ビジュアル脳神経外科 7

頭蓋底2:後頭蓋窩・錐体斜台部

頭蓋底2:後頭蓋窩・錐体斜台部

■担当編集 斉藤 延人

定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
  • A4判  248ページ  オールカラー,イラスト220点,写真248点
  • 2012年3月5日刊行
  • ISBN978-4-7583-1183-0

後頭蓋窩・錐体・斜台部病変への手術アプローチをエキスパートに学ぶ

進歩の著しい脳神経外科手術の現状を踏まえて,脳神経外科専門医および専門医を目指す若手医師が知っておくべき知識と技術を解説したシリーズ第7巻。本巻では後頭蓋窩と錐体・斜台部を取り上げる。
この部位での疾患は機能的疾患,腫瘍から脳血管障害まで多岐にわたり,また患部へのアプローチも様々で,深い解剖知識と経験が重要となる。本巻では,基本的な解剖から,機能検査,モニタリング,そして代表的な手術アプローチと疾患の治療を豊富なイラストを用いて解説する。後頭蓋窩・錐体・斜台部の手術の基本が学べる一冊となっている。

■シリーズ編集
片山容一/冨永悌二/斉藤延人


序文

 この度,『ビジュアル脳神経外科 7巻 頭蓋底② 後頭蓋窩・錐体斜台部』が上梓される運びとなりました。本シリーズは第1巻『前頭葉・頭頂葉』にはじまり,脳の構造や機能を理解し手術をはじめとした日常診療に役立てることを目的に編集されています。単なる手術書とは異なり,バックグランドとなる解剖や生理の知識をはじめ,手術の考え方を学べるようになっています。また,イラストや画像などを多用し,わかりやすく親しみやすい教科書として最新版の知識を提供しています。
 後頭蓋窩や錐体斜台部の手術は脳神経外科の手術の中でも難易度が高く手術の花形の一つと言えます。特にこの20年程度における進歩は著しく,常にアップデートが繰り返され,かなり完成の域に到達していると言えます。それに伴い関連する知識も相当量が蓄積されており,本書はこれをまとめて俯瞰できるタイムリーな書と言えます。今回は特に現在第一線でご活躍中の先生に分担執筆をお願いし,後頭蓋窩・錐体斜台部分野のまとめの書といたしました。
 第一章では解剖や画像検査について,イラストや図を多用してわかりやすく解説されています。第二章では,機能検査とモニタリングについて,耳鼻咽喉科の先生にもお願いして専門家の解説をいただきました。第三章の後頭蓋窩・錐体斜台部の手術では,基本頭蓋底アプローチと疾患に対する治療法について,それぞれ第一人者の先生方に解説をいただいています。本書がこの分野を学ぶ諸氏にとって,知識の整理や日常診療にお役立ていただけると確信しています。
 最後に,ご多用中にもかかわらずご執筆をお引き受けいただきました執筆者の方々に深謝申し上げます。また,本書の企画から編集,イラストの作成などご尽力をいただきましたメジカルビュー社の担当諸氏に厚く御礼申し上げます。

2012年1月
斉藤延人
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目次

Ⅰ.後頭蓋窩・錐体・斜台部の解剖と画像検査
後頭蓋窩頭蓋底の解剖総論 坂田勝巳
 後頭蓋窩の基本解剖
 後頭蓋窩病変に対する到達法
 後頭下筋層の解剖
 後頭蓋窩手術に必要な骨学
 後頭蓋窩頭蓋底の手術解剖
 最後に

後頭蓋窩病変のCT,MRI 菊田潤子,阿部 修
 脊索腫(chordoma)
 軟骨腫/軟骨肉腫(chondroma/chondrosarcoma)
 グロムス腫瘍(glomus tumor)
 髄膜腫(meningioma)
 神経鞘腫(schwannoma)
 内リンパ嚢腫(endolymphatic sac tumor)
 コレステロール肉芽腫(cholesterol granuloma)
 くも膜嚢胞(arachnoid cyst)
 類上皮腫(epidermoid cyst)
 類皮腫(dermoid cyst)
 多発性骨髄腫/形質細胞腫(multiple myeloma/ plasmacytoma)
 鼻副鼻腔/上咽頭原発悪性腫瘍(sinonasal/ nasopharyngeal malignant tumor),転移性腫瘍
 (metastatic tumor)

脳神経の画像診断 岡本浩一郎,藤井幸彦
 脳神経と神経孔・神経管のMR脳槽撮像法での画像所見
   第Ⅳ脳神経(CN-Ⅳ):滑車神経(trochlear nerve)
   第Ⅴ脳神経(CN-Ⅴ):三叉神経 trigeminal nerve
   第Ⅵ脳神経(CN-Ⅵ):外転神経abducens nerve
   第Ⅶ脳神経(CN-Ⅶ):顔面神経facial nerve
   第Ⅷ脳神経(CN-Ⅷ):前庭蝸牛神経Vestibulocochlear nerve(内耳神経acoustic nerve)
   第Ⅸ脳神経(CN-IX):舌咽神経 glossopharyngeal nerve
   第Ⅹ脳神経(CN-X):迷走神経 vagal nerve
   第ⅩⅠ脳神経(CN-XI):副神経 accessory nerve
   第ⅩⅡ脳神経(CN-XII):舌下神経 hypoglossal nerve
 T2R
 神経路・神経核の画像診断: 3DAC法
 おわりに

後頭蓋窩静脈・静脈洞の外科解剖 勝田俊郎
 錐体静脈(petrosal vein)
 頚静脈孔近傍
 脳底静脈叢(basilar venous plexus)
 Inferior petroclival vein
 後頭顆周囲の静脈

Ⅱ.後頭蓋窩・錐体・斜台部の機能検査とモニタリング
聴力の検査 狩野章太郎
 純音聴力検査
 語音聴力検査
 聴性脳幹反応(auditory brain stem response:ABR)
 DPOAE

めまいと平衡機能の検査 室伏利久
 平衡機能検査総論 50
 自発眼振検査,注視眼振検査,頭位・頭位変換眼振検査
 ENGを用いた検査
 VEMP検査
 重心動揺計検査

咽頭・喉頭の機能と検査 二藤隆春
 咽頭・喉頭の解剖と機能
   咽頭の解剖
   喉頭の解剖
   音声と構音
   嚥下
 咽頭・喉頭の機能評価
   基本的診察とスクリーニング
   特殊機器を用いた機能評価

各種脳神経モニタリング 鈴木恭一
 脳神経の解剖
 モニタリングと麻酔
 運動性脳神経の麻酔
   経頭蓋電気刺激による誘発筋電図モニタリング
   脳神経直接電気刺激による誘発筋電図モニタリング
   代表症例呈示
 感覚性脳神経のモニタリング
   三叉神経(三叉神経脊髄路)のモニタリング
   聴神経のモニタリング
 まとめ

Ⅲ.後頭蓋窩・錐体斜台部の手術
■基本頭蓋底アプローチ
Retrosigmoid approach 周郷延雄
 皮膚切開線
 手術体位
 筋層の切離と,後頭動脈,椎骨動脈との関係
 骨表面の解剖と開頭
 硬膜切離と髄液排出
 顕微鏡下操作
 閉創(硬膜閉鎖:髄液漏予防)

Anterior petrosal approach−三叉神経シュワン細胞腫 吉田一成
 三叉神経シュワン細胞腫の分類
 Anterior petrosal approachの手術手技
   体位
   皮切〜開頭
   中頭蓋底の剥離
   Anterior petrosectomy
   上錐体静脈洞,テントの離断
   腫瘍切除
   Anterior petrosal approachのvariation
   P typeの三叉神経シュワン細胞腫とanterior petrosal approach
   閉創と術後管理

Posterior petrosal approach 後藤剛夫,大畑建治
 適応病態
 術前準備
   腹壁脂肪採取と腰椎ドレナージの留置
   患者体位
 皮膚切開および筋膜骨膜弁採取
 開頭
 S状静脈洞の露出
 硬膜剥離と錐体骨露出
 錐体骨削除と半規管の同定
 硬膜,テント切開
 脳内の観察
   後頭蓋窩腔の脳神経,血管系の観察
   テント上腔の脳神経,血管系の観察
 閉創
 合併症

Transjugular Approach−頚静脈孔腫瘍  川原信隆
 頚静脈孔腫瘍の種類と手術適応
   頚静脈孔腫瘍の種類
   手術適応
 手術に必要な解剖
   後頭下筋群
   骨・血管・神経の解剖
 開頭およびアプローチ
   頚静脈孔へのアプローチの種類
   アプローチの選択
   後外側到達法(posterolateral transjugular approach)
   後方到達法(posterior transjugular approach)

経乳突洞・経迷路アプローチ 河野道宏
 適応
 長所と短所
   長所
   短所
 開頭およびアプローチ
   準備
   体位
   皮切
   Pericranial flap作成と骨の露出
   Mastoidectomyの実際
   硬膜内操作
   修復・再建
   術後管理
 最後に

■疾患に対する治療法
聴神経腫瘍の手術 甲村英二
 手術に必要な解剖の要点
 手術体位
 開頭と硬膜切開
 内耳道後壁の削除
 腫瘍摘出

小脳橋角部髄膜腫の治療戦略 中冨浩文,吉野正紀,金 太一,國井尚人,斉藤延人
 適応
 治療戦略
   ポイント1:脳血管造影によるfeeder中心(栄養血管中心)の同定と分類
   ポイント2:三次元融合画像による脳神経を含む病態解剖の同定
   ポイント3:Feeder中心分類に基づく三次元画像シミュレーションによる
    手術戦略の構築
 開頭およびアプローチ,局所解剖
   Tentorial type
   Petroclival type
   Anterior petrous type

錐体斜台髄膜腫の治療戦略 長谷川光広
 治療戦略
 手術手技のポイント
   Anterior petrosal approach(APA)
   Posterior petrosal approach(PPA)
 症例

大孔部髄膜腫の手術 田中雄一郎,森嶋啓之
 手術適応
 画像診断
 術前塞栓術
 術中機能モニタリング
 手術体位,頭位,皮膚切開
 筋層の処置
 開頭
 腫瘍摘出

脊索腫の治療戦略と各種アプローチ 齋藤 清,渡邉 督
 適応
 治療戦略
 脊索腫に対する各種頭蓋底アプローチ
   Anterior craniofacial approach
   Orbitozygomatic approach
   Petrosal approach
   Endonasal endoscopic approach

第四脳室腫瘍の手術 高安武志,栗栖 薫
 手術に必要な解剖
 手術
   体位と頭位
   皮膚切開
   大後頭孔,環椎の後弓の露出
   開頭
   硬膜切開
   硬膜内操作

複雑な椎骨・脳底動脈瘤の手術−上部脳底動脈部分血栓化巨大脳動脈瘤 宮本 享,髙橋 淳,舟木健史,飯原弘二
 上部脳底動脈部分血栓化巨大動脈瘤に対する過去の戦略
   Hunterian occlusion(脳底動脈遮断)
   体外循環を併用した低体温・脳循環停止下のネッククリッピング術
   瘤内塞栓術
 上部脳底動脈部分血栓化巨大動脈瘤に対するflow alteration treatment
 Flow alteration treatmentの実際
   術前検査
   アプローチの選択
   麻酔・体位
   皮切・開頭
   STAの採取
   硬膜切開とambient cisternへの進入
   Ambient cistern内での剥離操作とrecipientの準備
   吻合操作
   脳底動脈遮断,分枝遮断
   閉頭
 治療成績と問題点
   侵襲性
   瘤内血流腔の完全血栓化に伴う近傍穿通枝の血栓性閉塞
   完全血栓化が得られないケースの存在
 おわりに
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