法評価
6 理学療法士による治療
まとめ
【3】弁疾患および大血管疾患 竹内雅史
3 -1 弁疾患
1 疾患の病態
2 症候・障害
3 医学的検査
4 理学療法士による治療
3 -2 大血管疾患
1 疾患の病態
2 症候・障害
3 医学的検査
4 理学療法士による治療
まとめ
【4】末梢循環障害 榊 聡子
1 病態生理
2 症候・障害
3 医学的検査
4 医師による治療
5 運動療法
まとめ
第 3 章 各論 −呼吸器疾患−
【1】呼吸不全と理学療法評価 解良武士,亀田光宏
1 呼吸不全の病態
2 理学療法の対象となる代表的疾患
3 医学的検査
4 医師による治療
5 理学療法評価
まとめ
【2】呼吸器障害に対する理学療法手技 千木良佑介
1 コンディショニング
2 胸郭の柔軟性を高める手技
3 排痰手技
4 運動療法
まとめ
【3】慢性閉塞性肺疾患 解良武士
1 疾患の病態
2 症候・障害
3 医師による治療
4 理学療法評価
5 理学療法士による治療
まとめ
【4】周術期 瀬崎 学
1 疾患の病態
2 症候・障害
3 医学的検査
4 理学療法評価
5 理学療法士による治療
6 人工呼吸器
まとめ
【5】喀痰等の吸引 花田匡利
1 吸引の定義と目的
2 吸引の適応と禁忌
3 感染対策:標準予防策(スタンダードプリコーション)
4 吸引の実際 ①:アセスメント
5 吸引の実際 ②:吸引の手順
6 合併症とその対応
まとめ
第 4 章 各論 −代謝・腎疾患−
【1】糖尿病 万行里佳
1 症候・障害
2 医学的検査
3 血糖コントロール目標
4 医師による治療
5 理学療法評価
6 理学療法士による治療
7 行動変容
まとめ
【2】腎疾患 臼井直人
1 症候・障害
2 医学的検査
3 医師による治療
4 理学療法評価
5 理学療法士による治療
まとめ
【3】がんの理学療法 森下慎一郎
1 概論
2 医学的検査
3 医師による治療
4 理学療法評価
5 理学療法士による治療
まとめ
症例集
心不全 安達裕一,齊藤正和
急性心筋梗塞 笹沼直樹
末梢動脈疾患 榊 聡子
重症下肢虚血 榊 聡子
慢性閉塞性肺疾患 亀田光宏
外科周術期 瀬崎 学
糖尿病(教育入院) 万行里佳
急性腎障害 臼井直人
末期腎不全(外来,長期透析) 臼井直人
血液がん 森下慎一郎
乳がん 森下慎一郎
肺がん 森下慎一郎
【1】循環器の構造としくみ 堀田一樹
1 循環器系の構造
2 循環器系のしくみ
まとめ
【2】呼吸器の構造としくみ 野添匡史
1 呼吸器系の解剖
2 呼吸器の生理
まとめ
【3】運動生理と運動処方 椿 淳裕
1 運動時の生体反応と運動処方
2 運動時の呼吸代謝反応
3 運動強度
4 運動処方
まとめ
第 2 章 各論 −循環器疾患−
【1】心不全と理学療法評価 安達裕一,齊藤正和
1 疾患の病態
2 症候・障害
3 医学的検査
4 医師による治療
5 理学療法評価
6 理学療法士による治療
まとめ
【2】虚血性心疾患 笹沼直樹
1 疾患の病態
2 症候・障害
3 医学的検査
4 医師による治療
5 理学療法評価
6 理学療法士による治療
まとめ
【3】弁疾患および大血管疾患 竹内雅史
3 -1 弁疾患
1 疾患の病態
2 症候・障害
3 医学的検査
4 理学療法士による治療
3 -2 大血管疾患
1 疾患の病態
2 症候・障害
3 医学的検査
4 理学療法士による治療
まとめ
【4】末梢循環障害 榊 聡子
1 病態生理
2 症候・障害
3 医学的検査
4 医師による治療
5 運動療法
まとめ
第 3 章 各論 −呼吸器疾患−
【1】呼吸不全と理学療法評価 解良武士,亀田光宏
1 呼吸不全の病態
2 理学療法の対象となる代表的疾患
3 医学的検査
4 医師による治療
5 理学療法評価
まとめ
【2】呼吸器障害に対する理学療法手技 千木良佑介
1 コンディショニング
2 胸郭の柔軟性を高める手技
3 排痰手技
4 運動療法
まとめ
【3】慢性閉塞性肺疾患 解良武士
1 疾患の病態
2 症候・障害
3 医師による治療
4 理学療法評価
5 理学療法士による治療
まとめ
【4】周術期 瀬崎 学
1 疾患の病態
2 症候・障害
3 医学的検査
4 理学療法評価
5 理学療法士による治療
6 人工呼吸器
まとめ
【5】喀痰等の吸引 花田匡利
1 吸引の定義と目的
2 吸引の適応と禁忌
3 感染対策:標準予防策(スタンダードプリコーション)
4 吸引の実際 ①:アセスメント
5 吸引の実際 ②:吸引の手順
6 合併症とその対応
まとめ
第 4 章 各論 −代謝・腎疾患−
【1】糖尿病 万行里佳
1 症候・障害
2 医学的検査
3 血糖コントロール目標
4 医師による治療
5 理学療法評価
6 理学療法士による治療
7 行動変容
まとめ
【2】腎疾患 臼井直人
1 症候・障害
2 医学的検査
3 医師による治療
4 理学療法評価
5 理学療法士による治療
まとめ
【3】がんの理学療法 森下慎一郎
1 概論
2 医学的検査
3 医師による治療
4 理学療法評価
5 理学療法士による治療
まとめ
症例集
心不全 安達裕一,齊藤正和
急性心筋梗塞 笹沼直樹
末梢動脈疾患 榊 聡子
重症下肢虚血 榊 聡子
慢性閉塞性肺疾患 亀田光宏
外科周術期 瀬崎 学
糖尿病(教育入院) 万行里佳
急性腎障害 臼井直人
末期腎不全(外来,長期透析) 臼井直人
血液がん 森下慎一郎
乳がん 森下慎一郎
肺がん 森下慎一郎
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講義,実習,臨床に! 広く長く活用できるオールカラーの新テキスト!
本シリーズは理学療法学専門科目に対応したテキストシリーズである。国家試験合格を最終目標とするだけでなく,臨床実習やその先の臨床の場でも活用できるつくりとなっている。
本文は噛み砕いた表現を用いて詳しく解説。また,図表を多用し視覚的にも理解しやすい紙面とし,特に,評価・治療手技については写真を多く掲載。
各見出しごとに「POINT」を設けて重要事項をまとめ,どこに重点を置いて学習すべきか,一目でわかるようになっている。「基礎へのフィードバック」,「学習の要点」,「臨床に役立つアドバイス」などの囲み記事を設け,知識の漏れを防ぐとともに,さまざまな角度からの情報が盛り込まれている。
巻末に症例検討や実習で役立つ「症例集」をまとめて掲載。
「内部障害理学療法学」では,総論で循環器や呼吸器の構造としくみ,運動生理と運動処方について解説。そして各論で心不全,虚血性心疾患,弁疾患,大血管疾患,末梢循環障害などの循環器疾患に対する理学療法,呼吸不全,呼吸器障害,慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患に対する理学療法,糖尿病,腎疾患,がんに対する理学療法について解説している。