2026年1月号 Vol.42 No.1

読影のお作法−連続画像スライスで追う小児の診断:先天性疾患を中心に−

臨床画像 2026年1月号
定価 2,970円(税込) (本体2,700円+税)
  • B5判  144ページ  
  • 2025年12月26日刊行


序説

 『読影のお作法−連続画像スライスで追う』シリーズは,これまで腹骨盤部急性疾患,中枢神経系疾患,泌尿器・産婦人科,胸部疾患,頭頸部疾患,骨軟部疾患と続いてまいりましたが,今回は小児領域を取り上げます。小児画像診断は,これまでの領域をすべて含んだ「全身」が対象であり,さらに胎児MRIや胎児CTもその守備範囲に含まれるなど,広範かつ多彩な分野です。みるべき臓器はもちろん,対象となるのは胎児期から出生後の新生児・乳児期,学童期,思春期に至るまでと幅広く,成長や発達に応じて正常像が変化することを踏まえながら画像を解釈する必要があります。こうした複雑さと奥深さは,小児画像診断ならではの大きな魅力といえるでしょう。小児特有の疾患スペクトラムもこの分野の醍醐味です。先天性疾患,発達異常,代謝性疾患など,成人とは異なる病態に日常的に触れることができ,年齢に応じた病気の出現や変化を通じて,成長と発達のダイナミズムを実感する機会に恵まれます。成長過程に寄り添った診断によって,個々の子供の未来に貢献できるという点には,臨床的意義のみならず深い社会的価値があります。なかでも画像診断による早期発見・早期介入が,その後の人生にわたる健康状態を左右しうるという点は,画像診断医としての大きなやりがいの源です。
 加えて,小児では被ばくに対する配慮が欠かせないため,超音波やMRIといった被ばくのない検査モダリティの重要性が高いことも特徴です。特に超音波検査では,リアルタイム性と柔軟性を生かして確定診断に至る症例も少なくありません。撮影プロトコルの工夫や,小児特有の体動への対応,さらには保護者との円滑なコミュニケーションなど,多角的な能力が求められる点もこの分野の魅力の1つです。
 一方で,これらの魅力は小児画像診断が敬遠される要因にもなりえます。対象範囲が非常に広く,体系的に学ぶには労力と時間を要すること,年齢によって正常像が変化するために基準が曖昧になりやすいこと,さらに被ばく管理の難しさや,検査中の体動による撮像の困難さなど,現場での負担感を感じやすいのも事実です。こうした特性を「魅力」ととらえるか「負担」と感じるかは紙一重であり,関心を育むための教育環境や導入のきっかけが重要と考えます。
 今回は,小児画像診断の疾患スペクトラムのなかでも特に多彩かつ奥深い「先天性疾患」を特集の中心にすえ,小児画像診断の第一線で活躍されるエキスパートの先生方にご執筆をお願いしました。領域によっては,超音波検査やX線透視検査が主体となるため,『読影のお作法−連続画像スライスで追う』という本シリーズの構成上,ご執筆にはご苦労もあったかと思いますが,どの項目も非常にわかりやすく,読影のポイントが丁寧に解説されています。
 本特集を通じて,先天性疾患を「難しいから敬遠する対象」ではなく,「この分野ならではのやりがいのある魅力」としてとらえていただき,多くの若い先生方に“Pediatric Radiology is fun!”と実感していただければ,編集者としてこの上ない喜びです。
 最後に,ご多忙のなか,本特集の執筆を快くお引き受けくださり,貴重な症例と知見をご提供いただいた執筆者の先生方に,心より感謝申し上げます。

谷 千尋
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目次

■特集:読影のお作法−連続画像スライスで追う小児の診断:先天性疾患を中心に−  企画・編集:谷 千尋
脳の形成異常  羽柴 淳
  脳梁形成異常,Dandy–Walker spectrum(DWS),【応用症例】脳梁低形成(corpus callosum hypoplasia), VH+BPC
脊椎・脊髄の先天異常  服部真也
 脊髄先天性皮膚洞(CDS),脊髄脂肪腫,頭蓋底陥入症
頭頸部の先天性疾患  齋藤祐貴
 内耳奇形,咽頭裂嚢胞(鰓裂嚢胞),甲状舌管嚢胞,梨状窩瘻
内耳奇形  谷 千尋ほか
 内耳奇形の診断,不完全分割II型(IP–II),不完全分割I型(IP–I),蝸牛低形成(CH),蝸牛神経管狭窄,前庭水管拡張(EVA)
先天性嚢胞性肺疾患  小野貴史
 肺分画症,気管支閉鎖症,先天性肺気道奇形(CPAM)
先天性心奇形  中川基生
  完全大血管転位(cTGA),Fallot四徴症(TOF),総肺静脈還流異常症(TAPVC),動脈管開存(PDA)
肝胆膵の先天性疾患  塚本 純ほか
 胆道閉鎖症,先天性胆道拡張症,Caroli病
消化管の先天性疾患  有薗翔子ほか
 Meckel憩室炎・出血,十二指腸閉鎖,中腸軸捻転,Hirschsprung病
腎尿路の先天性疾患  宮坂実木子
 完全型重複腎盂尿管,OHVIRA症候群,後部尿道弁,外因性の腎盂尿管移行部狭窄
生殖器の先天性疾患  中俣彰裕
 精巣捻転,ベルクラッパー奇形(BCD),胎児/新生児卵巣嚢胞,総排泄腔遺残,OHVIRA症候群

●大腸編連載 あなたのための大腸CT
[第8回] Final stage:ようこそCTCワールドへ!  鶴丸大介

●連載 画像診断研究のための統計学
[第4回] 統計検定の選び方  新谷 歩,兵頭朋子

●連載 若手放射線科医のための放射線基礎講座
【第I章 X線物理および放射線防護】
[第3回] 医療現場での放射線管理  藤淵俊王

●新連載 Catch the 最新情報
連載をはじめるにあたって  粟井和夫
[第1回]CT最新情報
photon counting detector CTにおけるK–edge imagingと新規造影剤  粟井和夫ほか 
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