呼吸療法認定士　見極め225題

　3学会合同呼吸療法認定士は，1996年に第1回認定試験が開始され，2022年に第27回目の試験が実施されています。その間，人工呼吸器の普及・発展とともに，非侵襲的陽圧換気，オキシマスク™，ネーザルハイフローなど，呼吸療法機器も大きく発展を遂げています。また，気管支喘息やCOPDなどの各種病態や心肺蘇生などに対するガイドラインが作成され，数年おきに改訂され，その理解が必要となりました。薬剤についても，各種吸入薬や生物製剤などが次々と新規開発されています。呼吸療法の一環として，急性期から慢性期までの呼吸リハビリテーションや栄養療法の重要性がますます増しています。年々複雑になる呼吸療法を基礎的・総合的に理解するうえで，呼吸療法認定士の認定試験は重要な位置を占めてきました。受験対象も看護師・准看護師・臨床工学技士・理学療法士・作業療法士と多職種に及び，チーム医療のなかでも重要な立ち位置にいます。
　さらに，2019年に始まったコロナ禍では，COVID‒19が呼吸器関連の障害を引き起こすため，改めてその病態にあわせた呼吸療法の実施が不可欠となり，呼吸療法認定士はより一層，その必要性が高まったといえるでしょう。
　筆者と齋藤正樹氏は，2009年より呼吸療法認定士の試験対策にかかわってきましたが，この度メジカルビュー社より試験対策書籍の依頼を受け，ICU看護師長である林　賢二氏の参加を仰ぎ，3名で新しい試験対策集を作ることとなりました。本書で目指したコンセプトは，問題集＋呼吸療法テキストです。練習問題とその解答に留まらず，解答の解説にはその項目や周辺事項に関連した図表を付記し，問題を解きながら，テキストにおける重要項目を理解・習得できるように紙面を工夫しました。さらに，重点テーマではレクチャー形式での補足もあります。問題を解き，テキスト部分を熟読していただければ，呼吸療法認定士の試験対策は万全なものになると信じております。
　この本を手にとっていただき，その結果，皆様が合格されること，さらには臨床で活躍されることを祈念しております。

2023年5月
吉田省造