疼痛リハビリテーション
病態メカニズム・モデルに基づく評価・治療戦略

- サンプルページ
どなたでもご覧いただけます
定価 6,600円(税込) (本体6,000円+税)
- B5判 296ページ オールカラー,イラスト170点,写真80点
- 2025年12月1日刊行
- ISBN978-4-7583-2288-1
電子版
序文
私が本書の編集を担当するきっかけとなったのは,本書に関する主担当としてご尽力いただいたメジカルビュー社の水上 優氏からの疼痛リハビリテーションにおける現状の取材であった。私は,疼痛リハビリテーションにおける病態や評価の解釈,治療介入の意思決定に関する現状と課題について,自身の考えをお伝えしたと記憶している。水上氏からは,私がこれまでに執筆あるいは講演でトピックスとして概説した疼痛の病態についてリハビリテーションの現場で理解を深めることはとても重要ではないかという考えを聞くとともに,私に本書の編集をお願いできないかと依頼を受けた。私は書籍の分担執筆の可能性は想定していたが,編集の依頼を受けるとは考えておらず驚いたことを今でも鮮明に覚えている。ただ,編集依頼を受けることはまたとない貴重な機会と考え,編集を受諾し今日に至っている。
私が依頼を受けた書籍のテーマの要点としては,「疼痛の病態に関する理解が深まる内容」「病態の理解をベースとして臨床現場に役立つ内容」であった。まず私が本書の主軸にすべきと考えたのは「疼痛の病態メカニズム・モデル」である。現在,疼痛の病態分類は共通言語として広く知られているが,近年提唱されたさまざまな病態メカニズム・モデルについては一度整理する必要があると考えた。この病態を重視する観点は,大学院で所属した研究室での研究活動によって培われた観点でもある。疼痛で悩まれている対象者の心身も含めた問題を,疼痛の病態メカニズム・モデルだけでは解決できないかもしれないが,対象者の抱える疼痛による問題に関する理解を深め,対象者とともに問題・課題の解決につなげていくための基盤として疼痛の病態メカニズム・モデルは重要であると考え,本書の表題としても取り上げた。
このようなコンセプトを踏まえて,第1 章では,疼痛の病態メカニズム・モデルを理解するために必要となる疼痛の神経生理学に関する記述を導入として配置した。第2 章では,疼痛の病態分類に基づいて病態メカニズム・モデルに関する内容を記述した。そして,疼痛の病態メカニズム・モデルに基づいた臨床現場で活用されている評価および治療戦略を理解するために,第3 章では疼痛の病態理解につながる評価,第4 章では疼痛の病態に基づいた治療戦略をテーマに記述した。第5 章では,病態メカニズム・モデルに基づいた評価・治療戦略の思考過程の理解につなげるために,疼痛患者に対する臨床評価・治療の実践について記述した。ここでは,疼痛リハビリテーションの第一線で活躍されている多くの先生方にご執筆いただいた。病態メカニズム・モデルの観点を踏まえて,症例に対する各執筆者の臨床評価・治療に関する思考過程を共有していただいたのは本書の大きな特色である。
本書の刊行に至るまでには,各執筆者ならびに関係者の皆様の多くのご助力とメジカルビュー社の水上氏のご支援をいただいた。この場を借りて深く感謝申し上げる。本書が疼痛リハビリテーションにかかわる理学療法士,作業療法士および関連専門職の皆様にとって,どのように疼痛をとらえ臨床実践をすべきか思考する一助となり,ひいては疼痛に悩まれている対象者の方々にとって支援の一助となれば幸いである。
2025年10月
重藤隼人
私が依頼を受けた書籍のテーマの要点としては,「疼痛の病態に関する理解が深まる内容」「病態の理解をベースとして臨床現場に役立つ内容」であった。まず私が本書の主軸にすべきと考えたのは「疼痛の病態メカニズム・モデル」である。現在,疼痛の病態分類は共通言語として広く知られているが,近年提唱されたさまざまな病態メカニズム・モデルについては一度整理する必要があると考えた。この病態を重視する観点は,大学院で所属した研究室での研究活動によって培われた観点でもある。疼痛で悩まれている対象者の心身も含めた問題を,疼痛の病態メカニズム・モデルだけでは解決できないかもしれないが,対象者の抱える疼痛による問題に関する理解を深め,対象者とともに問題・課題の解決につなげていくための基盤として疼痛の病態メカニズム・モデルは重要であると考え,本書の表題としても取り上げた。
このようなコンセプトを踏まえて,第1 章では,疼痛の病態メカニズム・モデルを理解するために必要となる疼痛の神経生理学に関する記述を導入として配置した。第2 章では,疼痛の病態分類に基づいて病態メカニズム・モデルに関する内容を記述した。そして,疼痛の病態メカニズム・モデルに基づいた臨床現場で活用されている評価および治療戦略を理解するために,第3 章では疼痛の病態理解につながる評価,第4 章では疼痛の病態に基づいた治療戦略をテーマに記述した。第5 章では,病態メカニズム・モデルに基づいた評価・治療戦略の思考過程の理解につなげるために,疼痛患者に対する臨床評価・治療の実践について記述した。ここでは,疼痛リハビリテーションの第一線で活躍されている多くの先生方にご執筆いただいた。病態メカニズム・モデルの観点を踏まえて,症例に対する各執筆者の臨床評価・治療に関する思考過程を共有していただいたのは本書の大きな特色である。
本書の刊行に至るまでには,各執筆者ならびに関係者の皆様の多くのご助力とメジカルビュー社の水上氏のご支援をいただいた。この場を借りて深く感謝申し上げる。本書が疼痛リハビリテーションにかかわる理学療法士,作業療法士および関連専門職の皆様にとって,どのように疼痛をとらえ臨床実践をすべきか思考する一助となり,ひいては疼痛に悩まれている対象者の方々にとって支援の一助となれば幸いである。
2025年10月
重藤隼人
全文表示する
閉じる
目次
1章 疼痛の神経生理学
1 疼痛の病態メカニズムを理解するための神経生理学の基礎知識 重藤隼人
2 まとめ 重藤隼人
2章 疼痛のとらえ方
1 疼痛概論 重藤隼人
2 侵害受容性疼痛の臨床的特徴と病態メカニズム 重藤隼人
3 神経障害性疼痛の臨床的特徴と病態メカニズム 重藤隼人
4 痛覚変調性疼痛の臨床的特徴と病態メカニズム 重藤隼人
5 疼痛患者における運動制御 重藤隼人
6 まとめ 重藤隼人
3章 疼痛の病態理解につながる評価
1 疼痛の病態鑑別と効果判定のための評価指標 重藤隼人
2 疼痛患者の重症度評価・効果判定につなげる評価 重藤隼人
3 疼痛の病態鑑別につなげる評価:侵害受容性疼痛 重藤隼人
4 疼痛の病態鑑別につなげる評価:神経障害性疼痛 重藤隼人
5 疼痛の病態鑑別につなげる評価:痛覚変調性疼痛-感作 服部貴文
6 疼痛の病態鑑別につなげる評価:痛覚変調性疼痛-心理社会的因子 重藤隼人
7 疼痛の病態鑑別につなげる評価:痛覚変調性疼痛-身体知覚異常 重藤隼人
8 疼痛患者における身体運動の評価 藤井 廉
9 認知症を有する疼痛患者の評価 後藤 響
10 疼痛患者における医学的情報の理解 井上雅之
11 まとめ 重藤隼人
4章 疼痛の病態に基づいた治療戦略
1 疼痛治療総論 重藤隼人
2 徒手理学療法 重藤隼人
3 運動療法 下 和弘
4 物理療法 佐々木 遼
5 ニューロリハビリテーション 大住倫弘
6 患者教育-疼痛神経科学教育 田中克宜
7 SDMを基盤としたアドヒアランスの向上を目指す患者教育 平川善之
8 作業療法 田中陽一
9 まとめ 重藤隼人
5章 疼痛患者に対する臨床評価・治療の実践
1 変形性膝関節症・理学療法 人工膝関節全置換術後に神経障害性疼痛の関与が疑われた症例に対する臨床実践 田中智哉
2 変形性股関節症・理学療法 慢性関節痛を呈する変形性股関節症に対する臨床実践 服部貴文
3 大腿骨近位部骨折・理学療法 認知・精神・心理面の低下を有する大腿骨近位部骨折術後患者に対する臨床実践 後藤 響
4 腱板断裂術後・作業療法 疼痛と運動恐怖によって患側上肢の使用が困難であった症例 長倉侑祐
5 変形性腰椎症・理学療法 脊椎疾患による慢性腰下肢痛患者に対する運動療法を中心とした臨床実践 江原弘之
6 非特異的慢性腰痛・理学療法(痛みセンター) 慢性腰下肢痛患者に対する臨床実践 中楚友一朗・牛田享宏
7 脊椎圧迫骨折・理学療法 複数の疼痛病態が混在した症例 片岡英樹
8 術後遷延性疼痛・理学療法 両下腹部および左股関節関節唇鏡術後遷延痛筋膜による末梢性感作が中枢性感作の引き金になっていた症例 須賀康平
9 変形性頚椎症・理学療法 頚部痛患者に対する臨床実践 吉田亮太
10 複合性局所疼痛症候群・理学療法 複合性局所疼痛症候群に対する臨床実践 壬生 彰
11 脳卒中後疼痛・理学療法 脳卒中後疼痛患者に対する臨床評価・治療の実践 古賀優之
12 脊髄損傷・理学療法 神経障害性疼痛に対する臨床実践 佐藤剛介
13 腕神経叢損傷・作業療法 多面的疼痛評価に基づく外来作業療法の実践-痛み行動日記を活かした自己管理とQOL向上- 田中陽一
14 脊髄疾患(しびれ感)・物理療法 脊髄疾患によるしびれ感に対する臨床実践 西 祐樹
15 関節リウマチ・理学療法 複合疼痛モデルを呈した就労・育児期の女性リウマチ患者に対する臨床実践 島原範芳
16 まとめ 重藤隼人
1 疼痛の病態メカニズムを理解するための神経生理学の基礎知識 重藤隼人
2 まとめ 重藤隼人
2章 疼痛のとらえ方
1 疼痛概論 重藤隼人
2 侵害受容性疼痛の臨床的特徴と病態メカニズム 重藤隼人
3 神経障害性疼痛の臨床的特徴と病態メカニズム 重藤隼人
4 痛覚変調性疼痛の臨床的特徴と病態メカニズム 重藤隼人
5 疼痛患者における運動制御 重藤隼人
6 まとめ 重藤隼人
3章 疼痛の病態理解につながる評価
1 疼痛の病態鑑別と効果判定のための評価指標 重藤隼人
2 疼痛患者の重症度評価・効果判定につなげる評価 重藤隼人
3 疼痛の病態鑑別につなげる評価:侵害受容性疼痛 重藤隼人
4 疼痛の病態鑑別につなげる評価:神経障害性疼痛 重藤隼人
5 疼痛の病態鑑別につなげる評価:痛覚変調性疼痛-感作 服部貴文
6 疼痛の病態鑑別につなげる評価:痛覚変調性疼痛-心理社会的因子 重藤隼人
7 疼痛の病態鑑別につなげる評価:痛覚変調性疼痛-身体知覚異常 重藤隼人
8 疼痛患者における身体運動の評価 藤井 廉
9 認知症を有する疼痛患者の評価 後藤 響
10 疼痛患者における医学的情報の理解 井上雅之
11 まとめ 重藤隼人
4章 疼痛の病態に基づいた治療戦略
1 疼痛治療総論 重藤隼人
2 徒手理学療法 重藤隼人
3 運動療法 下 和弘
4 物理療法 佐々木 遼
5 ニューロリハビリテーション 大住倫弘
6 患者教育-疼痛神経科学教育 田中克宜
7 SDMを基盤としたアドヒアランスの向上を目指す患者教育 平川善之
8 作業療法 田中陽一
9 まとめ 重藤隼人
5章 疼痛患者に対する臨床評価・治療の実践
1 変形性膝関節症・理学療法 人工膝関節全置換術後に神経障害性疼痛の関与が疑われた症例に対する臨床実践 田中智哉
2 変形性股関節症・理学療法 慢性関節痛を呈する変形性股関節症に対する臨床実践 服部貴文
3 大腿骨近位部骨折・理学療法 認知・精神・心理面の低下を有する大腿骨近位部骨折術後患者に対する臨床実践 後藤 響
4 腱板断裂術後・作業療法 疼痛と運動恐怖によって患側上肢の使用が困難であった症例 長倉侑祐
5 変形性腰椎症・理学療法 脊椎疾患による慢性腰下肢痛患者に対する運動療法を中心とした臨床実践 江原弘之
6 非特異的慢性腰痛・理学療法(痛みセンター) 慢性腰下肢痛患者に対する臨床実践 中楚友一朗・牛田享宏
7 脊椎圧迫骨折・理学療法 複数の疼痛病態が混在した症例 片岡英樹
8 術後遷延性疼痛・理学療法 両下腹部および左股関節関節唇鏡術後遷延痛筋膜による末梢性感作が中枢性感作の引き金になっていた症例 須賀康平
9 変形性頚椎症・理学療法 頚部痛患者に対する臨床実践 吉田亮太
10 複合性局所疼痛症候群・理学療法 複合性局所疼痛症候群に対する臨床実践 壬生 彰
11 脳卒中後疼痛・理学療法 脳卒中後疼痛患者に対する臨床評価・治療の実践 古賀優之
12 脊髄損傷・理学療法 神経障害性疼痛に対する臨床実践 佐藤剛介
13 腕神経叢損傷・作業療法 多面的疼痛評価に基づく外来作業療法の実践-痛み行動日記を活かした自己管理とQOL向上- 田中陽一
14 脊髄疾患(しびれ感)・物理療法 脊髄疾患によるしびれ感に対する臨床実践 西 祐樹
15 関節リウマチ・理学療法 複合疼痛モデルを呈した就労・育児期の女性リウマチ患者に対する臨床実践 島原範芳
16 まとめ 重藤隼人
全文表示する
閉じる
疼痛を有する患者のリハビリテーションに活かせる理論と臨床への応用が学べる
リハビリテーションの対象となるさまざまな疾患で問題になることが多い「疼痛」について,その概念から評価・治療の考え方,ケーススタディまでを集約!
「疼痛」を理解するための基本となる原因に着目した分類に基づいた病態メカニズム・モデルについて詳しく述べたうえで,患者の病態を理解し,原因を特定するための評価と解釈,疼痛に対して用いられる各治療法について,エビデンスに基づき体系的に解説。ケーススタディでは,変形性股関節症・大腿骨頸部骨折・腰痛・脳卒中後疼痛・脊髄損傷・関節リウマチなど多様な疾患をテーマとし,評価所見からの病態解釈の思考プロセスや治療手技を提示。
疼痛を有する患者のリハビリテーションに活かせる理論と臨床への応用が学べる1冊。