泌尿器腹腔鏡手術
ベーシックテクニック
安全な手術のために
定価 17,600円(税込) (本体16,000円+税)
- B5変型判 336ページ 上製,オールカラー,イラスト150点,写真100点
- 2007年4月16日刊行
- ISBN978-4-7583-0564-8
在庫僅少です。
序文
手術は,外科医が有するKnowledge,Skill,およびJudgmentを駆使して行われる。安全で適切な手術遂行のためには,これらの要素の総合力としての外科医の能力Competenceが十分でなければならない。ほぼすべての泌尿器科手術を腹腔鏡下に施行できるようになり,年間3000件以上の泌尿器腹腔鏡手術が行われている現在,最も求められていることは一人一人の術者の能力の向上である。そして,安全に手術を完遂できる腹腔鏡手術能力を録画されたビデオで評価認定する制度として,泌尿器腹腔鏡技術認定制度が創設された。すでに200名以上の技術認定取得医が誕生し,全国で活躍している。
一方で,消化器外科領域での年間36000件以上に比べると,泌尿器科での腹腔鏡手術件数はまだまだ少ない。さらに,日本泌尿器科学会の調査によると2004年の根治的腎摘除術は全国で8205件に上るが,日本内視鏡外科学会の調査では同年の腹腔鏡手術は935件であり,根治的腎摘除術全体の11%を占めるに過ぎない。低侵襲手術を求める社会の要請が強くなる中で,泌尿器腹腔鏡手術件数は今後さらに増加すると予想される。まさに,腹腔鏡手術は泌尿器外科医に必須の技術となりつつある。
初めて泌尿器腹腔鏡手術が行われてから17年間に,新しい器具の開発,腹腔鏡手術特有の解剖の理解,標準術式の確立,予期せぬ合併症の経験,合併症を予防するためのルール,安全に手術を遂行するためのTipsなどが集積されてきた。泌尿器腹腔鏡技術認定制度が4年目を迎えた今,Urology View編集委員会では,現時点で最善と思われるKnowledgeとSkillを,新たに腹腔鏡手術に取り組む泌尿器科医に是非とも修得していただきたい項目に厳選し,「泌尿器腹腔鏡手術ベーシックテクニック」として編集した。本書が,多くの若手泌尿器科医に支持され,わが国における安全な泌尿器腹腔鏡手術の普及に寄与できれば,編集委員会にとって大きな喜びである。
分担執筆していただいた全国の泌尿器腹腔鏡手術のエキスパートの先生方に深謝する。
2007年3月
Urology View編集委員会
一方で,消化器外科領域での年間36000件以上に比べると,泌尿器科での腹腔鏡手術件数はまだまだ少ない。さらに,日本泌尿器科学会の調査によると2004年の根治的腎摘除術は全国で8205件に上るが,日本内視鏡外科学会の調査では同年の腹腔鏡手術は935件であり,根治的腎摘除術全体の11%を占めるに過ぎない。低侵襲手術を求める社会の要請が強くなる中で,泌尿器腹腔鏡手術件数は今後さらに増加すると予想される。まさに,腹腔鏡手術は泌尿器外科医に必須の技術となりつつある。
初めて泌尿器腹腔鏡手術が行われてから17年間に,新しい器具の開発,腹腔鏡手術特有の解剖の理解,標準術式の確立,予期せぬ合併症の経験,合併症を予防するためのルール,安全に手術を遂行するためのTipsなどが集積されてきた。泌尿器腹腔鏡技術認定制度が4年目を迎えた今,Urology View編集委員会では,現時点で最善と思われるKnowledgeとSkillを,新たに腹腔鏡手術に取り組む泌尿器科医に是非とも修得していただきたい項目に厳選し,「泌尿器腹腔鏡手術ベーシックテクニック」として編集した。本書が,多くの若手泌尿器科医に支持され,わが国における安全な泌尿器腹腔鏡手術の普及に寄与できれば,編集委員会にとって大きな喜びである。
分担執筆していただいた全国の泌尿器腹腔鏡手術のエキスパートの先生方に深謝する。
2007年3月
Urology View編集委員会
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目次
I 腹腔鏡手術の基礎
■手術準備と体位
手術準備
腹腔鏡手術の体制整備
腹腔鏡手術機器・器具の準備
術前準備
体位
腹腔鏡下副腎摘除術
腹腔鏡下根治的腎摘除術
その他の腹腔鏡下腎尿管手術
腹腔鏡下根治的前立腺摘除術
■気腹
気腹の生理作用
気腹に用いるガスの種類と気腹圧
呼吸器への影響
循環動態への影響
その他
気腹の実際
気腹装置
気腹用トロカーの留置
気腹圧異常
その他
気腹の利点
止血効果
術野の保持効果
気腹の合併症
ガス塞栓
深部静脈血栓症,肺梗塞
術後肩部痛
皮下気腫
ポート部再発(portsite recurrence)
■内視鏡係(スコピスト)の役割と内視鏡の選択
内視鏡の選択
内視鏡係の仕事
内視鏡操作の基本
画面上の天地の方向
内視鏡係の訓練
■腹腔鏡手術のトレーニング
岐阜大学グループでの経験
個人としての準備,経験
手術グループとしての準備と経験
グループとしての手術普及
個人としてのトレーニング−臨床前のトレーニング
チームとしての技量習熟,トレーニング−臨床のなかでのトレーニング
技術認定取得後の訓練−指導医としてのトレーニング
II 腹腔鏡手術のベーシックテクニック
■ポートの位置選定と挿入
ポート関連合併症に対する術前対策
危険因子の術前評価
術前準備
トロカーの種類
手術手技
第1ポートの選択
Hasson法
トロカー挿入時の注意点
後腹膜鏡下手術における小切開法
トロカー抜去時の注意点
■術野の確保
開腹術と腹腔鏡手術との概念の相違
腹腔鏡手術の長所
腹腔鏡の短所
手術中の術野の確保のコツ
後腹膜鏡手術時の術野確保のコツ
腹腔鏡手術時の術野確保のコツ
右側の場合
左側の場合
■剥離層の正確性
後腹膜腔の解剖
腎の被膜
後腹膜腔の外科的解剖
経腹膜アプローチによる剥離層
左腎に対するアプローチ
右腎に対するアプローチ
左副腎に対するアプローチ
右副腎に対するアプローチ
後腹膜アプローチによる剥離層
おわりに
■器具の使用法と安全な剥離切開操作(1)−電気メスを中心に−
電気メスの原理
切開,凝固
モノポーラ,バイポーラによる焼灼範囲
電気メスの種類
電気メスの使い方
器械の設定
鉗子の選択
切開
凝固
スコープの操作
排煙
電気メスによる障害
直接結合
絶縁不良
容量結合
腹腔鏡手術における電気メス使用の注意点
おわりに
■器具の使用法と安全な剥離切開操作(2)−超音波メスを中心に−
超音波凝固切開装置(USAD)の構造と原理
超音波凝固切開装置にとって重要なこと
剥離操作
把持力
凝固力
超音波凝固切開装置の注意すべき点
熱
キャビテーション
ミスト
USADの安全な使い方
おわりに
■器具の使用法と安全な剥離切開操作(3)−クリップ・リガシュアーを中心に−
クリップ
リガクリップR
エンドクリップ™
ヘモロックR
クリップの留意点
リガシュアー™ベッセルシーリングシステム
原理
結紮能力
特徴
使用法と禁止事項
泌尿器科領域での使用法
注意点とコツ
安全な剥離切開操作について
■大血管の処理
血管の剥離,結紮,止血法
腎動脈の剥離,クリッピング
腎動脈,腹部大動脈損傷の対処法
腎静脈の剥離,クリッピング
大静脈損傷の対処法
腎血管へのアプローチ
右経腹膜アプローチ
左経腹膜アプローチ
右後腹膜アプローチ
左後腹膜アプローチ
■出血に対する対応
解剖学事項
出血に対処するための器具の準備
吸引洗浄管
ガーゼ
止血器具
自動縫合器(endoscopic gastro-intestinal automatic stapler)
出血に対する対処
ステップ1:止血
ステップ2:血液吸引と術野の確保
ステップ3:損傷部位の確認
ステップ4:止血方法の決定と施行
ステップ5:開創手術への変更
おわりに
■縫合,結紮
用語の整理
縫合の器具,準備
体内縫合の実際
針の挿入
針の把持
男結び
弛みやすい状況下の糸結び
おわりに
■臓器損傷の予防
トロカー穿刺から炭酸ガス気腹まで
Veress needle(ヴェレス針)などの気腹針を用いた気腹,盲目的トロカー穿刺
open methodによる気腹,トロカー穿刺
剥離操作時の臓器損傷(1):術野を確保するまで
経腹膜到達法
後腹膜到達法
剥離操作時の臓器損傷(2):臓器,血管の剥離操作
腎・副腎摘除術
前立腺全摘除術
各術式での主要な臓器損傷
おわりに
■小児腹腔鏡手術の基本知識とテクニック
基本的事項
インフォームドコンセント
使用器具
術前準備
ポート位置および挿入法
臓器摘出および創部閉鎖
術式
停留精巣
腎摘除術
半腎摘除術
腎盂形成術
逆流防止術
合併症,その他
おわりに
Ⅲ 泌尿器腹腔鏡基本術式
■副腎の手術:経腹膜到達法−左側方到達法−
患者体位・器具の配置
手術器具
術者の位置
トロカー留置
術中操作の注意点
局所解剖の理解
手術手技
腹膜の切開
副腎の剥離
副腎の摘出,閉創
合併症予防のポイント
■副腎の手術:経腹膜到達法−右前方到達法−
最初に行っておくべき手術室のセットアップ
経腹膜到達法と後腹膜到達法の選択
前方到達法と側方到達法の違い
体位をこだわる
トロカー・ポートの位置
第1ポート
第1ポートの固定
第2,3,4ポート
副腎手術を行うにあたって肝に銘ずべきDos and Don'ts
ポートの位置
副腎損傷を起こさない
適切な副腎静脈の処理
道具の用い方
経腹膜右副腎摘除術のステップバイステップ
腹腔内の観察
第2〜第4のポート設置
肝臓の挙上
腹膜切開(三角靱帯切離)
副腎の剥離
副腎静脈の処理
副腎の摘出
止血確認
ドレーン設置と閉創
■副腎の手術:後腹膜到達法
手術術式
操作孔の作成
腎筋膜周囲の剥離
副腎周囲の剥離
腎上極の露出
中心静脈の剥離
副腎の創外への摘出と止血の確認
考察とまとめ
■腹腔鏡下根治的腎摘除術:経腹膜前方到達法
方法
術前処置
麻酔
体位
トロカーの位置
気腹圧
腹膜切開
動脈剥離
動脈クリップ
副腎処理
腎静脈処理
腎全周剥離
回収
標本摘出
閉創
考察
まとめ
■腎摘除術:後腹膜側方到達法
手術前検査
後腹膜アプローチ:長所と短所
手術
体位
後腹膜腔の拡張
トロカー挿入
外側円錐筋膜の露出
外側円錐筋膜の切開
腎茎部処理(右側)
腎茎部処理(左側)
ヘモロックRクリップ使用のコツと注意点
腎周囲の剥離
副腎処理
摘出
合併症
術後管理
まとめ
Ⅳ 泌尿器腹腔鏡発展術式
■ドナー腎摘除術
後腹膜鏡下ドナー腎摘除術の実際
術前準備
体位
トロカー挿入と後腹膜腔の展開
左腎臓摘出の場合
腎門部の剥離(特に腎動静脈の剥離について)
尿管・腎周囲の剥離
腎臓の摘出
右腎臓摘出の場合
■小さな腎癌の治療 腎部分切除術:阻血法
切除の前の準備
尿管カテーテルの留置
腎茎の処理
腎周囲の剥離
切除部位に充填する腎周囲脂肪組織の準備
術中超音波検査
腎のポジショニングのシミュレーション
腹腔鏡下腎部分切除術 Step 1−切除
切除ラインのマーキング
スラッシュアイスの挿入
腫瘍の切除
腹腔鏡下腎部分切除術 Step 2−縫合
切除面の止血
尿路系と腎実質の縫合
腎盂・腎杯の縫合
治療成績
結語
■腎部分切除術:無阻血切除法
腹腔鏡下無阻血腎部分切除術について
術前に必要な検査および手術適応
手術に必要な器材の準備
尿管カテーテルの挿入および体位
体位およびトロカーの挿入
経腹膜アプローチか後腹膜アプローチか
腹腔鏡下無阻血腎部分切除術の実際(後腹膜アプローチ)
腎周囲の剥離,腫瘍の同定と腫瘍周囲の剥離
腫瘍周囲のマイクロ波凝固法
腫瘍の切除
切除面の処理
腫瘍の回収,ドレーン挿入および閉創
周術期の管理
無阻血腎部分切除術の主な合併症と改善策
マイクロ波凝固に伴う合併症の対策
術後尿漏の予防と治療
おわりに
■腎盂尿管腫瘍に対する腹腔鏡下腎尿管全摘除術−特に下部尿管の処理法について−
腹腔鏡下腎尿管摘除術の適応
腹腔鏡下腎尿管摘除術
術前処置
体位とポートの位置
手術方法
おわりに
■後腹膜リンパ節郭清術
後腹膜到達法での腹腔鏡下RPLNDの実際
術前処置
患者体位
ポート設置
郭清前に後腹膜腔を十分に展開
外側円錐筋膜および腎筋膜後葉の切開
腹膜の挙上と後腹膜腔の展開
大動脈前面から下大静脈前面までの後腹膜腔の展開
Modified Unilateral Templateでの後腹膜リンパ節郭清
術後管理
おわりに
■腎盂形成術:経腹膜到達法
手術適応
術前検査
超音波検査
排泄性腎盂造影(intravenous pyelography;IVP)
逆行性腎盂造影(retrograde pyelography;RP)
マルチスライス・スパイラルCT(MSCT)
Whitaker pressure-flow study
核医学検査
手術準備
麻酔
体位
手術器具
手術の手順
トロカーの挿入
後腹膜の切開と尿管剥離
交差血管処理
形成法の選択
ドレーンの留置
手術のポイント
術後のケアと患者への注意事項
尿道カテーテル,ドレーンの抜去時期
退院指導
尿管ステントの抜去
吻合部狭窄例の処置
手術結果の評価
術後経過観察
北里大学における手術成績
■腎盂形成術:後腹膜到達法
術前検査
術前準備
手術器具
手術操作
術後管理
術後検査
手術結果および合併症
おわりに
■前立腺全摘除術:腹膜外到達法
体位とポート
リンパ節郭清術
DVCの処理
膀胱頸部の離断
側方靱帯の剥離
DVC・尿道の切断・標本取り出し
膀胱尿道吻合・閉創
逆行性全摘除術
術後
おわりに
■前立腺全摘除術:経腹膜到達法
術前処置
麻酔と体位
手術手技
トロカー留置と気腹
精嚢の剥離
前立腺の露出
膀胱頸部の切離
前立腺側方の切離
前立腺尖部の切離
膀胱尿道吻合
ドレーンの留置と閉創
おわりに
■手術準備と体位
手術準備
腹腔鏡手術の体制整備
腹腔鏡手術機器・器具の準備
術前準備
体位
腹腔鏡下副腎摘除術
腹腔鏡下根治的腎摘除術
その他の腹腔鏡下腎尿管手術
腹腔鏡下根治的前立腺摘除術
■気腹
気腹の生理作用
気腹に用いるガスの種類と気腹圧
呼吸器への影響
循環動態への影響
その他
気腹の実際
気腹装置
気腹用トロカーの留置
気腹圧異常
その他
気腹の利点
止血効果
術野の保持効果
気腹の合併症
ガス塞栓
深部静脈血栓症,肺梗塞
術後肩部痛
皮下気腫
ポート部再発(portsite recurrence)
■内視鏡係(スコピスト)の役割と内視鏡の選択
内視鏡の選択
内視鏡係の仕事
内視鏡操作の基本
画面上の天地の方向
内視鏡係の訓練
■腹腔鏡手術のトレーニング
岐阜大学グループでの経験
個人としての準備,経験
手術グループとしての準備と経験
グループとしての手術普及
個人としてのトレーニング−臨床前のトレーニング
チームとしての技量習熟,トレーニング−臨床のなかでのトレーニング
技術認定取得後の訓練−指導医としてのトレーニング
II 腹腔鏡手術のベーシックテクニック
■ポートの位置選定と挿入
ポート関連合併症に対する術前対策
危険因子の術前評価
術前準備
トロカーの種類
手術手技
第1ポートの選択
Hasson法
トロカー挿入時の注意点
後腹膜鏡下手術における小切開法
トロカー抜去時の注意点
■術野の確保
開腹術と腹腔鏡手術との概念の相違
腹腔鏡手術の長所
腹腔鏡の短所
手術中の術野の確保のコツ
後腹膜鏡手術時の術野確保のコツ
腹腔鏡手術時の術野確保のコツ
右側の場合
左側の場合
■剥離層の正確性
後腹膜腔の解剖
腎の被膜
後腹膜腔の外科的解剖
経腹膜アプローチによる剥離層
左腎に対するアプローチ
右腎に対するアプローチ
左副腎に対するアプローチ
右副腎に対するアプローチ
後腹膜アプローチによる剥離層
おわりに
■器具の使用法と安全な剥離切開操作(1)−電気メスを中心に−
電気メスの原理
切開,凝固
モノポーラ,バイポーラによる焼灼範囲
電気メスの種類
電気メスの使い方
器械の設定
鉗子の選択
切開
凝固
スコープの操作
排煙
電気メスによる障害
直接結合
絶縁不良
容量結合
腹腔鏡手術における電気メス使用の注意点
おわりに
■器具の使用法と安全な剥離切開操作(2)−超音波メスを中心に−
超音波凝固切開装置(USAD)の構造と原理
超音波凝固切開装置にとって重要なこと
剥離操作
把持力
凝固力
超音波凝固切開装置の注意すべき点
熱
キャビテーション
ミスト
USADの安全な使い方
おわりに
■器具の使用法と安全な剥離切開操作(3)−クリップ・リガシュアーを中心に−
クリップ
リガクリップR
エンドクリップ™
ヘモロックR
クリップの留意点
リガシュアー™ベッセルシーリングシステム
原理
結紮能力
特徴
使用法と禁止事項
泌尿器科領域での使用法
注意点とコツ
安全な剥離切開操作について
■大血管の処理
血管の剥離,結紮,止血法
腎動脈の剥離,クリッピング
腎動脈,腹部大動脈損傷の対処法
腎静脈の剥離,クリッピング
大静脈損傷の対処法
腎血管へのアプローチ
右経腹膜アプローチ
左経腹膜アプローチ
右後腹膜アプローチ
左後腹膜アプローチ
■出血に対する対応
解剖学事項
出血に対処するための器具の準備
吸引洗浄管
ガーゼ
止血器具
自動縫合器(endoscopic gastro-intestinal automatic stapler)
出血に対する対処
ステップ1:止血
ステップ2:血液吸引と術野の確保
ステップ3:損傷部位の確認
ステップ4:止血方法の決定と施行
ステップ5:開創手術への変更
おわりに
■縫合,結紮
用語の整理
縫合の器具,準備
体内縫合の実際
針の挿入
針の把持
男結び
弛みやすい状況下の糸結び
おわりに
■臓器損傷の予防
トロカー穿刺から炭酸ガス気腹まで
Veress needle(ヴェレス針)などの気腹針を用いた気腹,盲目的トロカー穿刺
open methodによる気腹,トロカー穿刺
剥離操作時の臓器損傷(1):術野を確保するまで
経腹膜到達法
後腹膜到達法
剥離操作時の臓器損傷(2):臓器,血管の剥離操作
腎・副腎摘除術
前立腺全摘除術
各術式での主要な臓器損傷
おわりに
■小児腹腔鏡手術の基本知識とテクニック
基本的事項
インフォームドコンセント
使用器具
術前準備
ポート位置および挿入法
臓器摘出および創部閉鎖
術式
停留精巣
腎摘除術
半腎摘除術
腎盂形成術
逆流防止術
合併症,その他
おわりに
Ⅲ 泌尿器腹腔鏡基本術式
■副腎の手術:経腹膜到達法−左側方到達法−
患者体位・器具の配置
手術器具
術者の位置
トロカー留置
術中操作の注意点
局所解剖の理解
手術手技
腹膜の切開
副腎の剥離
副腎の摘出,閉創
合併症予防のポイント
■副腎の手術:経腹膜到達法−右前方到達法−
最初に行っておくべき手術室のセットアップ
経腹膜到達法と後腹膜到達法の選択
前方到達法と側方到達法の違い
体位をこだわる
トロカー・ポートの位置
第1ポート
第1ポートの固定
第2,3,4ポート
副腎手術を行うにあたって肝に銘ずべきDos and Don'ts
ポートの位置
副腎損傷を起こさない
適切な副腎静脈の処理
道具の用い方
経腹膜右副腎摘除術のステップバイステップ
腹腔内の観察
第2〜第4のポート設置
肝臓の挙上
腹膜切開(三角靱帯切離)
副腎の剥離
副腎静脈の処理
副腎の摘出
止血確認
ドレーン設置と閉創
■副腎の手術:後腹膜到達法
手術術式
操作孔の作成
腎筋膜周囲の剥離
副腎周囲の剥離
腎上極の露出
中心静脈の剥離
副腎の創外への摘出と止血の確認
考察とまとめ
■腹腔鏡下根治的腎摘除術:経腹膜前方到達法
方法
術前処置
麻酔
体位
トロカーの位置
気腹圧
腹膜切開
動脈剥離
動脈クリップ
副腎処理
腎静脈処理
腎全周剥離
回収
標本摘出
閉創
考察
まとめ
■腎摘除術:後腹膜側方到達法
手術前検査
後腹膜アプローチ:長所と短所
手術
体位
後腹膜腔の拡張
トロカー挿入
外側円錐筋膜の露出
外側円錐筋膜の切開
腎茎部処理(右側)
腎茎部処理(左側)
ヘモロックRクリップ使用のコツと注意点
腎周囲の剥離
副腎処理
摘出
合併症
術後管理
まとめ
Ⅳ 泌尿器腹腔鏡発展術式
■ドナー腎摘除術
後腹膜鏡下ドナー腎摘除術の実際
術前準備
体位
トロカー挿入と後腹膜腔の展開
左腎臓摘出の場合
腎門部の剥離(特に腎動静脈の剥離について)
尿管・腎周囲の剥離
腎臓の摘出
右腎臓摘出の場合
■小さな腎癌の治療 腎部分切除術:阻血法
切除の前の準備
尿管カテーテルの留置
腎茎の処理
腎周囲の剥離
切除部位に充填する腎周囲脂肪組織の準備
術中超音波検査
腎のポジショニングのシミュレーション
腹腔鏡下腎部分切除術 Step 1−切除
切除ラインのマーキング
スラッシュアイスの挿入
腫瘍の切除
腹腔鏡下腎部分切除術 Step 2−縫合
切除面の止血
尿路系と腎実質の縫合
腎盂・腎杯の縫合
治療成績
結語
■腎部分切除術:無阻血切除法
腹腔鏡下無阻血腎部分切除術について
術前に必要な検査および手術適応
手術に必要な器材の準備
尿管カテーテルの挿入および体位
体位およびトロカーの挿入
経腹膜アプローチか後腹膜アプローチか
腹腔鏡下無阻血腎部分切除術の実際(後腹膜アプローチ)
腎周囲の剥離,腫瘍の同定と腫瘍周囲の剥離
腫瘍周囲のマイクロ波凝固法
腫瘍の切除
切除面の処理
腫瘍の回収,ドレーン挿入および閉創
周術期の管理
無阻血腎部分切除術の主な合併症と改善策
マイクロ波凝固に伴う合併症の対策
術後尿漏の予防と治療
おわりに
■腎盂尿管腫瘍に対する腹腔鏡下腎尿管全摘除術−特に下部尿管の処理法について−
腹腔鏡下腎尿管摘除術の適応
腹腔鏡下腎尿管摘除術
術前処置
体位とポートの位置
手術方法
おわりに
■後腹膜リンパ節郭清術
後腹膜到達法での腹腔鏡下RPLNDの実際
術前処置
患者体位
ポート設置
郭清前に後腹膜腔を十分に展開
外側円錐筋膜および腎筋膜後葉の切開
腹膜の挙上と後腹膜腔の展開
大動脈前面から下大静脈前面までの後腹膜腔の展開
Modified Unilateral Templateでの後腹膜リンパ節郭清
術後管理
おわりに
■腎盂形成術:経腹膜到達法
手術適応
術前検査
超音波検査
排泄性腎盂造影(intravenous pyelography;IVP)
逆行性腎盂造影(retrograde pyelography;RP)
マルチスライス・スパイラルCT(MSCT)
Whitaker pressure-flow study
核医学検査
手術準備
麻酔
体位
手術器具
手術の手順
トロカーの挿入
後腹膜の切開と尿管剥離
交差血管処理
形成法の選択
ドレーンの留置
手術のポイント
術後のケアと患者への注意事項
尿道カテーテル,ドレーンの抜去時期
退院指導
尿管ステントの抜去
吻合部狭窄例の処置
手術結果の評価
術後経過観察
北里大学における手術成績
■腎盂形成術:後腹膜到達法
術前検査
術前準備
手術器具
手術操作
術後管理
術後検査
手術結果および合併症
おわりに
■前立腺全摘除術:腹膜外到達法
体位とポート
リンパ節郭清術
DVCの処理
膀胱頸部の離断
側方靱帯の剥離
DVC・尿道の切断・標本取り出し
膀胱尿道吻合・閉創
逆行性全摘除術
術後
おわりに
■前立腺全摘除術:経腹膜到達法
術前処置
麻酔と体位
手術手技
トロカー留置と気腹
精嚢の剥離
前立腺の露出
膀胱頸部の切離
前立腺側方の切離
前立腺尖部の切離
膀胱尿道吻合
ドレーンの留置と閉創
おわりに
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泌尿器腹腔鏡手術のエキスパートを目指すならこの一冊
現在広く施行されている泌尿器腹腔鏡手術であるが,初心者にとってはまだまだ難しい術式である。本書はこれから泌尿器腹腔鏡手術を始めようとしている若い先生方と,「泌尿器腹腔鏡技術認定制度」の下に技術認定医を目指す泌尿器科医を念頭におき,「I.腹腔鏡手術の基礎」「II.腹腔鏡手術のベーシックテクニック」「III.泌尿器腹腔鏡基本手技」の章立てとした。そして最終章のIV章を「泌尿器腹腔鏡発展術式」とし,さらに高次の手術について解説。エキスパートによる術中腹腔鏡写真を多数掲載し,またていねいなイラストによる図解によって,実際の手術に多いに役立つ書籍である。