- 近刊
- 画像医学・放射線医学
ビギナーのための
75Stepで学ぶIVR入門

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
- B5判 488ページ オールカラー,イラスト30点,写真330点
- 2026年3月30日刊行予定
- ISBN978-4-7583-2400-7
近刊のため予約販売となります。
序文
監修序文
IVR(Interventional Radiology)は,画像診断を基盤としつつ,最終的には「手技」が結果を左右する分野である。知識のみで完結するものではなく,カテーテル操作やデバイスの扱い,さらには術中の判断力は,現場での経験の積み重ねによって初めて身についていく。IVRはまさに,師から弟子へと技術と考え方が受け継がれていく,ギルド的・徒弟制度的な側面を色濃く残した領域といえるだろう。
私自身,若い頃は診断目的の腹部血管造影といった基本的な手技を,上級医とともに症例に入りながら学び,直接の手ほどきを受けて成長してきた。診断目的のみの血管造影を経験した後に,比較的手技が単純で教育的意義の高いIVR手技を任せてもらう——そのような過程を通じて,カテーテル操作の基本やデバイス選択の考え方を,身体で覚えていった。そこには師匠それぞれのこだわりや流儀があり,それを間近で学ぶことが,IVR医としての礎となっていた。
しかし近年,画像診断技術の進歩により,CT-angiographyなどを用いて低侵襲に血管解剖等を詳細に把握することが可能となった。その結果,診断目的のみの血管造影は大きく減少し,かつてはその延長線上で経験できていた,若手にとって教育的意義の高い基本的IVR手技に触れる機会も少なくなっている。IVRを志す若手医師が,段階的に手技を学び,上級医から直接指導を受ける環境は,以前に比べて整えにくくなっているのが現状である。
著者である三浦寛司先生とは,私が以前在籍していた施設で,ともにIVR診療に携わった経験がある。当時から三浦先生は,日常診療のなかで後輩に積極的に声をかけ,手技の意味や判断の背景を丁寧に説明される姿が印象的であった。単に「見て覚えよ」とするのではなく,なぜその操作を行うのか,ほかにどのような選択肢があるのかを常に問いかけながら指導される姿勢は,現在に至るまで一貫している。
本書『ビギナーのための75Stepで学ぶIVR入門』には,三浦先生ご自身が師匠として後輩に伝えたいと考えるエッセンスが,75のStepとして惜しみなく盛り込まれている。本書は完成形を押し付けるものではない。まずは本書を土台として学び,実臨床のなかで各自が試行錯誤しながら工夫を重ね,自分なりのスタイルを築いていくことを前提とした構成となっている。
本書を手に取った若いIVR医が,この一冊を通じて確かな基礎を身につけ,やがて自身の「流儀」を確立していくことを,心から願っている。そしてその先で,技術と知恵が次の世代へと受け継がれていくことが,IVRのさらなる発展につながると信じている。
高知大学医学部放射線診断・IVR講座 教授
山上卓士
---------------------
はじめに
これまで多くの専攻医を指導してきましたが, “IVRができるようになる気がしません” という言葉をよく聞きました。
IVRは発展が目覚ましく手技は多様化してきています。一方,手技の前半の基礎のことは語られにくくなってきていますが,ビギナーは,血管に刺さらない,親カテーテルが動かせない,腹腔動脈にかけられない,という初歩的なところで躓いています。上級医がやるとスムーズにいきますが,何がよかったのか,何が悪かったのかも,横でみているだけではわかりにくいです。
ビギナーは基礎から学ばないといけませんが,多忙な上級医は懇切丁寧に教えるのは難しかったりします。今の時代に必要なIVR教育とは何かを考えた時に,基本的なところを自学自習できる教材があれば,このギャップを埋めることができるのではないか,と考えました。
そこで,専攻医のわからないことを真摯に聞いて,それについて真剣に教える取り組みを行いました。単に言葉で説明するだけでは伝わらないことも多く,透視画像を一緒に見返したり,イラストを描いて説明したりしました。それらをできるだけ「まとめノート」に残していきました。今回,ビギナーが最初に覚える手技をピックアップし,書籍化することにしました。
目次をみてみると,血管穿刺,血管解剖,カテーテルの動かし方,血管造影所見,デバイスの使い方,CTガイド下での穿刺の方法といった基礎的なところが多くなっています。疑問に思いやすいことはCQとして取り上げています。項目はStepごとになっていますので,興味のあるところや手技中に疑問に思ったところから拾い読みしてください。文中には関連する事項で読んでほしい他のStepも明記していますので,そちらのほうもぜひ読むようにしてください。そうすることで,全体を読むことができますし,読み切った時にはIVRの基本が身に付けられるようになっていると思います。
実際に私が教えてきたことが中心ですので,やや偏った内容となっていますし,手技のやり方が自分の施設とは異なるところも多いと思います。疑問に思ったところなどは,ぜひ上級医に質問してみてください。画像やイラストも多用していますので,それらをみていろいろな経験とか知見とかを語ってくれると思います。この本をきっかけにそうした会話が生まれることも,この本の役割なのではないかと思います。
執筆にあたり,多くのメディカルスタッフや,業者やメーカーの方々にご意見を聞きました。そのようなIVRに関係する方々にも,ぜひ読んでいただきたいです。立ち会いをしたときにわからなかったことなどがわかり,より理解が深まると思います。皆さんのIVRの理解が向上することで,提供しているIVRがよりよいものになると思います。
最後に,原稿を何度も書き直しイラストも自分で作成していたため,休日も多くの時間を執筆にあててしまいましたが,いつも応援してくれた家族に感謝いたします。
済生会滋賀県病院放射線科
三浦寛司
IVR(Interventional Radiology)は,画像診断を基盤としつつ,最終的には「手技」が結果を左右する分野である。知識のみで完結するものではなく,カテーテル操作やデバイスの扱い,さらには術中の判断力は,現場での経験の積み重ねによって初めて身についていく。IVRはまさに,師から弟子へと技術と考え方が受け継がれていく,ギルド的・徒弟制度的な側面を色濃く残した領域といえるだろう。
私自身,若い頃は診断目的の腹部血管造影といった基本的な手技を,上級医とともに症例に入りながら学び,直接の手ほどきを受けて成長してきた。診断目的のみの血管造影を経験した後に,比較的手技が単純で教育的意義の高いIVR手技を任せてもらう——そのような過程を通じて,カテーテル操作の基本やデバイス選択の考え方を,身体で覚えていった。そこには師匠それぞれのこだわりや流儀があり,それを間近で学ぶことが,IVR医としての礎となっていた。
しかし近年,画像診断技術の進歩により,CT-angiographyなどを用いて低侵襲に血管解剖等を詳細に把握することが可能となった。その結果,診断目的のみの血管造影は大きく減少し,かつてはその延長線上で経験できていた,若手にとって教育的意義の高い基本的IVR手技に触れる機会も少なくなっている。IVRを志す若手医師が,段階的に手技を学び,上級医から直接指導を受ける環境は,以前に比べて整えにくくなっているのが現状である。
著者である三浦寛司先生とは,私が以前在籍していた施設で,ともにIVR診療に携わった経験がある。当時から三浦先生は,日常診療のなかで後輩に積極的に声をかけ,手技の意味や判断の背景を丁寧に説明される姿が印象的であった。単に「見て覚えよ」とするのではなく,なぜその操作を行うのか,ほかにどのような選択肢があるのかを常に問いかけながら指導される姿勢は,現在に至るまで一貫している。
本書『ビギナーのための75Stepで学ぶIVR入門』には,三浦先生ご自身が師匠として後輩に伝えたいと考えるエッセンスが,75のStepとして惜しみなく盛り込まれている。本書は完成形を押し付けるものではない。まずは本書を土台として学び,実臨床のなかで各自が試行錯誤しながら工夫を重ね,自分なりのスタイルを築いていくことを前提とした構成となっている。
本書を手に取った若いIVR医が,この一冊を通じて確かな基礎を身につけ,やがて自身の「流儀」を確立していくことを,心から願っている。そしてその先で,技術と知恵が次の世代へと受け継がれていくことが,IVRのさらなる発展につながると信じている。
高知大学医学部放射線診断・IVR講座 教授
山上卓士
---------------------
はじめに
これまで多くの専攻医を指導してきましたが, “IVRができるようになる気がしません” という言葉をよく聞きました。
IVRは発展が目覚ましく手技は多様化してきています。一方,手技の前半の基礎のことは語られにくくなってきていますが,ビギナーは,血管に刺さらない,親カテーテルが動かせない,腹腔動脈にかけられない,という初歩的なところで躓いています。上級医がやるとスムーズにいきますが,何がよかったのか,何が悪かったのかも,横でみているだけではわかりにくいです。
ビギナーは基礎から学ばないといけませんが,多忙な上級医は懇切丁寧に教えるのは難しかったりします。今の時代に必要なIVR教育とは何かを考えた時に,基本的なところを自学自習できる教材があれば,このギャップを埋めることができるのではないか,と考えました。
そこで,専攻医のわからないことを真摯に聞いて,それについて真剣に教える取り組みを行いました。単に言葉で説明するだけでは伝わらないことも多く,透視画像を一緒に見返したり,イラストを描いて説明したりしました。それらをできるだけ「まとめノート」に残していきました。今回,ビギナーが最初に覚える手技をピックアップし,書籍化することにしました。
目次をみてみると,血管穿刺,血管解剖,カテーテルの動かし方,血管造影所見,デバイスの使い方,CTガイド下での穿刺の方法といった基礎的なところが多くなっています。疑問に思いやすいことはCQとして取り上げています。項目はStepごとになっていますので,興味のあるところや手技中に疑問に思ったところから拾い読みしてください。文中には関連する事項で読んでほしい他のStepも明記していますので,そちらのほうもぜひ読むようにしてください。そうすることで,全体を読むことができますし,読み切った時にはIVRの基本が身に付けられるようになっていると思います。
実際に私が教えてきたことが中心ですので,やや偏った内容となっていますし,手技のやり方が自分の施設とは異なるところも多いと思います。疑問に思ったところなどは,ぜひ上級医に質問してみてください。画像やイラストも多用していますので,それらをみていろいろな経験とか知見とかを語ってくれると思います。この本をきっかけにそうした会話が生まれることも,この本の役割なのではないかと思います。
執筆にあたり,多くのメディカルスタッフや,業者やメーカーの方々にご意見を聞きました。そのようなIVRに関係する方々にも,ぜひ読んでいただきたいです。立ち会いをしたときにわからなかったことなどがわかり,より理解が深まると思います。皆さんのIVRの理解が向上することで,提供しているIVRがよりよいものになると思います。
最後に,原稿を何度も書き直しイラストも自分で作成していたため,休日も多くの時間を執筆にあててしまいましたが,いつも応援してくれた家族に感謝いたします。
済生会滋賀県病院放射線科
三浦寛司
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目次
IVRの基本
Step 1 術前検討 考えるIVR
Step 2 放射線被ばくと防護
血管造影のシステム
Step 3 血管系IVRに必要な道具とシステム
Step 4 シース
Step 5 0.035インチガイドワイヤー
血管穿刺
Step 6 Selginger法(大腿動脈穿刺)
Step 7 大腿動脈穿刺がうまくいかない
Step 8 ガイドワイヤーが入らない
Step 9 圧迫止血
Step 10 動脈穿刺後の合併症
Step 11 橈骨・上腕動脈穿刺
Step 12 大腿静脈穿刺
親カテーテル
Step 13 親カテーテルの総論
Step 14 親カテーテルの一般的な使い方
Step 15 親カテーテルでの血管選択の原理
Step 16 フック型の形成方法① 分枝で反転する
Step 17 フック型の形成方法② bifurcationを利用する
血管解剖と選択方法
Step 18 腹腔動脈の選択方法
Step 19 上腸間膜動脈の選択方法
Step 20 親カテーテルを末梢に挿入する
Step 21 肝動脈の名前をつける
Step 22 膵十二指腸アーケード
Step 23 胃の周りの血管解剖
Step 24 骨盤の動脈
Step 25 大動脈弓部三分枝
Step 26 外頸動脈
Step 27 肺動脈
Step 28 その他の血管解剖
マイクロシステム
Step 29 マイクロカテーテル
Step 30 マイクロガイドワイヤー
Step 31 マイクロシステムの一般的な使用方法
Step 32 マイクロシステムでの血管選択
撮影方法
Step 33 血管造影のしかた
その他のシステム
Step 34 灌流システム
Step 35 ガイディングシース
Step 36 血管閉塞用バルーンカテーテル
血管塞栓
Step 37 血管塞栓の総論
Step 38 ゼラチンスポンジ
Step 39 コイルの総論
Step 40 プッシャブルコイル
Step 41 離脱式コイル
Step 42 親血管のコイル塞栓
Step 43 瘤内のコイル塞栓
Step 44 NBCAの総論
Step 45 NBCAの使い方
止血術
Step 46 止血術の総論
Step 47 脾損傷
Step 48 肝損傷
Step 49 腎損傷
Step 50 骨盤骨折
Step 51 下部消化管出血
Step 52 産科出血
Step 53 バイアバーンによる止血術
腫瘍塞栓
Step 54 リピオドールTACE
Step 55 球状塞栓物質を用いたTACE
血管形成
Step 56 血管形成術の総論
Step 57 PTAバルーン
Step 58 金属ステント
門脈系IVR
Step 59 胃静脈瘤に対するBRTO
CVポート・PICC
Step 60 エコーガイド下血管穿刺をきわめる
Step 61 CVポート・PICCの総論
Step 62 CVポート・PICCの挿入
Step 63 CVポートの埋め込み
Step 64 CVポート・PICCの挿入時の合併症
Step 65 CVポート留置中の管理
CTガイド下
Step 66 CTガイド下の総論
Step 67 CTガイド下に針を進める
Step 68 生検の総論と病理
Step 69 CTガイド下肺生検
Step 70 CTガイド下肺生検の合併症
Step 71 さまざまな部位のCTガイド下生検
Step 72 CTガイド下ドレナージの総論
Step 73 CTガイド下ドレナージの手順
Step 74 さまざまな部位のCTガイド下ドレナージ
その他
Step 75 IVRの勉強方法
Step 1 術前検討 考えるIVR
Step 2 放射線被ばくと防護
血管造影のシステム
Step 3 血管系IVRに必要な道具とシステム
Step 4 シース
Step 5 0.035インチガイドワイヤー
血管穿刺
Step 6 Selginger法(大腿動脈穿刺)
Step 7 大腿動脈穿刺がうまくいかない
Step 8 ガイドワイヤーが入らない
Step 9 圧迫止血
Step 10 動脈穿刺後の合併症
Step 11 橈骨・上腕動脈穿刺
Step 12 大腿静脈穿刺
親カテーテル
Step 13 親カテーテルの総論
Step 14 親カテーテルの一般的な使い方
Step 15 親カテーテルでの血管選択の原理
Step 16 フック型の形成方法① 分枝で反転する
Step 17 フック型の形成方法② bifurcationを利用する
血管解剖と選択方法
Step 18 腹腔動脈の選択方法
Step 19 上腸間膜動脈の選択方法
Step 20 親カテーテルを末梢に挿入する
Step 21 肝動脈の名前をつける
Step 22 膵十二指腸アーケード
Step 23 胃の周りの血管解剖
Step 24 骨盤の動脈
Step 25 大動脈弓部三分枝
Step 26 外頸動脈
Step 27 肺動脈
Step 28 その他の血管解剖
マイクロシステム
Step 29 マイクロカテーテル
Step 30 マイクロガイドワイヤー
Step 31 マイクロシステムの一般的な使用方法
Step 32 マイクロシステムでの血管選択
撮影方法
Step 33 血管造影のしかた
その他のシステム
Step 34 灌流システム
Step 35 ガイディングシース
Step 36 血管閉塞用バルーンカテーテル
血管塞栓
Step 37 血管塞栓の総論
Step 38 ゼラチンスポンジ
Step 39 コイルの総論
Step 40 プッシャブルコイル
Step 41 離脱式コイル
Step 42 親血管のコイル塞栓
Step 43 瘤内のコイル塞栓
Step 44 NBCAの総論
Step 45 NBCAの使い方
止血術
Step 46 止血術の総論
Step 47 脾損傷
Step 48 肝損傷
Step 49 腎損傷
Step 50 骨盤骨折
Step 51 下部消化管出血
Step 52 産科出血
Step 53 バイアバーンによる止血術
腫瘍塞栓
Step 54 リピオドールTACE
Step 55 球状塞栓物質を用いたTACE
血管形成
Step 56 血管形成術の総論
Step 57 PTAバルーン
Step 58 金属ステント
門脈系IVR
Step 59 胃静脈瘤に対するBRTO
CVポート・PICC
Step 60 エコーガイド下血管穿刺をきわめる
Step 61 CVポート・PICCの総論
Step 62 CVポート・PICCの挿入
Step 63 CVポートの埋め込み
Step 64 CVポート・PICCの挿入時の合併症
Step 65 CVポート留置中の管理
CTガイド下
Step 66 CTガイド下の総論
Step 67 CTガイド下に針を進める
Step 68 生検の総論と病理
Step 69 CTガイド下肺生検
Step 70 CTガイド下肺生検の合併症
Step 71 さまざまな部位のCTガイド下生検
Step 72 CTガイド下ドレナージの総論
Step 73 CTガイド下ドレナージの手順
Step 74 さまざまな部位のCTガイド下ドレナージ
その他
Step 75 IVRの勉強方法
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実際の指導のなかで生まれた疑問(CQ)に答えながら,一歩一歩上達するIVR。各ステップで明確な目標建てを行い,それをひとつひとつ確認しながら,知識と自信を身に宿そう。