小切開硝子体手術 入門!
これだけわかれば始められる
定価 14,300円(税込) (本体13,000円+税)
- A4判 256ページ オールカラー,イラスト80点,写真700点
- 2014年8月11日刊行
- ISBN978-4-7583-1090-1
序文
近代硝子体手術の父というべきRobert Machemerが毛様体扁平部アプローチによる閉鎖腔内で行う硝子体手術を開発したのは1970年頃のことであり,その後,2001年にEugene de Juanが25ゲージの経結膜的アプローチの小切開硝子体手術の発表に至るまで約30年あまりの月日が経過している。黎明期の3ポートシステム硝子体手術は,選ばれし眼科医のみが立ち入れる眼科手術の聖域というべき分野であり,小切開硝子体手術の出現に至るこの30年間は網膜硝子体疾患の病態解明,術式の確立や手術手技の研鑽に費やしてきたと言っても過言ではない。
個人的な印象として,経結膜的アプローチによる23ゲージや25ゲージ小切開硝子体手術の出現は,単に解剖学的な形態修復のみならず,視機能の向上を求める新しいステージに硝子体手術を昇華させた感がある。すなわち,硝子体手術はもはや一部のゴッドハンドに限って行うべき手術ではなく,多くの眼科手術医が知っておくべき普遍的な術式だと言える。今後,硝子体手術を目指そうとする多くの若い世代の術者は,いかに正しくスタートを切り,そしてステップ・バイ・ステップで小切開硝子体手術を学んで行くことが重要である。
現存する硝子体手術に関わる書籍を拝読すると,硝子体手術に必要な知識を万遍なく網羅的に集約した知識本は多く存在するが,「ずぶの初心者が小切開硝子体手術を始めるためにはどうすればよいのか?」という問いに応える書籍は少ない。本書は『これだけわかれば始められる』という副題の通り,全くゼロから小切開硝子体手術を始めるにあたって,最小限度に必要な知識,設備,技術の習得,そして最も重要なポイントである「執刀すべきではない症例」,「初心者に可能なトラブルシューティングとその限界」について,事細かに解説している。
本書は全項にわたり,実際に小切開硝子体手術を数多く経験した第一線のサージャン自ら執筆を担当するように依頼した。手術内容の実際はオンラインで動画を視聴することができるので,紙面にはできるだけ術中の手の動きや術野のセッティングがわかるような術中のサイドビュー写真を多く取り入れて懇切丁寧に解説し,現場で見学しているような感覚で手術手技の実際を理解していただくように工夫した。また,手術機械や装置の解説は最新情報へのアップデートはもちろんのこと,各病院やクリニックレベルで硝子体手術を始めるための設備投資,機械や人員の動線配置の解説など,きわめて実践的な内容になっているのが特徴である。
本書はタイトルにある『入門』という名の通り,これから小切開硝子体手術を始める初心者にとって欠かせないバイブルになるであろう。そして,本書によって一人でも多くの網膜硝子体術者の育成に役立てれば,望外の喜びである。
2014年7月吉日
大島佑介,門之園一明,安原 徹
個人的な印象として,経結膜的アプローチによる23ゲージや25ゲージ小切開硝子体手術の出現は,単に解剖学的な形態修復のみならず,視機能の向上を求める新しいステージに硝子体手術を昇華させた感がある。すなわち,硝子体手術はもはや一部のゴッドハンドに限って行うべき手術ではなく,多くの眼科手術医が知っておくべき普遍的な術式だと言える。今後,硝子体手術を目指そうとする多くの若い世代の術者は,いかに正しくスタートを切り,そしてステップ・バイ・ステップで小切開硝子体手術を学んで行くことが重要である。
現存する硝子体手術に関わる書籍を拝読すると,硝子体手術に必要な知識を万遍なく網羅的に集約した知識本は多く存在するが,「ずぶの初心者が小切開硝子体手術を始めるためにはどうすればよいのか?」という問いに応える書籍は少ない。本書は『これだけわかれば始められる』という副題の通り,全くゼロから小切開硝子体手術を始めるにあたって,最小限度に必要な知識,設備,技術の習得,そして最も重要なポイントである「執刀すべきではない症例」,「初心者に可能なトラブルシューティングとその限界」について,事細かに解説している。
本書は全項にわたり,実際に小切開硝子体手術を数多く経験した第一線のサージャン自ら執筆を担当するように依頼した。手術内容の実際はオンラインで動画を視聴することができるので,紙面にはできるだけ術中の手の動きや術野のセッティングがわかるような術中のサイドビュー写真を多く取り入れて懇切丁寧に解説し,現場で見学しているような感覚で手術手技の実際を理解していただくように工夫した。また,手術機械や装置の解説は最新情報へのアップデートはもちろんのこと,各病院やクリニックレベルで硝子体手術を始めるための設備投資,機械や人員の動線配置の解説など,きわめて実践的な内容になっているのが特徴である。
本書はタイトルにある『入門』という名の通り,これから小切開硝子体手術を始める初心者にとって欠かせないバイブルになるであろう。そして,本書によって一人でも多くの網膜硝子体術者の育成に役立てれば,望外の喜びである。
2014年7月吉日
大島佑介,門之園一明,安原 徹
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目次
Ⅰ.硝子体手術を始めるときに知っておくべき基本知識と基本セッティング
硝子体手術の変遷
硝子体手術装置の特性
硝子体手術機械
ConstellationⓇ
StellarisⓇ PC
FortasⓇ
手術器具(器具の選定や特性)
照明
顕微鏡
拡大・広角観察系
広角 接触型 Mini QuadⓇ
広角 非接触 RESIGHTⓇ
広角 BIOMⓇ
広角 OFFISS
拡大 接触型 Central RetinaⓇ
拡大 OFFISS 40D
拡大 RESIGHTⓇ 60D
薬剤
Brilliant Blue G(BBG)
Indocyanine Green(ICG)
マキュエイドⓇ
パーフルオロカーボン
手術室の設置(術者 , 助手 , 看護師 , 患者 , 手術機器の位置・配置)
病院の手術室の設置
眼科専門病院の手術室の設置
クリニックの手術室の設置(その1)
クリニックの手術室の設置(その2)
術前の処置&セッティング
病院の硝子体手術基本セッティング
クリニックの硝子体手術基本セッティング
手術室(手術時)に必要なレジュメ,マニュアル
Ⅱ.症例の選択
初心者が執刀すべきでない症例
Ⅲ.術式
術式の選択
単独手術の適応と実際
IOL眼の硝子体手術の実際と注意点
同時手術の適応とIOL選択
具体的疾患
さまざまな原因による硝子体出血
さまざまな原因による硝子体混濁
黄斑疾患
黄斑前膜
黄斑円孔
黄斑浮腫
裂孔原性網膜剥離
白内障手術の合併症の対応
破嚢処理
核落下の処理
IOL落下 脱臼&亜脱臼
IOL縫着 毛様溝縫着
IOL強膜内固定
Ⅳ.トラブル症例,トラブル対処法
術中トラブルの予防と対処法
角膜混濁,角膜浮腫
脈絡膜灌流,網膜下灌流
医原性裂孔
水晶体接触,網膜接触
脈絡膜出血
術後のトラブル対処法・追加処置
術後眼圧異常
硝子体出血
原因やフォローの方法
網膜再剥離
術後眼内炎
Ⅴ.初心者のトラブルとトラブルシューティング
急激な眼球運動によってライトガイドを誤って落下させ,網膜出血と網膜裂孔を生じた症例
網膜下へのパーフルオロカーボンの迷入
硝子体可視化目的のトリアムシノロンが,網膜裂孔から網膜下に入ってしまった症例
前房内へタンポナーデ物質の脱出
シリコーンオイル抜去術中に生じた網膜剥離
ガス灌流下の網膜障害
液空気置換時での前房内へ空気の迷入
黄斑円孔手術における液空気置換時に網膜円孔形成を生じた症例
強度近視性黄斑分離に対する硝子体手術後に黄斑円孔形成,自己内境界膜移植を行った症例
術中上脈絡膜腔出血をきたした黄斑円孔症例
単純な裂孔原性網膜剥離のトラブル症例
Soemmering ring を伴った先天白内障術後の網膜剥離症例
眼球破裂の剥離網膜に癒着した凝血塊を t-PA で処理した症例
糖尿病網膜症による硝子体出血で新生血管が多発しており後部硝子体剥離の完成が困難であった症例(逃げるが勝ち)
星状硝子体症を伴う増殖糖尿病網膜症例
増殖膜が脈絡膜まで到達していた症例
感染性眼内炎かぶどう膜炎か診断に悩む症例
脈絡膜灌流に関するトラブル症例
症例 1 白内障手術中の核落下に対して硝子体手術にコンバートした際の脈絡膜灌流
症例 2 小切開硝子体手術の術中生じた上脈絡膜灌流の 1 例
症例 3 無菌性眼内炎症例での眼内灌流液の脈絡膜下灌流
症例 4 脈絡膜下灌流
硝子体手術の変遷
硝子体手術装置の特性
硝子体手術機械
ConstellationⓇ
StellarisⓇ PC
FortasⓇ
手術器具(器具の選定や特性)
照明
顕微鏡
拡大・広角観察系
広角 接触型 Mini QuadⓇ
広角 非接触 RESIGHTⓇ
広角 BIOMⓇ
広角 OFFISS
拡大 接触型 Central RetinaⓇ
拡大 OFFISS 40D
拡大 RESIGHTⓇ 60D
薬剤
Brilliant Blue G(BBG)
Indocyanine Green(ICG)
マキュエイドⓇ
パーフルオロカーボン
手術室の設置(術者 , 助手 , 看護師 , 患者 , 手術機器の位置・配置)
病院の手術室の設置
眼科専門病院の手術室の設置
クリニックの手術室の設置(その1)
クリニックの手術室の設置(その2)
術前の処置&セッティング
病院の硝子体手術基本セッティング
クリニックの硝子体手術基本セッティング
手術室(手術時)に必要なレジュメ,マニュアル
Ⅱ.症例の選択
初心者が執刀すべきでない症例
Ⅲ.術式
術式の選択
単独手術の適応と実際
IOL眼の硝子体手術の実際と注意点
同時手術の適応とIOL選択
具体的疾患
さまざまな原因による硝子体出血
さまざまな原因による硝子体混濁
黄斑疾患
黄斑前膜
黄斑円孔
黄斑浮腫
裂孔原性網膜剥離
白内障手術の合併症の対応
破嚢処理
核落下の処理
IOL落下 脱臼&亜脱臼
IOL縫着 毛様溝縫着
IOL強膜内固定
Ⅳ.トラブル症例,トラブル対処法
術中トラブルの予防と対処法
角膜混濁,角膜浮腫
脈絡膜灌流,網膜下灌流
医原性裂孔
水晶体接触,網膜接触
脈絡膜出血
術後のトラブル対処法・追加処置
術後眼圧異常
硝子体出血
原因やフォローの方法
網膜再剥離
術後眼内炎
Ⅴ.初心者のトラブルとトラブルシューティング
急激な眼球運動によってライトガイドを誤って落下させ,網膜出血と網膜裂孔を生じた症例
網膜下へのパーフルオロカーボンの迷入
硝子体可視化目的のトリアムシノロンが,網膜裂孔から網膜下に入ってしまった症例
前房内へタンポナーデ物質の脱出
シリコーンオイル抜去術中に生じた網膜剥離
ガス灌流下の網膜障害
液空気置換時での前房内へ空気の迷入
黄斑円孔手術における液空気置換時に網膜円孔形成を生じた症例
強度近視性黄斑分離に対する硝子体手術後に黄斑円孔形成,自己内境界膜移植を行った症例
術中上脈絡膜腔出血をきたした黄斑円孔症例
単純な裂孔原性網膜剥離のトラブル症例
Soemmering ring を伴った先天白内障術後の網膜剥離症例
眼球破裂の剥離網膜に癒着した凝血塊を t-PA で処理した症例
糖尿病網膜症による硝子体出血で新生血管が多発しており後部硝子体剥離の完成が困難であった症例(逃げるが勝ち)
星状硝子体症を伴う増殖糖尿病網膜症例
増殖膜が脈絡膜まで到達していた症例
感染性眼内炎かぶどう膜炎か診断に悩む症例
脈絡膜灌流に関するトラブル症例
症例 1 白内障手術中の核落下に対して硝子体手術にコンバートした際の脈絡膜灌流
症例 2 小切開硝子体手術の術中生じた上脈絡膜灌流の 1 例
症例 3 無菌性眼内炎症例での眼内灌流液の脈絡膜下灌流
症例 4 脈絡膜下灌流
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これだけわかれば,あなたもすぐに小切開硝子体手術を始められます!
初心の手術者が小切開硝子体手術を始めるにあたり必要となる基本的知識(手術環境,セットアップ,周術期管理など)を噛み砕いた表現で解説しており,容易に理解できる内容となっている。また,初心者のうちは行ってはいけない症例を,理由も含めて明確に掲載している。
具体的な各疾患ごとの手術手技においても,執刀医サイド,助手サイドなどさまざまな角度・視点から理解できるよう,手術を失敗しないための見極めとコツについて記載を工夫している。さらに付録として,本書関連動画を眼科医閲覧の「アイセミナー」サイトにアップ。サイトトップページから“会員でなくとも本書シリアルナンバーで閲覧できる特設コーナー”に進むことができ,ストリーミング視聴が可能である。