2024年4月号 Vol.40 No.4

特集1:拡大適応の今こそ知りたいNBCA/特集2:頭部MRIをさらに有効にする撮像オプション

臨床画像 2024年4月号
定価 2,970円(税込) (本体2,700円+税)
  • B5判  128ページ  
  • 2024年3月26日刊行


序説(特集1:拡大適応の今こそ知りたいNBCA)

 一昔前となってしまいましたが,2013年2月号の本誌Current Topics「NBCAを用いたIVRの実際:私はこうしている」で,以下の序文を書かせていただきました。
 Interventional Radiology(IVR)に際して,n-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)を塞栓物質として使用することが日常的となってきている。しかしながら各施設においてその適応あるいは実際の使用法はばらばらであり,いまだ確たるエビデンスはない。先進的施設ではかなりのところまで適応を拡大し,特殊な使用法を用いて優れた成果を発表しているが,塞栓後の再開通あるいは合併症の報告も散見されるようになってきた。
 今回の特集では,まず塞栓物質としてのNBCAを概説していただく。そして多くの症例を経験している施設から,それぞれの施設のポリシー,適応,手技の実際,合併症を中心として詳しく述べていただく。ページを十分にとっていただくことにより,多くの症例を掲載し,いいたいことはすべて述べていただく方針とした。
 そのときのCurrent Topicsは3回にわたり掲載され,好評を博したものと記憶しています。
 その後,関係各位の粘り強いご努力で,NBCAは2022年3月2日付で適応拡大の薬事承認を取得し,2022年9月1日付で特定保険医療材料ヒストアクリルとして収載されました。これにより,ようやく大手を振ってNBCAを使用できる環境が整ったといえます。実際に使用するにあたっては,適正使用指針に則り,e–ラーニングを受講,合格する必要があります。
 NBCAは切れ味の鋭い日本刀のような塞栓物質で,その治療効果には絶大なものがあります。しかしながら,未熟な術者が使用すると思わぬ合併症を引き起こす危険性があります。
 今回,実際にe–ラーニングを担当された方々を中心として,適応,使用法を中心とした手技の実際,合併症を避けるための工夫などにつき,総論,出血性病変,EVAR後のエンドリーク,経皮経肝的門脈塞栓術(PTPE),血流改変,シャント疾患,血管奇形,頭蓋内・頭頚部病変の各項目に分けてご執筆をお願いしましたところ,期待以上の力作ぞろいとなっています。
 初学者からベテランまで,すべての医師と医療スタッフに一読をお勧めいたします。

田島廣之
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序説(特集2:頭部MRIをさらに有効にする撮像オプション)

 画像診断業務の日常では,MRI検査のなかで頭部が占める割合はどの施設でも大きい。通常の流れでは依頼医からのオーダーの内容により,前もって施設で決められたプロトコルを選定して運用されていることがほとんどである。T1強調像,T2強調像,FLAIR像,拡散強調像,3D–TOF法のMRAといった基本パターンがあるが,これらにしても2D,3Dのいずれにするかを検討し,2Dであれば撮像方向を疑われている病態に応じて適切に決めていく。これらを前もって定めたプロトコルが病態に併せて用意されており,それを適用している施設が大多数と考えられる。
 一方でMRIは撮像法の選択肢の幅が大きく,こういった基本の撮像法には必ずしも含まれないが,病態によって病変の存在診断や質的診断をより精度の高いものにできる撮像法が多く開発されている。MRIの技術的進歩の流れを振り返ってみても,多くの新たなシーケンスが頭部の撮像においてほかの臓器に先立って報告され,実際に臨床の検査で用いられるようになった経緯は広く知られている。
 本特集はこういった「+α」的な撮像法に焦点をあてたものである。このような比較的先進的な撮像法を積極的に取り入れ,学会や論文,そのほかでその臨床応用を発信している4施設(三重大学,宮崎大学,弘前大学,杏林大学)で,実際の臨床現場に近い立場で診療を行っておられる先生方にお願いし,各施設で力を入れて使われているオプション的な撮像法を,それらを追加することで得られる付加的情報を含めて数種類ずつ示していただいた。こういったシーケンスの適切な選択と利用は前述のような撮像法の事前チェックの段階だけでなく,検査施行中にも所見に応じて追加することは画像診断医の「腕のみせどころ」であり,一種「醍醐味」とよんでもいいものではないかと思われる。撮像法によっては現状で必ずしもすべてのメーカーで対応できているわけではないが,今後の進展に期待したいと思う。また,このような撮像オプションを実際に運用するにあたっては放射線科医と現場の技師の方々との常日ごろのコミュニケーション(単に技術的なことに留まらず,臨床的な事項に関しても)があってこそ可能になることを強調しておきたい。
 各著者も述べておられるように,これらによってルーチンの撮像では判然としない病態が明らかになり,的確な診断に至るという経験が少なくないと考えられる。論文中にもあるが,施設によってはこういった撮像法にはすでにプロトコルに組み入れられているものもある。願わくは,必ずしも緩くない検査時間の縛りがあるなかで,より多くの施設でこういったオプション的撮像を臨機応変に取り入れ,臨床サイドや患者にとってより有益となる頭部のMRI検査を実践していきたいものである。
 最後に,日々の診療,研究,教育などで多忙ななか,いずれも充実した内容の原稿を準備してくださった4施設の著者の皆様に心から感謝申し上げます。

土屋一洋
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目次

『臨床画像』の編集主幹への就任にあたって  粟井和夫

■特集1:拡大適応の今こそ知りたいNBCA  企画・編集:田島廣之
序説  田島廣之
総論  荒井保明
出血性病変  塚原智史ほか
EVAR後のエンドリーク  岡田卓也
経皮経肝的門脈塞栓術(PTPE)  菅原俊祐
血流改変  曽根美雪
シャント疾患に対するNBCAを用いた塞栓術  田中利洋
血管奇形  小野澤志郎ほか
頭蓋内,頭頸部病変に対するNBCAを用いた塞栓術:基本的事項とコツ,注意点について  田上秀一ほか

■特集2:頭部MRIをさらに有効にする撮像オプション  企画・編集:土屋一洋,五明美穂
序説  土屋一洋
三重大学編  前田正幸
宮崎大学編  東 美奈子
弘前大学編  岩村暢寿ほか
杏林大学編  五明美穂ほか

●特別掲載
[第1回]IVRの展望と今後の活躍が期待されるIVRのデバイス  山本洋輔ほか

●連載
・何としても読んでもらいたい  あの論文,この論文[第21回]
過去にヨード造影剤で副作用が生じた患者に造影剤変更で副作用発現率が減ることを明らかにしたメタアナリシス  鈴木耕次郎
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