OGS NOW 21
婦人科ロボット支援手術
その準備と実践
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どなたでもご覧いただけます
定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
- A4判 184ページ オールカラー,イラスト70点,写真250点
- 2015年2月2日刊行
- ISBN978-4-7583-1241-7
序文
わが国におけるda Vinchi装置の普及率は米国に次ぎ,世界第2位の保有率となっている。世界的には産婦人科領域の手術数が最も多いが,わが国の現状は前立腺癌手術が保険適応になったため,泌尿器科領域の手術が最も多く,産婦人科領域はまだ黎明期にあると言える。
日本産科婦人科学会を中心に産婦人科手術に関係する諸学会・団体が協力して保険適応を進めているが,子宮がんには,子宮体がんと子宮頸がんがあり,術式も単純子宮全摘術,準広汎子宮全摘術,広汎子宮全摘術と3種類存在する。同時に腹腔鏡下婦人科悪性腫瘍手術の保険適応問題との兼ね合いもあり,ロボット支援婦人科手術の保険適応にはもうしばらく時間がかかりそうである。一方,ロボット支援手術に興味をもつ産婦人科医は多く,現在47施設,163名の産婦人科医がライセンスを取得しており,今後も急激に増加することが予測される。
産婦人科領域におけるロボット支援手術の最もよい適応疾患としては子宮体がん手術,子宮頸がん手術,そして仙骨腟固定術などが考えられるため,今回はそれを想定して本号を構成した。本号では,ライセンス取得,トレーニング方法からポート設置,ドッキング法などについて解説し,そして実際の手術手技は,代表的術式については,同じ手術を複数の方に執筆していただいたので,違う視点からの有益な情報が満載されている。
開腹手術とロボット支援手術の大きな差は,視野が異なる,触覚がないことがある。ロボット支援手術は腹腔鏡手術よりラーニングカーブの向上が早いとされるが,開腹手術から腹腔鏡手術を経ずして,ロボット支援手術を行う術者にとっては別世界の手術となる。本巻ではその点にも留意してコツ,ピットフォールを執筆いただいた。
いずれにしてもロボット手術を行おうとするものは,視野が異なる,触覚がない,さらには何人も助手がついていない,十分な牽引がしにくいといったこともあるため,まず開腹による広汎子宮全摘術に必要な解剖,手技に熟知しておくことが必須となる。したがって,日頃からこの点を念頭に置き,修練しておくことが重要である。また,まだどの施設も非常に多くの症例を経験しているわけではないため,研究会等でお互いに問題点を共有し,技術の向上を図るべきである。
本号はこのようなわが国の環境下において,これからロボット手術を開始する施設にとって,また開始して日が浅い術者にとって,非常に有益な情報が満載された手術書になったと考える。このロボット支援婦人科手術はわが国でも今後普及すると考えられ,近い将来間違いなく各施設での経験,改良を盛り込んだアドバンス編の手術書を刊行する礎の号になったと確信する。
2015年1月
平松祐司
日本産科婦人科学会を中心に産婦人科手術に関係する諸学会・団体が協力して保険適応を進めているが,子宮がんには,子宮体がんと子宮頸がんがあり,術式も単純子宮全摘術,準広汎子宮全摘術,広汎子宮全摘術と3種類存在する。同時に腹腔鏡下婦人科悪性腫瘍手術の保険適応問題との兼ね合いもあり,ロボット支援婦人科手術の保険適応にはもうしばらく時間がかかりそうである。一方,ロボット支援手術に興味をもつ産婦人科医は多く,現在47施設,163名の産婦人科医がライセンスを取得しており,今後も急激に増加することが予測される。
産婦人科領域におけるロボット支援手術の最もよい適応疾患としては子宮体がん手術,子宮頸がん手術,そして仙骨腟固定術などが考えられるため,今回はそれを想定して本号を構成した。本号では,ライセンス取得,トレーニング方法からポート設置,ドッキング法などについて解説し,そして実際の手術手技は,代表的術式については,同じ手術を複数の方に執筆していただいたので,違う視点からの有益な情報が満載されている。
開腹手術とロボット支援手術の大きな差は,視野が異なる,触覚がないことがある。ロボット支援手術は腹腔鏡手術よりラーニングカーブの向上が早いとされるが,開腹手術から腹腔鏡手術を経ずして,ロボット支援手術を行う術者にとっては別世界の手術となる。本巻ではその点にも留意してコツ,ピットフォールを執筆いただいた。
いずれにしてもロボット手術を行おうとするものは,視野が異なる,触覚がない,さらには何人も助手がついていない,十分な牽引がしにくいといったこともあるため,まず開腹による広汎子宮全摘術に必要な解剖,手技に熟知しておくことが必須となる。したがって,日頃からこの点を念頭に置き,修練しておくことが重要である。また,まだどの施設も非常に多くの症例を経験しているわけではないため,研究会等でお互いに問題点を共有し,技術の向上を図るべきである。
本号はこのようなわが国の環境下において,これからロボット手術を開始する施設にとって,また開始して日が浅い術者にとって,非常に有益な情報が満載された手術書になったと考える。このロボット支援婦人科手術はわが国でも今後普及すると考えられ,近い将来間違いなく各施設での経験,改良を盛り込んだアドバンス編の手術書を刊行する礎の号になったと確信する。
2015年1月
平松祐司
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目次
施設基準,ライセンス取得 井坂惠一
経費と先進医療申請 井坂惠一
ロボット手技のトレーニング 万代昌紀ほか
ロボット手術に用いる器具と基本操作法 小林裕明
患者体位,保護,ロボット手術を避けるべき合併症 楠本知行ほか
ポート位置の設定,トロカーの挿入・設置 小林裕明
セッティング 横山良仁
ロボット支援下腹腔鏡下子宮亜全摘術 廣田 穰ほか
子宮体癌手術① 横山良仁
子宮体癌手術② 平松祐司ほか
肥満患者での子宮体癌手術 伊東宏絵
準広汎子宮全摘術 小林裕明
広汎子宮全摘術① 万代昌紀ほか
広汎子宮全摘術② 平松祐司ほか
広汎子宮全摘術・広汎子宮頸部切除術 安藤正明ほか
傍大動脈リンパ節郭清術 井坂惠一
sacral colpopexy 西 洋孝
ロボット手術と合併症対策 伊東宏絵
ロールアウトと術後管理 楠本知行ほか
経費と先進医療申請 井坂惠一
ロボット手技のトレーニング 万代昌紀ほか
ロボット手術に用いる器具と基本操作法 小林裕明
患者体位,保護,ロボット手術を避けるべき合併症 楠本知行ほか
ポート位置の設定,トロカーの挿入・設置 小林裕明
セッティング 横山良仁
ロボット支援下腹腔鏡下子宮亜全摘術 廣田 穰ほか
子宮体癌手術① 横山良仁
子宮体癌手術② 平松祐司ほか
肥満患者での子宮体癌手術 伊東宏絵
準広汎子宮全摘術 小林裕明
広汎子宮全摘術① 万代昌紀ほか
広汎子宮全摘術② 平松祐司ほか
広汎子宮全摘術・広汎子宮頸部切除術 安藤正明ほか
傍大動脈リンパ節郭清術 井坂惠一
sacral colpopexy 西 洋孝
ロボット手術と合併症対策 伊東宏絵
ロールアウトと術後管理 楠本知行ほか
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ロボット手術を用いた産婦人科手術について,導入,手術手技,合併症対策まで詳細に解説した必携の書
昨今,手術支援ロボット“da Vinci”の国内での普及は徐々に広がってきており,現在では世界第2位の保有数を誇るまでとなった。腹腔鏡手術に比べて手技の習得は容易であり,産婦人科においても,悪性腫瘍手術を中心に症例数は年々増加している。産婦人科医にとって,今後da Vinciを用いた手術手技の習得は無視できないものとなってきている。
本シリーズNo.19,No.20の『腹腔鏡・子宮鏡を用いた手術の基本編・応用編』に続き,腹腔内での手術のさらにアドバンスドなものとして,本号ではロボット手術を取り上げている。ライセンスの取得から,トレーニング,セッティング,ポートの設定から実際の手術手技,特有の合併症対策までを学ぶことができ,ロボット手術を,一つ一つ実践的かつ丁寧に学ぶことができる。
実際にロボットを使用した最先端の術者達による“手術のコツと注意点”を中心に,豊富な写真・イラストでわかりやすく解説しており,ロボット手術が普及しつつある今,必要とされる1冊である。