産婦人科手術
産婦人科手術 No.30
定価 7,700円(税込) (本体7,000円+税)
- B5判 188ページ 一部カラー,写真120点
- 2019年8月9日刊行
- ISBN978-4-7583-1746-7
序文
巻頭言
2019年2月2日~3日の2日間,東京都市センターホテルにおいて第41回日本産婦人科手術学会を開催させていただきました。会期中は,春の芽吹きを感じる好天に恵まれ,700名を超える過去最高数の皆様にご参加いただき,成功裏に終わることができましたこと,これもひとえに会員の皆様方のあたたかいご指導とお力添えの賜物と,深く感謝いたしております。「若手への伝承─心・技・体─」をテーマとしましたが,それぞれの会場で若手からベテランの多数の会員の皆様が熱心に聴講・討論されている姿を拝見したことは,会長として大きな喜びでございました。
本手術学会のルーツは,腕自慢の先生方の「侃々諤々」の手術手技に関する議論であると聞いております。そこで今回の学会では,「口角泡を飛ばす議論」を行うことを第1と考え,特に主題に関しては十分に議論できる時間をとりました。その議論を通して,座長,演者の先生がどのように物事を考え,手術を行っているのかを感じ取ってもらい,そこに聴衆も加わって,「議論」を行ってもらうためです。議論を円滑に進めるための事前打ち合わせのためオーガナイザーを決めて,その各先生に主題の論点をまとめていただき,討論内容も細かく詰め,十分に打ち合わせを行ってもらいました。その甲斐あって,多くの参加された先生方より,「今回の学会では多くの議論を聞くことができて昔の学会を思い出したよ,学会はやはりプログラムが一番大切だね,よく皆で考えたね」とお褒めの言葉をいただきました。議論の中から,若手が何かをつかみ取って,明日への臨床に活かしていただければ望外の喜びです。
特別企画1としては,悪性腫瘍領域では最もホットな「LACC trial 何が悪かったのか?─俺のPreventive technique for cancer cell spillage─」という話題を皮切りに始まり,主題として①「腹腔鏡下手術時代の開腹手術を再考する」,②「若手に伝えたい頸管縫縮術の工夫:困難な場面での対応」,③「腹腔鏡下子宮全摘出術の術式習得─悪性疾患を取り扱う立場から/良性疾患を取り扱う立場から アドバイス/ディベート─」,④「いわゆる帝王切開瘢痕症候群─予防,修復─」の4つの課題を,さらに特別企画2では小辻文和先生に「子宮底部横切開法のその後」として,これまでの10年間の総括のお話をいただきました(今回の特別企画1と主題①,④(本雑誌に未掲載の主題)は,学会ホームページから各演者の講演,総合議論までセッションを通して閲覧可能です。是非ご覧ください)。また,海外からは,婦人科悪性腫瘍領域のRyu先生(韓国,Ajou Univ),Cliby先生(USA, Mayo Clinic)にお越しいただき,それぞれ,初期子宮頸癌に対する低侵襲手術,卵巣癌の手術に関する教育についての講演をしていただきました。特にMayo Clinicでの手術教育システムについては日本にも取り入れていくべきことが多くあると感じました。
私が「産婦人科手術」に初めて寄稿したのは第7号(1996年)で,「われわれの教室で行っているレーザー手術─手技上のポイントおよび子宮頸癌Ia期の取り扱いを中心に─」というタイトルでありました。今,30号の巻頭言を執筆している自分を鑑みて,毎年編纂される「産婦人科手術」でアップデートな内容を勉強させていただいたように思います。今後,「産婦人科手術」が,産婦人科医の手術の手引となり,そしてさらには患者さんのためになるようなバイブルに発展させていきたいと考えております。
第41回日本産婦人科手術学会会長
日本産婦人科手術学会編集担当常務理事
東海大学医学部専門診療学系産婦人科
三上 幹男
2019年2月2日~3日の2日間,東京都市センターホテルにおいて第41回日本産婦人科手術学会を開催させていただきました。会期中は,春の芽吹きを感じる好天に恵まれ,700名を超える過去最高数の皆様にご参加いただき,成功裏に終わることができましたこと,これもひとえに会員の皆様方のあたたかいご指導とお力添えの賜物と,深く感謝いたしております。「若手への伝承─心・技・体─」をテーマとしましたが,それぞれの会場で若手からベテランの多数の会員の皆様が熱心に聴講・討論されている姿を拝見したことは,会長として大きな喜びでございました。
本手術学会のルーツは,腕自慢の先生方の「侃々諤々」の手術手技に関する議論であると聞いております。そこで今回の学会では,「口角泡を飛ばす議論」を行うことを第1と考え,特に主題に関しては十分に議論できる時間をとりました。その議論を通して,座長,演者の先生がどのように物事を考え,手術を行っているのかを感じ取ってもらい,そこに聴衆も加わって,「議論」を行ってもらうためです。議論を円滑に進めるための事前打ち合わせのためオーガナイザーを決めて,その各先生に主題の論点をまとめていただき,討論内容も細かく詰め,十分に打ち合わせを行ってもらいました。その甲斐あって,多くの参加された先生方より,「今回の学会では多くの議論を聞くことができて昔の学会を思い出したよ,学会はやはりプログラムが一番大切だね,よく皆で考えたね」とお褒めの言葉をいただきました。議論の中から,若手が何かをつかみ取って,明日への臨床に活かしていただければ望外の喜びです。
特別企画1としては,悪性腫瘍領域では最もホットな「LACC trial 何が悪かったのか?─俺のPreventive technique for cancer cell spillage─」という話題を皮切りに始まり,主題として①「腹腔鏡下手術時代の開腹手術を再考する」,②「若手に伝えたい頸管縫縮術の工夫:困難な場面での対応」,③「腹腔鏡下子宮全摘出術の術式習得─悪性疾患を取り扱う立場から/良性疾患を取り扱う立場から アドバイス/ディベート─」,④「いわゆる帝王切開瘢痕症候群─予防,修復─」の4つの課題を,さらに特別企画2では小辻文和先生に「子宮底部横切開法のその後」として,これまでの10年間の総括のお話をいただきました(今回の特別企画1と主題①,④(本雑誌に未掲載の主題)は,学会ホームページから各演者の講演,総合議論までセッションを通して閲覧可能です。是非ご覧ください)。また,海外からは,婦人科悪性腫瘍領域のRyu先生(韓国,Ajou Univ),Cliby先生(USA, Mayo Clinic)にお越しいただき,それぞれ,初期子宮頸癌に対する低侵襲手術,卵巣癌の手術に関する教育についての講演をしていただきました。特にMayo Clinicでの手術教育システムについては日本にも取り入れていくべきことが多くあると感じました。
私が「産婦人科手術」に初めて寄稿したのは第7号(1996年)で,「われわれの教室で行っているレーザー手術─手技上のポイントおよび子宮頸癌Ia期の取り扱いを中心に─」というタイトルでありました。今,30号の巻頭言を執筆している自分を鑑みて,毎年編纂される「産婦人科手術」でアップデートな内容を勉強させていただいたように思います。今後,「産婦人科手術」が,産婦人科医の手術の手引となり,そしてさらには患者さんのためになるようなバイブルに発展させていきたいと考えております。
第41回日本産婦人科手術学会会長
日本産婦人科手術学会編集担当常務理事
東海大学医学部専門診療学系産婦人科
三上 幹男
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目次
LACC trial 何が悪かったのか? ─俺の preventive technique for cancer cell spillage ─
子宮頸癌MIS 後の再発治療について 加藤友康
腟式に腟管切開を行う腹腔鏡下広汎子宮全摘出術 小林栄仁ほか
LACC trial に学ぶ鏡視下広汎子宮全摘術の未来像 馬場 長ほか
当院におけるTLRH ─ 骨盤内再発とcancer cell spillage をいかに予防するか─ 吉田 浩
当院のTLRH 選択について 浅井 哲ほか
若手に伝えたい頸管縫縮術の工夫:困難な場面での対応
わが国における頸管縫縮術困難症例に対する工夫 近藤英治ほか
Radical trachelectomy(広汎子宮頸部摘出術)における頸管縫縮術を含むneo-cervix の形成 仲村 勝ほか
腟円蓋より突出する子宮腟部が存在しない症例への頸管縫縮術 ~浅川鉗子(塚チン鉗子)の有用性の検討~ 村越 毅
頸管縫縮術が困難である症例に対する手術のコツ 安藤 智
難治性頸管無力症に対する経腟的腹膜開放式子宮頸管縫縮術 大槻克文
妊娠中の腹腔鏡下子宮峡部頸管縫縮術 Laparoscopic Cervico-Isthmic Cerclage in Early Pregnancy 瀬尾晃平ほか
腹腔鏡下子宮全摘術の術式習得
腹腔鏡下子宮全摘術の術式習得 ─悪性疾患を取り扱う立場から/良性疾患を取り扱う立場からのアドバイス 浅井 哲ほか
企画記事
ロボット支援下手術の導入時に留意するべきポイント 金尾祐之ほか
子宮頸癌MIS 後の再発治療について 加藤友康
腟式に腟管切開を行う腹腔鏡下広汎子宮全摘出術 小林栄仁ほか
LACC trial に学ぶ鏡視下広汎子宮全摘術の未来像 馬場 長ほか
当院におけるTLRH ─ 骨盤内再発とcancer cell spillage をいかに予防するか─ 吉田 浩
当院のTLRH 選択について 浅井 哲ほか
若手に伝えたい頸管縫縮術の工夫:困難な場面での対応
わが国における頸管縫縮術困難症例に対する工夫 近藤英治ほか
Radical trachelectomy(広汎子宮頸部摘出術)における頸管縫縮術を含むneo-cervix の形成 仲村 勝ほか
腟円蓋より突出する子宮腟部が存在しない症例への頸管縫縮術 ~浅川鉗子(塚チン鉗子)の有用性の検討~ 村越 毅
頸管縫縮術が困難である症例に対する手術のコツ 安藤 智
難治性頸管無力症に対する経腟的腹膜開放式子宮頸管縫縮術 大槻克文
妊娠中の腹腔鏡下子宮峡部頸管縫縮術 Laparoscopic Cervico-Isthmic Cerclage in Early Pregnancy 瀬尾晃平ほか
腹腔鏡下子宮全摘術の術式習得
腹腔鏡下子宮全摘術の術式習得 ─悪性疾患を取り扱う立場から/良性疾患を取り扱う立場からのアドバイス 浅井 哲ほか
企画記事
ロボット支援下手術の導入時に留意するべきポイント 金尾祐之ほか
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日本産婦人科手術学会機関誌。特集はさまざまな産婦人科手術における「若手への伝承–心・技・体–」
日本産婦人科手術学会機関誌。
2019年2月に東京で開催された「第41回日本産婦人科手術学会」の,主題「若手への伝承–心・技・体–」から「LACC trial 何が悪かったのか?」「腹腔鏡下子宮全摘術の術式習得」「いわゆる帝王切開瘢痕症候群–予防,修復–」「若手に伝えたい頸管縫縮術の工夫:困難な場面での対応」というテーマにて選出した論文や企画記事を掲載している。
本号の企画記事テーマ「ロボット支援下手術の導入時に留意するべきポイント」。