ベッドサイドの新輸血学

効果的な輸血・輸液の実際

改訂版

ベッドサイドの新輸血学

■著者 寮 隆吉

定価 5,280円(税込) (本体4,800円+税)
  • A5判  208ページ  2色
  • 2001年11月8日刊行
  • ISBN978-4-89553-976-0

好評を博した「ベッドサイドの新輸血学」の改訂版。初版刊行以降10年間の輸血治療の進歩,改善点を中心に解説し,とくに「輸血同意書」,「輸血副作用」,「自己血輸血」,「血液検査」の項目については大幅に改定した。輸血事故が相次いで起こっている昨今,輸血不適合事故を起こさず,あらゆる症例でいつでも最善の治療を行うためのバイブルといえよう。


序文

改訂版序文
 平成2年5月30日に「ベッドサイドの新輸血学」を上梓してから早いもので,10年以上の時が流れた。この間多くの読者に恵まれて増刷を重ね,平成12年9月には10刷を出すことができた。本書の改訂版を,との読者からの要望を頂きながら,輸血や輸液治療の原則は変わらないので,「ベッドサイドの新輸血学」は今後とも輸血や輸液を行う際に教科書的な役割を果たして,臨床の場で重宝がられるだろうとたかをくくり,改訂についてはほとんど考えていなかった。ところが最近若い先生からいろいろな質問が寄せられ,答えているうちに,やはりそれらをまとめて改訂しようと思い立って書き始めてみると,この10年間に輸血や輸液治療の領域にも多くの進歩や改善点があったことに気付いた。
 とくに「輸血同意書」,「輸血副作用」,「自己血輸血」あるいは「輸血検査」の項目は大幅な書き換え,追加が必要であった。これらの項目からは,現在輸血でHIV感染や不適合輸血事故を起こせば,それに関わった医師に何か過誤がなかったかが厳しく問われる時代になったということを読み取って頂き,適正な輸血治療を心がける臨床医になることを真剣に考えるようになって頂ければ,幸いである。ただ今でも適正とはいえない赤血球濃厚液と新鮮凍結血漿の抱き合わせ輸血や,漫然とした新鮮凍結血漿の投与が行われている。症例に即した輸血治療の進め方については10年前の記載にほとんど手を加える必要がなかったが,慢性貧血時,術中出血時,抗癌剤投与後の汎血球減少時,AIHA時,肝硬変時,肝癌の肝切除時,DI発症時,ワーファリン投与時の脳出血時,劇症肝炎時そしてTTPなど臨床的によく遭遇する症例の輸血や輸液の仕方は詳述した。熟読して,あらゆる症例でいつでも最善の治療ができる医師になるために役立てて頂ければ,これに優る喜びはない。
 今回の改訂版は,輸血不適合事故を起こさず,適正な輸血を行うためのバイブルであると自負している。臨床の場で広く活用されて,適正な輸血や輸液療法があたりまえのように行われる日が一日も早くくることを心から願っている。
 なお,劇症肝炎症例は昭和大学藤が丘病院与芝 真博士に提供して頂いた。先生のご好意に心から感謝する。また,兵庫県日赤血液センター三戸 壽博士をはじめとして諸先生方にはいろいろと貴重なデータを提供して頂いた。ご面倒をおかけしたことをお詫びしたい。最後にメジカルビュー社編集部の三澤雄比古氏には,改訂版刊行のためにご努力頂いた。この場を借りて感謝申し上げる次第である。

平成13年9月
寮 隆吉
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目次

■輸血療法の基礎と実際
 1 成分輸血に必要な基礎知識
  血液製剤
  血球・血漿成分の体内分布と半減期
  血液製剤の投与による輸血効果
  輸血副作用
  輸血同意書
  輸血後評価表
  輸血療法委員会
 2 血液製剤投与の基本的な考え方
  赤血球補給
  血小板補給
  新鮮凍結血漿(FFP;fresh frozen plasma)
  血漿分画製剤
  凝固因子製剤
  そのほかの血漿分画製剤
 3 症例から学ぶ血液製剤投与の実際
  赤血球補給
  血小板輸血
  新鮮凍結血漿
  アルブミン製剤
 4 自己血輸血
  貯血式自己血輸血
  希釈式自己血輸血
  回収式自己血輸血
 5 成分血液採取法
  成分採血装置の仕組み
  採血操作
  PBSC採取
  白血球除去療法
  血漿交換療法
 6 知っておくべき血液型に関する知識−
   不適合輸血の防止のために
  血液型判定
  不規則抗体とそのスクリーニング
  Type and Screen
  交差適合試験
  緊急患者の適合血の確保
  輸血後の観察
■輸液療法の基礎と実際
 7 輸血に必要な輸液療法
  輸液の基本
 8 輸液製剤−特徴と使い方
  電解質輸液製剤
 9 輸液療法の実際
  高カロリー輸液療法と基礎栄養法
■巻末資料
 1 輸血拒否患者の対応手順
 2 輸血療法に関しての説明
 3 アルブミン製剤の適正使用について
 4 血液型判定と交差適合試験
◆サイドメモ
 1 抗凝固剤CPD液,ACD-A液と赤血球浮遊液MAPの組成
 2 血小板同種抗原
 3 DIC(播種性血管内血液凝固)
 4 ガンマグロブリン
 5 B型肝炎の予防
 6 Westのノモグラム
 7 好中球減少時の処置
 8 MSBOS(maximum surgical blood order schedule)とSBOE(surgical blood order equation)
 9 ガス酸塩基平衡
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