脳性麻痺と周産期合併症/
イベントとの関連
最新の知見
定価 8,250円(税込) (本体7,500円+税)
- B5判 264ページ 2色,イラスト30点,写真30点
- 2021年7月29日刊行
- ISBN978-4-7583-2130-3
電子版
序文
推薦の言葉
脳性麻痺発生予防に尽力している諸兄に敬意を表します
この度,上梓された『脳性麻痺と周産期合併症・イベントの関連 最新の知見』は,松田義雄,佐藤昌司,藤森敬也の三博士らの執筆兼編集により出来上がったものである。3名の編集者は,いずれも脳性麻痺児に対する補償と原因分析を行う産科医療補償制度の原因分析委員会・再発防止委員会の委員長や委員を務めており,脳性麻痺児の臨床と研究に関してわが国で最も優れた医学者であり臨床医である。産科医療補償制度発足の年である2009年1月~ 2019年9月までの約10年間に収集された2,457例を対象として,一例一例の脳性麻痺発症の経緯と胎児心拍数陣痛図所見などから原因分析を担当してきた。このように,日本全国から分娩に関連して低酸素状況が持続した重症脳性麻痺児症例をこれほど多く集めた報告は国際的にもなく,その分析結果から,日本の産科医が最も心配していた医療行為に関係した脳性麻痺の発生頻度は少なく,むしろ原因不明の事例が半数を占めていることを明らかとした。本書では,問題となった産科合併症と脳性麻痺との関連について,また新生児管理を含め,その専門家の論説に詳述されており,脳性麻痺に関する最新の知見が網羅されている。さらに脳性麻痺治療としての臍帯血幹細胞投与の可能性や,新生児低体温療法の有用性についても,実際に多くの症例を経験した著者が言及している。
さかのぼって1945年の終戦以降のわが国の出産に関連した問題をみると,戦後の周産期領域における最大の課題は,脳性麻痺児の出産と妊産婦死亡をいかに防ぐかであったが,この解決のための体系だった取り組みには及ばなかった。
戦後の日本においては,脳性麻痺児を含む重複障害児は児童福祉法のどの概念にも含まれず,親の介護が困難であっても収容できる施設がなかった時代が続いていた。1960年(昭和35年)ごろの鹿児島県でも,重症心身障害児施設はなかったことから,鹿児島県伊佐市(旧大口市)で産婦人科を開業していた遠矢善栄博士(当時・日本母性保護医協会 鹿児島県支部長)は,近所で重症脳性麻痺児の3姉妹を母親一人で介護している姿をみて,この子らに救いの手を差し伸べるために,健康な子を出産した母親と,出産に立ち合った医師や看護師たちが「愛の献金」をすることを発案・実践したことがきっかけとなり,1963年(昭和38年)今日の日本産婦人科医会「おぎゃー献金基金」が発足した。そして現在でも「おぎゃー献金基金」では,脳性麻痺児の収容施設への援助金とその原因究明を目指した研究への助成金の配分を行っている。戦後の脳性麻痺児とその親に対する国の救済制度がない状況を憂いた慶応大学小児科の小林提樹博士は,障害児やその親を救うために奔走し,1961年(昭和36年)に日本で初めて認可された重症児施設「島田療育園(現島田療育センター)」を設立した。しかし,その後の時代も,法律を整備し各重症児施設の経営基盤の安定を図ることが大きな社会的問題となっていた。
2003年(平成15年)ごろでは,出産した児が脳性麻痺になると,その親は,担当医師の分娩時の対応が悪かったためであるといって,次々に担当医師に対する医療訴訟事件が多発した。産科医師はやめ,分娩施設は閉鎖され,産科専攻医も減り産科医療崩壊の危機を迎えた。
この難局を救ったのは,2009年(平成21年)設立された産科医療補償制度であった。この発足の経緯と制度の詳細については,本書の後 信教授の総説を参考にしてほしい。
このように,わが国の周産期領域の最大の問題であった脳性麻痺の発症予防は,その原因分析と再発予防対策が産科医療補償制度で可能となったことから,その効果はきわめて大きく2020年(令和2年)ごろには,医師の医療行為によると思われる脳性麻痺の頻度は明らかに減少してきた。今後は,すでに述べたように原因不明の脳性麻痺児が約半数もあり,脳性麻痺が分娩の始まる前にすでに発症している可能性も指摘されていることから,その真の原因検索と,新たな早期診断法の開発は最も重要な課題となってきたと思われる。
本書は,分娩に関係する低酸素状況が続くことによる脳性麻痺に関して,実際に妊娠分娩産褥を担当する産科医師と小児科医師が留意すべき問題点を網羅してあり,本書以外に国際的にも類書のない優秀な学術書となっている。いずれ翻訳され国際的に最も信頼できる脳性麻痺の書物として,再び外国語版が発刊されることを期待したい。すべての産科医師と新生児担当の小児科医師は本書を手元に置いて,脳性麻痺発症予防に専心することを願うものである。
公益社団法人 日本産婦人科医会
会長 木下勝之
-------------------------------
推薦の言葉
~脳性麻痺の総合的理解に向けて~
脳性麻痺はあらゆる国で一定の頻度で児に発生しています。1960年代以降の産科における胎児心拍数陣痛図や超音波による評価法の発展により,脳性麻痺は劇的に減少すると期待されましたが,残念ながら疫学的には顕著な減少につながりませんでした。脳性麻痺に罹患した児の親たちはその子の養育に多大な労力が必要となり,児の将来への不安とともに,「赤ちゃんは元気に産まれて当然」と皆が期待している現代社会のなかで想定外の体験を強いられることになります。その不条理に対しての思いはあって当然で,発生に関する責任の追究は分娩を担当した医療者に向かい,司法においても胎児心拍数陣痛図異常と分娩時期の関係が厳しく問われることが続きました。その結果,帝王切開などによる分娩介入が頻発しましたが,やはり脳性麻痺児発生の劇的な減少にはつながることはありませんでした。このような悪循環を改善することも制度発足の目的の1つとして産科医療補償制度が2009年1月より開始され,一定の条件を有する脳性麻痺事例が妊娠・分娩に関する診療録とともに集積されました。原因分析委員会の専門家により詳細な検討がなされ,分析を終了した案件は2020年末ですでに2,700件を超えています。これらの分析により,脳性麻痺発症に関するより詳細な背景やリスク因子が浮かび上がりつつあります。
本書『脳性麻痺と周産期合併症・イベントの関連 最新の知見』では,脳性麻痺に関する定義や疫学などの基礎的知識から,その診断・病態,さまざまな周産期合併症の病態と脳性麻痺の関連やリスク因子などが1冊にまとめられています。これまで,個々の病態に関する詳細な解説書は数多く出版され,そのなかで脳性麻痺との関係も記載されていましたが,脳性麻痺を話題の中心に据えて関連するさまざまな事象を一冊にまとめた書物はほとんどありませんでした。本書で,脳性麻痺を軸に置いて産科を一元的に理解することは,さまざまな産科合併症の治療に役立つだけではなく,児の予後改善のためのさまざまな診療上の工夫につながると思います。本書の編集者,松田義雄先生,佐藤昌司先生,藤森敬也先生は産科医療補償制度の委員としても長年ご尽力され,脳性麻痺にかかわるさまざまな事象を熟知しておられます。この先生方がまとめられた執筆者各位の高い専門性に基づく各章を学ぶことで,わが国の母と子にとってより安全で質の高い産科医療が展開されることを期待しております。
大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室教授
木村 正
-------------------------------
序文
脳性麻痺は,「受胎から生後4週以内の新生児までの間に生じた,脳の非進行性病変に基づく永続的な,しかし変化しうる運動および姿勢の異常である。その症状は満2歳までに発現し,進行性疾患や一過性運動障害または将来正常化するであろうと思われる運動発達遅延は除外する」と定義されている。周産期医療の発達にもかかわらず,出生1,000に対して「約2」という発生頻度は変わっておらず,この改善は周産期死亡率,妊産婦死亡率のそれらと並び,周産期医療の重要な指標(ベンチマーク)と考えられている。
わが国では,平成21(2009)年から脳性麻痺児に対する経済補償と同時に原因究明と再発防止に関する提言を目的とした「産科医療補償制度」が開始され,すでに令和2(2020)年末までに2,792件の原因分析報告書が作成されてきた。そこには,さまざまな原因が「脳性麻痺」発症につながっていることが明らかにされている。しかしながら,脳性麻痺の大部分は「分娩中の仮死」が主な原因であるという誤った考えが長い間占めていたためか,「原因は多様である」という事実はまだ世間に広く知られるには至っていない。
このように,脳性麻痺の実態解明と予防・治療は周産期分野において非常に注目度の高いトピックでありながら,「脳性麻痺と周産期合併症/イベントとの関連」を記載した参考書はこれまでなかったため,今回,一般臨床家まで含めた多くの医師に有用で,臨床現場において参考となる書籍の刊行を企画した。
本書の内容を概説すると,脳性麻痺の歴史と定義・疫学,産科医療補償制度の概要紹介,臨床診断・画像診断に始まって,妊娠・分娩の時系列に従い,現時点で「脳性麻痺」に関連すると考えられているすべての疾患/イベントを紹介した後,現在試みられている治療法まで網羅した。それぞれの項目において,精力的に取り組んでおられる専門家の方々に執筆をご依頼したところ,快く引き受けていただいた。この場を借りて,厚くお礼を申し上げる次第である。 編集者の企図以上に素晴らしい内容が満載されているので,わが国の産科管理の向上にきっと役立つ参考書となるに違いない。
本書が,周産期(産科,新生児科)専門医のみならず,一般の産婦人科医,小児科医,助産師をはじめ妊娠分娩に携わるすべての方々にご愛読いただければ,編集者一同このうえない喜びである。
令和3(2021)年5月吉日
編集者を代表して
東京医療保健大学臨床教授
松田義雄
脳性麻痺発生予防に尽力している諸兄に敬意を表します
この度,上梓された『脳性麻痺と周産期合併症・イベントの関連 最新の知見』は,松田義雄,佐藤昌司,藤森敬也の三博士らの執筆兼編集により出来上がったものである。3名の編集者は,いずれも脳性麻痺児に対する補償と原因分析を行う産科医療補償制度の原因分析委員会・再発防止委員会の委員長や委員を務めており,脳性麻痺児の臨床と研究に関してわが国で最も優れた医学者であり臨床医である。産科医療補償制度発足の年である2009年1月~ 2019年9月までの約10年間に収集された2,457例を対象として,一例一例の脳性麻痺発症の経緯と胎児心拍数陣痛図所見などから原因分析を担当してきた。このように,日本全国から分娩に関連して低酸素状況が持続した重症脳性麻痺児症例をこれほど多く集めた報告は国際的にもなく,その分析結果から,日本の産科医が最も心配していた医療行為に関係した脳性麻痺の発生頻度は少なく,むしろ原因不明の事例が半数を占めていることを明らかとした。本書では,問題となった産科合併症と脳性麻痺との関連について,また新生児管理を含め,その専門家の論説に詳述されており,脳性麻痺に関する最新の知見が網羅されている。さらに脳性麻痺治療としての臍帯血幹細胞投与の可能性や,新生児低体温療法の有用性についても,実際に多くの症例を経験した著者が言及している。
さかのぼって1945年の終戦以降のわが国の出産に関連した問題をみると,戦後の周産期領域における最大の課題は,脳性麻痺児の出産と妊産婦死亡をいかに防ぐかであったが,この解決のための体系だった取り組みには及ばなかった。
戦後の日本においては,脳性麻痺児を含む重複障害児は児童福祉法のどの概念にも含まれず,親の介護が困難であっても収容できる施設がなかった時代が続いていた。1960年(昭和35年)ごろの鹿児島県でも,重症心身障害児施設はなかったことから,鹿児島県伊佐市(旧大口市)で産婦人科を開業していた遠矢善栄博士(当時・日本母性保護医協会 鹿児島県支部長)は,近所で重症脳性麻痺児の3姉妹を母親一人で介護している姿をみて,この子らに救いの手を差し伸べるために,健康な子を出産した母親と,出産に立ち合った医師や看護師たちが「愛の献金」をすることを発案・実践したことがきっかけとなり,1963年(昭和38年)今日の日本産婦人科医会「おぎゃー献金基金」が発足した。そして現在でも「おぎゃー献金基金」では,脳性麻痺児の収容施設への援助金とその原因究明を目指した研究への助成金の配分を行っている。戦後の脳性麻痺児とその親に対する国の救済制度がない状況を憂いた慶応大学小児科の小林提樹博士は,障害児やその親を救うために奔走し,1961年(昭和36年)に日本で初めて認可された重症児施設「島田療育園(現島田療育センター)」を設立した。しかし,その後の時代も,法律を整備し各重症児施設の経営基盤の安定を図ることが大きな社会的問題となっていた。
2003年(平成15年)ごろでは,出産した児が脳性麻痺になると,その親は,担当医師の分娩時の対応が悪かったためであるといって,次々に担当医師に対する医療訴訟事件が多発した。産科医師はやめ,分娩施設は閉鎖され,産科専攻医も減り産科医療崩壊の危機を迎えた。
この難局を救ったのは,2009年(平成21年)設立された産科医療補償制度であった。この発足の経緯と制度の詳細については,本書の後 信教授の総説を参考にしてほしい。
このように,わが国の周産期領域の最大の問題であった脳性麻痺の発症予防は,その原因分析と再発予防対策が産科医療補償制度で可能となったことから,その効果はきわめて大きく2020年(令和2年)ごろには,医師の医療行為によると思われる脳性麻痺の頻度は明らかに減少してきた。今後は,すでに述べたように原因不明の脳性麻痺児が約半数もあり,脳性麻痺が分娩の始まる前にすでに発症している可能性も指摘されていることから,その真の原因検索と,新たな早期診断法の開発は最も重要な課題となってきたと思われる。
本書は,分娩に関係する低酸素状況が続くことによる脳性麻痺に関して,実際に妊娠分娩産褥を担当する産科医師と小児科医師が留意すべき問題点を網羅してあり,本書以外に国際的にも類書のない優秀な学術書となっている。いずれ翻訳され国際的に最も信頼できる脳性麻痺の書物として,再び外国語版が発刊されることを期待したい。すべての産科医師と新生児担当の小児科医師は本書を手元に置いて,脳性麻痺発症予防に専心することを願うものである。
公益社団法人 日本産婦人科医会
会長 木下勝之
-------------------------------
推薦の言葉
~脳性麻痺の総合的理解に向けて~
脳性麻痺はあらゆる国で一定の頻度で児に発生しています。1960年代以降の産科における胎児心拍数陣痛図や超音波による評価法の発展により,脳性麻痺は劇的に減少すると期待されましたが,残念ながら疫学的には顕著な減少につながりませんでした。脳性麻痺に罹患した児の親たちはその子の養育に多大な労力が必要となり,児の将来への不安とともに,「赤ちゃんは元気に産まれて当然」と皆が期待している現代社会のなかで想定外の体験を強いられることになります。その不条理に対しての思いはあって当然で,発生に関する責任の追究は分娩を担当した医療者に向かい,司法においても胎児心拍数陣痛図異常と分娩時期の関係が厳しく問われることが続きました。その結果,帝王切開などによる分娩介入が頻発しましたが,やはり脳性麻痺児発生の劇的な減少にはつながることはありませんでした。このような悪循環を改善することも制度発足の目的の1つとして産科医療補償制度が2009年1月より開始され,一定の条件を有する脳性麻痺事例が妊娠・分娩に関する診療録とともに集積されました。原因分析委員会の専門家により詳細な検討がなされ,分析を終了した案件は2020年末ですでに2,700件を超えています。これらの分析により,脳性麻痺発症に関するより詳細な背景やリスク因子が浮かび上がりつつあります。
本書『脳性麻痺と周産期合併症・イベントの関連 最新の知見』では,脳性麻痺に関する定義や疫学などの基礎的知識から,その診断・病態,さまざまな周産期合併症の病態と脳性麻痺の関連やリスク因子などが1冊にまとめられています。これまで,個々の病態に関する詳細な解説書は数多く出版され,そのなかで脳性麻痺との関係も記載されていましたが,脳性麻痺を話題の中心に据えて関連するさまざまな事象を一冊にまとめた書物はほとんどありませんでした。本書で,脳性麻痺を軸に置いて産科を一元的に理解することは,さまざまな産科合併症の治療に役立つだけではなく,児の予後改善のためのさまざまな診療上の工夫につながると思います。本書の編集者,松田義雄先生,佐藤昌司先生,藤森敬也先生は産科医療補償制度の委員としても長年ご尽力され,脳性麻痺にかかわるさまざまな事象を熟知しておられます。この先生方がまとめられた執筆者各位の高い専門性に基づく各章を学ぶことで,わが国の母と子にとってより安全で質の高い産科医療が展開されることを期待しております。
大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室教授
木村 正
-------------------------------
序文
脳性麻痺は,「受胎から生後4週以内の新生児までの間に生じた,脳の非進行性病変に基づく永続的な,しかし変化しうる運動および姿勢の異常である。その症状は満2歳までに発現し,進行性疾患や一過性運動障害または将来正常化するであろうと思われる運動発達遅延は除外する」と定義されている。周産期医療の発達にもかかわらず,出生1,000に対して「約2」という発生頻度は変わっておらず,この改善は周産期死亡率,妊産婦死亡率のそれらと並び,周産期医療の重要な指標(ベンチマーク)と考えられている。
わが国では,平成21(2009)年から脳性麻痺児に対する経済補償と同時に原因究明と再発防止に関する提言を目的とした「産科医療補償制度」が開始され,すでに令和2(2020)年末までに2,792件の原因分析報告書が作成されてきた。そこには,さまざまな原因が「脳性麻痺」発症につながっていることが明らかにされている。しかしながら,脳性麻痺の大部分は「分娩中の仮死」が主な原因であるという誤った考えが長い間占めていたためか,「原因は多様である」という事実はまだ世間に広く知られるには至っていない。
このように,脳性麻痺の実態解明と予防・治療は周産期分野において非常に注目度の高いトピックでありながら,「脳性麻痺と周産期合併症/イベントとの関連」を記載した参考書はこれまでなかったため,今回,一般臨床家まで含めた多くの医師に有用で,臨床現場において参考となる書籍の刊行を企画した。
本書の内容を概説すると,脳性麻痺の歴史と定義・疫学,産科医療補償制度の概要紹介,臨床診断・画像診断に始まって,妊娠・分娩の時系列に従い,現時点で「脳性麻痺」に関連すると考えられているすべての疾患/イベントを紹介した後,現在試みられている治療法まで網羅した。それぞれの項目において,精力的に取り組んでおられる専門家の方々に執筆をご依頼したところ,快く引き受けていただいた。この場を借りて,厚くお礼を申し上げる次第である。 編集者の企図以上に素晴らしい内容が満載されているので,わが国の産科管理の向上にきっと役立つ参考書となるに違いない。
本書が,周産期(産科,新生児科)専門医のみならず,一般の産婦人科医,小児科医,助産師をはじめ妊娠分娩に携わるすべての方々にご愛読いただければ,編集者一同このうえない喜びである。
令和3(2021)年5月吉日
編集者を代表して
東京医療保健大学臨床教授
松田義雄
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目次
Ⅰ 総論
歴史と定義
疫学概論
産科医療補償制度の現状
脳性麻痺の臨床診断
脳性麻痺の原因となりうる周産期脳病変の画像所見
Ⅱ 各論 脳性麻痺と関連する周産期合併症/ イベント
■妊娠中
染色体異常
中枢神経系を中心とした形態異常
サイトメガロウイルス感染症,トキソプラズマ症
ヘルペス感染症
多胎妊娠
妊娠高血圧症候群
切迫早産/前期破水
胎児発育不全/SFD
子宮内発症
胎動減少
■妊娠中/分娩時
常位胎盤早期剥離
子宮内感染/絨毛膜羊膜炎
胎児母体間輸血症候群
■分娩時
臍帯因子(臍帯巻絡・臍帯脱出を含む)
分娩時低酸素
子宮収縮薬
補助経腟分娩(クリステレル胎児圧出法を含む)
遷延分娩
母体の呼吸循環不全
■分娩時/新生児期
GBS 感染症
新生児仮死
■新生児期
未熟性
脳室内出血,脳室周囲白質軟化症
新生児脳梗塞
新生児低血糖
ビリルビン脳症
乳幼児突発性危急事態(ALTE)
Ⅲ 各論 脳性麻痺の予防
新生児低体温療法
マグネシウムの周産期脳保護作用に関する最新の知見
臍帯血幹細胞移植のメカニズムと現状
歴史と定義
疫学概論
産科医療補償制度の現状
脳性麻痺の臨床診断
脳性麻痺の原因となりうる周産期脳病変の画像所見
Ⅱ 各論 脳性麻痺と関連する周産期合併症/ イベント
■妊娠中
染色体異常
中枢神経系を中心とした形態異常
サイトメガロウイルス感染症,トキソプラズマ症
ヘルペス感染症
多胎妊娠
妊娠高血圧症候群
切迫早産/前期破水
胎児発育不全/SFD
子宮内発症
胎動減少
■妊娠中/分娩時
常位胎盤早期剥離
子宮内感染/絨毛膜羊膜炎
胎児母体間輸血症候群
■分娩時
臍帯因子(臍帯巻絡・臍帯脱出を含む)
分娩時低酸素
子宮収縮薬
補助経腟分娩(クリステレル胎児圧出法を含む)
遷延分娩
母体の呼吸循環不全
■分娩時/新生児期
GBS 感染症
新生児仮死
■新生児期
未熟性
脳室内出血,脳室周囲白質軟化症
新生児脳梗塞
新生児低血糖
ビリルビン脳症
乳幼児突発性危急事態(ALTE)
Ⅲ 各論 脳性麻痺の予防
新生児低体温療法
マグネシウムの周産期脳保護作用に関する最新の知見
臍帯血幹細胞移植のメカニズムと現状
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国内外の最新文献とデータに基づく“脳性麻痺”を扱った待望の成書がついに登場!
周産期医療の重要なランドマークであり,多様な原因があることが解明されつつある脳性麻痺を取り扱った書籍。
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