カテーテルスタッフのための
PCI必須知識
これだけおさえれば大丈夫
3rd edition
定価 5,720円(税込) (本体5,200円+税)
- B5判 340ページ オールカラー,イラスト200点,写真400点
- 2021年9月13日刊行
- ISBN978-4-7583-1975-1
電子版
序文
序 文 改訂2版刊行によせて
2007年12月に初版の 「カテーテルスタッフのためのPCI 必須知識」 を編集させていただき,すでに7年の月日が経過いたしました。本書はメディカルスタッフがわかりやすい内容で書いた最初の著書ということで,多方面の方々に愛読していただき,現在,7刷まで刷を重ねています。そんななか,たくさんの人々よりご意見を頂戴し,時間の経過と医療技術の進歩とともに本書を現状に対応した内容に改訂する必要性を感じさせられました。そこで今回,すべての筆者に了解を得て,改訂第2 版を出すはこびとなりました。
PCI の原理,基本,考え方,検査,治療の流れなど変化のない部分もすべてフルカラーに変更し,医療技術の進歩と新しいデバイスの台頭で,この7 年間に変化があったところは現状にあわせてすべて書き直しています。
昔々,私が “MEに成り立て” のときと同じように,カテ室で仕事をしている方々もカテ室業務が好きな人ばかりではないと思います。それはなぜかというと 「カテ室業務がわからないから面白くない」 のです。医師の仕事を理解し,他職種のメディカルスタッフの仕事を理解して患者さんを助けるチームの一員となれれば必然的に仕事は楽しくなります。少しでも理解することができれば興味を持つことができます。
われわれの目標は,メディカルスタッフの枠を取り払ったチーム医療の構築です。みんなで医師の仕事を理解し,すべてのメディカルスタッフの仕事を理解し,知識レベルを上げながら,お互いを補いながら患者さんにとってより安全で安楽なPCI環境を作りましょう。
多施設のメディカルスタッフが執筆しておりますので重複しているところや若干異なっているところもありますが,本書が今後カテ室で仕事をしていく人々のお役に立てれば幸いです。
最後になりましたが,星総合病院病院長の木島幹博先生とご執筆いただきました先生方に心より御礼申し上げます。
2014年2月
星総合病院臨床工学科技士長
添田信之
---------------------------------------
序 文
PCIは1977年,Gruentzig先生により世界で始めて臨床応用され今年は丁度30年の節目に当たる。当初はバルーンによる冠動脈形成術が主体であったが,急性冠閉塞や遠隔期の再狭窄といった問題点が浮上し,そのことが様々な新しいデバイスを開発していく推進力となっていった。その結果として,現在は薬剤溶出性ステントが全盛となり,血栓症という新たな問題点が出現しているとはいえ,極めて安全性が高く効果的な血行再建術のひとつとして広く受け入れられている。
一方,時代の流れは医療を受ける側の権利意識を高め,社会の医療を見つめる目も極めて厳しく,常に最高の医療レベルと最高の結果を求める風潮がある。その是非はともかくとして我々はそうした現実に対応していく必要に迫られている。
医療における治療技術の進歩は同時に,これまでも常に新たな未知のリスクをもたらしてきた。PCIも同様であり,厚生労働省の研究班による調査でも頻度が少ないとはいえ,予期せぬ不幸な出来事が発生しているのが現実である。こうしたPCIに伴う不具合を可能な限り減少させ患者様に安全な医療を提供するために最も大事なことは,医療に携わるもの全員のコラボレーションである。
PCI は,患者様が入院した時点から治療が始まっていると言っても過言ではない。治療前の情報収集,スタッフのカンファランス,治療前の患者様への説明,カテ室での対応,治療中のご家族様への説明,治療終了後の説明や処置など,どれをとっても大事な治療完結過程のひとつである。とにかく皆が一丸となって患者様の治療に当たることが重要であり,特に治療中に何か不具合が発生した時には,医師,看護師,臨床工学技士,放射線技師などの職種を問わず力を合わせて対応すべきである。そのためには,コメディカルのスタッフも医師と同レベルのPCIに対する知識や経験を持つべきである。実際に私自身もコメディカルの助言で緊急事態を凌いだことが数知れずあり,チーム医療の重要性を身をもって感じている一人でもある。
本書はPCIに関する全てを,経験豊富な多施設のコメディカルが分かり易い言葉と表現で書いた最初の著書である。内容に重複があったり,やり方が違っていたりするが,読者の皆様の施設に合った方法を選んで頂ければ幸いである。時代は今,コラボレーションを求めており,我々医師は,コメディカルの鋭い目を必要としている。
2007年11月
木島幹博
2007年12月に初版の 「カテーテルスタッフのためのPCI 必須知識」 を編集させていただき,すでに7年の月日が経過いたしました。本書はメディカルスタッフがわかりやすい内容で書いた最初の著書ということで,多方面の方々に愛読していただき,現在,7刷まで刷を重ねています。そんななか,たくさんの人々よりご意見を頂戴し,時間の経過と医療技術の進歩とともに本書を現状に対応した内容に改訂する必要性を感じさせられました。そこで今回,すべての筆者に了解を得て,改訂第2 版を出すはこびとなりました。
PCI の原理,基本,考え方,検査,治療の流れなど変化のない部分もすべてフルカラーに変更し,医療技術の進歩と新しいデバイスの台頭で,この7 年間に変化があったところは現状にあわせてすべて書き直しています。
昔々,私が “MEに成り立て” のときと同じように,カテ室で仕事をしている方々もカテ室業務が好きな人ばかりではないと思います。それはなぜかというと 「カテ室業務がわからないから面白くない」 のです。医師の仕事を理解し,他職種のメディカルスタッフの仕事を理解して患者さんを助けるチームの一員となれれば必然的に仕事は楽しくなります。少しでも理解することができれば興味を持つことができます。
われわれの目標は,メディカルスタッフの枠を取り払ったチーム医療の構築です。みんなで医師の仕事を理解し,すべてのメディカルスタッフの仕事を理解し,知識レベルを上げながら,お互いを補いながら患者さんにとってより安全で安楽なPCI環境を作りましょう。
多施設のメディカルスタッフが執筆しておりますので重複しているところや若干異なっているところもありますが,本書が今後カテ室で仕事をしていく人々のお役に立てれば幸いです。
最後になりましたが,星総合病院病院長の木島幹博先生とご執筆いただきました先生方に心より御礼申し上げます。
2014年2月
星総合病院臨床工学科技士長
添田信之
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序 文
PCIは1977年,Gruentzig先生により世界で始めて臨床応用され今年は丁度30年の節目に当たる。当初はバルーンによる冠動脈形成術が主体であったが,急性冠閉塞や遠隔期の再狭窄といった問題点が浮上し,そのことが様々な新しいデバイスを開発していく推進力となっていった。その結果として,現在は薬剤溶出性ステントが全盛となり,血栓症という新たな問題点が出現しているとはいえ,極めて安全性が高く効果的な血行再建術のひとつとして広く受け入れられている。
一方,時代の流れは医療を受ける側の権利意識を高め,社会の医療を見つめる目も極めて厳しく,常に最高の医療レベルと最高の結果を求める風潮がある。その是非はともかくとして我々はそうした現実に対応していく必要に迫られている。
医療における治療技術の進歩は同時に,これまでも常に新たな未知のリスクをもたらしてきた。PCIも同様であり,厚生労働省の研究班による調査でも頻度が少ないとはいえ,予期せぬ不幸な出来事が発生しているのが現実である。こうしたPCIに伴う不具合を可能な限り減少させ患者様に安全な医療を提供するために最も大事なことは,医療に携わるもの全員のコラボレーションである。
PCI は,患者様が入院した時点から治療が始まっていると言っても過言ではない。治療前の情報収集,スタッフのカンファランス,治療前の患者様への説明,カテ室での対応,治療中のご家族様への説明,治療終了後の説明や処置など,どれをとっても大事な治療完結過程のひとつである。とにかく皆が一丸となって患者様の治療に当たることが重要であり,特に治療中に何か不具合が発生した時には,医師,看護師,臨床工学技士,放射線技師などの職種を問わず力を合わせて対応すべきである。そのためには,コメディカルのスタッフも医師と同レベルのPCIに対する知識や経験を持つべきである。実際に私自身もコメディカルの助言で緊急事態を凌いだことが数知れずあり,チーム医療の重要性を身をもって感じている一人でもある。
本書はPCIに関する全てを,経験豊富な多施設のコメディカルが分かり易い言葉と表現で書いた最初の著書である。内容に重複があったり,やり方が違っていたりするが,読者の皆様の施設に合った方法を選んで頂ければ幸いである。時代は今,コラボレーションを求めており,我々医師は,コメディカルの鋭い目を必要としている。
2007年11月
木島幹博
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目次
Ⅰ 心臓カテーテル検査,PCIとは?
カテ室ではなにが行われているのか? [添田信之]
カテ手技の大きな流れを理解しよう [添田信之]
スタッフのそれぞれの役割を理解しよう [添田信之]
Ⅱ 心臓の解剖を理解しよう
心臓の構造 [小松良司,添田信之]
心臓の働き [小松良司,添田信之]
冠動脈の解剖 [小松良司,添田信之]
冠動脈造影像から見た冠動脈の解剖 [小松良司,添田信之]
さまざまな角度から見た冠動脈造影像 [小松良司,添田信之]
冠動脈造影像と病変形態の分類 [小松良司,添田信之]
心電図−ST変化の読み方 [佐藤真也,添田信之]
心不全の概念と血行動態の把握の仕方 [佐藤真也,添田信之]
心内圧 [佐藤真也,添田信之]
Ⅲ 冠動脈の治療を理解しよう
PCIの概要・原理 [平田和也]
PCIのデバイス(道具) [平田和也]
Ⅳ PCI前準備
情報収集と患者説明 [吉屋直美,水流綾子]
PCI前日に行う処置 [吉屋直美,水流綾子]
PCI当日に行う処置 [吉屋直美,水流綾子]
クリニカルパス [吉屋直美,水流綾子]
Ⅴ いざカテ室へ 入室〜手術
スタッフの心構え [赤松俊二]
カテーテルセットの準備と必要物品 [赤松俊二]
患者の入室〜環境設定 [赤松俊二]
術野の消毒 [赤松俊二]
術者と助手の仕事の流れ [添田信之]
術中のスタッフの役割 [添田信之]
止血,後かたづけ [添田信之]
Ⅵ こんなときどうすればいいの?─起こりうる術中の合併症対策
PCI施行中の合併症対策 [小林俊博,稲田 毅]
蘇生処置 [小林俊博,稲田 毅]
意識障害の判定と対応 [小林俊博,稲田 毅]
Ⅶ 術後
注意すること─インターベンション後の看護 [松本修一,小早川香樹]
術後〜退院までの患者に対するケア [松本修一,小早川香樹]
データ整理,データ解析 [添田信之]
ネットワーク [荒居広明]
Ⅷ その他
心臓カテーテル検査用X線撮影装置 [佐藤政春]
心臓カテーテル室で用いられる機器(X線装置を除く) [山﨑隆文]
IABP [山口敏和]
PCPS [山口敏和]
ECMO [山口敏和]
放射線被ばくとその最適化 [武田和也]
カテ室ではなにが行われているのか? [添田信之]
カテ手技の大きな流れを理解しよう [添田信之]
スタッフのそれぞれの役割を理解しよう [添田信之]
Ⅱ 心臓の解剖を理解しよう
心臓の構造 [小松良司,添田信之]
心臓の働き [小松良司,添田信之]
冠動脈の解剖 [小松良司,添田信之]
冠動脈造影像から見た冠動脈の解剖 [小松良司,添田信之]
さまざまな角度から見た冠動脈造影像 [小松良司,添田信之]
冠動脈造影像と病変形態の分類 [小松良司,添田信之]
心電図−ST変化の読み方 [佐藤真也,添田信之]
心不全の概念と血行動態の把握の仕方 [佐藤真也,添田信之]
心内圧 [佐藤真也,添田信之]
Ⅲ 冠動脈の治療を理解しよう
PCIの概要・原理 [平田和也]
PCIのデバイス(道具) [平田和也]
Ⅳ PCI前準備
情報収集と患者説明 [吉屋直美,水流綾子]
PCI前日に行う処置 [吉屋直美,水流綾子]
PCI当日に行う処置 [吉屋直美,水流綾子]
クリニカルパス [吉屋直美,水流綾子]
Ⅴ いざカテ室へ 入室〜手術
スタッフの心構え [赤松俊二]
カテーテルセットの準備と必要物品 [赤松俊二]
患者の入室〜環境設定 [赤松俊二]
術野の消毒 [赤松俊二]
術者と助手の仕事の流れ [添田信之]
術中のスタッフの役割 [添田信之]
止血,後かたづけ [添田信之]
Ⅵ こんなときどうすればいいの?─起こりうる術中の合併症対策
PCI施行中の合併症対策 [小林俊博,稲田 毅]
蘇生処置 [小林俊博,稲田 毅]
意識障害の判定と対応 [小林俊博,稲田 毅]
Ⅶ 術後
注意すること─インターベンション後の看護 [松本修一,小早川香樹]
術後〜退院までの患者に対するケア [松本修一,小早川香樹]
データ整理,データ解析 [添田信之]
ネットワーク [荒居広明]
Ⅷ その他
心臓カテーテル検査用X線撮影装置 [佐藤政春]
心臓カテーテル室で用いられる機器(X線装置を除く) [山﨑隆文]
IABP [山口敏和]
PCPS [山口敏和]
ECMO [山口敏和]
放射線被ばくとその最適化 [武田和也]
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PCIの施術全体を「スタッフ目線」で俯瞰し,臨床工学技士や看護師がどう動くべきかをわかりやすく提示。PCIとはなにか,心臓カテーテル検査とはどのようなことを行うのか,といった基礎知識から始まり,避けて通ることのできない心臓の解剖を学び,PCI前の準備,カテ室に入ってからの準備,術後の作業等を流れに沿って解説。
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