2024年4月増刊号 Vol.40 No.13

絶対苦手分野にしない 悪性リンパ腫の画像診断

臨床画像 2024年4月増刊号
定価 5,500円(税込) (本体5,000円+税)
  • B5判  212ページ  
  • 2024年3月30日刊行


序説

 悪性リンパ腫はリンパ節をはじめとして,中枢神経から四肢末梢の軟部組織に至るまでリンパ腫の発生しない臓器はないといえるほど,全身のありとあらゆる部位に発生する。筆者が医者になった時点ではまだ遭遇する機会はそれほど多くない疾患であり,症例検討会などでお目にかかる機会が多かったのだが,その発生頻度は近年,急速な増加傾向にあり,日常診療において遭遇する機会のきわめて高い疾患といえる。例えばEBVが陽性となるリンパ腫は免疫抑制状態で発生する症例もあるものの,加齢に伴うと思われる免疫力の減衰によると考えられる症例が増えており,今後,ますます顕著になりつつある高齢化社会においてはその増加傾向はますます加速する可能性すらあるだろう。
 リンパ腫はほかの固形腫瘍とは治療方針が大きく異なるため,画像診断の果たす役割が非常に大きい。臨床および画像診断は多彩ではあるが,ほかの固形腫瘍とは一線を画する画像所見を呈することが多いために,画像診断からリンパ腫の可能性を示唆することが可能なことが多い。また中枢神経,心臓および皮膚病変は別として,施設によりIVRの適応が多少異なるにせよ,画像ガイド下生検でも臨床に大きく貢献することが見込まれる病態でもある。リンパ腫が疑われる場合には可能な限り非侵襲的な生検により診断を確立し,適切な治療に誘導することは画像診断医の重要な使命といえよう。
 今回,この悪性リンパ腫に関する企画が筆者のところに舞い込んできたのは昨年の師走の時期であり,この特集の内容を決めるまでに時間を要したためとのことであった。編集部によると3月末が出版予定とのことだったので,執筆の時間が短いことが懸念されたが,かねてより悪性リンパ腫に関して纏まった書籍が見あたらないことが気になっているところでもあったので,千載一遇の機会ととらえて躊躇なく承らせていただくことにした。企画の担当として筆者をご指名いただいた編集委員の先生方に御礼を申し上げたい。そして限られた時間のなかで執筆を担当していただいた諸先生方の原稿はいずれも筆者の期待をはるかに上回るもので,深謝に堪えない。本書が画像診断医のみならず,リンパ腫に臨床に携わる先生方に少しでも役に立ちうることがあれば幸甚の限りである。
 最後に私事で恐縮ではあるが,本書の刊行が予定されている日は奇しくも筆者の幼馴染みの親友の命日にあたる。その年はいつになく桜の開花が早く,彼が白血病により16歳という若さで逝ったのはこれ以上はないほどまでに桜が満開の日であった。その日を境に私はそれまでの文系志望をやめて医学部を志すことにしたのだった。今年も桜の季節が早そうであり,本書が上梓されるころには見ごろを迎えていることだろう。本書を携えて久しぶりに友人の墓参りに行くことにしようと思う。

桜の便りを待ちながら  小山 貴
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目次

■特集:絶対苦手分野にしない 悪性リンパ腫の画像診断  企画・編集:小山 貴
序説  小山 貴
[総論]
リンパ腫の分類とその臨床像  小山 貴
悪性リンパ腫の病理診断のポイント  赤池瑶子ほか
リンパ腫のFDG–PET/CT  中谷航也
リンパ腫に対する画像ガイド下生検  石坂幸雄ほか
悪性リンパ腫における臨床症状と血液検査所見  小山 貴
[各論]
中枢神経  坂田昭彦ほか
頭頸部  檜山貴志
縦隔  小山 貴
肺リンパ腫・リンパ増殖性疾患  久保 武
心臓悪性リンパ腫の画像診断  多保康平ほか
乳腺リンパ腫  八木下和代ほか
肝,胆道系,膵  小林 聡ほか
消化管,腸間膜,腹膜,脾  横山幸太ほか
腎・副腎・後腹膜病変  加藤大翼ほか
女性生殖器  伊藤久尊
泌尿生殖器  八木文子ほか
骨軟部と末梢神経のリンパ腫  神澤 純ほか
小児リンパ腫の画像所見  原 裕子ほか
リンパ腫の鑑別診断  小山 貴
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