- 新刊
- 診療放射線技師
実践! 医療画像情報学
基礎から実験・演習まで
改訂第2版

- サンプルページ
どなたでもご覧いただけます
定価 5,940円(税込) (本体5,400円+税)
- B5判 424ページ 2色(一部カラー),イラスト390点,写真460点
- 2025年10月2日刊行
- ISBN978-4-7583-2291-1
電子版
序文
改訂第2版 監修の序
文部科学省においては,2020年度より小学校におけるプログラミング教育が開始されました。すなわち,義務教育の初等段階からプログラミング的思考を育成し,将来の情報化社会を主体的に生き抜く力を涵養することが重視される時代となったといえます。現代社会は,AIやIoT,ビッグデータ,クラウドコンピューティングなどの急速な進展によって高度に情報化しており,国民一人ひとりがその流れに関与せざるを得ない状況にあります。
このような社会的背景の下,理工系医療技術者の代表である診療放射線技師や,医学物理士を志す人材にとって,医療画像情報技術に関する基礎的知識および応用的技能の習得は,今や必要不可欠な要件となっています。診療放射線技師は従来の撮影・画像処理にとどまらず,先端的な画像解析やAIを活用した診断支援,医療データの統合管理など,多様な情報技術を駆使する職務を担うようになっており,その教育課程においても情報関連科目の比重は年々増加傾向にあります。
本書は,そのような要請に応えるべく,2009年に刊行された講義用テキスト「診療放射線技師 スリム・ベーシック」シリーズの流れを受けて,これまでの教育的蓄積を凝縮しつつ,学生が学びやすく,また教員が授業で活用しやすい教材となることを目指して編纂されたものです。特に,令和7年度版診療放射線技師国家試験出題基準を網羅するのみならず,新たに「医療画像情報学」に関する主要な実験・実習を取り入れ,臨床現場に即した具体的事例を提示することで,学習者が実践的に理解を深められるよう工夫を施しました。また,図表や演習課題を随所に配置し,知識の定着を促すとともに,主体的な学修を支援する構成としています。
本書が,診療放射線技師をはじめとする医療系学生にとって,情報技術の基礎と応用を体系的に理解する一助となり,将来の医療現場における実践力の涵養に資することを願ってやみません。さらに,教育現場における指導資料としても広く活用され,講義運営や授業準備を支える有益な一冊となれば幸いです。
最後に,本書の編集と執筆に多大なるご尽力を賜った諸先生方に深甚なる謝意を表しますとともに,発刊に際し多大なるご協力をいただきましたメジカルビュー社編集部の皆様に心より感謝申し上げます。
2025年8月
東京都立大学 名誉教授 福士政広
-------------------------
改訂第2版 編集の序
令和7年に診療放射線技師国家試験の出題基準が改訂された。本書第2版は,この新基準に準拠し,令和7年に実施された国家試験問題の動向を踏まえて再構成したものである。本書は,診療放射線技師および医学物理士を志す学生,ならびに若手診療放射線技師を主たる読者対象とし,国家試験対策に資するのみならず,今後の臨床・研究活動の基盤となる「医療画像情報学の基礎知識」を体系的に修得することを目的とする。
特徴として,放射線治療計画における散乱線の影響を精緻に評価可能なモンテカルロシミュレーションを,「第4章 コンピュータシミュレーション」において詳細に解説した。また,後半には「医療画像情報学に関する主な実験・実習」を収載し,各実験に対応するレポート作成における「考察の要点」を明示した。さらに,新出題基準に追加された人工知能分野に対応するため,深層学習を導入した実験も新たに加えている。実習で用いられる解析ツールについても解説を充実させた。ImageJに関しては,解析メニューの選択からパラメータ設定に至るまでを図示し,Excelについては数式や関数入力に加え,FFT解析やソルバー機能の活用方法を詳細に示した。加えて,実験演習を支援するダウンロード可能な資料を用意し,読者の自主的学修を支援する。
近年,データサイエンス教育の重要性は飛躍的に高まり,大学教育では必須になってきており,初等教育においてもプログラミング教育が導入されている。診療放射線技師および医学物理士を志す者にとっても,情報学的素養は必須の基盤となる。本書では,情報の基礎事項から順を追って解説するとともに,欄外の「用語アラカルト」「MEMO」「プラスアルファ」などによって,関連知識の補完と深化を図った。本書が,医療画像情報学領域における標準的教科書,あるいは信頼性の高い参考書として広く活用されることを期待する。
最後に,本書の執筆に多大なご尽力を賜った専門学校東洋公衆衛生学院診療放射線技術学科 大松将彦先生,順天堂大学保健医療学部診療放射線学科 中世古和真先生,つくば国際大学医療保健学部診療放射線学科 奥村英一郎先生,徳島大学大学院医歯薬学研究部 阪間 稔先生,ならびに監修を賜った東京都立大学名誉教授 福士政広先生に深甚なる謝意を表する。また,編集作業に尽力いただいたメジカルビュー社編集部各位にも厚く御礼申し上げる。
2025年8月
杏林大学 橋本雄幸
文部科学省においては,2020年度より小学校におけるプログラミング教育が開始されました。すなわち,義務教育の初等段階からプログラミング的思考を育成し,将来の情報化社会を主体的に生き抜く力を涵養することが重視される時代となったといえます。現代社会は,AIやIoT,ビッグデータ,クラウドコンピューティングなどの急速な進展によって高度に情報化しており,国民一人ひとりがその流れに関与せざるを得ない状況にあります。
このような社会的背景の下,理工系医療技術者の代表である診療放射線技師や,医学物理士を志す人材にとって,医療画像情報技術に関する基礎的知識および応用的技能の習得は,今や必要不可欠な要件となっています。診療放射線技師は従来の撮影・画像処理にとどまらず,先端的な画像解析やAIを活用した診断支援,医療データの統合管理など,多様な情報技術を駆使する職務を担うようになっており,その教育課程においても情報関連科目の比重は年々増加傾向にあります。
本書は,そのような要請に応えるべく,2009年に刊行された講義用テキスト「診療放射線技師 スリム・ベーシック」シリーズの流れを受けて,これまでの教育的蓄積を凝縮しつつ,学生が学びやすく,また教員が授業で活用しやすい教材となることを目指して編纂されたものです。特に,令和7年度版診療放射線技師国家試験出題基準を網羅するのみならず,新たに「医療画像情報学」に関する主要な実験・実習を取り入れ,臨床現場に即した具体的事例を提示することで,学習者が実践的に理解を深められるよう工夫を施しました。また,図表や演習課題を随所に配置し,知識の定着を促すとともに,主体的な学修を支援する構成としています。
本書が,診療放射線技師をはじめとする医療系学生にとって,情報技術の基礎と応用を体系的に理解する一助となり,将来の医療現場における実践力の涵養に資することを願ってやみません。さらに,教育現場における指導資料としても広く活用され,講義運営や授業準備を支える有益な一冊となれば幸いです。
最後に,本書の編集と執筆に多大なるご尽力を賜った諸先生方に深甚なる謝意を表しますとともに,発刊に際し多大なるご協力をいただきましたメジカルビュー社編集部の皆様に心より感謝申し上げます。
2025年8月
東京都立大学 名誉教授 福士政広
-------------------------
改訂第2版 編集の序
令和7年に診療放射線技師国家試験の出題基準が改訂された。本書第2版は,この新基準に準拠し,令和7年に実施された国家試験問題の動向を踏まえて再構成したものである。本書は,診療放射線技師および医学物理士を志す学生,ならびに若手診療放射線技師を主たる読者対象とし,国家試験対策に資するのみならず,今後の臨床・研究活動の基盤となる「医療画像情報学の基礎知識」を体系的に修得することを目的とする。
特徴として,放射線治療計画における散乱線の影響を精緻に評価可能なモンテカルロシミュレーションを,「第4章 コンピュータシミュレーション」において詳細に解説した。また,後半には「医療画像情報学に関する主な実験・実習」を収載し,各実験に対応するレポート作成における「考察の要点」を明示した。さらに,新出題基準に追加された人工知能分野に対応するため,深層学習を導入した実験も新たに加えている。実習で用いられる解析ツールについても解説を充実させた。ImageJに関しては,解析メニューの選択からパラメータ設定に至るまでを図示し,Excelについては数式や関数入力に加え,FFT解析やソルバー機能の活用方法を詳細に示した。加えて,実験演習を支援するダウンロード可能な資料を用意し,読者の自主的学修を支援する。
近年,データサイエンス教育の重要性は飛躍的に高まり,大学教育では必須になってきており,初等教育においてもプログラミング教育が導入されている。診療放射線技師および医学物理士を志す者にとっても,情報学的素養は必須の基盤となる。本書では,情報の基礎事項から順を追って解説するとともに,欄外の「用語アラカルト」「MEMO」「プラスアルファ」などによって,関連知識の補完と深化を図った。本書が,医療画像情報学領域における標準的教科書,あるいは信頼性の高い参考書として広く活用されることを期待する。
最後に,本書の執筆に多大なご尽力を賜った専門学校東洋公衆衛生学院診療放射線技術学科 大松将彦先生,順天堂大学保健医療学部診療放射線学科 中世古和真先生,つくば国際大学医療保健学部診療放射線学科 奥村英一郎先生,徳島大学大学院医歯薬学研究部 阪間 稔先生,ならびに監修を賜った東京都立大学名誉教授 福士政広先生に深甚なる謝意を表する。また,編集作業に尽力いただいたメジカルビュー社編集部各位にも厚く御礼申し上げる。
2025年8月
杏林大学 橋本雄幸
全文表示する
閉じる
目次
第1章 医療画像情報の基礎
1 情報の表現 大松将彦
2 論理回路 大松将彦
3 コンピュータの基礎 大松将彦
第2章 医療画像
1 医療画像の基礎 橋本雄幸
2 ディジタル画像 橋本雄幸
3 画像処理① 中世古和真
4 画像処理② 奥村英一郎
5 画像評価 中世古和真
第3章 医療情報
1 基本事項 大松将彦
2 医療情報システム
1 病院情報システム(HIS) 橋本雄幸
2 放射線情報システム(RIS) 橋本雄幸
3 医療画像保存・通信システム(PACS) 橋本雄幸
4 画像表示システム 中世古和真
6 遠隔画像診断(テレラジオロジー) 橋本雄幸
3 品質管理 奥村英一郎
第4章 コンピュータシミュレーション
1 コンピュータシミュレーション 阪間 稔
第5章 実習の手引き&レポートの取り方
1 実験レポートのポイント 橋本雄幸
2 ImageJとExcel,実験に関するツール解説 大松将彦
3 階調処理,空間周波数処理 奥村英一郎
4 サブトラクション処理 奥村英一郎
5 シミュレーションによるディジタル画像処理および特性の理解 中世古和真
6 シミュレーションによるX 線CTの画像再構成 橋本雄幸
7 コンピュータシミュレーション(モンテカルロ法) 阪間 稔
8 NNCを用いた深層学習と画像の評価 橋本雄幸
9 解像特性(MTF)/ノイズ特性(WS) 橋本雄幸
10 検出能/ROC 橋本雄幸
1 情報の表現 大松将彦
2 論理回路 大松将彦
3 コンピュータの基礎 大松将彦
第2章 医療画像
1 医療画像の基礎 橋本雄幸
2 ディジタル画像 橋本雄幸
3 画像処理① 中世古和真
4 画像処理② 奥村英一郎
5 画像評価 中世古和真
第3章 医療情報
1 基本事項 大松将彦
2 医療情報システム
1 病院情報システム(HIS) 橋本雄幸
2 放射線情報システム(RIS) 橋本雄幸
3 医療画像保存・通信システム(PACS) 橋本雄幸
4 画像表示システム 中世古和真
6 遠隔画像診断(テレラジオロジー) 橋本雄幸
3 品質管理 奥村英一郎
第4章 コンピュータシミュレーション
1 コンピュータシミュレーション 阪間 稔
第5章 実習の手引き&レポートの取り方
1 実験レポートのポイント 橋本雄幸
2 ImageJとExcel,実験に関するツール解説 大松将彦
3 階調処理,空間周波数処理 奥村英一郎
4 サブトラクション処理 奥村英一郎
5 シミュレーションによるディジタル画像処理および特性の理解 中世古和真
6 シミュレーションによるX 線CTの画像再構成 橋本雄幸
7 コンピュータシミュレーション(モンテカルロ法) 阪間 稔
8 NNCを用いた深層学習と画像の評価 橋本雄幸
9 解像特性(MTF)/ノイズ特性(WS) 橋本雄幸
10 検出能/ROC 橋本雄幸
全文表示する
閉じる
好評を博した医用(療)画像情報学のテキストが,令和7年度版国家試験出題基準にあわせて改訂! 実験レポートの作成にも使える実践重視型!
基礎から実験・演習までを網羅し,好評を博した医療画像情報学のテキストの改訂第2版が登場! 令和7年版国家試験出題基準に準拠し,主に「アナログ画像」の項目の削除,「深層学習」の項目を追加した。近年行われることが増えた「深層学習」の実験や演習にも対応し,さらに使いやすい教科書となっている。臨床画像を豊富に掲載していることは変わらず,本書で解説されている知識が,実際どのように役立つかをイメージできる。章末に演習問題も掲載し,講義中に学生に考えさせたり,理解度確認に使うことができる便利な構成となっている。