臨床画像
2026年3月号 Vol.42 No.3
特集1:苦手克服! 乳腺関連の画像診断/特集2:Green Radiology

定価 2,970円(税込) (本体2,700円+税)
- B5判 132ページ
- 2026年2月26日刊行予定
近刊のため予約販売となります。
電子版
序説(特集1:苦手克服! 乳腺関連の画像診断)
今回の臨床画像3月号のコンセプトは,「苦手分野を克服しよう」で,その一分野として乳房画像を選んでいただいた。確かに,多くの一般放射線科医にとっては,あまり馴染みのない領域である。マンモグラフィがわが国においては(国際的にはかなり特殊だが)乳腺外科そのほか非放射線科医が検診などの読影に大きくかかわってきたこともあるだろう。また,X線読影とはいえ,マンモグラフィの読影はそれに特化した学びが必要である。超音波も乳腺外科の先生が主体で行っていればわれわれには馴染みがなくなる。
ただ,昨今乳房MRIを用いる機会が増加してきた。MRIは放射線診断部門で扱われ,画像診断医的な考え方が必要である。頭の上から足の先までなんでも読影することになっている放射線診断医としては,以前は読影していなかった乳房MRIに手をつける機会も出てくるかと思われる。
そこで今回の特集は,放射線診断医にとって必要性の高い乳房MRIを中心に組み立てた。乳房MRIはBI–RADS®に沿って読影しレポートを作成する。「とりあえずレポートが書ける」を目標として,mass・NMEの読影法につき,瀨川景子先生,塚田実郎先生に執筆いただいた。実際の症例を交えながら系統だった解説をいただいているのでまずはここから読んでほしい。昨年末に改訂となった新しいBI–RADS® v2025についての情報も盛り込んでいただいた。さらに,困ったときの解決策として,太田理恵先生,金尾昌太郎先生には,実際に現場で出会いそうな教育的な4症例を,研修医と指導医の対話形式で提示していただいた。症例検討会を聞くような感じで気軽に読み進めていくだけで,日常臨床で特に初心者が出会いそうな問題に対処する,ちょっとアドバンスなコツが身に付くようになっている。
診断周りの技術の進歩についても必要な知識を手軽に身に付けられるようにまとめてみた。乳房トモシンセシスについては,原田レオポルド大世先生らによる読影ポイントを,豊富な症例画像と合わせてチェックしてほしい。断層画像としてDBTは一部CT/MRI的な要素もあり,マンモグラフィよりも放射線診断医にとって親しみやすいかもしれない。
最近の乳癌治療については,乳腺外科の立場から前島佑里奈先生に種々の新規薬剤を用いた周術期治療や再建までをコンパクトに4ページにまとめていただいた。今後広がる可能性のある低侵襲治療のRFAは,適応症例決定からフォローまでMRIを中心とする画像評価が欠かせないが,筆者ら自身も含め経験値が少ないため,治験の段階から長くRFA画像評価にかかわってこられた菊池真理先生に執筆をいただいた。教科書にもあまり載っていない分野であり,診断の際には手元に置いておきたい。また放射線治療の進歩も著しく,平田希美子先生には,寡分割照射などの新技術に加え,オリゴ転移に関する考え方など診断にも影響しうるトピックをコンパクトにまとめていただいた。
最後に,まさに今の話題である乳房画像におけるAIの活用についての章を加えた。乳癌検診については世界のエビデンスで検診のあり方が大きく変わる可能性がある。他方,画像診断支援A(I AI–CAD)を使う立場では知識をもっての安全運用が望まれる。AI–CADについては放射線診断科が主導して活用しているところも多いが,そうした人にとっても検診を含む乳房画像分野の動向は重要と思われ,知っておいてほしい知識をまとめてみた。
このように,短い文面のなかに重要エッセンスを絞り込んだ特集となっている。苦手克服のみならず,エキスパートの先生にもぜひ手元に置いていただき,日常診療に役立てていただければ幸いである。
片岡正子,本田茉也
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序説(特集2:Green Radiology)
近年,地球規模での環境問題やエネルギー資源の制約が深刻化するなか,医療分野においても持続可能性を意識した取り組みの重要性が強く認識されるようになってきました。放射線医学も,高度な医療機器を用いて質の高い診断・治療を提供する一方で,電力消費や医療廃棄物の発生,限りある資源の使用など,環境負荷と無縁ではない分野であります。こうした背景の下,診療の質と安全性を担保しながら環境負荷の低減を目指す概念として「Green Radiology」が注目を集めています。
画像診断において,ヨード造影剤やガドリニウム造影剤は診断精度の向上に不可欠であり,CTやMRIといった撮像機器も日常診療を支える基盤技術です。その一方で,造影剤の製造・使用・廃棄過程における環境への影響や,電力消費量の大きい画像診断装置の運用など,放射線診療に内在する課題を改めて見つめ直す必要性が高まっています。これらの課題は,診療の質を維持・向上させながら,いかに効率的かつ合理的な運用を行うかという,放射線科医の日常診療そのものと密接にかかわる問題といえます。
Green Radiologyは,単なる環境配慮の理念に留まらず,放射線科医自身が診療プロセスを再考し,持続可能な放射線診療の実現に向けて主体的に関与する姿勢を求める概念であると考えます。その実践には,放射線科医や診療放射線技師による現場での工夫や意識改革に加え,基礎研究者による科学的検証,行政による制度設計,さらに造影剤・医療機器メーカーによる技術革新といった,多領域にわたる連携と協力が不可欠です。なかでも,造影剤使用の最適化や検査プロトコルの工夫,環境負荷を考慮した機器の使用は,放射線科医が日常診療のなかで実践可能な重要な切り口であり,Green Radiologyを具体化する第一歩と位置付けられます。
本特集の前半では,Green Radiologyに精通された3名の放射線科医の先生方にご執筆を賜り,ヨード造影剤およびガドリニウム造影剤,電力消費を取り巻く課題についてそれぞれわかりやすく概説していただくとともに,放射線科医が現場で実践可能な工夫について筆者がご紹介させていただきました。
後半では,われわれの診療を日々支えてくださっている造影剤メーカーおよびCT・MRI機器メーカーの皆様にご協力いただき,各社におけるGreen Radiologyに関連した具体的な取り組みや工夫をご紹介いただいています。
本特集を通じて,放射線診療における環境負荷という課題を多角的にとらえ,現状の問題点とともに,すでに始まりつつある対策や取り組みを俯瞰的に理解していただけるものと期待しております。本特集が,読者の皆様一人ひとりがご自身の診療を見つめ直し,持続可能な放射線診療に向けて何ができるのかを考える契機となれば幸いです。
東 美菜子
今回の臨床画像3月号のコンセプトは,「苦手分野を克服しよう」で,その一分野として乳房画像を選んでいただいた。確かに,多くの一般放射線科医にとっては,あまり馴染みのない領域である。マンモグラフィがわが国においては(国際的にはかなり特殊だが)乳腺外科そのほか非放射線科医が検診などの読影に大きくかかわってきたこともあるだろう。また,X線読影とはいえ,マンモグラフィの読影はそれに特化した学びが必要である。超音波も乳腺外科の先生が主体で行っていればわれわれには馴染みがなくなる。
ただ,昨今乳房MRIを用いる機会が増加してきた。MRIは放射線診断部門で扱われ,画像診断医的な考え方が必要である。頭の上から足の先までなんでも読影することになっている放射線診断医としては,以前は読影していなかった乳房MRIに手をつける機会も出てくるかと思われる。
そこで今回の特集は,放射線診断医にとって必要性の高い乳房MRIを中心に組み立てた。乳房MRIはBI–RADS®に沿って読影しレポートを作成する。「とりあえずレポートが書ける」を目標として,mass・NMEの読影法につき,瀨川景子先生,塚田実郎先生に執筆いただいた。実際の症例を交えながら系統だった解説をいただいているのでまずはここから読んでほしい。昨年末に改訂となった新しいBI–RADS® v2025についての情報も盛り込んでいただいた。さらに,困ったときの解決策として,太田理恵先生,金尾昌太郎先生には,実際に現場で出会いそうな教育的な4症例を,研修医と指導医の対話形式で提示していただいた。症例検討会を聞くような感じで気軽に読み進めていくだけで,日常臨床で特に初心者が出会いそうな問題に対処する,ちょっとアドバンスなコツが身に付くようになっている。
診断周りの技術の進歩についても必要な知識を手軽に身に付けられるようにまとめてみた。乳房トモシンセシスについては,原田レオポルド大世先生らによる読影ポイントを,豊富な症例画像と合わせてチェックしてほしい。断層画像としてDBTは一部CT/MRI的な要素もあり,マンモグラフィよりも放射線診断医にとって親しみやすいかもしれない。
最近の乳癌治療については,乳腺外科の立場から前島佑里奈先生に種々の新規薬剤を用いた周術期治療や再建までをコンパクトに4ページにまとめていただいた。今後広がる可能性のある低侵襲治療のRFAは,適応症例決定からフォローまでMRIを中心とする画像評価が欠かせないが,筆者ら自身も含め経験値が少ないため,治験の段階から長くRFA画像評価にかかわってこられた菊池真理先生に執筆をいただいた。教科書にもあまり載っていない分野であり,診断の際には手元に置いておきたい。また放射線治療の進歩も著しく,平田希美子先生には,寡分割照射などの新技術に加え,オリゴ転移に関する考え方など診断にも影響しうるトピックをコンパクトにまとめていただいた。
最後に,まさに今の話題である乳房画像におけるAIの活用についての章を加えた。乳癌検診については世界のエビデンスで検診のあり方が大きく変わる可能性がある。他方,画像診断支援A(I AI–CAD)を使う立場では知識をもっての安全運用が望まれる。AI–CADについては放射線診断科が主導して活用しているところも多いが,そうした人にとっても検診を含む乳房画像分野の動向は重要と思われ,知っておいてほしい知識をまとめてみた。
このように,短い文面のなかに重要エッセンスを絞り込んだ特集となっている。苦手克服のみならず,エキスパートの先生にもぜひ手元に置いていただき,日常診療に役立てていただければ幸いである。
片岡正子,本田茉也
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序説(特集2:Green Radiology)
近年,地球規模での環境問題やエネルギー資源の制約が深刻化するなか,医療分野においても持続可能性を意識した取り組みの重要性が強く認識されるようになってきました。放射線医学も,高度な医療機器を用いて質の高い診断・治療を提供する一方で,電力消費や医療廃棄物の発生,限りある資源の使用など,環境負荷と無縁ではない分野であります。こうした背景の下,診療の質と安全性を担保しながら環境負荷の低減を目指す概念として「Green Radiology」が注目を集めています。
画像診断において,ヨード造影剤やガドリニウム造影剤は診断精度の向上に不可欠であり,CTやMRIといった撮像機器も日常診療を支える基盤技術です。その一方で,造影剤の製造・使用・廃棄過程における環境への影響や,電力消費量の大きい画像診断装置の運用など,放射線診療に内在する課題を改めて見つめ直す必要性が高まっています。これらの課題は,診療の質を維持・向上させながら,いかに効率的かつ合理的な運用を行うかという,放射線科医の日常診療そのものと密接にかかわる問題といえます。
Green Radiologyは,単なる環境配慮の理念に留まらず,放射線科医自身が診療プロセスを再考し,持続可能な放射線診療の実現に向けて主体的に関与する姿勢を求める概念であると考えます。その実践には,放射線科医や診療放射線技師による現場での工夫や意識改革に加え,基礎研究者による科学的検証,行政による制度設計,さらに造影剤・医療機器メーカーによる技術革新といった,多領域にわたる連携と協力が不可欠です。なかでも,造影剤使用の最適化や検査プロトコルの工夫,環境負荷を考慮した機器の使用は,放射線科医が日常診療のなかで実践可能な重要な切り口であり,Green Radiologyを具体化する第一歩と位置付けられます。
本特集の前半では,Green Radiologyに精通された3名の放射線科医の先生方にご執筆を賜り,ヨード造影剤およびガドリニウム造影剤,電力消費を取り巻く課題についてそれぞれわかりやすく概説していただくとともに,放射線科医が現場で実践可能な工夫について筆者がご紹介させていただきました。
後半では,われわれの診療を日々支えてくださっている造影剤メーカーおよびCT・MRI機器メーカーの皆様にご協力いただき,各社におけるGreen Radiologyに関連した具体的な取り組みや工夫をご紹介いただいています。
本特集を通じて,放射線診療における環境負荷という課題を多角的にとらえ,現状の問題点とともに,すでに始まりつつある対策や取り組みを俯瞰的に理解していただけるものと期待しております。本特集が,読者の皆様一人ひとりがご自身の診療を見つめ直し,持続可能な放射線診療に向けて何ができるのかを考える契機となれば幸いです。
東 美菜子
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目次
■特集1:苦手克服! 乳腺関連の画像診断 企画・編集:片岡正子,本田茉也
序説 片岡正子
デジタル乳房トモシンセシスの読影ポイントと臨床的意義 原田レオポルド大世ほか
これだけ知っていれば,とりあえず書ける乳房MRIレポート初心者編
−腫瘤(mass)− 瀨川景子
−BI–RADS® v2025時代のNME− 塚田実郎
MRI読影の実際:困ったときの解決策−拡散強調像,T1・T2強調像などの単純シーケンスの使い方− 太田理恵ほか
最近の乳癌治療−治療のストラテジー− 前島佑里奈
早期乳癌に対するRFAの適応とフォローに関する画像診断 菊池真理
最近の放射線治療−乳癌原発巣とリンパ節,転移巣,オリゴメタの考え方− 平田希美子
乳腺画像診断におけるAI 片岡正子ほか
■特集2:Green Radiology 企画編集:東 美菜子
序説 東 美菜子
造影剤(ヨード)に関する問題点 隈丸加奈子
造影剤由来ガドリニウムの環境拡散と生態系への影響 熊坂創真
電力消費の現状と課題および対策 大田英揮
放射線科医ができる工夫 東 美菜子
MEDRAD® Centargo CTインジェクションシステムよる環境負荷低減の可能性 山内宏祥
Guerbet社のGreen Radiologyに関する取り組み 佐藤晶子ほか
放射線診療における環境負荷低減−造影剤ライフサイクルと使用最適化の実践− 佐久間由紀
造影剤事業におけるサステナビリティへの取り組み 岡 真一郎
医療の持続可能性におけるGEヘルスケアの挑戦 見供真理子ほか
キヤノンメディカルシステムズにおけるサステナビリティへの取り組み 鵜池充宏
Green Radiologyの実践に向けて−フィリップスMRIが支える持続可能な医療現場 廣瀬加世子
Green Radiologyへのシーメンスヘルスケアの取り組み 市場義人ほか
70cm開口径1.5T超電導MRIシステムにおける病院経営貢献への期待について 市川真仁
●連載 画像診断研究のための統計学
[第6回]3群以上の比較 新谷 歩,兵頭朋子
●連載 若手放射線科医のための放射線基礎講座
【第Ⅱ章 CT基礎】
[第5回]放射線物理(相互作用や密度)の視点からCT画像をみる 近藤雅敏
●連載 Catch the 最新情報
[第3回]核医学最新情報
日々の画像診断に半導体PETがもたらすインパクト 中谷航也ほか
序説 片岡正子
デジタル乳房トモシンセシスの読影ポイントと臨床的意義 原田レオポルド大世ほか
これだけ知っていれば,とりあえず書ける乳房MRIレポート初心者編
−腫瘤(mass)− 瀨川景子
−BI–RADS® v2025時代のNME− 塚田実郎
MRI読影の実際:困ったときの解決策−拡散強調像,T1・T2強調像などの単純シーケンスの使い方− 太田理恵ほか
最近の乳癌治療−治療のストラテジー− 前島佑里奈
早期乳癌に対するRFAの適応とフォローに関する画像診断 菊池真理
最近の放射線治療−乳癌原発巣とリンパ節,転移巣,オリゴメタの考え方− 平田希美子
乳腺画像診断におけるAI 片岡正子ほか
■特集2:Green Radiology 企画編集:東 美菜子
序説 東 美菜子
造影剤(ヨード)に関する問題点 隈丸加奈子
造影剤由来ガドリニウムの環境拡散と生態系への影響 熊坂創真
電力消費の現状と課題および対策 大田英揮
放射線科医ができる工夫 東 美菜子
MEDRAD® Centargo CTインジェクションシステムよる環境負荷低減の可能性 山内宏祥
Guerbet社のGreen Radiologyに関する取り組み 佐藤晶子ほか
放射線診療における環境負荷低減−造影剤ライフサイクルと使用最適化の実践− 佐久間由紀
造影剤事業におけるサステナビリティへの取り組み 岡 真一郎
医療の持続可能性におけるGEヘルスケアの挑戦 見供真理子ほか
キヤノンメディカルシステムズにおけるサステナビリティへの取り組み 鵜池充宏
Green Radiologyの実践に向けて−フィリップスMRIが支える持続可能な医療現場 廣瀬加世子
Green Radiologyへのシーメンスヘルスケアの取り組み 市場義人ほか
70cm開口径1.5T超電導MRIシステムにおける病院経営貢献への期待について 市川真仁
●連載 画像診断研究のための統計学
[第6回]3群以上の比較 新谷 歩,兵頭朋子
●連載 若手放射線科医のための放射線基礎講座
【第Ⅱ章 CT基礎】
[第5回]放射線物理(相互作用や密度)の視点からCT画像をみる 近藤雅敏
●連載 Catch the 最新情報
[第3回]核医学最新情報
日々の画像診断に半導体PETがもたらすインパクト 中谷航也ほか
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