臨床研修 わたしたちのなんでも手帖
第3版
定価 2,640円(税込) (本体2,400円+税)
- B6変型判 240ページ ビニールカバー、オールカラー,イラスト62点
- 2020年10月2日刊行
- ISBN978-4-7583-1790-0
電子版
序文
第3版 序文
2009年9月に初版として上梓した『臨床研修 わたしたちのなんでも手帖』は,2013年の改訂を経て,ここに第3版が完成した。会食時の何気ない会話から誕生した本書であるが,実際の臨床現場で経験して必要とした内容を研修医自身が執筆し,後進に伝承するというスタンスが毎年新しく臨床研修を開始する諸君に受け入れていただき増刷を繰り返し,さらには韓国語版も作られたことは監修者として喜びに堪えない。また私自身は定年退職を迎えたが,執筆者たちは今や現場の最前線で責任者となって活躍してくれていることも頼もしい限りであり,彼らの益々の発展を祈ってやまない。
さて,日進月歩のmedical technologyの進歩によって病態の把握は比較的容易になってきたものの,疾患や複合病態の理解などは複雑化し,専門領域を超えた基本的な学習の必要性が益々重要になっており,初期臨床研修の意義はまさにここにあると考える。本書も時代の流れに沿うべく,第2版発刊にあたっては当時の初期研修医から意見をいただき,それを反映したが,今版では新たに4人の初期研修を終えたばかりの気鋭の執筆者に加わっていただいた。新規項目が加わるとともに各単元もbrush upされ,より正確で充実した内容となった。
情報ネットワークが普及し,医療の世界においても情報が氾濫しており,その中には不正確なものも錯綜し,その取捨選択に悩むこともある。ペーパーレス時代の今にあっても常時携帯し,いつでもどこでも知識・手技の確認,再確認ができる本書の意義は小さくない。
ご存知のように政府の働き方改革は医療の分野にも及び,医師の過重労働環境,健康確保が大きな問題となっている。私が医師になった頃は長時間が働くことが美徳のような時代であり,それなりの意義があったことは否定しないが,2024年4月の制度運用開始に向けて,今後,医師の勤務時間は間違いなく短縮されていく。貴重な研修時間を有意義に,しかも全力で取り組んでもらうための一助として本書が役立つであろうことを確信している。
最後に初版から今日まで難しい編集に尽力してくださったメジカルビュー社 石田奈緒美氏に改めて御礼申し上げる。
2020年8月
COVID-19の対応に追われつつ
正岡直樹
2009年9月に初版として上梓した『臨床研修 わたしたちのなんでも手帖』は,2013年の改訂を経て,ここに第3版が完成した。会食時の何気ない会話から誕生した本書であるが,実際の臨床現場で経験して必要とした内容を研修医自身が執筆し,後進に伝承するというスタンスが毎年新しく臨床研修を開始する諸君に受け入れていただき増刷を繰り返し,さらには韓国語版も作られたことは監修者として喜びに堪えない。また私自身は定年退職を迎えたが,執筆者たちは今や現場の最前線で責任者となって活躍してくれていることも頼もしい限りであり,彼らの益々の発展を祈ってやまない。
さて,日進月歩のmedical technologyの進歩によって病態の把握は比較的容易になってきたものの,疾患や複合病態の理解などは複雑化し,専門領域を超えた基本的な学習の必要性が益々重要になっており,初期臨床研修の意義はまさにここにあると考える。本書も時代の流れに沿うべく,第2版発刊にあたっては当時の初期研修医から意見をいただき,それを反映したが,今版では新たに4人の初期研修を終えたばかりの気鋭の執筆者に加わっていただいた。新規項目が加わるとともに各単元もbrush upされ,より正確で充実した内容となった。
情報ネットワークが普及し,医療の世界においても情報が氾濫しており,その中には不正確なものも錯綜し,その取捨選択に悩むこともある。ペーパーレス時代の今にあっても常時携帯し,いつでもどこでも知識・手技の確認,再確認ができる本書の意義は小さくない。
ご存知のように政府の働き方改革は医療の分野にも及び,医師の過重労働環境,健康確保が大きな問題となっている。私が医師になった頃は長時間が働くことが美徳のような時代であり,それなりの意義があったことは否定しないが,2024年4月の制度運用開始に向けて,今後,医師の勤務時間は間違いなく短縮されていく。貴重な研修時間を有意義に,しかも全力で取り組んでもらうための一助として本書が役立つであろうことを確信している。
最後に初版から今日まで難しい編集に尽力してくださったメジカルビュー社 石田奈緒美氏に改めて御礼申し上げる。
2020年8月
COVID-19の対応に追われつつ
正岡直樹
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目次
研修医へ贈る10カ条
研修医の仕事
わたしたちがわからなかった臨床で使われる用語・略語
Chapter 1 病棟の仕事
外来から入院までの流れ
カルテの書き方 1~ 5
基本的な記入例
SOAP方式による入院後経過
胸部聴診所見の書き方
腹部所見の書き方
神経学的所見の書き方
指示票の書き方 1~ 3
基本の指示例
検査前指示
糖尿病患者さんへの指示
食事・栄養 1~ 4
入院食の決め方
禁食時の補液
高カロリー輸液
電解質の補正
血液ガス分析(BGA)のポイント
酸素投与とFiO₂
人工呼吸器の設定
検査に関するあれこれ 1~ 2
心電図
超音波の使い方
術前・術後の対応 1~ 3
術前準備
術後管理
術後の指示(食上げ)
輸血
死亡診断書の書き方
Chapter 2 くすりのこと
処方箋の読み方・書き方
処方を間違えやすい医薬品
さまざまな症状に対する処方例 1~ 6
便秘・下痢
不眠
不穏・せん妄
咳嗽
嘔気・嘔吐
疼痛・発熱
軟膏の使い分け
ステロイドの基礎知識
高血圧への対応(降圧薬の選び方)
妊娠中の薬
授乳中の薬
小児の薬
Chapter 3 初期研修医に必要な手技のコツ
駆血帯の巻き方
静脈内投与
局所麻酔
皮下注射
筋肉注射
採血・静脈確保
動脈採血
血液培養検査
中心静脈確保(CV)
胸腔穿刺
腹腔穿刺
腰椎穿刺(ルンバール)
経鼻胃管(NG チューブ)
胸腔ドレーンの管理
導尿
気管挿管
手術に関連するあれこれ
創傷処置
Chapter 4 当直
電話対応の仕方
上級医へのプレゼンテーションのコツ
病棟での急変・緊急時の対応(上級医が来るまで)/救急外来での対応 1~ 18
心肺停止
意識障害
失神(一過性意識消失発作)
頭痛
発熱
めまい
けいれん
胸痛
動悸
呼吸困難
喘息
悪心・嘔吐
腹痛
救急での産婦人科疾患
麻痺
糖尿病
高K血症
痺れ
付録
役に立つ診断基準
急性期DIC 診断基準(日本救急医学会DIC 委員会)
DIC 診断基準(日本血栓止血学会2017 年版)
敗血症の診断
救急部門における失神患者診療のフローチャート
NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)
JCS(Japan Coma Scale;3-3-9 度方式)
GCS(Glasgow Coma Scale)
改訂長谷川式簡易知能評価スケール
MMSE(Mini-Mental State Examination)
Forrester の分類
NYHA の心機能分類
Fletcher-Hugh-Jones の呼吸困難度分類
喘息予防・管理ガイドライン2018
市中肺炎における細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別
A-DROP システム
ツベルクリン反応の判定法
喀痰検査
溶連菌性咽頭炎の診断(centor criteria)
気胸の肺虚脱率
ARDSとALI の診断基準
肝障害度
Child-Pugh分類
急性膵炎 (急性膵炎診療ガイドライン2015)
糖尿病の臨床診断のフローチャート
糖尿病性ケトアシドーシスと
非ケトン性高浸透圧性昏睡の鑑別
透析療法の開始基準
血圧管理
化学療法の知識
Performance Status(PS)
抗癌剤の判定基準(RECIST 基準)
代表的なレジメン名
抗菌薬略語一覧表
輸液製剤の組成
処置・手技に使う器具
手術で必ず準備するもの
基本の手術器具
中心静脈(CV)カテーテルキット
穿刺・チューブ挿入で共通して準備するもの
おすすめアプリ
よく使う便利なWEB
わたしたちが参考にした本
研修医の仕事
わたしたちがわからなかった臨床で使われる用語・略語
Chapter 1 病棟の仕事
外来から入院までの流れ
カルテの書き方 1~ 5
基本的な記入例
SOAP方式による入院後経過
胸部聴診所見の書き方
腹部所見の書き方
神経学的所見の書き方
指示票の書き方 1~ 3
基本の指示例
検査前指示
糖尿病患者さんへの指示
食事・栄養 1~ 4
入院食の決め方
禁食時の補液
高カロリー輸液
電解質の補正
血液ガス分析(BGA)のポイント
酸素投与とFiO₂
人工呼吸器の設定
検査に関するあれこれ 1~ 2
心電図
超音波の使い方
術前・術後の対応 1~ 3
術前準備
術後管理
術後の指示(食上げ)
輸血
死亡診断書の書き方
Chapter 2 くすりのこと
処方箋の読み方・書き方
処方を間違えやすい医薬品
さまざまな症状に対する処方例 1~ 6
便秘・下痢
不眠
不穏・せん妄
咳嗽
嘔気・嘔吐
疼痛・発熱
軟膏の使い分け
ステロイドの基礎知識
高血圧への対応(降圧薬の選び方)
妊娠中の薬
授乳中の薬
小児の薬
Chapter 3 初期研修医に必要な手技のコツ
駆血帯の巻き方
静脈内投与
局所麻酔
皮下注射
筋肉注射
採血・静脈確保
動脈採血
血液培養検査
中心静脈確保(CV)
胸腔穿刺
腹腔穿刺
腰椎穿刺(ルンバール)
経鼻胃管(NG チューブ)
胸腔ドレーンの管理
導尿
気管挿管
手術に関連するあれこれ
創傷処置
Chapter 4 当直
電話対応の仕方
上級医へのプレゼンテーションのコツ
病棟での急変・緊急時の対応(上級医が来るまで)/救急外来での対応 1~ 18
心肺停止
意識障害
失神(一過性意識消失発作)
頭痛
発熱
めまい
けいれん
胸痛
動悸
呼吸困難
喘息
悪心・嘔吐
腹痛
救急での産婦人科疾患
麻痺
糖尿病
高K血症
痺れ
付録
役に立つ診断基準
急性期DIC 診断基準(日本救急医学会DIC 委員会)
DIC 診断基準(日本血栓止血学会2017 年版)
敗血症の診断
救急部門における失神患者診療のフローチャート
NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)
JCS(Japan Coma Scale;3-3-9 度方式)
GCS(Glasgow Coma Scale)
改訂長谷川式簡易知能評価スケール
MMSE(Mini-Mental State Examination)
Forrester の分類
NYHA の心機能分類
Fletcher-Hugh-Jones の呼吸困難度分類
喘息予防・管理ガイドライン2018
市中肺炎における細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別
A-DROP システム
ツベルクリン反応の判定法
喀痰検査
溶連菌性咽頭炎の診断(centor criteria)
気胸の肺虚脱率
ARDSとALI の診断基準
肝障害度
Child-Pugh分類
急性膵炎 (急性膵炎診療ガイドライン2015)
糖尿病の臨床診断のフローチャート
糖尿病性ケトアシドーシスと
非ケトン性高浸透圧性昏睡の鑑別
透析療法の開始基準
血圧管理
化学療法の知識
Performance Status(PS)
抗癌剤の判定基準(RECIST 基準)
代表的なレジメン名
抗菌薬略語一覧表
輸液製剤の組成
処置・手技に使う器具
手術で必ず準備するもの
基本の手術器具
中心静脈(CV)カテーテルキット
穿刺・チューブ挿入で共通して準備するもの
おすすめアプリ
よく使う便利なWEB
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