2022年4月号 Vol.38 No.4

特別企画:放射線科スーパーセレクション2022 この発表,この着眼点に注目!/特集:放射線部のリスク管理

臨床画像 2022年4月号
定価 2,750円(税込) (本体2,500円+税)
  • B5判  96ページ  
  • 2022年3月26日刊行


序説(特別企画:放射線科スーパーセレクション2022 この発表,この着眼点に注目!)

 2020年に始まった「スーパーセレクション」の特集は,今回で3年目となります。今年2022年度はコロナ禍の3年目にあたり,学会がオンライン化し活動が慢性的に低調になることが危惧される状況でありましたが,それにヨーロッパを含めた社会情勢が加わって,先行きが予想できない大変動のなかにあります。そのようななかで,今回も日本医学放射線学会とその関連学会から読者の方々に役立つ発表を取り上げて,日常診療に生かしていただくのが本特集の目的です。今回は前回までと比べて,規模はやや小さくはなってしまいましたが,今までと劣らない内容の特集をお届けできることになりましたのは,関係各位のお力によるものと考えております。

 『臨床画像』誌も特集の再構築を進めて,比較的若い読者層にターゲットを絞った画像診断の基礎的知識の推進に役立つ内容に一新してから2年が過ぎました。リニューアルはさらなる内容の充実を目指したものであり「スーパーセレクション」もその1つになります。その名にふさわしい教育講演や,新たな画像診断の進め方などにかかわる学術発表,さらには従来だと記事にならないかもしれないが話題性のある発表を,特別な記事として形に残すことに意義を見出すことができています。そのような企画に沿った内容の発表についての情報は貴重で,特に若い放射線科医向けの教育講演や学術発表のご推薦を幅広くいただきたく,この場を借りてお願いする次第です。

 今回の「スーパーセレクション」は6論文を取り上げています。檜山論文は頭頸部診断のシステム化を包括的に扱っており,頭頸部診断を体系化するうえで重要なヒントが示されています。馬場論文は経時的差分CTを用いた中耳真珠腫の評価についての検討で,新しい知見を提供しています。また乳様突起切除の判断にもかかわる検討結果も示されています。梁川論文はAIを用いた肺病変の解析において,肺結節の定量的評価やAIを用いた診断などの新しい試みを論じています。佐藤論文は全身性多臓器疾患を神経鞘腫症1型を例に,その多彩な所見を詳しく述べておられます。この疾患の多彩な側面には驚くばかりです。中本論文はAIを用いたdeep learningの膵腫瘍への応用で,今後の診断の方向性を示す重要な手がかりを提供しています。最後に,高須論文は正常骨髄と造血器疾患のMRI診断を体系化したものであり,疾患概念をとおして日常診療のヒントが示されています。記事を提供してくださった先生方に感謝いたします。

 われわれ企画編集にあたる側も『臨床画像』誌の発展を図るうえでさらなる努力を惜しまないつもりですが,読者の方々には記事についてのご意見やご感想をいただけましたら,さらによりよい方向に本誌を進めることができるのではないかと思っております。皆様のお力添えをよろしくお願いする次第です。

『臨床画像』編集委員会 江原 茂(編集主幹)
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序説(特集:放射線部のリスク管理)

 医療の安全と質の確保についていまさら強調する必要もないが,その本質について理解することはなかなか容易でない。意識するしないにかかわらず,日々の実践のなかに取り入れられていなければならないのだが,どこか自分には関係のない世界のようにも感じられないだろうか。
 滝沢牧子先生はこの世界のプロとして群馬大学附属病院の安全と質の確保について日々尽力されている。簡潔にまとめられた総論をいただいたので,ぜひとも熟読していただきたい。医療の複雑化に伴い現場はますます多忙となっている。マニュアル化したところで実践できなければ意味がない。safety–Ⅰからsafety–Ⅱへの移行はこれからの課題であるが,いずれにせよ組織の一人ひとりが「我が事」と感じられるようになれば,それぞれの医療機関の安全文化として昇華するに至り,理想的である。
 放射線部は,医療機関における一般的事項に加えて特有の安全確保が求められる部署である。CTやMRI検査における体内デバイスなどについての配慮は,その多様性の増加とともにますます複雑化している。どの施設でもヒヤッとした経験が一度や二度はあるはずである。持続血糖測定器(CGM)やインスリンポンプはこれからますます普及すると考えられるが,CGMには一度剥がしてしまうと再装着できないタイプのものもあり,しばしば混乱を招いている。MRI検査における内視鏡クリップも,特に他院で処置されている場合などは留置していること自体が明確でない場合もあり,撮影の可否をにわかに判断できない。
 放射線治療における業務プロセスの複雑化も悩ましい問題であり,多くの事故発生の種が隠れている。今回の特集に含めることはできなかったが,患者のみならず医療従事者の被ばく管理,コミュニケーションエラー(検査依頼や結果報告など)の防止,核医学検査・治療やIVRにおける配慮,感染症をもつ患者の取り扱いなども放射線部に特有である点が多々あり,医療機関全体として取り組むべきものである。
 事故の発生は,患者のみならず医療従事者に大きな負担を生じることも忘れてはならない。今回の特集が良質な医療の提供に少しでも資するものであれば幸いである。

対馬義人
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目次

■特別企画:放射線科スーパーセレクション2022 この発表,この着眼点に注目!  『臨床画像』編集委員会 選
序説  江原 茂
頭頸部癌におけるCT−質の高い読影につなげる画像収集−  檜山貴志
経時的差分CT(temporal subtraction CT)による中耳真珠腫乳突腔進展の術前予測に関する検討  馬場 亮ほか
肺結節の画像診断に必要な定量的解析と人工知能解析  梁川雅弘
全身性疾患と肺病変−神経線維腫症1型(NF–1)を例に−  佐藤晴佳ほか
deep learning–based reconstructionを併用したthin–slice造影CTの画質および膵腫瘤検出能の検討  中本 篤ほか
骨髄・骨髄疾患のMRI 高須深雪ほか

■特集:放射線部のリスク管理  企画・編集 対馬義人,福島康宏
序説  対馬義人
医療安全の考え方と病院放射線部門への期待  滝沢牧子
CT検査における植込み型医療機器の対応  福島康宏ほか
MRI検査における体内電子デバイス・体内金属・医療機器  長尾泰輔
放射線治療における医療安全(品質保証・品質管理)−高精度放射線治療を実践するために必要なこと−  鶴田裕輔
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