Crosslink 薬学テキスト

医薬品情報学

医薬品情報学

■編集 真野 泰成

定価 4,950円(税込) (本体4,500円+税)
  • B5判  356ページ  オールカラー,イラスト80点,写真70点
  • 2024年12月30日刊行予定
  • ISBN978-4-7583-2224-9

近刊のため予約販売となります。


講義,実習,臨床に! 広く長く活用できる,オールカラーの新しい薬学テキスト!

薬剤師を目指す学生のために講義,実習,臨床をリンクさせて学べる新しいスタイルの教科書シリーズが登場!
添付文書やインタビューフォーム,Webサイトなど,医薬品の情報源の実例を挙げながら情報の特徴や収集・検索方法,解析,評価について解説。また、有効性・安全性・相互作用だけでなく,腎機能障害患者,小児,妊娠・授乳中など多様な目的に応じた情報源の選択,患者情報の収集・評価・管理に関する解説も充実しており,医薬品情報がどのように臨床現場に活かせるのかわかりやすい内容となっている。


序文

編集の序
 医療が高度化,複雑化,多様化していくなか,医療DXの推進により,添付文書,処方箋,お薬手帳の電子化,ビッグデータや人口知能(AI)の活用など,医薬品情報を取り巻く環境は飛躍的に進化しています。このような背景において,膨大で多様な情報から有用で価値ある情報を見出し,医療における意思決定をするために「医薬品情報」はますます重要性を増しています。
 医薬品の開発から臨床使用までのライフサイクルにおいて発生する情報は多種多様であり,これらの医薬品情報は製薬現場,医療現場,行政分野などさまざまな立場から収集・評価・伝達されることで,医薬品の適正使用につながっていきます。また,患者個々の薬物治療の最適化,さらには医療機関や地域における適正使用の推進や安全対策の立案を行ううえで,医薬品情報は不可欠です。情報源や情報媒体を把握し,網羅的かつ最新の情報を収集し,正しく評価し,目的に応じて加工・提供する必要があります。このように「医薬品情報学」は,薬の専門家として情報を適切に扱うための知識・技能を学ぶ重要な分野です。医薬品情報をいかに活用するかは医薬品を扱う者の使命といえます。
 本書は,これから薬剤師を目指す薬学生のために,医薬品情報に関する知識と技能を修得できることを目的に企画されました。本書では,医薬品情報の役割と意義,収集,解析と評価,応用と創生,患者情報という医薬品情報の基礎から応用まで広範囲にわたる内容を1冊にまとめています。特に,添付文書や医薬品インタビューフォーム,Webサイトなどの実例を挙げつつ,医薬品情報の特徴と収集方法を解説しています。加えて,情報を解析・評価するための医療統計や臨床研究の解説のほか,腎機能障害,小児,妊娠・授乳中の患者など多様な目的に応じた情報の選択と収集についての解説も充実しています。これらの内容は「令和4年度改訂版薬学教育モデル・コア・カリキュラム」の「D-3医療における意思決定に必要な医薬品情報」に対応しています。
 本書の刊行にあたり,多くの先生方にご尽力いただきました。各々の視点からの知見を集約することで,講義だけでなく実習・臨床にも役立つ内容となりました。ご協力をいただいた執筆者の方々にはこの場を借りて深く感謝申し上げます。
 読者の皆さんが本書から学んだ知識や考え方を臨床現場で活かし,多くの患者ならびに社会に貢献できる薬剤師として活躍されることを心から願っております。

2024年11月
真野泰成
全文表示する
閉じる

目次

第1章 医療における医薬品情報の役割と意義
 1 医薬品情報とは
  1医薬品(くすり)と情報  真野泰成
  2医薬品の適正使用  真野泰成
  3デジタル社会における医薬品情報  真野泰成
  4医薬品の必須情報  大津史子
  5医薬品情報の性質・特性  大津史子
  6医薬品情報に関連する職種  大津史子
  7医薬品情報を学ぶということ  大津史子
  ◯まとめ

第2章 医薬品のライフサイクルと医薬品情報
 1 医薬品の開発から臨床使用までの医薬品のライフサイクルについて  小川竜一
  1医薬品のライフサイクルの概要
  ◯まとめ
 2 医薬品の研究開発過程と得られる医薬品情報
  1開発過程で実施される試験の概要  小川竜一
  2新薬の承認申請資料  後藤伸之
  3後発医薬品等の開発過程で実施される試験の概要と承認申請資料  後藤伸之
  4承認申請,臨床研究などを取り巻く現状  鹿野真弓
  5レギュラトリーサイエンス  鹿野真弓
  ◯まとめ
 3 医薬品の市販後に行われる調査・試験と得られる医薬品情報
  1市販後調査の意義・目的  小川竜一
  2市販後に行われる医薬品安全性監視の概要  小川竜一
  3再審査制度  小川竜一
  4再評価制度  小川竜一
  5副作用・感染症報告制度  小川竜一
  6製造販売後の体制と基準  田中雅也,定月保就
  7安全性情報の収集  中村美紀,川口奈美,松本直樹,目良朱美,若林真希
  8製造販売後の調査および試験からの情報収集  田中雅也,定月保就
  9電子添文改訂等の安全性情報の提供  金子亜紀子,鈴木栄一
  10医薬品リスク管理計画(RMP)  竹本信也
  ◯まとめ

第3章 医薬品の情報源と収集
 1 医薬品情報源の加工度による分類  岡田裕子
  1加工度による医薬品情報源の分類
  2一次資料
  3二次資料
  4三次資料
  5医薬品情報の収集(検索)手順と使い分け
  ◯まとめ
 2 情報の収集と検索(文献検索)  齋藤充生
  1データベースの種類
  2PubMedについて
  3その他のデータベース
  ◯まとめ
 3 医薬品添付文書
  3-1 医療用医薬品  野村香織
  1添付文書の位置づけ
  2添付文書の記載項目
  ◯まとめ
  3-2 OTC医薬品  飯嶋久志
  1要指導・一般用医薬品添付文書
  2添付文書の改訂
  3専門家向けの情報
  ◯まとめ
 4 医薬品インタビューフォーム  冨田隆志
  1概要と記載項目
  2IFの活用と医療用医薬品添付文書との相違
  ◯まとめ
 5 ガイドライン  木下 淳
  1診療ガイドラインとは
  2診療ガイドラインの検索方法
  3診療ガイドラインの作成方法と構成
  4入手可能な情報と活用法
  ◯まとめ
 6 厚生労働省,PMDAなど行政機関が発行する資料  中村敏明
  1厚生労働省
  2PMDA
  ◯まとめ
 7 製薬企業などが発行する資料  ⻆山香織
  1製薬企業などが発行する資料の概要
  ◯まとめ
 8 代表的なWebサイトを利用した情報収集
  1医薬品情報関連サイト  荒 義昭
  2医療情報関連サイト  若林 進
  ◯まとめ
 9 調査目的に合った情報源の選択と収集
  9-1 効能・効果,有効性
  1添付文書・医薬品インタビューフォームからの情報の選択と収集  富野浩充
  2保険適用外の使用法に関する情報の選択と収集  富野浩充
  3医薬品情報検索ツール・医薬品集からの情報の選択と収集  赤木祐貴
  ◯まとめ
  9-2 安全性(副作用)  佐藤弘康
  1安全性(副作用)に関する情報収集
  ◯まとめ
  9-3 薬物相互作用  大野能之
  1薬物相互作用の情報と活用の仕方
  ◯まとめ
  9-4 薬剤鑑別  佐藤弘康
  1薬剤鑑別の重要性
  ◯まとめ
  9-5 薬物動態  永田将司
  1薬物動態(PKパラメータ)
  ◯まとめ
  9-6 腎機能障害・透析患者  近藤悠希
  1腎機能障害・透析患者の薬物療法に関する医薬品情報
  ◯まとめ
  9-7 ⼩児の薬物療法  富野浩充
  1小児の薬物療法の考え方
  2投与量の調べ方
  3小児用量が不明な場合の考え方
  4小児特有の検査値
  5内服できない場合
  ◯まとめ
  9-8 妊娠中の薬物療法  酒井隆全,大津史子
  1妊娠中の薬物療法に関する医薬品情報
  ◯まとめ
  9-9 授乳中の薬物療法  酒井隆全,大津史子
  1授乳中の薬物療法に関する医薬品情報
  ◯まとめ
  9-10 中毒情報  酒井隆全,大津史子
  1中毒に関する医薬品情報
  ◯まとめ
  9-11 治験・臨床試験  樽野弘之
  1治験・臨床試験の情報
  ◯まとめ

第4章 医薬品情報の解析と評価
 1 医薬品情報の信頼性と妥当性  村井ユリ子
  1医薬品情報の質の評価
  2種々の情報源の評価
  3学術雑誌の評価
  4一次資料(個々の論文)の評価
  5二次資料の評価
  6三次資料の評価
  ◯まとめ
 2 医療統計の考え方と実践  大場延浩
  1医療における統計学の役割
  2検定と推定
  3パラメトリック検定とノンパラメトリック検定
  4回帰分析
  5生存時間解析
  ◯まとめ
 3 臨床研究デザインと解析
  1臨床研究の代表的な手法と分類  今井俊吾
  2臨床研究におけるバイアスと交絡  今井俊吾
  3観察研究の主な研究デザイン  今井俊吾
  4観察研究の結果のパラメータ  今井俊吾
  5コホート研究とケースコントロール研究の解析例  今井俊吾
  6介入研究について  川口 崇
  7臨床試験の目的と試験デザイン  川口 崇
  8臨床試験の効果指標  川口 崇
  ◯まとめ
 4 EBMの実践と医薬品情報  高柳理早
  1EBMの概念
  2EBM 実践のプロセス
  3メタアナリシス
  ◯まとめ
 5 医薬品の有効性の評価
  1医薬品の有効性評価に活用できる情報  高柳理早
  2評価指標  高柳理早
  3一次資料(原著論文)の評価と活用  高柳理早
  4審査報告書の活用  高柳理早
  5製薬企業からの情報の評価と活用  新井さやか
  6医療施設における有効性の評価と活用  新井さやか
  ◯まとめ
 6 医薬品の安全性の評価
  1医薬品の安全性評価に活用できる情報  渡邉享平
  2有害事象と副作用  渡邉享平
  3有害事象発現時の評価  渡邉享平
  4有害事象の因果関係評価渡  邉享平
  5安全性シグナルの検出  酒井隆全
  6医療施設における医薬品の安全性評価  鈴木貴明
  ◯まとめ
 7 その他の評価
  1薬剤経済学(医薬品の経済性の評価)  池田俊也
  2費用効用分析の批判的吟味のポイント  池田俊也
  3健康食品の有効性・安全性評価  丸山桂司
  4医薬品適正使用のための評価  河原昌美
  5医療にかかわる情報の評価  前田幹広
  ◯まとめ

第5章 医薬品情報の応用と創生
 1 医薬品情報の加工・提供・発信
  1薬剤師が提供する医薬品情報の分類  谷藤亜希子
  2能動的医薬品情報提供谷  藤亜希子
  3受動的医薬品情報提供  新井さやか
  4OTC 医薬品に関する情報  下平秀夫
  5薬局における情報提供  下平秀夫
  ◯まとめ
 2 情報を取り扱ううえでの注意点  齋藤充生
  1知的所有権について
  2患者情報利用について
  3守秘義務について
  4医薬品の広告
  ◯まとめ
 3 先発医薬品と後発医薬品・バイオ後続品の比較・評価  青森 達
  1後発医薬品
  2後発医薬品を採用する際の検討事項
  3バイオ後続品(バイオシミラー)の比較・評価
  ◯まとめ
 4 フォーミュラリの運用  小池博文
  1フォーミュラリとは
  2フォーミュラリの定義と作成
  3フォーミュラリの運用と影響
  ◯まとめ
 5 情報の創生と課題解決を目指した研究計画の立案  内倉 健
  1臨床研究とは
  2臨床研究の進め方
  3研究計画の作成
  4臨床研究に関係する用語
  5臨床研究に関する法令や指針,ガイドライン
  ◯まとめ
 6 医療ビッグデータの例と特徴
  1医療分野の電子化  小出大介
  2医療ビッグデータについて  小出大介
  3医療ビッグデータの活用事例  酒井隆全
  ◯まとめ

第6章 患者情報
 1 情報と情報源
  1患者情報と情報源・媒体  柴田ゆうか
  2薬物治療の個別最適化の考え方  折山豊仁
  3薬物治療を個別最適化するために把握すべき患者情報  折山豊仁
  4医薬品の効果や副作用の指標となる患者情報  折山豊仁
  ◯まとめ
 2 患者情報の収集・評価・管理  平野剛
  1患者情報の収集・評価
  2問題志向型システム
  3POSの構成要素
  4SOAP形式
  5守秘義務
  6個人情報保護
  7マイナンバーカードの活用
  8オンライン資格確認
  9電子処方箋
  ◯まとめ
全文表示する
閉じる

会員登録されている方

メールアドレスとパスワードを入力してログインしてください。

注)共有パソコンの方はチェックを外してください。

会員登録されていない方

会員登録されると次回からお客様情報をご入力いただく必要がありません。
また,購入履歴の確認ができる便利な機能がご利用いただけます。

個人情報の取り扱いについてはこちら