ICUレジデントのための
DIC診療と鑑別のリアル

ICUレジデントのためのDIC診療と鑑別のリアル

■著者 十時 崇彰

定価 4,620円(税込) (本体4,200円+税)
  • A5変型判  188ページ  2色(一部カラー)
  • 2026年3月14日刊行
  • ISBN978-4-7583-2308-6

決定版! レジデントのためのDIC診療の「ちが詰まってとまらない」話

DIC界隈で飛ぶ鳥落とす勢いのTTK先生が,苦手意識をもたれることが多いDICについて典型&非典型症例を基に颯爽と解説する。主にICUレジデント向けに,重症患者で押さえておくべき鑑別とアプローチを取り上げ,矛楯状態で困る現場実例,血液凝固マネジメントまでを収載。うっかり一気読みして、あっという間にTTKワールドにハマってしまう,ちがつまって,とまらない話。


序文

はじめに

 「血液凝固障害」と聞いて,“なんとなく”苦手意識はありませんか? そして,“なんとなく”スコア計算に頼り切っていないでしょうか。あるいは,上級医から言われたから慌ててスコアリングしてみたり……。僕自身,麻酔科医としてキャリアをスタートした当初は「血液凝固は難しいから,頭がいい人が考える分野だ」なんて本当に思っていました。
 あるとき,学会でDICに関する講演を聞く機会がありました。その話は非常に面白くてワクワクしました。ただ,「やっぱり高名な先生達は違うなぁ,自分には無理だなぁ。けれど本当に面白かったなぁ」。そんな感覚でした。ところが,ひょんなことから鹿児島大学に国内留学することとなり,まさにあの日,講演を聞いた血液凝固のレジェンド達から直接学べる機会を得ることになりました。
 留学は,ゼロどころかマイナスからのスタートでしたので,正直,非常に苦労しました。そんななかでも,医師・研究者としてだけでなく人としても本当に尊敬できる師のおかげで,今では「血液凝固が専門です」と言えるまでになりました。
 本書は,血液凝固障害について,ただ検査値と睨めっこすることから脱却し,真犯人(病態)を追い詰める「謎解き」としてとらえ直すためのガイドブックです。最新のガイドラインをいち早く取り入れ,理論と実践の架け橋となるように心がけました。エビデンスという航海図を携え,病態生理という羅針盤を頼りに,目の前の患者にとっての最善解を導き出す力を養います。本書を読み終える頃,あなたはスコアの点数に一喜一憂したり,診断クイズをしている訳ではなく,血管内のダイナミズムを読み解く「鑑識官」の視点を持っているはずです。
 最後に,これまで研鑽を支えてくださったお師匠様方,刺激をくれる同僚たち,そして執筆の機会をくださったメジカルビュー社の皆様,担当の井上様に深く感謝いたします。
 さあ,Dr. TTKとともに,DICという難事件を解決するための旅を始めましょう。

2026年2月
大阪医科薬科大学 救急医学教室 特別職務担当教員講師
十時崇彰
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目次

1 部 ウォーミングアップ
Chapter 1 DICことはじめ
 1 DIC ってなんだろう
 2 「DIC」はいろんな疾患に合併する。病態別に典型例を押さえよう
 3 5分でわかる急性期診断基準の変遷と最新の動向
 4 スコアと評価
Chapter 2 DIC の鑑別
 1 DICの診断で気をつけること
 2 敗血症,外傷,血液内科,産科領域のDICとの点と線
Chapter 3 DICに気づいたときの対応
 1 治療
 2 DICに対する治療薬~抗凝固と抗炎症の分子戦略
 3 知っておきたい前提。エビデンスのこと

2 部 典型症例トレーニングで押さえる急性期DIC
Chapter 1 外傷
 1 外傷性DICのメカニズム
 2 血液凝固の「セルベース・モデル」~イベント開催のイメージ
Chapter 2 敗血症
 1 敗血症性DIC ~凝固が亢進
 2 スコアのパラドックス
Chapter 3 急性膵炎
 1 急性膵炎に伴うDIC ~時間による病態の劇的変化
 2 急性膵炎に伴う治療抵抗性のDIC
Chapter 4 悪性腫瘍
 1 固形がんに伴うDIC ~“Dダイマーの単独高値”を見逃さない
 2 造血器腫瘍に伴うDIC ~スコアではなく患者をみよう
Chapter 5 その他
 1 産科DIC
 2 PTE

3 部 生理学から読み解くDICミミックと鑑別 ヘモスタス星の島をめぐる
Chapter 1 血小板活性・内皮障害の島を攻略
 1 TMA ① 似て非なるDICとの違い
 2 TMA ② “ 溶血と凝固の強さ”を軸に鑑別する
 3 TTPもあなどるなかれ
 4 HIT ① 鍵は4Ts スコア
 5 HIT ② 抗凝固治療中なのにDダイマーが上昇
 6 APS ~免疫が引き起こす凝固異常はTEG/ROTEMでチェック
Chapter 2 免疫破壊・貧食の島を攻略
 1 HPS ① 汎血球減少で疑いの目を
 2 HPS ② 異常に高いフェリチン値やフィブリノゲン値の著減で疑う
Chapter 3 止血因子欠乏の島を攻略
 1 AvWS ~ ECMO 導入後×出血×PT/ATPP正常で考えること
Chapter 4 凝固亢進の島を攻略
 1 TLS ① 化学療法中の凝固障害
 2 TLS ② 腎臓を意識しながら電解質管理を
Chapter 5 その他
 1 偽性血小板低下~事件は体の中で起こっているわけではない!
 2 TAT,PIC ~ “リアルタイム”の武器を使いこなす
 3 肝不全に伴うDIC ~「工場停止」と「戦場消費」のせめぎ合い
 4 小児~成長によって変化する

4 部 現場で役立つ血液凝固マネジメント
Chapter 1 輸血の適応と選び方
 1 血小板
 2 FFP
Chapter 2 出血源が特定できないときの考え方
 1 Surgical or medical bleeding ?
 2 隠れた出血源
 3 ジワジワ持続
Chapter 3 出血と凝固異常,両立管理のリアル
 1 ヘパリンはいつから?
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