がん専門薬剤師の極意を学ぶ!
症状アセスメント実践ゼミ

定価 4,400円(税込) (本体4,000円+税)
- B6判 320ページ 2色,イラスト50点
- 2025年3月17日刊行
- ISBN978-4-7583-2229-4
電子版
序文
がん治療における薬物療法は,医学の進歩により飛躍的に発展し,がん治療を受ける多くの患者の生活の質を向上させることが可能になりました。その治療過程においては患者が直面する多様な症状や課題に対して,医療従事者による適切なアセスメントと介入が不可欠となります。この点において,がん専門薬剤師は患者に寄り添いながら副作用を抑え効果が最大限に発揮されるよう最適な薬物療法を提供するという非常に重要な役割を果たします。そのためには高度な専門知識と判断力が必要となります。
本書は,がん研究会有明病院薬剤部のスタッフや医師そして保険薬局の薬剤師が日々の臨床経験をもとに執筆し,がん患者に対する包括的な薬剤師の介入プロセスをまとめたものです。会話形式を通じて,実際のケーススタディをもとに具体的な思考プロセスを解説し,読者が実践的に応用できる知識を提供します。本書の最大の特徴は,症状アセスメントの基本から複雑なケースにおける薬剤選択や調整,さらには患者への情報提供や相談の進め方までの解説を網羅している点にあります。また,医療チームの一員としてどのようにコミュニケーションを図り,最適な治療計画を立てるかについても詳しく触れています。特に3 章では,薬薬連携・医療連携の実際として患者フォローアップやトレーシングレポートの記載方法などを解説し,緊急性を要するケースでの患者対応などについても紹介しています。またコラムでは,HBV再活性化リスクやステロイドスペアリングなどがん治療でははずすことのできない重要な項目について取り上げており,まさに読者の方々のかゆいところに手が届く内容となっています。
本書はがん治療に携わる薬剤師を対象にしていますが,ほかの医療従事者や薬学部の学生にとっても貴重な学びの機会となるでしょう。がん患者の皆様がより安心して治療に専念できるよう,日々の実践に役立ていただければ幸いです。本書がすべての読者の方々にとって有意義なものとなり,がん医療の質の向上に寄与することを心より願っています。
2025年2月
監修・編集を代表して
がん研究会有明病院 院長補佐/薬剤部長
山口正和
本書は,がん研究会有明病院薬剤部のスタッフや医師そして保険薬局の薬剤師が日々の臨床経験をもとに執筆し,がん患者に対する包括的な薬剤師の介入プロセスをまとめたものです。会話形式を通じて,実際のケーススタディをもとに具体的な思考プロセスを解説し,読者が実践的に応用できる知識を提供します。本書の最大の特徴は,症状アセスメントの基本から複雑なケースにおける薬剤選択や調整,さらには患者への情報提供や相談の進め方までの解説を網羅している点にあります。また,医療チームの一員としてどのようにコミュニケーションを図り,最適な治療計画を立てるかについても詳しく触れています。特に3 章では,薬薬連携・医療連携の実際として患者フォローアップやトレーシングレポートの記載方法などを解説し,緊急性を要するケースでの患者対応などについても紹介しています。またコラムでは,HBV再活性化リスクやステロイドスペアリングなどがん治療でははずすことのできない重要な項目について取り上げており,まさに読者の方々のかゆいところに手が届く内容となっています。
本書はがん治療に携わる薬剤師を対象にしていますが,ほかの医療従事者や薬学部の学生にとっても貴重な学びの機会となるでしょう。がん患者の皆様がより安心して治療に専念できるよう,日々の実践に役立ていただければ幸いです。本書がすべての読者の方々にとって有意義なものとなり,がん医療の質の向上に寄与することを心より願っています。
2025年2月
監修・編集を代表して
がん研究会有明病院 院長補佐/薬剤部長
山口正和
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目次
1 章 症状アセスメントに必要な基礎知識
1 患者からの情報収集・副作用 /疼痛評価方法のポイント 川上和宜
2 PSについて 長谷川聡子
3 客観的指標(CTCAE,NRSなど)の概念と使用意義 河野慎吾
4 血液検査を読み解くための基礎知識 越智美月
5 抗がん薬の副作用と免疫チェックポイント阻害薬のirAEについて 瀧口友美
2 章 症状アセスメントの実際
がんのエキスパートの思考と対応方法を学ぶ
1 悪心・嘔吐 山端悠介,青山 剛
2 下痢 森 祐佳,横川貴志
3 口腔粘膜炎 鈴木 亘
4 手足症候群 青山 剛
5 皮疹 柴田直樹
6 末梢神経障害 横川貴志
7 高血圧 副島 梓
8 心毒性 橋本幸輝
9 肝障害 蓑輪雄一
10 腎障害 舘合慶一,青山 剛
11 薬剤性間質性肺炎 野々宮悠真,横川貴志
12 血栓 式部さあ里,青山 剛
13 発熱性好中球減少症 吉岡秀哲
3章 薬薬連携・医薬連携の実際
がん専門資格を有する薬局薬剤師の思考と対応方法を学ぶ
1 薬剤服用期間中の患者フォローアップとトレーシングレポートの活用 辻 将成
2 緊急性を要し,トレーシングレポートに落とし込めないケース 村田勇人
3 保険調剤薬局における血液検査値の活用方法 原嶋 渉
column
1 HBV再活性化とスクリーニングの重要性 小林一男
2 CINVに対するステロイドスペアリングの位置づけ 中村匡志
3 ストーマ造設の意義と下痢時の評価方法 木村俊哉
4 保険薬局の薬剤師が目指すがん患者に対する役割の将来像 中村光佑
5 がん治療情報の集め方 伴 修平
6 腫瘍内科医が病院薬剤師・薬局薬剤師に期待すること 尾崎由記範
1 患者からの情報収集・副作用 /疼痛評価方法のポイント 川上和宜
2 PSについて 長谷川聡子
3 客観的指標(CTCAE,NRSなど)の概念と使用意義 河野慎吾
4 血液検査を読み解くための基礎知識 越智美月
5 抗がん薬の副作用と免疫チェックポイント阻害薬のirAEについて 瀧口友美
2 章 症状アセスメントの実際
がんのエキスパートの思考と対応方法を学ぶ
1 悪心・嘔吐 山端悠介,青山 剛
2 下痢 森 祐佳,横川貴志
3 口腔粘膜炎 鈴木 亘
4 手足症候群 青山 剛
5 皮疹 柴田直樹
6 末梢神経障害 横川貴志
7 高血圧 副島 梓
8 心毒性 橋本幸輝
9 肝障害 蓑輪雄一
10 腎障害 舘合慶一,青山 剛
11 薬剤性間質性肺炎 野々宮悠真,横川貴志
12 血栓 式部さあ里,青山 剛
13 発熱性好中球減少症 吉岡秀哲
3章 薬薬連携・医薬連携の実際
がん専門資格を有する薬局薬剤師の思考と対応方法を学ぶ
1 薬剤服用期間中の患者フォローアップとトレーシングレポートの活用 辻 将成
2 緊急性を要し,トレーシングレポートに落とし込めないケース 村田勇人
3 保険調剤薬局における血液検査値の活用方法 原嶋 渉
column
1 HBV再活性化とスクリーニングの重要性 小林一男
2 CINVに対するステロイドスペアリングの位置づけ 中村匡志
3 ストーマ造設の意義と下痢時の評価方法 木村俊哉
4 保険薬局の薬剤師が目指すがん患者に対する役割の将来像 中村光佑
5 がん治療情報の集め方 伴 修平
6 腫瘍内科医が病院薬剤師・薬局薬剤師に期待すること 尾崎由記範
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ケーススタディをもとに具体的な思考プロセスや問診・服薬指導のポイントを会話形式で解説。がん薬物療法における必携書!
がん患者に対する薬物療法においてはさまざまな症状が生じるため,原因を見極めて対処していくことが重要となる。本書はがん専門薬剤師が中心となり,症状別のアセスメントに必要な基礎知識だけでなく、ケーススタディをもとに具体的な思考プロセスや問診・服薬指導のポイントを会話形式で解説し,薬剤師の包括的な介入プロセスをまとめている。薬薬連携・医薬連携の実践例として患者フォローアップやトレーシングレポート作成のコツなどを取り上げ,がん治療に携わるうえで知っておきたいテーマを補足するコラムも充実している。薬剤師が臨床現場で専門性を発揮するために役立つ必携書!