四肢切断術のすべて
[Web動画付]
定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
- A4判 232ページ オールカラー,イラスト100点,写真200点
- 2023年2月20日刊行
- ISBN978-4-7583-2173-0
電子版
序文
切断術は,患者にとってはもちろんのこと,術者にとっても最も行いたくない術式の一つであります。しかし,悪性腫瘍や外傷などではやむなく切断術が選択されてきました。これらは比較的若年者に行うことが多く,切断術を行ったことのある術者であれば,記憶に強く刻まれた症例も多いことと思います。また,これまでも包括的高度慢性下肢虚血(chronic limb-threatening ischemia;CLTI)や糖尿病を原因とした下肢の感染による切断術が割合の多くを占めていましたが,超高齢社会の到来に伴って,最近特に増加しております。一方で,血管病変に対する血管内治療やバイパス手術などの血行再建術の進歩,創傷に対する局所陰圧閉鎖療法や被覆材料の発展により,救肢できる症例も増えてきております。またやむをえず切断する場合でも,より遠位での切断で済むことが多くなっております。
整形外科では,比較的若い術者が切断術を行うことも多いですが,手術手技に関して参考となる技術書はそれほど多くはありません。そこで,下肢の切断術が増えている現状を踏まえ,これまで切断術を行ったことがない術者でも行えるような,手術手技を中心とした総合的な切断術の成書の必要性を感じ,今回上梓することとなりました。
本書は臨床の第一線でご活躍の先生方にご執筆をお願いし,まず総説として切断術の疫学や基本手技,義足や義手の種類,切断患者に対する心理的サポートや栄養管理,幻肢痛への対応方法などについて言及していただきました。各論としては,CLTI による切断術を中心に,腫瘍による切断術,外傷による切断術に分けて,それぞれの切断レベルの決め方から術式の詳細まで,さらには義肢や装具の処方方法まで記載いただきました。また,最終章ではリハビリテーションについて言及していただいております。
本書が少しでも合併症が少ない,機能的な四肢が残ることのお役に立てればと考えております。特に若い先生方の指南書になれば幸甚に存じます。
2023 年1 月
奈良県立医科大学整形外科教室教授 田中 康仁
鹿児島共済会南風病院整形外科部長 富村奈津子
整形外科では,比較的若い術者が切断術を行うことも多いですが,手術手技に関して参考となる技術書はそれほど多くはありません。そこで,下肢の切断術が増えている現状を踏まえ,これまで切断術を行ったことがない術者でも行えるような,手術手技を中心とした総合的な切断術の成書の必要性を感じ,今回上梓することとなりました。
本書は臨床の第一線でご活躍の先生方にご執筆をお願いし,まず総説として切断術の疫学や基本手技,義足や義手の種類,切断患者に対する心理的サポートや栄養管理,幻肢痛への対応方法などについて言及していただきました。各論としては,CLTI による切断術を中心に,腫瘍による切断術,外傷による切断術に分けて,それぞれの切断レベルの決め方から術式の詳細まで,さらには義肢や装具の処方方法まで記載いただきました。また,最終章ではリハビリテーションについて言及していただいております。
本書が少しでも合併症が少ない,機能的な四肢が残ることのお役に立てればと考えております。特に若い先生方の指南書になれば幸甚に存じます。
2023 年1 月
奈良県立医科大学整形外科教室教授 田中 康仁
鹿児島共済会南風病院整形外科部長 富村奈津子
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書評
読者からの声
○整形外科専門医 S先生
四肢切断術についてはあらゆる切断箇所が実臨床で経験される。基本手技/術式に始まって術後管理,合併症,リハビリテーションや義足の種類に至るまで,横断的・網羅的にまとめた書籍は本書が初めてであろう。
解剖は分かりやすくイラスト化され,実際の臨床写真も豊富。タイトルの通り「すべて」が載っている詳しい本でありながら説明調の堅さはなく,若手から指導医まで全整形外科医・形成外科医が必携の一冊である。
○整形外科専門医 M先生
避けては通れない四肢切断術について,手術適応,術式,術後管理,装具,リハビリテーションスケール,さらには介護保険や回復期リハビリテーション適応などについての社会的な情報まで詳細に掲載されています。「もっと早く知っておけばよかった」という情報満載です。
引用文献も豊富で,四肢切断における臨床判断をこれからはエビデンスに基づいて行えるようになると実感しました。
若手のみならず,必読の一冊です。
○整形外科専門医 S先生
四肢切断術についてはあらゆる切断箇所が実臨床で経験される。基本手技/術式に始まって術後管理,合併症,リハビリテーションや義足の種類に至るまで,横断的・網羅的にまとめた書籍は本書が初めてであろう。
解剖は分かりやすくイラスト化され,実際の臨床写真も豊富。タイトルの通り「すべて」が載っている詳しい本でありながら説明調の堅さはなく,若手から指導医まで全整形外科医・形成外科医が必携の一冊である。
○整形外科専門医 M先生
避けては通れない四肢切断術について,手術適応,術式,術後管理,装具,リハビリテーションスケール,さらには介護保険や回復期リハビリテーション適応などについての社会的な情報まで詳細に掲載されています。「もっと早く知っておけばよかった」という情報満載です。
引用文献も豊富で,四肢切断における臨床判断をこれからはエビデンスに基づいて行えるようになると実感しました。
若手のみならず,必読の一冊です。
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目次
Ⅰ 総論
わが国の切断術の頻度 [西岡祐一]
切断術の適応と術前計画 [加藤弘明]
切断術の基本手技 [加藤弘明]
切断術の合併症 [寺門厚彦]
切断術の周術期管理 [花岡英二]
下肢切断術後のリハビリテーションと退院支援 [川北慎一郎]
義足の種類と処方 [陳 隆明]
義手の種類と処方 [田中洋平]
切断患者に対する心理的サポート [池田清子,後藤由紀子]
切断患者の栄養管理 [斎野容子]
四肢切断後の痛み [住谷瑞穂,大竹祐子,住谷昌彦,大住倫弘]
Ⅱ CLTIによる切断
CLTIの切断術の考え方 [大浦紀彦]
CLTIにおけるフットケアの考え方 [古川雅英]
CLTIの小切断の実際 [大浦紀彦]
足趾切断の実際 [門野邦彦]
足部の切断術の実際:中足切断術 [門野邦彦]
足部の切断術の実際:リスフラン切断術 [門野邦彦]
足関節離断術の実際 [谷口 晃]
下腿切断の実際 [花岡英二]
大腿切断の実際 [富村奈津子]
Ⅲ 腫瘍による切断
腫瘍による切断レベルの決定 [朴木寛弥]
下肢の切断術の実際 [西田佳弘]
悪性骨軟部腫瘍に対する上肢の切断術の実際 [菅原正登]
Ⅳ 外傷による切断
外傷による切断レベルの決定方法:上肢 [河村健二]
外傷による切断レベルの決定方法:下肢 [中野健一]
手指の切断術ならびに複数指切断術の実際 [河村健二]
前腕切断術,上腕切断術の実際 [中野健一]
下肢の切断術の実際 [中山雄平,黒住健人]
Ⅴ リハビリテーション
回復期における下肢切断(義足)のリハビリテーション治療 [田中洋平]
小切断のリハビリテーション [古川雅英]
小児における切断術とリハビリテーション [芳賀信彦]
わが国の切断術の頻度 [西岡祐一]
切断術の適応と術前計画 [加藤弘明]
切断術の基本手技 [加藤弘明]
切断術の合併症 [寺門厚彦]
切断術の周術期管理 [花岡英二]
下肢切断術後のリハビリテーションと退院支援 [川北慎一郎]
義足の種類と処方 [陳 隆明]
義手の種類と処方 [田中洋平]
切断患者に対する心理的サポート [池田清子,後藤由紀子]
切断患者の栄養管理 [斎野容子]
四肢切断後の痛み [住谷瑞穂,大竹祐子,住谷昌彦,大住倫弘]
Ⅱ CLTIによる切断
CLTIの切断術の考え方 [大浦紀彦]
CLTIにおけるフットケアの考え方 [古川雅英]
CLTIの小切断の実際 [大浦紀彦]
足趾切断の実際 [門野邦彦]
足部の切断術の実際:中足切断術 [門野邦彦]
足部の切断術の実際:リスフラン切断術 [門野邦彦]
足関節離断術の実際 [谷口 晃]
下腿切断の実際 [花岡英二]
大腿切断の実際 [富村奈津子]
Ⅲ 腫瘍による切断
腫瘍による切断レベルの決定 [朴木寛弥]
下肢の切断術の実際 [西田佳弘]
悪性骨軟部腫瘍に対する上肢の切断術の実際 [菅原正登]
Ⅳ 外傷による切断
外傷による切断レベルの決定方法:上肢 [河村健二]
外傷による切断レベルの決定方法:下肢 [中野健一]
手指の切断術ならびに複数指切断術の実際 [河村健二]
前腕切断術,上腕切断術の実際 [中野健一]
下肢の切断術の実際 [中山雄平,黒住健人]
Ⅴ リハビリテーション
回復期における下肢切断(義足)のリハビリテーション治療 [田中洋平]
小切断のリハビリテーション [古川雅英]
小児における切断術とリハビリテーション [芳賀信彦]
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四肢切断術の新たなゴールドスタンダードが誕生!
四肢切断術の新たなゴールドスタンダードが誕生!
原因(CLTI,腫瘍,外傷)・部位(上肢・下肢)別に,どう切り,どう縫合し,どのように義肢義足を選択するのか,切・離断時の断面図など豊富な解剖イラストにより手術の流れや完成形が具体的にイメージできる。さらに,合併症やフットケア,義肢の種類,リハビリテーションなど術前から術後まで,切・離断術に臨むうえで知っておくべきことをすべて収載。各項目の最後に掲載した執筆者からの“Message”も必読!