産婦人科医のための社会保険ABC

第6版

産婦人科医のための社会保険ABC

■編集 公益社団法人 日本産科婦人科学会

定価 3,850円(税込) (本体3,500円+税)
  • A5判  232ページ  2色
  • 2020年12月28日刊行
  • ISBN978-4-7583-1997-3

2020年の改訂に対応した待望の第6版

日本産科婦人科学会編集による,産婦人科医のために必要な知識としての保険点数の考え方をわかりやすく解説した書籍。
2018年,2020年の診療報酬改訂において新設された「ロボット支援下内視鏡手術」や「婦人科特定疾患治療管理料」(月経困難症へのホルモン剤投与に対する管理),その他の変更点を反映させた全産婦人科医必携の一冊。


序文

万代 昌紀
日本産科婦人科学会社会保険委員会委員長
京都大学医学研究科婦人科学産科学分野教授

 このたび,令和2年度の診療報酬改定に伴って「産婦人科医のための社会保険ABC」の改訂版を出版することになった。今回の改定における最大のポイントは「婦人科特定疾患治療管理料」が認められたことである。これは,婦人科疾患に対する初めての外来指導管理料であり,婦人科診療の専門性に対してようやく公的な保険診療の裏付けがなされた意義深いものとなった。この収載に関しては,北脇前委員長の時代からの継続的な働きかけとともに,日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が協力して歩調を合わせたことが結実した要因である。
 産婦人科診療は幅広く,多くの専門領域を含んでおり,そのなかでわれわれは多彩な専門診療を行っている。今後もこれに対する公的な認知を地道に進めて行くことが今後の産婦人科を魅力的な診療分野にしていくために必須である。本指導管理料を算定するに当たっては,当局から「器質性月経困難症に対する適正なホルモン療法等に係る研修」を受講することが必要,とされたが,これも学会と医会の協力によるワーキンググループによってすみやかにe-learningのコースが構築され対応できたことにも言及しておきたい。
 この指導管理料にしても,また前回と今回に保険収載されたロボット支援手術にしてもそうであるが,保険診療の要件のなかに学会による教育やレギュレーションを求める内容になっていることがひとつの流れであると思われる。すなわち,保険診療として認めるが,同時に学会のオートノミーでその運用を適切に行うことが条件になっている,と考えられる。これは,学会の役割が大きくなることを意味するものであり,産婦人科全体にとっての裁量性を増し,実診療に即した運用を可能にする点で望ましいと考えられる。
 一方で,オートノミーとして,学会側でのきちんとした対応が求められ,最終的にはわれわれ産婦人科医が保険診療に関して正しく理解し,その趣旨に沿って実診療を行うことで実現される。本書はそのための助けになることを目的として作られたものであり,ぜひ会員の皆様に上手に使っていただければ幸いである。

2020年12月
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目次

■総論
1章 わが国の医療保険制度の仕組み
 1 医療保険の目的
 2 医療保険の仕組み
  職域保険
  地域保険
  後期高齢者医療制度
 3 保険医療機関
 4 保険給付
 5 保険給付の対象
 6 給付の制限
 7 療養の給付の範囲
 8 給付の期間
 9 現物給付と現金給付
 10 給付の割合(患者負担率)
 11 保険診療の基本的ルール
 12 診療方針に関する法令
  健康保険法
  医師法
  「保険医療機関及び保険医療養担当規則」
  保険外併用療養費
  DPCとは
  医療法
  薬事法

2章 カルテとレセプト
 1 カルテ(診療録)
  カルテの取り扱い
  カルテなどの保存期間
  産婦人科診療の特徴
 2 レセプト(診療報酬明細書)
  療養担当規則におけるレセプト
  レセプトの記載事項
  レセプトから報酬を受けるまで
  レセプトの電子請求について
 3 レセプトの開示
 4 カルテの開示

3章 保険診療上のルール
 1 自費診療か保険診療か
  自費診療の範囲
  産科診療などにおける自費診療と保険診療
 2 保険診療の原則
  保険診療上の留意点
  正常の分娩・産褥・新生児の保険給付
 3「 保険医療機関及び保険医療養担当規則」
  保険医療機関
  保険医療養担当規則
 4 各診療にかかわる事項
  傷病名など
  基本診療料(初診料,再診料など)
  外来診療料
  医学管理等
  検査
  投薬,注射
  入院料
  手術料
  処置料
  画像診断(CT,MRI,超音波)
  麻酔料
 5 在宅医療
  在宅自己注射指導管理料
  在宅妊娠糖尿病患者指導管理料

■各論
1章 内分泌・不妊症
 1 内分泌学的検査における留意事項
  LH,FSH測定の適応
  プロラクチン測定の適応
  内分泌負荷試験の適応
  エストロゲン半定量・定量,エストラジオール測定
  プロゲステロン測定の適応
  テストステロン,DHEA-S測定の適応
  甲状腺機能検査の適応
  尿中LH定性の適応
 2 超音波断層検査における留意事項
  卵胞径計測の適応
  子宮・卵巣の性状観察
 3 その他の不妊症検査における留意事項
  内視鏡検査など
  クラミジア検査
 4 不妊治療薬投薬(排卵誘発薬など)における留意事項
  クロミフェンクエン酸塩錠,シクロフェニル錠の適応
  hMG-hCG療法の適応
  hMGの投与量と投与日数の基準
  FSH製剤の適応
  在宅自己注射指導管理料
  hCG切り替えの時期
  hCGの投与量と投与日数の基準
  その他の注意点
 5 不妊症治療における社会保険上の問題点
  ARTは保険給付外

2章 流産・早産
 1 切迫流産:保険診療上の留意事項
  診断・検査に関する留意事項
  治療に関する留意事項
 2 流産:保険診療上の留意事項
  診断・検査に関する留意事項
  治療に関する留意事項
  習慣流産/不育症の検査における留意事項
 3 切迫早産:保険診療上の留意事項
  診断・検査に関する留意事項
  治療に関する留意事項
  切迫早産/早産の入院料・医学管理料
 4 胞状奇胎:保険診療上の留意事項
  診断・検査・治療に関する留意事項

3章 異所性妊娠
 1 検査・診断
  ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)定性,ヒト絨毛性ゴナドトロピン-βサブユニット(hCG-β),ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)定量・半定量,低単位ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)半定量
  超音波診断
  ダグラス窩穿刺
  子宮内膜掻爬術
 2 手術・治療
  異所性妊娠手術
  卵管形成手術
  複数手術の特例
  化学療法
  頸管妊娠など

4章 妊娠高血圧症候群
 1 診察
 2 検査
  時間外緊急院内検査加算
  尿検査
  血液学的検査
  生化学的検査(Ⅰ)
  生化学的検査(Ⅱ)内分泌学的検査
  病理学的検査
  生体検査
 3 投薬・注射,処置
  保険適用
 4 入院料・医学管理料
  ハイリスク妊娠管理加算
  ハイリスク分娩管理加算
  ハイリスク妊産婦共同管理料
 5 食事療法
 6 手術

5章 産科救急
 1 基本診療料
  総合周産期特定集中治療室管理料
  ハイリスク妊娠・分娩管理加算
 2 検査
  検体検査料
  生体検査料
  画像診断料
 3 処置
 4 注射
 5 手術
  緊急手術
  急速遂娩術
 6 輸血

6章 婦人科感染症
 1 検査
  外陰炎,腟炎
  子宮頸管炎,子宮内膜炎,子宮附属器炎,骨盤腹膜炎
  性器クラミジア感染症,淋菌感染症
  ウイルス感染症
  妊産婦の感染症
 2 治療
  外陰炎,腟炎
  頸管炎から上部の感染症や一部の性感染症(STD)
  トキソプラズマ症の治療
  ウイルス感染症
  輸血と感染症検査
  B型肝炎母子感染予防
  手術療法

7章 婦人科良性腫瘍(子宮筋腫・良性卵巣腫瘍)
 1 指導管理など
  婦人科特定疾患治療管理料
  手術前医学管理料(届け出た医療機関)
  手術後医学管理料(1日につき)
 2 検査
 3 腫瘍マーカー
 4 病理学的検査
  病理組織標本作製(1臓器につき)
  細胞診
 5 超音波検査
 6 内視鏡
 7 画像診断
  子宮卵管造影
  CT検査とMRI検査
 8 投薬・注射
 9 手術
 10 特定保険医療材料

8章 婦人科悪性腫瘍(子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌)
 1 診察料に関する留意事項
  診療情報提供料(Ⅰ),(Ⅱ)
  がん性疼痛緩和指導管理料
  がん患者指導管理料
  悪性腫瘍特異物質治療管理料
  リンパ浮腫指導管理料
  在宅自己導尿指導管理料
 2 検査料に関する留意事項
  病理学的検査
  HPV(human papillomavirus)検査
  コルポスコピー
  ヒステロスコピー
  超音波検査
  CT・MRI検査
  ポジトロン断層撮影(PET)・コンピュータ断層複合撮影
  腫瘍マーカー検査
  マイクロサテライト不安定性(MSI)検査
  BRCA1/ 2遺伝子検査
  遺伝子パネル検査
 3 治療料に関する留意事項
  手術
  輸血
  化学療法
  化学療法施行時の副作用に対する対策
  分子標的治療薬
  放射線療法の効果増強や副作用に対する対策

9章 中高年女性の疾患
 1 検査
  更年期障害
  骨粗鬆症
 2 治療
  適応症
  子宮脱(骨盤臓器脱)
 3 保険診療上の留意事項

Exercise
 総論Exercise
 各論Exercise
 総論Exercise 解答
 各論Exercise 解答

一口メモ
 出産手当金と傷病手当金
 現物給付と現金給付
 死産児を埋葬した場合,埋葬料は受けられない
 医科診療報酬点数表
 いわゆる「まるめ」とは
 産婦人科医としてのカルテの取り扱い
 妊娠・出産は本当に自費診療のみか?
 分娩料と分娩介助料
 不妊に悩む夫婦の支援について
 新生児管理保育料
 妊娠・出産に対する主治医の判断
 妊娠か否か
 別に厚生労働大臣が定める時間
 妊娠・分娩における保険診療上の取り扱い-妊婦診療における妊婦健診料(自費)と再診料(保険)について-
 時間外の取り扱い
 診療情報提供料
 HIV検査,HTLV-1検査等
 無診察治療の禁止
 hMG,hCGの投与
 B型肝炎,C型肝炎,HIV検査について
 X線透視料
 CTとMRI
 画像診断の組み立て
 胎児が保険診療の対象とならない理由
 各種排卵誘発法
 麻酔薬剤料
 呼吸心拍監視
 在宅自己注射指導管理料
 手術料と外保連試案
 病理組織顕微鏡検査(病理診断)
 休日・時間外・深夜の手術・1,000点以上の処置に対する加算と施設基準(一部)
 胎児輸血(一連につき)
 子宮頸管粘液採取の算定可能と考えられる項目とは?
 適応症
 化学療法により発症するB型肝炎対策
 遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer syndrome:HBOC)にかかわる保険診療について
 佐薬(補助剤)
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