榊原記念病院
SHDインターベンション
実践マニュアル
[Web動画付]
定価 8,800円(税込) (本体8,000円+税)
- B5判 356ページ オールカラー,イラスト40点,写真512点
- 2024年3月31日刊行
- ISBN978-4-7583-2210-2
電子版
序文
心臓病の治療は急速に進歩しています。また,超高齢社会のなかで疾病構造も変化してきています。治療の進歩を支えてきたのは,画像診断法とカテーテルを用いた治療法の発展です。1970年代に開発された心エコーをはじめ,CT,MRIなどの非侵襲的診断法がより精細な診断を可能にしてきました。治療面では,冠動脈形成術として1977年に導入されたカテーテル治療が,動脈硬化による血管狭窄の治療から発展し,心臓弁膜症,先天性心疾患,大血管疾患,心筋症,不整脈などの多領域に広がり,より複雑・重篤な病変への対応が行われるようになってきました。一方それと呼応するように心臓外科手術も術式,安全性,侵襲性の面で飛躍的な進歩を遂げつつあります。
このような背景のもとに,新たに構造的心疾患(structural heart disease:SHD)という疾患領域が整理され,統一的に診療の手法が議論される時代となりました。新しい領域であることから,器具や手法は日々大きく変化しており,同時にこの領域での活動を希望する若い循環器医が増加しています。低侵襲とは裏腹に,難度が高い手技も多く,重大な合併症のリスクも無視できない治療になります。また,疾患によっては対象患者数が限られるため,多数例を経験できる施設は多くなく,初学者が経験を積んでいくにあたっては適切な指導体制とともに指南書の存在が必須です。特に日進月歩で進化する領域であるため,最新の情報提供,情報取得が非常に大切といえます。
榊原記念病院は,1977年の開院以来,多数例の小児・成人の心臓手術,カテーテル治療を行っており,わが国でもトップクラスのハイボリュームセンターです。SHDのカテーテル治療についても最新の技術を導入し続けてきました。また多くの人材の教育・指導を通じてこの治療法の普及に貢献してきました。常に最新の診療機器を導入し,内科・外科・小児科・麻酔科などの診療科間だけでなく,臨床検査,放射線,臨床工学,薬剤などの技術支援部門,そして看護や事務が一体となったチーム医療に徹した治療を行っています。さらに,徹底した心臓リハビリテーションの施行も含めて,患者本位の診療を行うなかでこの領域の発展に努めてきたところです。
本書は,榊原記念病院のSHD診療に携わる医師を中心に,当院で学んだ医師をはじめとするグループが総力を挙げて,最新の診療法を多方面から紹介したSHD治療の総合的指南書になります。この領域での診療を希望される,あるいは始められた若手医師はもとより,カテーテル室や病棟で活躍される看護師,医療技術者にも診療のガイドとなる内容として編まれています。すでに技術に習熟した医師にも折に触れて必要な事項を参照いただければ幸いです。
本書がわが国におけるSHD治療の発展の一助となることを祈念しています。
2024年2月
監修者・編集者を代表して
榊原記念病院 院長
磯部光章
このような背景のもとに,新たに構造的心疾患(structural heart disease:SHD)という疾患領域が整理され,統一的に診療の手法が議論される時代となりました。新しい領域であることから,器具や手法は日々大きく変化しており,同時にこの領域での活動を希望する若い循環器医が増加しています。低侵襲とは裏腹に,難度が高い手技も多く,重大な合併症のリスクも無視できない治療になります。また,疾患によっては対象患者数が限られるため,多数例を経験できる施設は多くなく,初学者が経験を積んでいくにあたっては適切な指導体制とともに指南書の存在が必須です。特に日進月歩で進化する領域であるため,最新の情報提供,情報取得が非常に大切といえます。
榊原記念病院は,1977年の開院以来,多数例の小児・成人の心臓手術,カテーテル治療を行っており,わが国でもトップクラスのハイボリュームセンターです。SHDのカテーテル治療についても最新の技術を導入し続けてきました。また多くの人材の教育・指導を通じてこの治療法の普及に貢献してきました。常に最新の診療機器を導入し,内科・外科・小児科・麻酔科などの診療科間だけでなく,臨床検査,放射線,臨床工学,薬剤などの技術支援部門,そして看護や事務が一体となったチーム医療に徹した治療を行っています。さらに,徹底した心臓リハビリテーションの施行も含めて,患者本位の診療を行うなかでこの領域の発展に努めてきたところです。
本書は,榊原記念病院のSHD診療に携わる医師を中心に,当院で学んだ医師をはじめとするグループが総力を挙げて,最新の診療法を多方面から紹介したSHD治療の総合的指南書になります。この領域での診療を希望される,あるいは始められた若手医師はもとより,カテーテル室や病棟で活躍される看護師,医療技術者にも診療のガイドとなる内容として編まれています。すでに技術に習熟した医師にも折に触れて必要な事項を参照いただければ幸いです。
本書がわが国におけるSHD治療の発展の一助となることを祈念しています。
2024年2月
監修者・編集者を代表して
榊原記念病院 院長
磯部光章
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目次
序章
1 榊原記念病院とSHDインターベンション 高山守正
2 SHDインターベンションの現状と今後 佐地真育
総論
Ⅰ カテーテル治療の基礎技術
1 事前準備
a 医師サイドから−インフォームド・コンセント− 萩谷健一
b 看護師サイドから-入退院支援センターの役割- 木村淳子
2 患者の事前評価 西川 慶
3 術前・術後の薬物治療 河合冬星
4 麻酔
a 小児-小児心臓カテーテルにおける麻酔管理- 清水 淳
b 成人 古市結富子
5 SHDの画像診断
a 経胸壁心エコー・経食道心エコー 堂垂大志,鍵山暢之
b CT 蟹沢 充
c MRI 大滝裕香
d 小児のCT/MRI 高田香織
6 心臓へのアプローチと基本的なカテーテル操作 舟木孝志
7 心房中隔穿刺 佐地真育
8 術前・術中・術後における多職種の役割
a 看護師
ⅰ 病棟看護師 田中靖弘
ⅱ カテ室看護師 坂本裕美
b 放射線技師 武田和也
c 臨床工学技士 大和田三起
d ハートチームカンファレンス 高見澤 格
9 術後管理と合併症への対応 須貝孝幸
10 カテーテル治療後の心臓リハビリテーション 中山敦子
各論
Ⅱ 弁膜症
1 TAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)
a 大動脈弁狭窄症の病態生理と管理 田村晴俊
b 術前評価とリスク評価 武藤雄紀
c 外科治療かカテーテル治療か
ⅰ カテーテル治療・外科治療の適応 渡邊雄介
ⅱ 大動脈弁狭窄症の外科治療の適応とMICS 岩倉具宏
d アプローチの選択 横山公章
e デバイスの選択 樋口亮介
f 透析患者での適応と対応 大西隆行
g 手技 土井信一郎
h 術後管理と合併症への対応 佐藤 圭
i 榊原記念病院における治療の現状とレジストリ 坂本和哉
j 【topics 1】TAVIの適応拡大とTAV-in-TAV 樋口亮介
2 TEER(経カテーテル的僧帽弁形成術)
a 僧帽弁閉鎖不全の病態生理と管理 大門雅夫
b 僧帽弁閉鎖不全の術前評価 板橋裕史
c 外科治療かカテーテル治療か 田端 実
d 経胸壁/経食道心エコーによる評価
ⅰ 術前評価 金子智洋
ⅱ 術中評価-術中経食道心エコー・術後経食道心エコー- 泉 佑樹
e 手技(MitraClip®) 北村光信
f 術後管理と合併症への対応 佐藤彰彦
g 榊原記念病院における治療の現状と治療成績 泉 佑樹
h 【topics 2】新しいTEER器材の開発 佐地真育
3 その他の弁膜症
a TPVI(経カテーテル的肺動脈弁留置術) 矢崎 諭
b PTMC(経皮的僧帽弁交連切開術)
ⅰ 適応と術前エコー 関 俊樹,泉 佑樹,高見澤 格
ⅱ 手技 高見澤 格
c 【topics 3】TriClip®(三尖弁閉鎖不全症に対するTEER) 杉浦淳史
d 弁周囲逆流(PVL) 佐藤 圭
Ⅲ 先天性心疾患
1 ASD閉鎖術 矢崎 諭
2 PDA閉鎖術 矢崎 諭
3 その他の先天性心疾患
a 先天性肺動脈弁狭窄に対するバルーン肺動脈弁形成術(BPV) 嶋 侑里子
b 大動脈縮窄 上田知実
Ⅳ その他のSHD
1 左心耳閉鎖
a 左心耳閉鎖術の適応 澤口 潤
b 心エコーでの評価 寺田 舞
c CTでの評価 佐藤岳史
d 経皮的左心耳閉鎖術の手技・合併症 岡部浩哉
e 外科的左心耳切除術 在國寺健太
2 PFO(卵円孔開存)
a PFOの病態・診断・治療適応 西田耕太
b 心エコーでの評価 吉敷香菜子
c 卵円孔開存閉鎖術の実際 七里 守
3 【topics 4】ハートブレインカンファレンス 長尾毅彦
4 PTSMA(経皮的中隔心筋焼灼術)
a 閉塞性肥大型心筋症(HOCM)の病態生理 山村善政
b 治療の選択(薬物治療/PTSMA/外科) 北村光信
c 術前評価
ⅰ 患者の病状評価 宮本雄也
ⅱ 心エコーでの評価 根本佳子
ⅲ SRT術前後のMRI・CTによる評価 大滝裕香,泉 佑樹
d PTSMAの手技・合併症とその対策 高見澤 格
e 閉塞性肥大型心筋症(HOCM)の外科治療-心筋切除術- 岩倉具宏,高梨秀一郎
f PTSMAの治療成績/当院での実績 蛭間貴司
1 榊原記念病院とSHDインターベンション 高山守正
2 SHDインターベンションの現状と今後 佐地真育
総論
Ⅰ カテーテル治療の基礎技術
1 事前準備
a 医師サイドから−インフォームド・コンセント− 萩谷健一
b 看護師サイドから-入退院支援センターの役割- 木村淳子
2 患者の事前評価 西川 慶
3 術前・術後の薬物治療 河合冬星
4 麻酔
a 小児-小児心臓カテーテルにおける麻酔管理- 清水 淳
b 成人 古市結富子
5 SHDの画像診断
a 経胸壁心エコー・経食道心エコー 堂垂大志,鍵山暢之
b CT 蟹沢 充
c MRI 大滝裕香
d 小児のCT/MRI 高田香織
6 心臓へのアプローチと基本的なカテーテル操作 舟木孝志
7 心房中隔穿刺 佐地真育
8 術前・術中・術後における多職種の役割
a 看護師
ⅰ 病棟看護師 田中靖弘
ⅱ カテ室看護師 坂本裕美
b 放射線技師 武田和也
c 臨床工学技士 大和田三起
d ハートチームカンファレンス 高見澤 格
9 術後管理と合併症への対応 須貝孝幸
10 カテーテル治療後の心臓リハビリテーション 中山敦子
各論
Ⅱ 弁膜症
1 TAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)
a 大動脈弁狭窄症の病態生理と管理 田村晴俊
b 術前評価とリスク評価 武藤雄紀
c 外科治療かカテーテル治療か
ⅰ カテーテル治療・外科治療の適応 渡邊雄介
ⅱ 大動脈弁狭窄症の外科治療の適応とMICS 岩倉具宏
d アプローチの選択 横山公章
e デバイスの選択 樋口亮介
f 透析患者での適応と対応 大西隆行
g 手技 土井信一郎
h 術後管理と合併症への対応 佐藤 圭
i 榊原記念病院における治療の現状とレジストリ 坂本和哉
j 【topics 1】TAVIの適応拡大とTAV-in-TAV 樋口亮介
2 TEER(経カテーテル的僧帽弁形成術)
a 僧帽弁閉鎖不全の病態生理と管理 大門雅夫
b 僧帽弁閉鎖不全の術前評価 板橋裕史
c 外科治療かカテーテル治療か 田端 実
d 経胸壁/経食道心エコーによる評価
ⅰ 術前評価 金子智洋
ⅱ 術中評価-術中経食道心エコー・術後経食道心エコー- 泉 佑樹
e 手技(MitraClip®) 北村光信
f 術後管理と合併症への対応 佐藤彰彦
g 榊原記念病院における治療の現状と治療成績 泉 佑樹
h 【topics 2】新しいTEER器材の開発 佐地真育
3 その他の弁膜症
a TPVI(経カテーテル的肺動脈弁留置術) 矢崎 諭
b PTMC(経皮的僧帽弁交連切開術)
ⅰ 適応と術前エコー 関 俊樹,泉 佑樹,高見澤 格
ⅱ 手技 高見澤 格
c 【topics 3】TriClip®(三尖弁閉鎖不全症に対するTEER) 杉浦淳史
d 弁周囲逆流(PVL) 佐藤 圭
Ⅲ 先天性心疾患
1 ASD閉鎖術 矢崎 諭
2 PDA閉鎖術 矢崎 諭
3 その他の先天性心疾患
a 先天性肺動脈弁狭窄に対するバルーン肺動脈弁形成術(BPV) 嶋 侑里子
b 大動脈縮窄 上田知実
Ⅳ その他のSHD
1 左心耳閉鎖
a 左心耳閉鎖術の適応 澤口 潤
b 心エコーでの評価 寺田 舞
c CTでの評価 佐藤岳史
d 経皮的左心耳閉鎖術の手技・合併症 岡部浩哉
e 外科的左心耳切除術 在國寺健太
2 PFO(卵円孔開存)
a PFOの病態・診断・治療適応 西田耕太
b 心エコーでの評価 吉敷香菜子
c 卵円孔開存閉鎖術の実際 七里 守
3 【topics 4】ハートブレインカンファレンス 長尾毅彦
4 PTSMA(経皮的中隔心筋焼灼術)
a 閉塞性肥大型心筋症(HOCM)の病態生理 山村善政
b 治療の選択(薬物治療/PTSMA/外科) 北村光信
c 術前評価
ⅰ 患者の病状評価 宮本雄也
ⅱ 心エコーでの評価 根本佳子
ⅲ SRT術前後のMRI・CTによる評価 大滝裕香,泉 佑樹
d PTSMAの手技・合併症とその対策 高見澤 格
e 閉塞性肥大型心筋症(HOCM)の外科治療-心筋切除術- 岩倉具宏,高梨秀一郎
f PTSMAの治療成績/当院での実績 蛭間貴司
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