臨床画像
2021年2月号 Vol.37 No.2
特集1:地力が伸ばせる腹部画像診断:婦人科・腎・泌尿器/特集2:呼吸器疾患の別の顔

定価 2,750円(税込) (本体2,500円+税)
- B5判 136ページ
- 2021年1月26日刊行
電子版
序説(特集1:地力が伸ばせる腹部画像診断:婦人科・腎・泌尿器)
「どうせ取るんで……」。
やっかいな骨盤内腫瘤について,読影室で外科系医師達とディスカッションをし,おおよそ煮詰まってきた段階で時折発せられる言葉である。この言葉はわれわれ放射線科医にとって,少しホッとする反面,やはり少し寂しい気持ちにさせるものである。個人的にはこの言葉を契機にディスカッションを終えることは好きではない。「どうせ取る」それはかまわないし,画像診断にも限界はある。しかし「取る」にしても取り方というものがある。癒着しているのか,圧排だけなのか,脈管を巻き込んではいないか,消化管との解剖学的位置関係は,術前や術後のIVRの必要性は?「 どうせ取る」にしてももっとたくさんのことをディスカッションする必要はあるし,診断学としてもさらに深く思考回路を走らせることは必要だ。なぜなら来週や再来週には確実に答えが得られるのだから。答えを知らない状態で鑑別についてとことんディスカッションすることで,術中のエピソードと術後の病理結果を知った後で画像を見直すことにより,より深く経験値として刻まれることだろう。これはわれわれ放射線科におけるIVRにもあてはまる。
「どうせ刺すんで……」。
今回の特集では「地力が伸ばせる腹部画像診断」と題して,1月号の「消化器・肝・胆・膵」領域に引き続き,「婦人科・腎・泌尿器」領域を中心に取り上げる。これらの領域は骨盤内や後腹膜腔など非常に広い範囲を含んでいる。解剖学の知識は非常に重要で,画像診断初学者には特に勉強してもらいたい領域である。「どうせ取るんで……」の言葉に甘えず,原発巣の診断および鑑別についてはもとより,悪性腫瘍のステージングや術式についても産婦人科医や泌尿器科医と深くディスカッションを行えるようになることを目指してほしい。
本特集では腎,腎盂・尿管,副腎,前立腺,子宮,卵巣,妊娠関連疾患をテーマとして,画像からみる基本的な解剖学的知識と,遭遇する頻度の高い疾患を中心に解説する。1月号からは誌面も完全リニューアルされ,座学のような解説は最小限に留め,画像のみるべきポイントがわかりやすく解説されている。特にこれから画像診断専門医を目指す方々にとっては,ティーチングファイルとして,すでに画像診断専門医を取得されている方々にはアトラスとして,日々の読影に役立てば幸いである。
五島 聡
------------------
序説(特集2:呼吸器疾患の別の顔)
日常診療における画像診断において,多くの疾患が典型的画像を呈する場合は診断が容易であるが,非典型的症例に遭遇し,診断に難渋することのほうが多い。この際にデスクサイドに常備するテキストに手を伸ばすことになるが,テキストは典型的症例の画像と解説からなり,非典型的症例のすべてをカバーしておらず,逆に非典型的症例を網羅するテキストを作ることは不可能でもある。
今回,その間を埋める第一歩に,普段使用しているテキストを補完する症例集を目指す特集を企画した。呼吸器画像診断の第一人者の先生方に,テキストに載せられなかった,典型的ではないが日常診療で注意すべき症例の提供をお願いした。非典型的症例のため,全体を通じて統一する解説は行わず,できるだけ大きな画像をならべ,各症例に簡潔かつ要点を得た解説で構成した。
まず始めに,筆者が非典型的画像を呈する肺癌のなかで遭遇する可能性が比較的高い症例を提示し概説した。続いて,角 明子先生らには円形結節を呈さない転移性肺腫瘍をパターン別に解説いただいた。岡田文人先生らには混合感染へのアプローチ法から現在世界を席巻するCOVID-19肺炎と鑑別すべき症例の知見にも触れていただいた。岩澤多恵先生らには最新の動向を踏まえて多くの間質性肺炎の症例を提示いただいた。西山 晃先生らには日々進歩する癌化学療法に合併する薬剤性肺障害を解説いただいた。いずれも貴重な症例を提供いただいたことに深謝するとともに,本企画の趣旨に沿う解説が日々の画像診断に資するものとなったことを確信している。
まずは,一通り画像を眺め,解説を流し読みいただき,デスクサイドのテキストの横に置いていただきたい。そして非典型的症例に遭遇した際にテキストに続いて開いてほしい。明日からの診療の役立つことを祈念している。
竹中大祐
「どうせ取るんで……」。
やっかいな骨盤内腫瘤について,読影室で外科系医師達とディスカッションをし,おおよそ煮詰まってきた段階で時折発せられる言葉である。この言葉はわれわれ放射線科医にとって,少しホッとする反面,やはり少し寂しい気持ちにさせるものである。個人的にはこの言葉を契機にディスカッションを終えることは好きではない。「どうせ取る」それはかまわないし,画像診断にも限界はある。しかし「取る」にしても取り方というものがある。癒着しているのか,圧排だけなのか,脈管を巻き込んではいないか,消化管との解剖学的位置関係は,術前や術後のIVRの必要性は?「 どうせ取る」にしてももっとたくさんのことをディスカッションする必要はあるし,診断学としてもさらに深く思考回路を走らせることは必要だ。なぜなら来週や再来週には確実に答えが得られるのだから。答えを知らない状態で鑑別についてとことんディスカッションすることで,術中のエピソードと術後の病理結果を知った後で画像を見直すことにより,より深く経験値として刻まれることだろう。これはわれわれ放射線科におけるIVRにもあてはまる。
「どうせ刺すんで……」。
今回の特集では「地力が伸ばせる腹部画像診断」と題して,1月号の「消化器・肝・胆・膵」領域に引き続き,「婦人科・腎・泌尿器」領域を中心に取り上げる。これらの領域は骨盤内や後腹膜腔など非常に広い範囲を含んでいる。解剖学の知識は非常に重要で,画像診断初学者には特に勉強してもらいたい領域である。「どうせ取るんで……」の言葉に甘えず,原発巣の診断および鑑別についてはもとより,悪性腫瘍のステージングや術式についても産婦人科医や泌尿器科医と深くディスカッションを行えるようになることを目指してほしい。
本特集では腎,腎盂・尿管,副腎,前立腺,子宮,卵巣,妊娠関連疾患をテーマとして,画像からみる基本的な解剖学的知識と,遭遇する頻度の高い疾患を中心に解説する。1月号からは誌面も完全リニューアルされ,座学のような解説は最小限に留め,画像のみるべきポイントがわかりやすく解説されている。特にこれから画像診断専門医を目指す方々にとっては,ティーチングファイルとして,すでに画像診断専門医を取得されている方々にはアトラスとして,日々の読影に役立てば幸いである。
五島 聡
------------------
序説(特集2:呼吸器疾患の別の顔)
日常診療における画像診断において,多くの疾患が典型的画像を呈する場合は診断が容易であるが,非典型的症例に遭遇し,診断に難渋することのほうが多い。この際にデスクサイドに常備するテキストに手を伸ばすことになるが,テキストは典型的症例の画像と解説からなり,非典型的症例のすべてをカバーしておらず,逆に非典型的症例を網羅するテキストを作ることは不可能でもある。
今回,その間を埋める第一歩に,普段使用しているテキストを補完する症例集を目指す特集を企画した。呼吸器画像診断の第一人者の先生方に,テキストに載せられなかった,典型的ではないが日常診療で注意すべき症例の提供をお願いした。非典型的症例のため,全体を通じて統一する解説は行わず,できるだけ大きな画像をならべ,各症例に簡潔かつ要点を得た解説で構成した。
まず始めに,筆者が非典型的画像を呈する肺癌のなかで遭遇する可能性が比較的高い症例を提示し概説した。続いて,角 明子先生らには円形結節を呈さない転移性肺腫瘍をパターン別に解説いただいた。岡田文人先生らには混合感染へのアプローチ法から現在世界を席巻するCOVID-19肺炎と鑑別すべき症例の知見にも触れていただいた。岩澤多恵先生らには最新の動向を踏まえて多くの間質性肺炎の症例を提示いただいた。西山 晃先生らには日々進歩する癌化学療法に合併する薬剤性肺障害を解説いただいた。いずれも貴重な症例を提供いただいたことに深謝するとともに,本企画の趣旨に沿う解説が日々の画像診断に資するものとなったことを確信している。
まずは,一通り画像を眺め,解説を流し読みいただき,デスクサイドのテキストの横に置いていただきたい。そして非典型的症例に遭遇した際にテキストに続いて開いてほしい。明日からの診療の役立つことを祈念している。
竹中大祐
全文表示する
閉じる
目次
■特集1:地力が伸ばせる腹部画像診断:婦人科・腎・泌尿器 企画・編集:五島 聡
序説 五島 聡
腎 山本 亮ほか
腎盂・尿管 吉田理佳ほか
副腎−正常副腎の解剖・副腎皮質腺腫・褐色細胞腫の一般的な画像と診断のポイント− 熊谷雄一ほか
前立腺−PI–RADS v2.1に準拠した前立腺MRIの読影:癌の局在診断を中心に− 黒木嘉典ほか
子宮 久野優花ほか
卵巣腫瘍・卵巣茎捻転 浦瀬靖代ほか
妊娠関連疾患と絨毛性疾患 國近瑛樹ほか
■特集2:呼吸器疾患の別の顔−「典型例とちょっと違う」に気付く− 企画・編集:竹中大祐
序説 竹中大祐
肺癌の別の顔 竹中大祐
転移性肺腫瘍の別の顔 角 明子ほか
肺感染症の別の顔 岡田文人ほか
間質性肺疾患の別の顔 岩澤多恵ほか
薬剤性肺障害の別の顔 西山 晃ほか
●連載
・先生, 日本専門医機構認定専門医制度について聞かせてください![第2回]
専攻医ですが,専門医取得までの流れを教えてください 楫 靖
・特集アドバンストコース[Vol.36 10月号]
透析患者の画像診断 対馬義人
序説 五島 聡
腎 山本 亮ほか
腎盂・尿管 吉田理佳ほか
副腎−正常副腎の解剖・副腎皮質腺腫・褐色細胞腫の一般的な画像と診断のポイント− 熊谷雄一ほか
前立腺−PI–RADS v2.1に準拠した前立腺MRIの読影:癌の局在診断を中心に− 黒木嘉典ほか
子宮 久野優花ほか
卵巣腫瘍・卵巣茎捻転 浦瀬靖代ほか
妊娠関連疾患と絨毛性疾患 國近瑛樹ほか
■特集2:呼吸器疾患の別の顔−「典型例とちょっと違う」に気付く− 企画・編集:竹中大祐
序説 竹中大祐
肺癌の別の顔 竹中大祐
転移性肺腫瘍の別の顔 角 明子ほか
肺感染症の別の顔 岡田文人ほか
間質性肺疾患の別の顔 岩澤多恵ほか
薬剤性肺障害の別の顔 西山 晃ほか
●連載
・先生, 日本専門医機構認定専門医制度について聞かせてください![第2回]
専攻医ですが,専門医取得までの流れを教えてください 楫 靖
・特集アドバンストコース[Vol.36 10月号]
透析患者の画像診断 対馬義人
全文表示する
閉じる