臨床画像
2025年10月増刊号 Vol.41 No.14
まとめておさえておきたい感染症の画像診断

定価 5,940円(税込) (本体5,400円+税)
- B5判 168ページ
- 2025年9月30日刊行
電子版
序説
画像診断が人類と感染症の長い戦いの歴史のなかに登場したのはその歴史の長さを考慮するとつい最近のことである。しかし,感染症の診療における画像診断の有用性はすぐに認知され,放射線医学の黎明期にはすでに当時の代表的な感染症である結核の診療にX線が用いられていたことは多くの人が知るところであろう。そして,最近ではCOVID–19のパンデミックでCTが重要な役割を担ったことは記憶に新しい。
一般的に,感染症は臨床症状により疑われ,患者から採取された検体による検査で原因となる病原体が特定されて診断が確定する。そして,治療には(無治療や対症療法ですむ軽症例を除けば)原因となる病原体に有効な治療薬が用いられ,さらに予防として各種のワクチンやマスク・手洗いなどの感染対策が普及している。この診療体系のなかで,画像診断は感染巣の検出,広がりの評価や重症度の診断,非感染性疾患との鑑別,合併症の評価,免疫低下をきたす基礎疾患があればその評価,治療開始後のモニタリング,などに利用されている。病原体の特定が容易ではない場合や時間がかかる場合には,画像所見からの推定が期待されるであろう。感染徴候に乏しい場合には画像診断で初めて感染症の可能性が浮上することもある。IVRも手がける画像診断医は画像ガイド下の検体採取やドレナージも期待されるであろう。
このように考えると,感染症の診療において画像診断医が果たすべき役割は非常に多いことがわかる。そして感染症には流行がつきものである。COVID–19は2023年5月に5類感染症に移行したものの,本稿執筆時の2025年9月初旬にも変異株ニンバスによる感染者の急増が報告されている。そしてマイコプラズマ肺炎,肺結核や肺以外の結核,溶連菌感染症,梅毒など,最近増加が報告されるなどして注目されている疾患は多い。日常診療やカンファレンスなどでそれらの症例に遭遇することも多くなってきており,画像診断医にも現況に合わせたアップデートが求められる。
以上の観点から,本号ではまず新潟大学医歯学総合病院 感染管理部長の茂呂 寛先生に画像診断医が一臨床医として知っておくべき感染症の最近の動向について,国内の状況を中心に解説していただいた。そして,それに引き続いて画像診断のエキスパートの先生方に全身にわたって感染症の画像所見を解説していただいた。構成については臓器別を基本としつつ,感染の舞台となりやすい呼吸器領域をさらに細分化した。そして梅毒と肺外結核については独立させていただいた。執筆者の先生方には,各領域の代表的な疾患に加えて,最近注目されている疾患や病態があれば併せて解説をお願いした。そして,領域をまたぐ感染の進展形式について解説をお願いしたところもある。そのために一部の疾患や病態は複数の項目で登場するが,その結果としてどの項目を読んでいただいてもその領域について一とおりの理解が得られるようになっている。
ご多忙のなか,非常に難しいテーマにもかかわらず快く執筆を引き受けていただいた著者の先生方には心より感謝を申し上げたい。
読者の皆様には,これらの玉稿を企画の趣旨どおり「まとめておさえる」ために通読していただいても,あるいは日々の診療で遭遇したところから読んでいっていただいても,十分に満足していただけるであろう。本日からの診療にぜひお役立ていただきたい。
石川浩志
画像診断が人類と感染症の長い戦いの歴史のなかに登場したのはその歴史の長さを考慮するとつい最近のことである。しかし,感染症の診療における画像診断の有用性はすぐに認知され,放射線医学の黎明期にはすでに当時の代表的な感染症である結核の診療にX線が用いられていたことは多くの人が知るところであろう。そして,最近ではCOVID–19のパンデミックでCTが重要な役割を担ったことは記憶に新しい。
一般的に,感染症は臨床症状により疑われ,患者から採取された検体による検査で原因となる病原体が特定されて診断が確定する。そして,治療には(無治療や対症療法ですむ軽症例を除けば)原因となる病原体に有効な治療薬が用いられ,さらに予防として各種のワクチンやマスク・手洗いなどの感染対策が普及している。この診療体系のなかで,画像診断は感染巣の検出,広がりの評価や重症度の診断,非感染性疾患との鑑別,合併症の評価,免疫低下をきたす基礎疾患があればその評価,治療開始後のモニタリング,などに利用されている。病原体の特定が容易ではない場合や時間がかかる場合には,画像所見からの推定が期待されるであろう。感染徴候に乏しい場合には画像診断で初めて感染症の可能性が浮上することもある。IVRも手がける画像診断医は画像ガイド下の検体採取やドレナージも期待されるであろう。
このように考えると,感染症の診療において画像診断医が果たすべき役割は非常に多いことがわかる。そして感染症には流行がつきものである。COVID–19は2023年5月に5類感染症に移行したものの,本稿執筆時の2025年9月初旬にも変異株ニンバスによる感染者の急増が報告されている。そしてマイコプラズマ肺炎,肺結核や肺以外の結核,溶連菌感染症,梅毒など,最近増加が報告されるなどして注目されている疾患は多い。日常診療やカンファレンスなどでそれらの症例に遭遇することも多くなってきており,画像診断医にも現況に合わせたアップデートが求められる。
以上の観点から,本号ではまず新潟大学医歯学総合病院 感染管理部長の茂呂 寛先生に画像診断医が一臨床医として知っておくべき感染症の最近の動向について,国内の状況を中心に解説していただいた。そして,それに引き続いて画像診断のエキスパートの先生方に全身にわたって感染症の画像所見を解説していただいた。構成については臓器別を基本としつつ,感染の舞台となりやすい呼吸器領域をさらに細分化した。そして梅毒と肺外結核については独立させていただいた。執筆者の先生方には,各領域の代表的な疾患に加えて,最近注目されている疾患や病態があれば併せて解説をお願いした。そして,領域をまたぐ感染の進展形式について解説をお願いしたところもある。そのために一部の疾患や病態は複数の項目で登場するが,その結果としてどの項目を読んでいただいてもその領域について一とおりの理解が得られるようになっている。
ご多忙のなか,非常に難しいテーマにもかかわらず快く執筆を引き受けていただいた著者の先生方には心より感謝を申し上げたい。
読者の皆様には,これらの玉稿を企画の趣旨どおり「まとめておさえる」ために通読していただいても,あるいは日々の診療で遭遇したところから読んでいっていただいても,十分に満足していただけるであろう。本日からの診療にぜひお役立ていただきたい。
石川浩志
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目次
■特集:まとめておさえておきたい感染症の画像診断 企画・編集:石川浩志
序説 石川浩志
感染症領域における最近の動向 茂呂 寛
中枢神経系の感染症 中村尚生
性感染症の中枢神経病変−主として梅毒について− 森 暢幸
頭頸部領域の感染症 豊田圭子
市中肺炎の画像診断 佐藤晴佳ほか
ウイルス性肺炎の画像診断 脇田貴大ほか
肺真菌症 石村茉莉子ほか
肺抗酸菌症 氏田万寿夫ほか
肺外結核の画像診断−胸膜病変を中心に“明日から役立つ”病型を俯瞰する− 竹内 均
肺寄生虫疾患 大城康二
胸膜および縦隔の感染症 大木 望ほか
心血管系の感染症①−心筋炎・心膜炎における画像診断の役割− 真鍋徳子
⼼⾎ 管系の感染症②:⾎管の感染症−感染性大動脈瘤/感染性心内膜炎− 太田靖利
上腹部臓器の感染症 前原真菜ほか
感染性腸炎の画像診断−右側結腸炎/回盲部炎の鑑別を中心に− 豊口裕樹
腎泌尿器系の感染症 懸高浩規ほか
婦人科領域の骨盤内感染症 伊藤浩一ほか
骨軟部感染症 秋山新平
序説 石川浩志
感染症領域における最近の動向 茂呂 寛
中枢神経系の感染症 中村尚生
性感染症の中枢神経病変−主として梅毒について− 森 暢幸
頭頸部領域の感染症 豊田圭子
市中肺炎の画像診断 佐藤晴佳ほか
ウイルス性肺炎の画像診断 脇田貴大ほか
肺真菌症 石村茉莉子ほか
肺抗酸菌症 氏田万寿夫ほか
肺外結核の画像診断−胸膜病変を中心に“明日から役立つ”病型を俯瞰する− 竹内 均
肺寄生虫疾患 大城康二
胸膜および縦隔の感染症 大木 望ほか
心血管系の感染症①−心筋炎・心膜炎における画像診断の役割− 真鍋徳子
⼼⾎ 管系の感染症②:⾎管の感染症−感染性大動脈瘤/感染性心内膜炎− 太田靖利
上腹部臓器の感染症 前原真菜ほか
感染性腸炎の画像診断−右側結腸炎/回盲部炎の鑑別を中心に− 豊口裕樹
腎泌尿器系の感染症 懸高浩規ほか
婦人科領域の骨盤内感染症 伊藤浩一ほか
骨軟部感染症 秋山新平
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