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肺がんPractical Treatment
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定価 5,280円(税込) (本体4,800円+税)
- B5判 224ページ 2色
- 2014年2月6日刊行
- ISBN978-4-7583-0372-9
序文
岡山で開催された2012年の日本肺癌学会総会で,私は本書の著者の1人でもある国立病院機構山口宇部医療センターの近森研一先生が担当されたランチョンセミナーの司会をさせていただいた。肺結核を合併した肺がんに対するEGFR-TKIの使い方などに触れられた,非常に実践に即したセミナーであったと記憶している。近森先生の講演のあとに,三沢市立三沢病院の坂田 優院長より,コメントをいただいた。そもそも坂田先生は消化器がんの領域では非常に高名な先生でおられるものの,大変失礼な言い方ではあるが肺癌学会に出席されていること自体に少し驚かずにはいられなかった。先生のご指摘は,日本の診療ガイドラインには合併症のある患者の治療法などが書かれておらず,実地医療の現場とは乖離しておりあまり役に立たない。合併症を有する患者の治療もわかるようなガイドラインが必要だという趣旨であった。まさに的を射たご指摘であると感じた。一般の市中病院で診療している肺がん患者さんは臨床試験に入れるような合併症がなく状態のよい患者さんばかりでないことは誰もが認めることである。しかし,このような患者さんを対象としたガイドラインを作成するのは非常に多くの労力を要することも容易に想像しえた。
数カ月後,メジカルビュー社の編集部の方より,本書の企画を伺った。この企画を伺った途端に,坂田院長の言葉が頭を過ぎったが,成書として刊行できるか不安も感じずにはいられなかった。私1人では本書の企画は到底無理であったが,「三人寄れば文殊の知恵」ということもあり,神奈川県立循環器呼吸器病センターの加藤晃史先生,国立がん研究センター中央病院の堀之内秀仁先生の協力を得て何とか企画案を作成した。執筆者は肺がん診療の現場で活躍中のがん薬物療法専門医の先生を中心にお願いさせていただいたが,正直なところ,どのような原稿が集まるかはまったく想像できなかった。
2013年9月末にアムステルダムで開催されたEuropean Cancer Congressに向かう機中で原稿を見させていただいた。各執筆者の先生方が日頃の日常診療でのどのように問題を解決しているかがよくわかる原稿が多く,本書が必ず日々の臨床に役立つ成書になると確信した。実際の肺がん診療を行っている多くの先生方に,肺癌診療ガイドラインとともに本書を活用していただければ,必ず肺がん患者さんの役に立つもものと期待している。肺癌診療ガイドラインと本書を車の両輪のごとく活用していただければ幸いである。
2014年新春
国立がん研究センター東病院
大江裕一郎
数カ月後,メジカルビュー社の編集部の方より,本書の企画を伺った。この企画を伺った途端に,坂田院長の言葉が頭を過ぎったが,成書として刊行できるか不安も感じずにはいられなかった。私1人では本書の企画は到底無理であったが,「三人寄れば文殊の知恵」ということもあり,神奈川県立循環器呼吸器病センターの加藤晃史先生,国立がん研究センター中央病院の堀之内秀仁先生の協力を得て何とか企画案を作成した。執筆者は肺がん診療の現場で活躍中のがん薬物療法専門医の先生を中心にお願いさせていただいたが,正直なところ,どのような原稿が集まるかはまったく想像できなかった。
2013年9月末にアムステルダムで開催されたEuropean Cancer Congressに向かう機中で原稿を見させていただいた。各執筆者の先生方が日頃の日常診療でのどのように問題を解決しているかがよくわかる原稿が多く,本書が必ず日々の臨床に役立つ成書になると確信した。実際の肺がん診療を行っている多くの先生方に,肺癌診療ガイドラインとともに本書を活用していただければ,必ず肺がん患者さんの役に立つもものと期待している。肺癌診療ガイドラインと本書を車の両輪のごとく活用していただければ幸いである。
2014年新春
国立がん研究センター東病院
大江裕一郎
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目次
Ⅰ 個々の症例を考えるうえでの基本的考え方
エビデンスの乏しい肺がん治療の考え方 大江裕一郎
高いエビデンスはランダム化比較試験により得られている
高いエビデンスにもとづいた肺がん診療ができるのは,ランダム化試験の対象となっているある特定の患者集団に限られる
専門医がどのような考えに基づき治療法を選択しているのか,その考え方,過程を理解することが重要
すべての状況に関してランダム化比較試験が実施されて質の高いエビデンスが存在しているわけではなく,得られる情報を最大限活用して判断するのが臨床的には妥当
EBMの問題を十分に認識したうえで,EBMを診療に応用することが重要
Ⅱ こんなとき治療をどうするか
1.間質性肺炎合併肺がん
①間質性肺炎合併肺がんの手術 田中文啓
間質性肺炎合併肺がんに対する手術のキーポイント
間質性肺炎の術後AE発症のリスク因子
間質性肺炎の術後AE発症の防止策
間質性肺炎のAEの治療
②間質性肺炎合併肺がんの放射線治療 佐貫直子,榎本達治,武田篤也
間質性肺炎合併肺がんに対する照射後の放射線肺臓炎リスク
画像上微細な肺間質性陰影を有する症例における放射線肺臓炎リスク
間質性肺炎合併肺がんにおける急性増悪(または放射線肺臓炎)のリスク因子
③間質性肺炎合併肺がんの化学療法 加藤晃史
間質性肺炎合併肺がんに対する化学療法のキーポイント
化学療法に用いるレジメン
治療開始前のスクリーニング検査
気腫合併肺線維症(CPFE)
化学療法による間質性肺炎急性増悪の予防
④間質性肺炎合併肺がんに対する分子標的治療 鈴木秀和,平島智徳
ゲフィチニブ,エルロチニブ
クリゾチニブ
ベバシズマブ
その他の薬剤
2.肺気腫・重症呼吸不全合併肺がん
①慢性閉塞性肺疾患(COPD)合併肺がんの手術 田中 亨,柳原一広
呼吸機能評価を十分に行い正確にリスクを把握することが手術適応決定のポイント
術式選択
周術期管理
②慢性閉塞性肺疾患(COPD)合併肺がんの放射線治療 荒平聡子
Ⅰ期非小細胞肺がん
Ⅱ〜Ⅲ期非小細胞肺がん
限局期小細胞肺がん
緩和照射
③慢性閉塞性肺疾患(COPD)合併肺がんの薬物療法 関 好孝
COPD合併肺がんの薬物療法
リスクが高くベネフィットが乏しいことを考慮して
3.呼吸器疾患合併肺がん
①呼吸器感染症(結核,NTM)合併肺がんの治療 近森研一
抗酸菌感染症と肺がん
治療の順序
肺抗酸菌症合併肺がんのがん化学療法
EGFR遺伝子変異陽性進行期肺がんの場合
4.肝障害合併肺がん
①肝障害(肝機能低下)合併肺がんの薬物療法 柴田和彦
肝障害(肝機能低下)合併肺がんの薬物療法のキーポイント
肝障害(肝機能低下)合併肺がん患者への推奨レジメン
②肝炎合併肺がんの薬物療法 宮本信吾
B型肝炎ウイルス(HBV)感染患者
C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者
③ 閉塞性黄疸合併肺がんに対する減黄後の薬物療法 水柿秀紀
全身状態が安定している場合は積極的に減黄を試みる
減黄後に化学療法を開始する条件
どのようなレジメンを選択するか?
使用を避けるべき抗がん剤
全身状態低下例
5.腎障害合併肺がん
①透析患者に対する肺がんの薬物療法 堺田恵美子,滝口裕一
透析肺がん患者に対する透析治療のキーポイント
透析肺がん患者に対する化学療法
今後の展望
②CKD合併肺がんの薬物療法 下方智也,安藤雄一
腎機能障害時の肺がんに対する薬物療法のポイント
腎機能測定法について
減量を要する抗がん薬
減量を要さない抗がん薬
骨修飾薬
代表的なレジメン
6.循環器疾患合併肺がん
①心機能低下患者・冠不全患者に対する
肺がんの薬物療法 山岸智子,瀧川奈義夫
抗がん剤治療における心毒性の定義
心毒性増悪の危険因子
薬剤選択
輸液との関係
分子標的薬と心毒性
心毒性の管理
②不整脈合併,不整脈治療中の肺がんの薬物療法 梅村茂樹
不整脈合併,不整脈治療中の肺がんの薬物療法のキーポイント
薬物療法施行の際に注意が必要な不整脈
まとめ
7.生活習慣病合併肺がん
①糖尿病合併肺がんの薬物療法 棚井千春
糖尿病合併肺がんの治療中には,しばしば高血糖に遭遇する
末梢神経障害をきたしやすい抗がん剤の選択に注意する
見かけ上,腎機能が正常でも糖尿病性腎症に注意する
②重症高血圧合併肺がんの薬物療法 河野美保,岩本康男
重症高血圧合併肺がんに対する治療のキーポイント
重症高血圧合併肺がんに使用する薬物の注意点
8.血液疾患合併肺がん
①血液疾患合併肺がんの薬物療法 堀田勝幸
併存する血液疾患の病態把握
肺がんに対する抗がん剤治療の適否
抗がん剤治療を行う際の留意点
血液製剤の使用
9.重複がん・多発がん患者の肺がん治療
①重複がん患者の薬物療法 引野幸司
肺がんの転移巣なのか,重複がんなのか
優先の判断材料
②多発肺がん患者の薬物療法 北園 聡
多発肺がんの診断には,画像および病理学的評価が重要
多発肺がんにおける薬物療法のキーポイント
10.上大静脈(SVC)症候群合併肺がん
①上大静脈(SVC)症候群合併肺がんの薬物療法 朝比奈 肇
治療のキーポイントは「重症度の把握」と「組織型の確定」
治療のアルゴリズム
治療手段の各論
とにかく「あきらめない」こと
②気道狭窄のある患者に対する肺がん薬物療法 古屋直樹
呼吸器インターベンションの一般的適応と治療アルゴリズム
気道狭窄合併の肺がんに対するインターベンションの優先順位と適応
気道狭窄合併肺がんに対する化学療法レジメン選択
11.PS不良の肺がん
①PSの改善が可能な場合の肺がん薬物療法 酒谷俊雄,後藤 悌
PS不良な症例と化学療法
肺がんによる症状に対する実際の支持療法
②治療効果が高いPS不良患者の肺がん薬物療法 井上 彰
小細胞肺がんではPS不良患者でも薬物療法が薦められる
非小細胞肺がん患者ではPS不良患者であってもまずはバイオマーカー検索を
PS不良患者に対する薬物療法に際して注意すべきこと
12.超高齢者の肺がん
①80歳以上の高齢者の肺がん薬物療法 駄賀晴子
80歳以上の高齢者肺がんの薬物療法のキーポイント
化学療法の実際
13.腫瘍随伴症候群合併肺がん
①電解質異常を伴う肺がんに対する治療 大柳文義
低Na血症
高Ca血症
PTHrP産生過剰による高Ca血症の治療
14.胸水・心嚢水がある場合の肺がん治療
①胸水がある場合の肺がん薬物療法・癒着術 山本将一朗,上月稔幸
胸水貯留がある場合の,非小細胞肺がん治療のキーポイント
胸水貯留を有する小細胞肺がん治療のキーポイント
胸膜癒着術を優先する際の注意点
胸水貯留例に対し全身化学療法を行う際の注意点
②心嚢水がある場合の肺がん薬物療法・癒着術 湊 浩一
自覚症状のない心嚢水貯留
自覚症状のある心嚢水貯留
15.喀血がある場合の肺がん治療
①喀血がある場合の肺がん薬物療法 浦田佳子
大量喀血を起こす可能性のある症例を見分けるには
喀血のコントロールを先行する場合の治療方針
化学療法を先行する場合の治療方針
血管新生阻害薬
Ⅲ evidenceの乏しい肺がん治療
①多発脳転移に対する定位放射線治療 原田英幸
さまざまな定位照射装置
定期的な画像診断を含む経過観察が重要
定位照射を勧める場合
定位照射のリスク
全脳照射を勧める場合
定位照射は何個の転移まで適応になるか?
肺がんの多発脳転移に対する治療選択
②脳転移に対する局所治療 大江裕一郎
非小細胞肺がんの脳転移に対する治療
小細胞肺がんの脳転移に対する治療
③化学療法が奏効した脳転移に対する
放射線治療(小細胞肺がん・非小細胞肺がん) 釼持広知
化学療法が奏効した脳転移に対する放射線治療のキーポイント
化学療法が奏効した脳転移のある非小細胞肺がんに対する治療戦略
化学療法が奏効した脳転移のある小細胞肺がんに対する治療戦略
脳の放射線治療による毒性
④照射野が広く根治照射不能なⅢ期非小細胞肺がんの治療 堀之内秀仁
切除不能Ⅲ期非小細胞肺がんに対する治療のキーポイント
Ⅲ期非小細胞肺がん治療のリスク
リスク評価因子の中心は「照射容積の大きさ」
放射線肺傷害のDVH指標以外の予測因子
⑤照射野が広く根治照射不能なLD小細胞肺がんの治療 武田晃司
LD小細胞肺がんの治療戦略
照射野が広く根治照射不能なLD小細胞肺がんとは
現在の小細胞肺がんの治療成績
化学療法途中から,あるいは逐次的な放射線治療
⑥胸水・心嚢水のあるLD小細胞肺がんに対する
放射線治療 吉田達哉,葉 清隆
胸水・心嚢水のある小細胞肺がんの病期と予後
LD-SCLCに対する初回標準治療
導入化学療法時の化学療法レジメン
⑦骨転移の治療 髙木雄亮,細見幸生
骨転移に対する治療選択のキーポイント
放射線治療(外照射)の適応と問題点
全身化学療法を優先すべき場合
他の骨転移治療
⑧EGFR-TKI,ALK阻害薬治療中に出現・増悪した
脳転移・骨転移の治療 宿谷威仁
EGFR-TKI,ALK-TKI投与中の初発増悪部位
EGFR-TKI耐性の定義と髄液移行率
局所治療後,TKI継続の治療成績
放射線治療中のTKI併用の安全性
⑨EGFR-TKI,ALK阻害薬による肝障害 吉岡弘鎮
EGFR-TKIを使用中に生じた肝障害
ALK阻害薬を使用中に生じた肝障害
⑩EGFR-TKI,ALK阻害薬をいつまで使うか? 豊川剛二,瀬戸貴司
EGFR,ALK遺伝子変異を有する非小細胞肺がん
EGFR-TKIやALK阻害薬に対する耐性獲得
EGFR-TKIとALK阻害薬のbeyond PD
おわりに
⑪EGFR-TKI,ALK阻害薬の再投与 北島寛元,野上尚之
初回投与で奏効したゲフィチニブの再投与
ゲフィチニブ投与後のエルロチニブ投与への変更
肝機能障害出現時のEGFR-TKIの継続
初回投与で奏効したクリゾチニブの再投与
⑫単発脳転移・副腎転移(オリゴメタスターシス)を有する症例に対する治療戦略 海老規之
単発脳転移
副腎転移
⑬がん性髄膜炎に対する治療戦略 佐々木信一
がん性髄膜炎の頻度
がん性髄膜炎の診断
がん性髄膜炎の治療
driver遺伝子変異の発見とチロシンキナーゼ阻害薬の有効性
⑭LCNECの治療方針 岩澤俊一郎,関根郁夫
LCNECの疾患概念
Ⅰ/Ⅱ期LCNECの治療方針
根治的胸部放射線照射可能な切除不能Ⅲ期LCNECの治療方針
根治的胸部放射線照射不能なⅢ期またはⅣ期LCNECの治療方針
LCNECの二次化学療法
⑮再発後に腫瘍の性質が変わったと疑われる場合はどう考えるか? 秦 明登
re-biopsyを考慮する場合
⑯“EGFR野生型”肺がんに対するEGFR-TKI治療 前門戸 任
EGFR遺伝子診断の問題
EGFR遺伝子野生型患者に対するエルロチニブの効果
⑰IHC法でALK陽性,FISH法で陰性の場合のALK阻害薬による治療 堀池 篤
ALK阻害薬による治療がALK陽性肺がんに対する治療のキーポイント
ALK遺伝子検査におけるFISH法と高感度IHC法の不一致
IHC法でALK陽性,FISH法で陰性の症例への対応
エビデンスの乏しい肺がん治療の考え方 大江裕一郎
高いエビデンスはランダム化比較試験により得られている
高いエビデンスにもとづいた肺がん診療ができるのは,ランダム化試験の対象となっているある特定の患者集団に限られる
専門医がどのような考えに基づき治療法を選択しているのか,その考え方,過程を理解することが重要
すべての状況に関してランダム化比較試験が実施されて質の高いエビデンスが存在しているわけではなく,得られる情報を最大限活用して判断するのが臨床的には妥当
EBMの問題を十分に認識したうえで,EBMを診療に応用することが重要
Ⅱ こんなとき治療をどうするか
1.間質性肺炎合併肺がん
①間質性肺炎合併肺がんの手術 田中文啓
間質性肺炎合併肺がんに対する手術のキーポイント
間質性肺炎の術後AE発症のリスク因子
間質性肺炎の術後AE発症の防止策
間質性肺炎のAEの治療
②間質性肺炎合併肺がんの放射線治療 佐貫直子,榎本達治,武田篤也
間質性肺炎合併肺がんに対する照射後の放射線肺臓炎リスク
画像上微細な肺間質性陰影を有する症例における放射線肺臓炎リスク
間質性肺炎合併肺がんにおける急性増悪(または放射線肺臓炎)のリスク因子
③間質性肺炎合併肺がんの化学療法 加藤晃史
間質性肺炎合併肺がんに対する化学療法のキーポイント
化学療法に用いるレジメン
治療開始前のスクリーニング検査
気腫合併肺線維症(CPFE)
化学療法による間質性肺炎急性増悪の予防
④間質性肺炎合併肺がんに対する分子標的治療 鈴木秀和,平島智徳
ゲフィチニブ,エルロチニブ
クリゾチニブ
ベバシズマブ
その他の薬剤
2.肺気腫・重症呼吸不全合併肺がん
①慢性閉塞性肺疾患(COPD)合併肺がんの手術 田中 亨,柳原一広
呼吸機能評価を十分に行い正確にリスクを把握することが手術適応決定のポイント
術式選択
周術期管理
②慢性閉塞性肺疾患(COPD)合併肺がんの放射線治療 荒平聡子
Ⅰ期非小細胞肺がん
Ⅱ〜Ⅲ期非小細胞肺がん
限局期小細胞肺がん
緩和照射
③慢性閉塞性肺疾患(COPD)合併肺がんの薬物療法 関 好孝
COPD合併肺がんの薬物療法
リスクが高くベネフィットが乏しいことを考慮して
3.呼吸器疾患合併肺がん
①呼吸器感染症(結核,NTM)合併肺がんの治療 近森研一
抗酸菌感染症と肺がん
治療の順序
肺抗酸菌症合併肺がんのがん化学療法
EGFR遺伝子変異陽性進行期肺がんの場合
4.肝障害合併肺がん
①肝障害(肝機能低下)合併肺がんの薬物療法 柴田和彦
肝障害(肝機能低下)合併肺がんの薬物療法のキーポイント
肝障害(肝機能低下)合併肺がん患者への推奨レジメン
②肝炎合併肺がんの薬物療法 宮本信吾
B型肝炎ウイルス(HBV)感染患者
C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者
③ 閉塞性黄疸合併肺がんに対する減黄後の薬物療法 水柿秀紀
全身状態が安定している場合は積極的に減黄を試みる
減黄後に化学療法を開始する条件
どのようなレジメンを選択するか?
使用を避けるべき抗がん剤
全身状態低下例
5.腎障害合併肺がん
①透析患者に対する肺がんの薬物療法 堺田恵美子,滝口裕一
透析肺がん患者に対する透析治療のキーポイント
透析肺がん患者に対する化学療法
今後の展望
②CKD合併肺がんの薬物療法 下方智也,安藤雄一
腎機能障害時の肺がんに対する薬物療法のポイント
腎機能測定法について
減量を要する抗がん薬
減量を要さない抗がん薬
骨修飾薬
代表的なレジメン
6.循環器疾患合併肺がん
①心機能低下患者・冠不全患者に対する
肺がんの薬物療法 山岸智子,瀧川奈義夫
抗がん剤治療における心毒性の定義
心毒性増悪の危険因子
薬剤選択
輸液との関係
分子標的薬と心毒性
心毒性の管理
②不整脈合併,不整脈治療中の肺がんの薬物療法 梅村茂樹
不整脈合併,不整脈治療中の肺がんの薬物療法のキーポイント
薬物療法施行の際に注意が必要な不整脈
まとめ
7.生活習慣病合併肺がん
①糖尿病合併肺がんの薬物療法 棚井千春
糖尿病合併肺がんの治療中には,しばしば高血糖に遭遇する
末梢神経障害をきたしやすい抗がん剤の選択に注意する
見かけ上,腎機能が正常でも糖尿病性腎症に注意する
②重症高血圧合併肺がんの薬物療法 河野美保,岩本康男
重症高血圧合併肺がんに対する治療のキーポイント
重症高血圧合併肺がんに使用する薬物の注意点
8.血液疾患合併肺がん
①血液疾患合併肺がんの薬物療法 堀田勝幸
併存する血液疾患の病態把握
肺がんに対する抗がん剤治療の適否
抗がん剤治療を行う際の留意点
血液製剤の使用
9.重複がん・多発がん患者の肺がん治療
①重複がん患者の薬物療法 引野幸司
肺がんの転移巣なのか,重複がんなのか
優先の判断材料
②多発肺がん患者の薬物療法 北園 聡
多発肺がんの診断には,画像および病理学的評価が重要
多発肺がんにおける薬物療法のキーポイント
10.上大静脈(SVC)症候群合併肺がん
①上大静脈(SVC)症候群合併肺がんの薬物療法 朝比奈 肇
治療のキーポイントは「重症度の把握」と「組織型の確定」
治療のアルゴリズム
治療手段の各論
とにかく「あきらめない」こと
②気道狭窄のある患者に対する肺がん薬物療法 古屋直樹
呼吸器インターベンションの一般的適応と治療アルゴリズム
気道狭窄合併の肺がんに対するインターベンションの優先順位と適応
気道狭窄合併肺がんに対する化学療法レジメン選択
11.PS不良の肺がん
①PSの改善が可能な場合の肺がん薬物療法 酒谷俊雄,後藤 悌
PS不良な症例と化学療法
肺がんによる症状に対する実際の支持療法
②治療効果が高いPS不良患者の肺がん薬物療法 井上 彰
小細胞肺がんではPS不良患者でも薬物療法が薦められる
非小細胞肺がん患者ではPS不良患者であってもまずはバイオマーカー検索を
PS不良患者に対する薬物療法に際して注意すべきこと
12.超高齢者の肺がん
①80歳以上の高齢者の肺がん薬物療法 駄賀晴子
80歳以上の高齢者肺がんの薬物療法のキーポイント
化学療法の実際
13.腫瘍随伴症候群合併肺がん
①電解質異常を伴う肺がんに対する治療 大柳文義
低Na血症
高Ca血症
PTHrP産生過剰による高Ca血症の治療
14.胸水・心嚢水がある場合の肺がん治療
①胸水がある場合の肺がん薬物療法・癒着術 山本将一朗,上月稔幸
胸水貯留がある場合の,非小細胞肺がん治療のキーポイント
胸水貯留を有する小細胞肺がん治療のキーポイント
胸膜癒着術を優先する際の注意点
胸水貯留例に対し全身化学療法を行う際の注意点
②心嚢水がある場合の肺がん薬物療法・癒着術 湊 浩一
自覚症状のない心嚢水貯留
自覚症状のある心嚢水貯留
15.喀血がある場合の肺がん治療
①喀血がある場合の肺がん薬物療法 浦田佳子
大量喀血を起こす可能性のある症例を見分けるには
喀血のコントロールを先行する場合の治療方針
化学療法を先行する場合の治療方針
血管新生阻害薬
Ⅲ evidenceの乏しい肺がん治療
①多発脳転移に対する定位放射線治療 原田英幸
さまざまな定位照射装置
定期的な画像診断を含む経過観察が重要
定位照射を勧める場合
定位照射のリスク
全脳照射を勧める場合
定位照射は何個の転移まで適応になるか?
肺がんの多発脳転移に対する治療選択
②脳転移に対する局所治療 大江裕一郎
非小細胞肺がんの脳転移に対する治療
小細胞肺がんの脳転移に対する治療
③化学療法が奏効した脳転移に対する
放射線治療(小細胞肺がん・非小細胞肺がん) 釼持広知
化学療法が奏効した脳転移に対する放射線治療のキーポイント
化学療法が奏効した脳転移のある非小細胞肺がんに対する治療戦略
化学療法が奏効した脳転移のある小細胞肺がんに対する治療戦略
脳の放射線治療による毒性
④照射野が広く根治照射不能なⅢ期非小細胞肺がんの治療 堀之内秀仁
切除不能Ⅲ期非小細胞肺がんに対する治療のキーポイント
Ⅲ期非小細胞肺がん治療のリスク
リスク評価因子の中心は「照射容積の大きさ」
放射線肺傷害のDVH指標以外の予測因子
⑤照射野が広く根治照射不能なLD小細胞肺がんの治療 武田晃司
LD小細胞肺がんの治療戦略
照射野が広く根治照射不能なLD小細胞肺がんとは
現在の小細胞肺がんの治療成績
化学療法途中から,あるいは逐次的な放射線治療
⑥胸水・心嚢水のあるLD小細胞肺がんに対する
放射線治療 吉田達哉,葉 清隆
胸水・心嚢水のある小細胞肺がんの病期と予後
LD-SCLCに対する初回標準治療
導入化学療法時の化学療法レジメン
⑦骨転移の治療 髙木雄亮,細見幸生
骨転移に対する治療選択のキーポイント
放射線治療(外照射)の適応と問題点
全身化学療法を優先すべき場合
他の骨転移治療
⑧EGFR-TKI,ALK阻害薬治療中に出現・増悪した
脳転移・骨転移の治療 宿谷威仁
EGFR-TKI,ALK-TKI投与中の初発増悪部位
EGFR-TKI耐性の定義と髄液移行率
局所治療後,TKI継続の治療成績
放射線治療中のTKI併用の安全性
⑨EGFR-TKI,ALK阻害薬による肝障害 吉岡弘鎮
EGFR-TKIを使用中に生じた肝障害
ALK阻害薬を使用中に生じた肝障害
⑩EGFR-TKI,ALK阻害薬をいつまで使うか? 豊川剛二,瀬戸貴司
EGFR,ALK遺伝子変異を有する非小細胞肺がん
EGFR-TKIやALK阻害薬に対する耐性獲得
EGFR-TKIとALK阻害薬のbeyond PD
おわりに
⑪EGFR-TKI,ALK阻害薬の再投与 北島寛元,野上尚之
初回投与で奏効したゲフィチニブの再投与
ゲフィチニブ投与後のエルロチニブ投与への変更
肝機能障害出現時のEGFR-TKIの継続
初回投与で奏効したクリゾチニブの再投与
⑫単発脳転移・副腎転移(オリゴメタスターシス)を有する症例に対する治療戦略 海老規之
単発脳転移
副腎転移
⑬がん性髄膜炎に対する治療戦略 佐々木信一
がん性髄膜炎の頻度
がん性髄膜炎の診断
がん性髄膜炎の治療
driver遺伝子変異の発見とチロシンキナーゼ阻害薬の有効性
⑭LCNECの治療方針 岩澤俊一郎,関根郁夫
LCNECの疾患概念
Ⅰ/Ⅱ期LCNECの治療方針
根治的胸部放射線照射可能な切除不能Ⅲ期LCNECの治療方針
根治的胸部放射線照射不能なⅢ期またはⅣ期LCNECの治療方針
LCNECの二次化学療法
⑮再発後に腫瘍の性質が変わったと疑われる場合はどう考えるか? 秦 明登
re-biopsyを考慮する場合
⑯“EGFR野生型”肺がんに対するEGFR-TKI治療 前門戸 任
EGFR遺伝子診断の問題
EGFR遺伝子野生型患者に対するエルロチニブの効果
⑰IHC法でALK陽性,FISH法で陰性の場合のALK阻害薬による治療 堀池 篤
ALK阻害薬による治療がALK陽性肺がんに対する治療のキーポイント
ALK遺伝子検査におけるFISH法と高感度IHC法の不一致
IHC法でALK陽性,FISH法で陰性の症例への対応
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日常診療で遭遇するさまざまな肺がん治療に役立つ考え方が満載!
抗がん剤治療において,ガイドライン通りの治療では対処できない場合が往々にしてみられる。本書は合併症・基礎疾患をもつ患者,臨床試験がほとんど実施されていない対照群など,エビデンスの乏しい肺がん患者に対して,がん薬物療法医はどのように対処し,治療するかを詳しく解説している。
標準治療で対応できないケースについてさまざまな考え方を提示し,どのように解決するかが記載されている。各項目は「point」のほか,相対する考え方がある場合は両論を併記し,「pros」「cons」のアイコンでわかりやすく論点を整理。化学療法に手術療法や放射線療法を加えた集学的治療を掲載し,化学療法だけではない治療全般にも対応している。