産婦人科医のための社会保険ABC

第7版

産婦人科医のための社会保険ABC

■編集 日本産科婦人科学会

定価 4,180円(税込) (本体3,800円+税)
  • A5判  272ページ  2色
  • 2024年12月30日刊行予定
  • ISBN978-4-7583-2360-4

近刊のため予約販売となります。


不妊治療を始めとする2024年の診療報酬改定内容を完全網羅。日本産科婦人科学会編集による,全産婦人科医必携の書籍

日本産科婦人科学会編集による,産婦人科医のために必要な知識としての保険点数の考え方をわかりやすく解説した書籍。2022年,2024年の診療報酬改定での大きな改定項目となった不妊治療であるが,その保険の適用範囲や注意点などを大幅に加筆した改訂版である。もちろん,その他の改定点も反映させた全産婦人科医必携の一冊となっている。


序文

永瀬 智
日本産科婦人科学会社会保険委員会委員長
山形大学医学部産科婦人科学講座教授

 産婦人科医に限らずすべての医師は,健康保険法のみならず,医師法,医療法,医薬品医療機器法などを遵守する必要があり,これらの法に基づいて交わされた保険者と保健医療機関との間の公法上の契約が保険診療である。この契約を履行するためには,保険診療のルールを熟知することが必要であるが,医師として働きはじめると,最新の医学知識や医療技術を習得することのほうが優先され,保険診療のルールを理解することが後回しになる傾向があった。そこで,主に産婦人科専攻医・若手医師に社会保険制度をより正しく理解してもらう目的で,日本産科婦人科学会誌の研修コーナーに社会保険の解説がシリーズとして掲載されるようになった。日本産科婦人科学会社会保険委員会では,研修コーナーの社会保険の解説を編集し,2000年に書籍として発刊したのが本書の始まりである。
 以後,診療報酬改定にあわせて改訂され,前版となる「産婦人科医のための社会保険ABC 第6版」は2021年1月に発刊されたが,今回の発刊に至るまで2度の診療報酬改定が行われた。この間の大きな変更点の一つに,これまで自費で行っていた不妊診療が保険適用になったことが挙げられる。この大きな変更点を反映させた改訂版として,第7版を出版することになった。
 本書は第6版を踏襲しており,「総論」,「各論」,「Exercise」で構成され,各章の記載内容は,令和4年度・6年度の改定内容に合わせて更新している。そのなかで,各論1章の「内分泌・不妊症」は新しく保険収載となった項目を多く含むため,大幅に加筆修正を加えている。不妊症に対する保険診療に関しては,その運用などに関しては疑義解釈や関連通知が頻回に発出されている。本書では現時点での共通認識を記載しているが,発刊後に本書の記載内容と実際の解釈に齟齬が生じる可能性があることに留意されたい。
 新たに保険適用となった管理料や手術手技に関しては,関連学会が示す規定や指針,さらには,学会が提供するセミナー受講を保険診療の要件として求めているものが多く,これまで以上に学会のオートノミーとして,適切な対応が求められている。学会のオートノミーの基になるのは,いうまでもなくわれわれ産婦人科医の保険診療に対する正しい理解である。本書が,産婦人科専攻医のみならず,すべての産婦人科医の保険診療の理解と実践に役立っていただければ幸いである。

2024年12月
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目次

■総論
1章 わが国の医療保険制度の仕組み
 1 医療保険の目的
 2 医療保険の仕組み
  職域保険
  地域保険
  後期高齢者医療制度
 3 保険医療機関
 4 保険給付
 5 保険給付の対象
 6 給付の制限
 7 療養の給付の範囲
 8 給付の期間
 9 現物給付と現金給付
 10 給付の割合(患者負担率)
 11 保険診療の基本的ルール
 12 診療方針に関する法令
  健康保険法
  医師法
  「保険医療機関及び保険医療養担当規則」
  保険外併用療養費
  DPCとは
  医療法
  薬事法

2章 カルテとレセプト
 1 カルテ(診療録)
  カルテの取り扱い
  カルテなどの保存期間
  産婦人科診療の特徴
 2 レセプト(診療報酬明細書)
  療養担当規則におけるレセプト
  レセプトの記載事項
  レセプトから報酬を受けるまで
 3 レセプトの開示
 4 カルテの開示

3章 保険診療上のルール
 1 自費診療か保険診療か
  自費診療の範囲
  産科診療などにおける自費診療と保険診療
 2 保険診療の原則
  保険診療上の留意点
  正常の分娩・産褥・新生児の保険給付
 3 保険医療機関及び保険医療養担当規則
  保険医療機関
  保険医療養担当規則
 4 各診療にかかわる事項
  傷病名など
  基本診療料(初診料,再診料など)
  外来診療料
  オンライン診療料
  医学管理等
  検査
  投薬,注射
  入院料
  手術料
  処置料
  画像診断(CT,MRI,超音波)
  麻酔料
 5 在宅医療
  在宅自己注射指導管理料
  在宅妊娠糖尿病患者指導管理料
 6 その他
  看護職員処遇改善評価料(1日につき)
  外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)(1日につき)
  外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)(1日につき)
  入院ベースアップ評価料(1日につき)

■各論
1章 内分泌・不妊症
 1 内分泌学的検査における留意事項
  LH,FSH測定の適応
  プロラクチン測定の適応
  内分泌負荷試験の適応
  エストラジオール測定の適応
  プロゲステロン測定の適応
  テストステロン,DHEA-S測定の適応
  甲状腺機能検査の適応
  尿中LH定性の適応
  血中抗ミュラー管ホルモン(AMH)測定の適応
  Y染色体微小欠失検査の適応
 2 超音波断層検査における留意事項
  卵胞径計測の適応
  子宮・卵巣の性状観察
 3 その他の不妊症検査における留意事項
  内視鏡検査など
  クラミジア検査
  先進医療
 4 不妊治療薬投薬(排卵誘発薬など)における留意事項
  クロミフェンクエン酸塩錠,シクロフェニル錠の適応
  レトロゾールの適応
  hMG-hCG療法の適応
  hMGの投与量と投与日数の基準
  FSH製剤(尿由来製剤)の適応
  在宅自己注射指導管理料
  hCG投与の時期
  hCG投与量と投与日数の基準
  GnRHアゴニスト点鼻製剤
  プロゲステロン腟剤
  適応外使用薬剤の診療報酬審査について
  その他の注意点
 5 新たに保険適用になった一般不妊治療・生殖補助医療
  不妊治療の保険適用
  一般不妊治療
  生殖補助医療(ART)
  選定療養

2章 流産・早産
 1 切迫流産:保険診療上の留意事項
  治療に関する留意事項
 2 流産:保険診療上の留意事項
  診断・検査に関する留意事項
  治療に関する留意事項
  習慣流産/不育症の検査における留意事項
 3 切迫早産:保険診療上の留意事項
  診断・検査に関する留意事項
  治療に関する留意事項
  切迫早産/早産の入院料・医学管理料
 4 胞状奇胎:保険診療上の留意事項
  診断・検査・治療に関する留意事項

3章 異所性妊娠
 1 検査・診断
  ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)定性,ヒト絨毛性ゴナドトロピン- βサブユニット(hCG- β),ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)定量・半定量,低単位ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)半定量
  超音波診断
  ダグラス窩穿刺
  子宮内膜掻爬術
 2 手術・治療
  異所性妊娠手術
  卵管形成手術
  複数手術の特例
  化学療法
  頸管妊娠など

4章 妊娠高血圧症候群
 1 診察
 2 検査
  時間外緊急院内検査加算
  尿検査
  血液学的検査
  生化学的検査(Ⅰ)
  生化学的検査(Ⅱ)内分泌学的検査
  病理学的検査
  生体検査
 3 投薬,注射,処置
  保険適用
 4 入院料・医学管理料
  ハイリスク妊娠管理加算
  ハイリスク分娩管理加算
  ハイリスク妊産婦共同管理料
 5 食事療法
 6 手術

5章 産科救急
 1 基本診療料
  総合周産期特定集中治療室管理料
  ハイリスク妊娠・分娩管理加算・地域連携分娩管理加算
 2 検査
  検体検査料
  生体検査料
  画像診断料
 3 処置
 4 注射
 5 手術
  緊急手術
  急速遂娩術
 6 輸血

6章 婦人科感染症
 1 検査
  外陰炎,腟炎
  子宮頸管炎,子宮内膜炎,子宮附属器炎,骨盤腹膜炎
  性器クラミジア感染症,淋菌感染症
  ウイルス感染症
  妊産婦の感染症
 2 治療
  外陰炎,腟炎
  頸管炎から上部の感染症や一部の性感染症(STD)
  トキソプラズマ症の治療
  ウイルス感染症
  輸血と感染症検査
  B型肝炎母子感染予防
  手術療法

7章 婦人科良性腫瘍(子宮筋腫・良性卵巣腫瘍)
 1 指導管理など
  婦人科特定疾患治療管理料
  手術前医学管理料(届け出た医療機関)
  手術後医学管理料(1日につき)
 2 一般検査など
 3 腫瘍マーカー
 4 病理学的検査
  病理組織標本作製(1 臓器につき)
  細胞診
 5 超音波検査
 6 内視鏡
 7 画像診断
  子宮卵管造影
  CT検査とMRI検査
 8 投薬・注射
 9 手術
  複数手術にかかわる費用の特例
 10 特定保健医療材料

8章 婦人科悪性腫瘍(子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌)
 1 診療料に関する留意事項
  診療情報提供料(Ⅰ)(Ⅱ)
  がん性疼痛緩和指導管理料
  がん患者指導管理料
  悪性腫瘍特異物質治療管理料
  リンパ浮腫指導管理料
  在宅自己導尿指導管理料
 2 検査料に関する留意事項
  病理学的検査
  HPV(human papillomavirus)検査
  コルポスコピー
  ヒステロスコピー
  超音波検査
  CT・MRI検査
  ポジトロン断層撮影(PET)・コンピュータ断層複合撮影
  腫瘍マーカー検査
  マイクロサテライト不安定性(MSI)検査
  BRCA1/2 遺伝子検査(SRL)
  がんゲノムプロファイリング検査(がん遺伝子パネル検査)
 3 治療料に関する留意事項
  手術
  輸血
  化学療法
  化学療法施行時の副作用に対する対策
  分子標的治療薬
  放射線療法の効果増強や副作用に対する対策

9章 中高年女性の疾患
 1 検査
  更年期障害
  骨粗鬆症
 2 治療
  適応症
  子宮脱(骨盤臓器脱)
 3 保険診療上の留意事項

●Exercise
 総論Exercise
 各論Exercise
 総論Exercise解答
 各論Exercise解答
  
●一口メモ
  出産手当金と傷病手当金
  現物給付と現金給付
  死産児を埋葬した場合,埋葬料は受けられない
  医科診療報酬点数表
  いわゆる「まるめ」とは
  産婦人科医としてのカルテの取り扱い
  妊娠・出産は本当に自費診療のみか?
  分娩料と分娩介助料
  新生児管理保育料
  妊娠・出産に対する主治医の判断
  妊娠か否か
  別に厚生労働大臣が定める時間
  時間外の取り扱い
  HIV検査,HTLV-1 検査等
  無診察治療の禁止
  B型肝炎,C型肝炎,HIV検査について
  CTとMRI
  画像診断の組み立て
  胎児が保険診療の対象とならない理由
  麻酔薬剤料
  呼吸心拍監視
  手術料と外保連試案
  病理組織顕微鏡検査(病理診断)
  バルトリン腺嚢腫の穿刺
  子宮頸管粘液採取の算定可能と考えられる項目とは?
  適応症
  化学療法により発症するB型肝炎対策
  遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer syndrome:HBOC)にかかわる保険診療について
  佐薬(補助剤)
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