1日がわかる

作業療法概論 OTのワークライフ

作業療法概論 OTのワークライフ

■編集 藤本 一博

定価 4,400円(税込) (本体4,000円+税)
  • B5判  148ページ  オールカラー,イラスト160点,写真160点
  • 2025年10月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-2289-8

作業療法士の仕事を1日の流れで追いながら,疾患の解説や支援の工夫,理論的な背景までをコンパクトに理解できる概論テキスト

現場の1日をのぞいてみよう。作業療法士の仕事を1日の流れで追いながら,対象となる疾患の解説や支援の工夫,理論的な背景までをコンパクトに理解できる一冊。多様な理論をベースに「どう働くか」「どう支えるか」が見えてくる,新しい時代の概論テキスト。


序文

 「作業療法概論」,この科目を作業療法士の誰もが学ぶと思うが,どのような印象だろうか。恥ずかしながら筆者自身は学生時代を思い出すと,この科目に特別な思い入れや思い出がない。右も左もわからない作業療法士養成課程に入学し,1年生の段階で作業療法概論を受講し,特に思い出もないままテストを受けたような気がする。しかし臨床経験を積み重ね5年の月日が経過したとき,一つの壁に突き当たった。それは「作業療法とは何だろう? 理学療法をはじめとした他職種のなかで作業療法士は何を専門とするのだろう?」という気づきである。5年目までは目の前の業務や臨床に自分自身が追い付かず,ただ必死に日々を過ごす毎日であったが,5年くらいで概ね業務や職場に適応する。このときに,もっと貢献するにはどうしたら良いかなど,周囲を俯瞰的に見る余裕が出る。そして1年生で学んだ「作業療法概論」を見返すのである。
 そこには作業療法の歴史や作業療法とは? が明確に書かれているものの,「作業療法の魅力」や「やりがい」が伝わりづらく,作業療法のスペックだけが書かれている一覧表のような印象であった。もっと1年生に「作業療法の魅力」や「やりがい」が伝わる“心に響く作業療法概論”が必要ではないかと感じていた。そんな折,「1年生でもわかる作業療法概論の教科書を企画している」とメジカルビュー社の間宮氏よりお声掛けいただき,「前例のない新しいコンセプトの本にしたい」と企画の説明をいただいた。
 作業療法概論とは作業療法入口の科目であり,理念や歴史,対象と目的,方法と特徴,倫理観や専門職としての姿勢を伝えるものである。これまでは,その内容を概念的に記述した教科書が提供されていたと思うが,今回は1章で歴史や理念,実践の基本方針を現代の作業パラダイムに沿って掲載し,2章では各領域で活躍する現役の作業療法士から,勤務スケジュール,対象疾患,やりがいや,実習準備といった形で,作業療法の各領域における対象と目的,方法と特徴,倫理観や専門職としての姿勢をライフスタイルに沿って伝えてもらう構成とした。そして3章では作業療法の専門性を発揮するために必要な理論や概念を1年生でもわかりやすい形で簡潔に述べている。
 本書は「現役作業療法士のライフスタイルを描いたリアルな作業療法概論」である。リアルからやりがいや作業療法の魅力を捉え,作業療法士としての心を養ってもらいたい。作業療法士は本当に素晴らしい職業であることが伝わるはずである。そして現役で活躍される作業療法士にも,本書は他領域を知る貴重な機会となるはずである。筆者自身も回復期リハ領域で20年以上勤務しているが,他領域のライフスタイルを知る機会は少ない。本書の編集作業は作業療法の広さと魅力を学ぶ良い機会となり,職場を変えてみたいという気持ちを抑えるのが難しくなっている日々である。
 このように魅力的な本に仕上がっていると思うが,これは前例のない企画に挑戦してくださった筆者の皆様,そしてわくわくする企画をくださり,何度も相談に乗っていただいたメジカルビュー社の間宮氏のお力添えの賜物である。皆様に心から感謝を申し上げます。

2025年8月 湘南OT交流会
藤本一博
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目次

第1章 概論
作業療法とは?  澤田辰徳
作業とは?  澤田辰徳
Occupation Centered Practiceとは?─作業を中心とした実践─  澤田辰徳

第2章 領域別の働き方
身体障害者回復期リハビリテーション病棟  藤本一博 
身体障害者急性期治療病棟  須藤 誠
身体障害者専門外来リハビリテーション  田代 徹 
精神科急性期病棟  小徳美穂
精神科療養病棟  白木 望
小児リハビリテーション  吉田尚樹 
訪問リハビリテーション  永島 匡
介護老人保健施設  杉田 遼 
通所リハビリテーション  福田 裕
就労継続支援B型事業所  大谷将之 
放課後等デイサービス  大郷和成
矯正施設(刑務所)  渡邉洋紀
福祉用具展示場  城野友哉 
大学教員  齋藤佑樹
専門学校教員  宗像暁美

第3章 作業療法の働き方
システム理論と作業療法 ─このようにOTは発展をしてきました─  藤本一博
障害の捉え方の変遷─ICIDHからICFへ─  河野 崇
人間作業モデル(MOHO)  神保匡良
CMOPとCMCE  山田優樹
生活行為向上マネジメント(MTDLP)  梅津清司郎
CO-OPアプローチ  塩津裕康
OBP 2.0  寺岡 睦
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