新OS NEXUS No.9
脊椎手術の合併症予防と
トラブルシューティング
[Web動画付]
定価 12,100円(税込) (本体11,000円+税)
- A4判 168ページ オールカラー,イラスト100点,写真70点
- 2024年2月11日刊行
- ISBN978-4-7583-2159-4
電子版
序文
このたび,『新OS NEXUS No.9 脊椎手術の合併症予防とトラブルシューティング』 を上梓させていただくことになりました。これまで「新OS NEXUS」の脊椎シリーズとして『ベーシックな脊椎除圧術のすべて』(新OS NEXUS No.3),『脊椎固定術の基本手技』(新OS NEXUS No.6)を発刊いたしまして,基本的な脊椎手術を習得いただいたと思います。手術を成功に導くには的確な手術適応の見極めと確実な手術手技が必要ですが,手術合併症の予防と,合併症を生じた場合のトラブルシューティングも大変重要です。周術期合併症の中には早期に適切な対応をすれば良好な手術成績が得られるものもあります。現在の超高齢社会において高齢者の良好な日常生活動作を維持・改善するためには,より高齢の患者さんに脊椎手術を実施する機会も増えてきています。高齢者は基礎疾患も多く,術後の回復に時間を要すこともありますので,手術成功のもう一つの重要なピースとして,「脊椎手術の合併症予防とトラブルシューティング」は必須と考えています。
本誌では,まず,「合併症の予防・対策の総論」として,体位による合併症の回避,出血・感染予防と対策,術中神経合併症や硬膜損傷への対策を取り上げました。いずれも一般的な脊椎手術において経験する頻度が高い合併症であり,術中脊髄モニタリングへの理解とともに,基本的な予防策と適切な対処法を身につけておく必要があります。
続いてⅡ~Ⅳ章では,Ⅱ 頚椎,Ⅲ 胸椎,Ⅳ 腰仙椎の手術別に,それぞれの手術において注意すべき合併症と予防・対策について執筆いただきました。合併症の特集では,「合併症の種類別」に詳述されているものも多くある中で,本誌では各手術をイメージいただきつつ,手術を進める中で回避すべき合併症,そして合併症が生じた際の対策を,手術手技とともに習得いただきたいと思います。総論とともに,様々な脊椎手術別の合併症について詳述いただいており,本書を通読いただくことにより脊椎手術操作に応じた合併症リスクの認識と予防・対策がまとめて身につく内容となっております。
最後に「基本的治療手技」として,治療としても高位診断としても有効な「椎間板造影」と,髄液漏の予防・治療ともに有効な「腰椎ドレナージ」の基本手技を取り上げました。いずれも重要な手技であり,是非ご参考にしてくだされば幸いです。
本書は,現在第一線でご活躍中の先生方にご執筆を賜りました。おかげさまで,脊椎外科医を目指す若手医師には脊椎外科の入門編として分かりやすく,すでにご経験のある先生方には更に安全・確実な手術手技を得られるよう,とても充実した内容となりました。大変ご多忙の中,ご執筆ならびに手術動画作成をくださった諸先生方ならびに出版に関わる皆様に,心より御礼申し上げます。
2023年12月
名古屋大学大学院医学系研究科整形外科学教授
今釜史郎
本誌では,まず,「合併症の予防・対策の総論」として,体位による合併症の回避,出血・感染予防と対策,術中神経合併症や硬膜損傷への対策を取り上げました。いずれも一般的な脊椎手術において経験する頻度が高い合併症であり,術中脊髄モニタリングへの理解とともに,基本的な予防策と適切な対処法を身につけておく必要があります。
続いてⅡ~Ⅳ章では,Ⅱ 頚椎,Ⅲ 胸椎,Ⅳ 腰仙椎の手術別に,それぞれの手術において注意すべき合併症と予防・対策について執筆いただきました。合併症の特集では,「合併症の種類別」に詳述されているものも多くある中で,本誌では各手術をイメージいただきつつ,手術を進める中で回避すべき合併症,そして合併症が生じた際の対策を,手術手技とともに習得いただきたいと思います。総論とともに,様々な脊椎手術別の合併症について詳述いただいており,本書を通読いただくことにより脊椎手術操作に応じた合併症リスクの認識と予防・対策がまとめて身につく内容となっております。
最後に「基本的治療手技」として,治療としても高位診断としても有効な「椎間板造影」と,髄液漏の予防・治療ともに有効な「腰椎ドレナージ」の基本手技を取り上げました。いずれも重要な手技であり,是非ご参考にしてくだされば幸いです。
本書は,現在第一線でご活躍中の先生方にご執筆を賜りました。おかげさまで,脊椎外科医を目指す若手医師には脊椎外科の入門編として分かりやすく,すでにご経験のある先生方には更に安全・確実な手術手技を得られるよう,とても充実した内容となりました。大変ご多忙の中,ご執筆ならびに手術動画作成をくださった諸先生方ならびに出版に関わる皆様に,心より御礼申し上げます。
2023年12月
名古屋大学大学院医学系研究科整形外科学教授
今釜史郎
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目次
Ⅰ 総論:脊椎・脊髄手術における合併症の予防と対策
体位による合併症の回避 長谷川智彦
出血予防と対策 酒井紀典
感染予防と対策 山田浩司
術中神経合併症の予防と対策:術中脊髄モニタリング 舩場真裕
硬膜損傷への対策:脊髄腫瘍術後の硬膜再建を含めて 名越慈人
Ⅱ 頚椎
前方手術:手術時と術後の合併症予防と対策 野澤 聡
椎弓形成手術:手術時と術後の合併症予防と対策 川端走野ほか
後方固定術:手術時と術後の合併症予防と対策 若尾典充
後頭頚椎固定術:術後嚥下障害予防のために 宇佐美嘉正ほか
頚椎・頚髄損傷の手術:術前,術中,術後の合併症予防と対策 瀧川朋亨ほか
Ⅲ 胸椎
骨粗鬆性椎体骨折に対する手術の合併症を最小化するための知識とコツ 西田康太郎
胸椎後縦靱帯骨化症に対する前方手術:手術時と術後の合併症予防と対策 大谷和之
胸椎後縦靱帯骨化症・黄色靱帯骨化症に対する後方手術 中島宏彰ほか
Ⅳ 腰仙椎
後方除圧術・固定術:手術時と術後の合併症予防と対策 鈴木伸幸ほか
腰仙椎前方手術の合併症予防と対策:OLIF25とOLIF51を中心に 清水孝彬ほか
変性側弯症手術:手術時と術後の合併症予防と対策 山田智裕ほか
Ⅴ 基本的治療手技
頚椎椎間板造影,IDISの基本手技 伊藤圭吾
腰椎持続髄液ドレナージの基本手技 世木直喜ほか
体位による合併症の回避 長谷川智彦
出血予防と対策 酒井紀典
感染予防と対策 山田浩司
術中神経合併症の予防と対策:術中脊髄モニタリング 舩場真裕
硬膜損傷への対策:脊髄腫瘍術後の硬膜再建を含めて 名越慈人
Ⅱ 頚椎
前方手術:手術時と術後の合併症予防と対策 野澤 聡
椎弓形成手術:手術時と術後の合併症予防と対策 川端走野ほか
後方固定術:手術時と術後の合併症予防と対策 若尾典充
後頭頚椎固定術:術後嚥下障害予防のために 宇佐美嘉正ほか
頚椎・頚髄損傷の手術:術前,術中,術後の合併症予防と対策 瀧川朋亨ほか
Ⅲ 胸椎
骨粗鬆性椎体骨折に対する手術の合併症を最小化するための知識とコツ 西田康太郎
胸椎後縦靱帯骨化症に対する前方手術:手術時と術後の合併症予防と対策 大谷和之
胸椎後縦靱帯骨化症・黄色靱帯骨化症に対する後方手術 中島宏彰ほか
Ⅳ 腰仙椎
後方除圧術・固定術:手術時と術後の合併症予防と対策 鈴木伸幸ほか
腰仙椎前方手術の合併症予防と対策:OLIF25とOLIF51を中心に 清水孝彬ほか
変性側弯症手術:手術時と術後の合併症予防と対策 山田智裕ほか
Ⅴ 基本的治療手技
頚椎椎間板造影,IDISの基本手技 伊藤圭吾
腰椎持続髄液ドレナージの基本手技 世木直喜ほか
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脊椎手術の合併症予防とトラブルシューティングをマスター!
「専攻医が経験すべき手術」を全20巻でほぼ網羅。メインの特集項目に加えて,手技の理解を深める解剖学的知識を示した「Anatomy Key Point」や,知っておくと有用な基本的手術・治療手技の紹介も毎号掲載し,専攻医として必要なスキルを漏れなくカバーできるシリーズ構成となっている。さらに前シリーズからの特徴である豊富な画像と精密なイラストに加えて今シーズンではストリーミング動画も配信し,静止画では伝わりづらい部分もよくわかる!
No. 9では脊椎手術の合併症予防とトラブルシューティングについてマスターしておきたい基本手技を解説する。