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2026年2月号 Vol.42 No.2

読影のお作法−連続画像スライスで追う消化管疾患の診断−

臨床画像 2026年2月号
定価 2,970円(税込) (本体2,700円+税)
  • B5判  140ページ  
  • 2026年1月26日刊行


序説

 この序説を執筆している今日は2025年12月25日,まさにクリスマスである。そして今,各著者から寄せられたドラフト原稿に目をとおしている。どれも素晴らしい仕上がりで,内容はもちろん,随所に著者それぞれの個性が感じられる原稿ばかりである。
 本企画は,「連続スライス」シリーズの消化管バージョンである。昨今,消化管診療の主役が内視鏡であることは,もはや疑いようのない時代となった。しかし私は,完全消化管型の放射線科医として,内視鏡の知識を有していることに大きなプライオリティを感じている。例えば食道癌の術前CTを読影する際,私はまず内視鏡所見を確認する。その時点で早期癌と判断されれば,CTで原発巣を精査する必要はなく,評価の主眼はリンパ節転移の有無に移る。CTで原発巣を必死に探す必要はない。逆に,進行胃癌であれば,CT所見から肉眼型を想像したり,造影パターンから組織型を類推したり,最終的には内視鏡や病理所見と答え合わせをする。この読影過程は内視鏡を知る放射線科医の特権であり,実に楽しくてたまらない。また,私は積極的に消化器内科領域の症例検討会にも参加しているが,最近では,内視鏡診断に限界がある症例に遭遇することも少なくない。そのなかには,関心領域が管外に及び,彼らがああだ,こうだと討議しているものの,何のことはない,放射線科にとっては一発診断であったりする。放射線診断において消化管領域はマイナーかもしれないが,このように,まだまだ読影する楽しさがあるだけでなく,領域ならではの強烈な診断インパクトがあるのも事実である。
 本書は,そうした消化管画像診断の魅力を体感できる内容となっている。ご覧のとおり,著者陣はいずれも各分野の第一線で活躍する放射線科医であり,非常に贅沢なラインナップであると自負している。食道癌,胃癌,大腸癌については,実用的なステージングに焦点をあてた。また,食道の機能性疾患については,史上初ともいえる消化管造影による連続スライスを提示している。十二指腸3D–CTやMR enterographyは,従来のバリウム検査に代わるモダリティとしてきわめて示唆に富む内容である。GISTや大腸の血管破格,直腸MRIに至っては,もはや教育講演を凝縮したサマリーと感じられる。さらに,大腸癌対策が国の重要課題となっている現在,放射線科医全体にとってCTCの読影スキルはいずれ求められるようになるだろう。この機会をとおして,ぜひマスターしていただきたい。
 本書は,若手放射線科医はもちろんのこと,消化器内科医や外科医にとっても,日常診療に直結する実践的なテキストになると考えている。著者たちの想いに溢れた本書を,ぜひ読影端末の隣に置き,読影のお供として使っていただきたい。少し遅くなったが,クリスマスプレゼントを皆様へ。
 Merry Christmas !

鶴丸大介
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目次

■特集:読影のお作法−連続画像スライスで追う消化管疾患の診断−  企画・編集:鶴丸大介
序説  鶴丸大介
食道癌−ステージングを中心に−  下村悠太朗ほか
 食道癌のcT3分類,食道癌のcT4分類,食道癌のN分類,食道癌のM分類
食道機能性疾患  西牟田雄祐ほか
 食道アカラシア,ジャックハンマー食道,全身性強皮症に伴う食道運動障害
胃癌−ステージングを中心に−  城 正樹
 読影の一般的事項,【症例1】EGJ直下3型:2cmルール境界例の扱いと要点,【症例2】前庭部3型胃癌,【症例3】T4b膵浸潤疑い,【症例4】反応性リンパ節腫大と転移:過剰/過少診断を避ける形態学的指標,【症例5】MRIの拡散強調像を用いた評価,【症例6】EOB-造影MRIを用いた肝転移病変の判別,【症例7】PET陰性の印環細胞癌の播種
十二指腸腫瘍  松浦秀司
 十二指腸乳頭部腫瘍,腸回転異常,非乳頭部十二指腸癌
消化管間質腫瘍(GIST)  井上明星
 胃GIST(gastrointestinal stromal tumor),十二指腸GIST,小腸GIST,小腸癌,GISTの転移
炎症性腸疾患−MREを中心に−  林 奈留美ほか
 Crohn病,潰瘍性大腸炎
大腸癌−ステージングを中心に−  村木俊夫ほか
 早期大腸癌,2型進行大腸癌(深達度SS疑い),2型進行大腸癌(深達度SI疑い),1型進行大腸癌(深達度MP),2型進行直腸癌(深達度AI)
大腸癌−血管破格を中心に−  森本 毅ほか
 【 症例1】上行結腸癌−右側結腸の血管破格−,【症例2】横行結腸癌−胃結腸静脈幹(GCT)の評価−,【症例3】横行結腸癌−中結腸動脈(MCA)の破格−,【症例4】横行結腸癌−副中結腸動脈(aMCA)の存在−,【症例5】S状結腸癌−下腸間膜動脈(IMA)の分岐パターン−
直腸癌のMRI診断  坪山尚寛ほか
 直腸Rbの直腸癌(cT1N0),直腸癌(cT3N+,EMVI+,MRF浸潤+),直腸癌(cT4bN+,EMVI+,TD+),直腸癌(cT3N+,MRF浸潤+)
大腸CT(CT colonography:CTC)  歌野健一
 S状結腸の有茎性ポリープ,大腸癌,固形残渣の多い症例(上行結腸の有茎性ポリープ),側方発育型腫瘍,陥凹型腫瘍,粘膜下腫瘍

●連載 画像診断研究のための統計学
[第5回] 2群の比較  新谷 歩,兵頭朋子

●連載 若手放射線科医のための放射線基礎講座
【第I章 X線物理および放射線防護】
[第4回] 人体への放射線影響  山内基弘

●連載 Catch the 最新情報
[第2回]MRI最新情報
液体ヘリウムをまったく使用しない70cm開口径1.5T超電導MRIシステムについて  市川真仁
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