産婦人科手術

産婦人科手術 No.33

産婦人科手術 No.33

■編集 日本産婦人科手術学会

定価 7,700円(税込) (本体7,000円+税)
  • B5判  172ページ  一部カラー,イラスト20点,写真180点
  • 2022年6月12日刊行
  • ISBN978-4-7583-1768-9

日本産婦人科手術学会機関誌。第44回日本産婦人科手術学会の主題より選出した論文13編ほかを掲載

2021年9月に「伝承の刃〜次世代に伝える〜」と題してWeb形式にて開催された第44回日本産婦人科手術学会の主題より選出した論文13編に,編集委員会担当記事1編を加えた。
テーマは「失敗から学ぶ 手術におけるわれわれの取組みやコツ:開腹,腟式」「失敗から学ぶ 手術におけるわれわれの取組みやコツ:腹腔鏡,子宮鏡」「失敗から学ぶ 手術におけるわれわれの取組みやコツ:ロボット」,企画記事「『産婦人科手術』編集委員が独断と偏見で選ぶ 私の好きなパワーソース」。


序文

巻頭言

 第44 回学術集会を2021 年9 月25 ~ 26 日の2 日間,城山ホテル鹿児島でハイブリッド開催する予定でしたが,新型コロナ第5 波を受けて,まさに断腸の思いで完全Web 開催に移行しました。25 日から一部をライブ配信したのち,残るプログラムは約2 週間オンデマンド配信しました。直前に開催様式変更となったため,座長・演者を交えた前撮りはできず,座長不在・質疑応答なしの配信となりました。座長を引き受けていただいていた先生方はじめ演者・会員の皆様には心よりお詫び申し上げます。本学会は動画を見ながら手術のコツやピットフォールを熱く意見交換する場でしたので,それが叶わず誠に残念でした。
 オットー・ビスマルクの「愚者は経験に学び,賢者は歴史に学ぶ」という格言がありますが,手術はまさに“積極的に初執刀し,失敗したら次の症例で活かせばいい” では困ります。熟練者の実際の手術やビデオライブラリーなどで学習する(歴史に学ぶ)ことによって,初執刀の患者さんにも良質な手術を届けるべきです。私は臨床に従事した期間のほぼ全てが大学病院勤務であったため,“手ほどきを受ける時代”,“自分で執刀する時代”,“後輩を指導する時代” のすべてを医育機関で過ごしました。最後の“時代” に心がけたのは自分の失敗を後輩が繰り返さないよう,症例別の留意点,執刀上の注意点とコツ,術後管理の要点等を余すことなく伝えることでした。過保護と言われるかもしれませんが,患者さんに不利益を与える修練はあり得ませんし,失敗したときの自分の落胆を後輩に繰り返して欲しくないという思いでした。その分,術後カンファレンスでの指導は厳しくなり,うまくいかなかった手術はもちろん,順調に終わった場合でももっと良い手術ができなかったか十分に自己分析しているか,次例ではどう改善するつもりか,などを追求します。このように“失敗例から学ぶこと”は非常に重要なので,本学会の主題を「失敗から学ぶ~手術における我々の取り組みやコツ~」としました。本書では主題の演者のうち十数名にご執筆いただきました。また,会長企画シンポジウムでは,ご造詣の深い3 名の先生方に“次世代に継承してもらいたい手術に対する手技や考え方” をご披露いただき,座談会も企画しました。
 掲載された主題演題と会長企画シンポジウムに関しては手術学会ホームページに講演動画がアップされますので,本書と合わせてご覧いただき,本学会テーマである「伝承の刃(やいば)~次世代に伝える~」をご堪能いただければ幸いです。次回こそはコロナが終息し,“手術好きが集まって手技・術式について忌憚なき討論を行い親交を深める” 本学術集会が現地開催されることを祈っております。

第44 回 日本産婦人科手術学会
会長 小林 裕明
(鹿児島大学医学部産科婦人科教授)
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目次

巻頭言   第44 回日本産婦人科手術学会 会長 小林裕明
日本産婦人科手術学会のホームページで閲覧できる学術集会講演の動画一覧

■失敗から学ぶ 手術におけるわれわれの取組みやコツ:開腹,腟式
帝王切開瘢痕部妊娠に対する一期的修復術の工夫  [齋藤晋平ほか]
運針が安全で抜糸が不要な腹式頸管縫縮術の試み  [濱田朋紀ほか]
傍大動脈リンパ節郭清時の乳び漏予防法  [加藤友康ほか]
Hybrid 法によるNTR としてのPOP 手術 腟式での腟壁・会陰形成と腹腔鏡下でのcervical triangle zone 修復とround ligament colpopexy  [伊熊健一郎ほか]

■失敗から学ぶ 手術におけるわれわれの取組みやコツ:腹腔鏡,子宮鏡
後腹膜腔鏡による下大静脈背側リンパ節郭清の工夫  [干場 勉ほか]
ロボット支援内視鏡手術から開腹手術まで応用可能なテトロンテープを利用した子宮牽引法の開発  [成宮由貴ほか]
当科で施行している気腹・吊り上げ併用単孔式腹腔鏡下子宮筋腫核出術  [岩見州一郎ほか]
低侵襲子宮全摘術における直腸損傷における対処─人工肛門をさけるために─  [安藤正明ほか]
腹腔鏡補助下子宮摘出術(LAH)における腹腔鏡手術の適応拡大と利点  [山田昌代ほか]
水中毒を経験して創案したRoBEEM-TCRis(ロービーム- ティクリス)  [井上滋夫]

■失敗から学ぶ 手術におけるわれわれの取組みやコツ:ロボット
Robotic surgery における低侵襲のための改善─電気メスの設定変更と甘噛み(Sweet bite)テクニック  [谷村 悟ほか]
巨大子宮筋腫に対するロボット支援腹腔鏡下腟式子宮摘出術の一例:多関節ロボットアームと自重による牽引の活用  [濱口史香ほか]
骨盤臓器脱に対するallograft を用いたロボット支援仙骨腟固定術の試み  [牛若昂志ほか]

企画記事
『“ 産婦人科手術』編集委員が独断と偏見で選ぶ 私の好きなパワーソース”を読む前に  [金尾祐之]
『産婦人科手術』編集委員が独断と偏見で選ぶ 私の好きなパワーソース
 probe plus Ⅱ,BiClamp®,LigaSureTM  [金尾祐之]
 LigaSureTM Maryland,ValleylabTM FT10  [寺尾泰久]
 LigaSureTM Exact Dissector  [田中京子]
 リユースのバイポーラ,VIO®3  [鎌田泰彦]
『“ 産婦人科手術』編集委員が独断と偏見で選ぶ 私の好きなパワーソース”を読み終わって  [三上幹男]
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