新OS NOW No.11

股関節疾患(小児・成人)の手術療法

股関節疾患(小児・成人)の手術療法

■担当編集委員 岩本 幸英

定価 9,350円(税込) (本体8,500円+税)
  • A4判  220ページ  
  • 2001年7月27日刊行
  • ISBN978-4-89553-846-6

小児の股関節疾患として章を設けることにより,小児に対して行われている手術を明確にし,その手技をわかりやすく解説した。成人の章では,“関節温存のための手術”,“人工関節を用いた手術”および“関節固定術”に分け,現在,臨床の最前線で手術を行っている先生方のテクニックを解説している。

■シリーズ編集委員
高岡邦夫/岩本幸英/落合直之/清水克時

■シリーズ編集顧問
林浩一郎


序文

 時代の変遷とともに,整形外科医が取り扱う疾患も少しずつ様変わりしてきている。取り扱う機会が減少している疾患の代表として,先天性股関節脱臼があげられる。私が整形外科医になった頃は,まだ外来や病棟で先天性股関節脱臼の患者に数多く触れることができたが,今日では,診察したことが一度もないという研修医も多い。その原因としては,先人の努力により先天性股関節脱臼の発生が予防されるようになったこと,病院機能の分化により各地のこども病院に患者が集中するようになったことなどがあげられる。しかし,整形外科医の教育という観点からは,これは望ましい傾向とはいえない。二次性変形性股関節症が多いわが国では,完成された成人の股関節症だけでなく,その原因となる小児の股関節疾患への理解も欠かせないからである。また,整形外科医であれば,先天性股関節脱臼だけでなく,Perthes病,大腿骨頭すべり症などの他の小児股関節疾患に対する診断,治療法の知識も身につけるべきであろう。
 最近の欧米における人工股関節一辺倒の傾向も望ましいとはいえない。人工関節は,あくまで最終手段であり,可能な限り関節温存を図るわが国の整形外科医のあり方のほうが,患者に優しい医療だと考える。わが国では,生体関節機能の温存と改善を目的とした骨切り術が広く行われている。内容は,前・初期股関節症に対する骨盤骨切り術,内反骨切り術,臼蓋形成術,進行期および末期股関節症に対する外反骨切り術,大腿骨頭壊死症に対する内反および骨頭回転骨切り術などである。いずれも確立された術式であり,股関節外科を目指す整形外科医は,各術式に習熟し,数多くのオプションの中から患者の状態に応じて適切な術式を選択することが望ましい。
 以上のような考えから,今回は「股関節疾患の手術療法」をテーマとして取り上げ,小児から成人にいたるまで,股関節の確立された術式の数々について紹介した。関節温存手術だけでなく,人工関節置換術についても記載していただいたが,初回手術に加え,これから増加が予想される再置換術について,臼蓋側と大腿骨側に分けて記述していただいた。また,固定術についても紹介した。若年者の末期股関節症に対しては安易に人工関節置換術に走らず,固定術も常に念頭にいれておくべきである。
 それぞれの手術法に習熟した専門家の方々に執筆をお願いしたこと,「新 OS NOW」の特徴である豊富なイラストと写真を用いた編集方針により,読者にわかりやすい股関節の手術書が完成した。皆様の日常診療の参考になれば幸いである。

2001 年6月
岩本幸英
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目次

小児  
 先天股脱の観血整復術(Ludloff 法)  芳賀信彦
 先天股脱の観血整復術(広範囲展開法)  赤澤啓史,ほか
 大腿骨内反骨切り術(主にPerthes 病について)  亀ヶ谷真琴
 骨盤骨切り術(Salter法)  本田 惠
 骨盤骨切り術(Pemberton法)  山田勝久
 大腿骨頭すべり症に対する in situ pinningの手術手技  和田郁雄,ほか
 大腿骨頭すべり症の Imhauser 三次元骨切り術  小田 浤,ほか
 脳性麻痺による股関節(亜)脱臼の手術  松尾 隆
 化膿性股関節炎後の骨頭消失に対する大転子関節形成術  坂巻豊教
成人  
【関節温存】  
 寛骨臼移動術  野口康男
 寛骨臼回転骨切り術  松本忠美
 Chiari 骨盤骨切り術変法(ドーム状骨盤骨切り術)  小林千益,ほか
 転子間弯曲内反骨切り術  中島康晴,ほか
 楔状内反骨切り術  三枝康宏,ほか
 外反伸展骨切り術  岩田 久,ほか
 大腿骨転子部外反骨切り術(杉岡式)  神宮司誠也
 臼蓋形成術  松野丈夫
 筋解離術(オマリー法)  中島育昌
 大腿骨頭回転骨切り術  渥美 敬
 血管柄付き腸骨移植術  長谷川和寿,ほか
【人工物置換】  
 カップ関節形成術  石井良章
 人工股関節側方進入法  飯田寛和
 人工股関節再置換術(臼蓋側)  榎本 寛,ほか
 人工股関節再置換術(ステム側)  内藤正俊
 感染人工関節に対する二期的再置換術  糸満盛憲,ほか
【関節固定】  
 股関節固定術  伊賀敏朗,ほか
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