ビジュアル脳神経外科 4
脳室・松果体
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定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
- A4判 240ページ オールカラー,イラスト171点,写真219点
- 2011年3月24日刊行
- ISBN978-4-7583-1180-9
序文
この度「ビジュアル脳神経外科 4−脳室・松果体」が上梓されました。このシリーズは“ビジュアル”と銘打っているだけに,視覚的に外科的解剖や様々なアプローチを捉えることができるという特徴があります。脳神経外科の手術を滞りなく行うためには,手術前のイメージリハーサルが大変重要です。手術前に術野のイメージが浮かび,頭の中で手術操作のシミュレーションができればその手術は半ば成功したも同然であり,そのためには経験の蓄積が必要とされます。最近では手術前に様々な神経画像情報を取り込んだコンピューターにより手術のシミュレーションが行われるようになりました。確かにコンピューター画像による三次元術野の構築は,正確であり経験を補う上で有用かもしれません。しかし,成書の上でkeyになる外科解剖図,術中模式図をじっくり眺めるのも大きな意味があります。これらの図譜には,筆者が重要だと思うこと,是非頭に入れておいて欲しい事柄が巧まずして強調されており,読者は自然と手術のポイントのイメージを掴むことができるからです。また本書では,“Check point”や“Don't do it”などのユニークなコーナーがレイアウトされているのも大きな特徴です。手術や解剖に関する要諦あるいはコツが大変理解しやすく列記されており,特に若い先生には大いに役立つものと思います。
さて,本号は「脳室・松果体」をテーマとしており,松果体の機能や髄液産生など機能的側面をはじめとして,脳室内腫瘍・松果体部腫瘍の解剖やこれらに対する様々な外科的アプローチを掲載しています。特に第三脳室腫瘍は,脳深部にへアプローチを必要とするため,これまでの脳神経外科の歴史の中で様々なアプローチが開発されてきました。それらのアプローチを網羅するとともに,過誤腫やてんかん,ガレン大静脈瘤など脳室や松果体部に関連する疾患も取り上げています。また水頭症は脳室に関連した重要な病態であり,小児水頭症や正常圧水頭症に関しても執筆いただきました。最近では神経内視鏡が汎用されるようになり,内視鏡手術に必要な脳室の解剖や実際的手技についても記載しています。
多忙の中,各項目を執筆いただいたエキスパートの先生方に感謝すると同時に,本書がこれから脳神経外科手術を学ぶ若手脳神経外科医のみならず,手術にかかわる多くの先生のお役に立つことを切に祈念いたします。
2011年2月
冨永悌二
さて,本号は「脳室・松果体」をテーマとしており,松果体の機能や髄液産生など機能的側面をはじめとして,脳室内腫瘍・松果体部腫瘍の解剖やこれらに対する様々な外科的アプローチを掲載しています。特に第三脳室腫瘍は,脳深部にへアプローチを必要とするため,これまでの脳神経外科の歴史の中で様々なアプローチが開発されてきました。それらのアプローチを網羅するとともに,過誤腫やてんかん,ガレン大静脈瘤など脳室や松果体部に関連する疾患も取り上げています。また水頭症は脳室に関連した重要な病態であり,小児水頭症や正常圧水頭症に関しても執筆いただきました。最近では神経内視鏡が汎用されるようになり,内視鏡手術に必要な脳室の解剖や実際的手技についても記載しています。
多忙の中,各項目を執筆いただいたエキスパートの先生方に感謝すると同時に,本書がこれから脳神経外科手術を学ぶ若手脳神経外科医のみならず,手術にかかわる多くの先生のお役に立つことを切に祈念いたします。
2011年2月
冨永悌二
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目次
I 脳室・松果体の機能と構造
脳室・松果体の機能と解剖
脳室の構造と機能
脳室の発生
脳室の形態
脳室壁の微細構造と機能
脳室周囲器官(CVO)
組織間液・脳浮腫液と脳室
松果体の構造と機能
松果体の構造
松果体の機能
脳脊髄液循環の生理
髄液循環
髄液の産生
髄液の流れ
髄液の吸収
血液脳関門と血液髄液関門
髄液循環の発生学
脳脊髄液圧
脳室内とその近傍腫瘍の神経症候
水頭症・頭蓋内圧亢進の症候
側脳室内腫瘍
側脳室内髄膜腫(meningioma of the lateral ventricle)
脈絡膜乳頭腫(choroid plexus papilloma)
中枢神経細胞腫(central neurocytoma)
類上皮腫(epidermoid)
第三脳室腫瘍
第三脳室前半部腫瘍
第三脳室後半部腫瘍
第四脳室腫瘍
II.脳室・松果体の画像診断・検査
CT,MRI
脳室・松果体のMRIの撮像方法とアーチファクト
ルーチン撮像法
3D T2強調像,MR cisternography
CSF flow
脳室・松果体のCT:撮影方法とアーチファクト
脳室・松果体のCT・MRI解剖
側脳室下角とその周辺,海馬付近の嚢胞
側脳室三角部・後角とその周辺
側脳室体部
側脳室前角とモンロー孔付近
第三脳室と松果体
脳室・松果体の正常変異と病変のCT・MRI診断
透明中隔腔,ベルガ腔,中間帆腔
前角付近の嚢胞,隔壁,小結節
三角部・後角の病変・変異
松果体の病変・変異
その他
III.脳室・松果体の手術
腫瘍
第三脳室腫瘍 Trans-lamina terminalis approach
適応
外科解剖
Interhemispheric trans-lamina terminalis approach
体位,開頭,硬膜切開
硬膜内アプローチ操作
視交叉周囲の剥離
下垂体茎の確認
腫瘍の内減圧
腫瘍の摘出
周術期管理
第三脳室腫瘍 Transcallosal/transforaminal approach
手術およその計画に必要な解剖知識
第三脳室の構造
脈絡裂の解剖
第三脳室の動静脈
側脳室から第三脳室へのアプローチの概要
手術法
開頭から側脳室到達まで
Transforaminal approach
Transchoroidal approach
Subchoroidal approach
Interforniceal approach
腫瘍摘出
視床下部過誤腫
HHの病因
臨床特徴
神経解剖と画像診断
MRI分類
発作原性(ictogenesis)と発作症候発現(symptomatogenesis)
HHに対するアプローチ
MRIガイド定位温熱凝固術
側脳室腫瘍
側脳室およその周辺の解剖
側脳室
側脳室周辺の構造
脈絡叢(choroid plexus)と脈絡裂(choroidal fissure)
脈絡叢動脈(choroidal arteries)
側脳室の静脈
手術アプローチ
前角部およ体部腫瘍
三角部およ後角部腫瘍
第四脳室腫瘍
第四脳室の解剖
第四脳室基本構造
第四脳室屋根
第四脳室底
第四脳室側壁
小脳延髄裂
脈絡組織,脈絡ヒモ,外側陥凹
小脳延髄裂を走る血管
手術を計画するにあたり必要な検討事項
正中後頭下開頭の実際
体位,術者の位置
病変部位による開頭範囲と骨窓形成の決定
開頭範囲と骨窓形成
硬膜切開と小脳半球後頭骨面の観察:後頭静脈洞と小脳半球の静脈について
第四脳室内の腫瘍摘出
松果体部腫瘍 Occipital transtentorial approach
手術手技
体位設定
アプローチ側の決定
皮切・開頭
脳室ドレナージ
硬膜切開
架橋静脈の処理
テント切開
迂回槽くも膜切離・BVの剥離温存
腫瘍摘出
終わりに
松果体部腫瘍 Supracerebellar approach
解剖
アプローチ
アプローチの適応
手術法
てんかん
Callosotomyの適応となるてんかん
脳梁離断術の手術適応
脳梁離断術の解剖
冠状断面
矢状断面
大脳鎌との関連
アプローチ
MRV
手術中の解剖学的位置関係の把握
脳梁の離断範囲
血管病変
ガレン大静脈瘤
分類・発生学的背景
血管構築
病態生理
画像診断
症状
治療
血管内治療
水頭症と巨頭症
成績
水頭症
水頭症の病態分類と臨床像
脳室の解剖
髄液の産生と吸収
水頭症の発生機序
水頭症の分類
交通性と非交通性水頭症
先天性と後天性(続発性)水頭症
水頭症の臨床像
小児の水頭症
正常圧水頭症
胎児期水頭症の診断
正常脳形態
胎児期脳室拡大の指標
水頭症と側脳室拡大
三次元(3D)超音波による脳内描出
Tomographic Ultrasound Imaging(TUI)
体積計算(volume calculation)
反転表示モード(inversion mode)
Volume contrast imaging
表面構築画像
骨構築の描出
小児水頭症の病態と治療
小児水頭症の病態
小児水頭症の分類
小児水頭症の症状
頭蓋縫合の骨性閉鎖前
頭蓋縫合の骨性閉鎖後
小児水頭症の治療
治療の適応
治療の方法
水頭症の予後
正常圧水頭症の診断と治療
iNPHについて
臨床症状
画像所見
CSF tap test(髄液排除試験)
治療
iNPHの鑑別疾患
二次性正常圧水頭症
内視鏡による水頭症治療
水頭症に対する神経内視鏡手術の適応
モンロー孔閉塞
中脳水道閉塞・狭窄
ルシュカ孔,マジャンディー孔および近傍の閉塞
神経内視鏡下第三脳室開窓術の実際
手術体位
皮膚切開から脳室穿刺
内視鏡の挿入
開窓術
内視鏡抜去から閉創
IV.神経内視鏡手術−解剖と手技
正常解剖
脳室の解剖(解剖学的解剖)
側脳室 lateral ventricle
第三脳室 third ventricle
内視鏡手術の実際
脳室穿刺
Monro孔から第三脳室内へ
おわりに
第三脳室底開窓術
内視鏡的第三脳室底開窓術(ETV)の適応疾患
術前診断,検査
手術手技の実際
使用器具
手術室内のセッティング
体位,皮切,脳室穿刺
脳室内操作
第三脳室底開窓術が困難な例
第三脳室底開窓術で注意したい合併症
腫瘍
合併する水頭症に対する治療
生検術
一般的注意
第三脳室へのアプローチ
側脳室へのアプローチ
第四脳室へのアプローチ
腫瘍部分摘出術
腫瘍全摘出術
脳室・松果体の機能と解剖
脳室の構造と機能
脳室の発生
脳室の形態
脳室壁の微細構造と機能
脳室周囲器官(CVO)
組織間液・脳浮腫液と脳室
松果体の構造と機能
松果体の構造
松果体の機能
脳脊髄液循環の生理
髄液循環
髄液の産生
髄液の流れ
髄液の吸収
血液脳関門と血液髄液関門
髄液循環の発生学
脳脊髄液圧
脳室内とその近傍腫瘍の神経症候
水頭症・頭蓋内圧亢進の症候
側脳室内腫瘍
側脳室内髄膜腫(meningioma of the lateral ventricle)
脈絡膜乳頭腫(choroid plexus papilloma)
中枢神経細胞腫(central neurocytoma)
類上皮腫(epidermoid)
第三脳室腫瘍
第三脳室前半部腫瘍
第三脳室後半部腫瘍
第四脳室腫瘍
II.脳室・松果体の画像診断・検査
CT,MRI
脳室・松果体のMRIの撮像方法とアーチファクト
ルーチン撮像法
3D T2強調像,MR cisternography
CSF flow
脳室・松果体のCT:撮影方法とアーチファクト
脳室・松果体のCT・MRI解剖
側脳室下角とその周辺,海馬付近の嚢胞
側脳室三角部・後角とその周辺
側脳室体部
側脳室前角とモンロー孔付近
第三脳室と松果体
脳室・松果体の正常変異と病変のCT・MRI診断
透明中隔腔,ベルガ腔,中間帆腔
前角付近の嚢胞,隔壁,小結節
三角部・後角の病変・変異
松果体の病変・変異
その他
III.脳室・松果体の手術
腫瘍
第三脳室腫瘍 Trans-lamina terminalis approach
適応
外科解剖
Interhemispheric trans-lamina terminalis approach
体位,開頭,硬膜切開
硬膜内アプローチ操作
視交叉周囲の剥離
下垂体茎の確認
腫瘍の内減圧
腫瘍の摘出
周術期管理
第三脳室腫瘍 Transcallosal/transforaminal approach
手術およその計画に必要な解剖知識
第三脳室の構造
脈絡裂の解剖
第三脳室の動静脈
側脳室から第三脳室へのアプローチの概要
手術法
開頭から側脳室到達まで
Transforaminal approach
Transchoroidal approach
Subchoroidal approach
Interforniceal approach
腫瘍摘出
視床下部過誤腫
HHの病因
臨床特徴
神経解剖と画像診断
MRI分類
発作原性(ictogenesis)と発作症候発現(symptomatogenesis)
HHに対するアプローチ
MRIガイド定位温熱凝固術
側脳室腫瘍
側脳室およその周辺の解剖
側脳室
側脳室周辺の構造
脈絡叢(choroid plexus)と脈絡裂(choroidal fissure)
脈絡叢動脈(choroidal arteries)
側脳室の静脈
手術アプローチ
前角部およ体部腫瘍
三角部およ後角部腫瘍
第四脳室腫瘍
第四脳室の解剖
第四脳室基本構造
第四脳室屋根
第四脳室底
第四脳室側壁
小脳延髄裂
脈絡組織,脈絡ヒモ,外側陥凹
小脳延髄裂を走る血管
手術を計画するにあたり必要な検討事項
正中後頭下開頭の実際
体位,術者の位置
病変部位による開頭範囲と骨窓形成の決定
開頭範囲と骨窓形成
硬膜切開と小脳半球後頭骨面の観察:後頭静脈洞と小脳半球の静脈について
第四脳室内の腫瘍摘出
松果体部腫瘍 Occipital transtentorial approach
手術手技
体位設定
アプローチ側の決定
皮切・開頭
脳室ドレナージ
硬膜切開
架橋静脈の処理
テント切開
迂回槽くも膜切離・BVの剥離温存
腫瘍摘出
終わりに
松果体部腫瘍 Supracerebellar approach
解剖
アプローチ
アプローチの適応
手術法
てんかん
Callosotomyの適応となるてんかん
脳梁離断術の手術適応
脳梁離断術の解剖
冠状断面
矢状断面
大脳鎌との関連
アプローチ
MRV
手術中の解剖学的位置関係の把握
脳梁の離断範囲
血管病変
ガレン大静脈瘤
分類・発生学的背景
血管構築
病態生理
画像診断
症状
治療
血管内治療
水頭症と巨頭症
成績
水頭症
水頭症の病態分類と臨床像
脳室の解剖
髄液の産生と吸収
水頭症の発生機序
水頭症の分類
交通性と非交通性水頭症
先天性と後天性(続発性)水頭症
水頭症の臨床像
小児の水頭症
正常圧水頭症
胎児期水頭症の診断
正常脳形態
胎児期脳室拡大の指標
水頭症と側脳室拡大
三次元(3D)超音波による脳内描出
Tomographic Ultrasound Imaging(TUI)
体積計算(volume calculation)
反転表示モード(inversion mode)
Volume contrast imaging
表面構築画像
骨構築の描出
小児水頭症の病態と治療
小児水頭症の病態
小児水頭症の分類
小児水頭症の症状
頭蓋縫合の骨性閉鎖前
頭蓋縫合の骨性閉鎖後
小児水頭症の治療
治療の適応
治療の方法
水頭症の予後
正常圧水頭症の診断と治療
iNPHについて
臨床症状
画像所見
CSF tap test(髄液排除試験)
治療
iNPHの鑑別疾患
二次性正常圧水頭症
内視鏡による水頭症治療
水頭症に対する神経内視鏡手術の適応
モンロー孔閉塞
中脳水道閉塞・狭窄
ルシュカ孔,マジャンディー孔および近傍の閉塞
神経内視鏡下第三脳室開窓術の実際
手術体位
皮膚切開から脳室穿刺
内視鏡の挿入
開窓術
内視鏡抜去から閉創
IV.神経内視鏡手術−解剖と手技
正常解剖
脳室の解剖(解剖学的解剖)
側脳室 lateral ventricle
第三脳室 third ventricle
内視鏡手術の実際
脳室穿刺
Monro孔から第三脳室内へ
おわりに
第三脳室底開窓術
内視鏡的第三脳室底開窓術(ETV)の適応疾患
術前診断,検査
手術手技の実際
使用器具
手術室内のセッティング
体位,皮切,脳室穿刺
脳室内操作
第三脳室底開窓術が困難な例
第三脳室底開窓術で注意したい合併症
腫瘍
合併する水頭症に対する治療
生検術
一般的注意
第三脳室へのアプローチ
側脳室へのアプローチ
第四脳室へのアプローチ
腫瘍部分摘出術
腫瘍全摘出術
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脳神経外科医必須の最新の知識・技術を豊富なイラストと写真を用いて解説した実践シリーズ
進歩の著しい脳神経外科の現状を踏まえて,脳神経外科専門医および専門医を目指す若手医師が知っておくべき知識と技術を解説したシリーズ第4巻。今回は,脳室・松果体を取り上げる。まず脳室・松果体の構造や症候を解説し,さらに脳室・松果体の画像診断,この部位に多い疾患である腫瘍,水頭症を中心に,手術のアプローチ法を豊富なイラスト,写真を用いて解説する。また脳室・松果体手術に有用な神経内視鏡についても触れる。