新 今さら聞けない心エコー図

新 今さら聞けない心エコー図

■編集 田中 秀和

定価 5,280円(税込) (本体4,800円+税)
  • A5判  296ページ  オールカラー,イラスト60点,写真400点
  • 2022年3月28日刊行
  • ISBN978-4-7583-1977-5

“今さら”誰にも聞けない心エコーの疑問を本書が解決します!

好評を博した『今さら聞けない心エコー図100』が全面改訂。日頃から若手の医師や技師を指導している著者の経験を生かし,若手の循環器内科医や臨床検査技師のニーズ・率直な疑問にQ&A形式で答える書籍。今さら恥ずかしくて面と向かって聞けない初歩的な質問や最新動向に関する疑問を詳しく解説し,より痒いところに手が届く。
各項目の重要ポイントを端的にまとめた囲み記事「Point」により臨床現場ですぐに使える知識を提供するとともに,最新機器,3Dエコー,負荷心エコー図,国内外のガイドラインを基にした計測・読影・評価など,初版刊行から10年の間に変化した知識・最新の内容を紹介。


序文

 『今さら聞けない心エコー図100』は,成書には書かれていないような“日々のちょっとした疑問”や“今さら面と向かって聞きづらい疑問”100個に対して,心エコー図のエキスパートの先生方に執筆していただき,“痒いところに手が届く”ような答えを提供する書籍として,2011年3月に刊行されました。本書は初版以来,大変好評を得てきましたが,刊行から10 年以上の時間が経過し,その間機器・機材の進歩,関連ガイドラインの改訂,心疾患合併患者の増加に伴う各検査法の重要性の高まりなど状況が大きく変化しており,内容のアップデートが必要となりました。そして,今回『新 今さら聞けない心エコー図』として,新版として刊行する運びになりました。私は旧版では執筆者の1人として携わらせていただきましたが,今回新版では編集者を任せていただき大変光栄であります。時代に即した新たな疑問を100個抽出するにあたり,神戸大学病院ならびに関連病院の医師,臨床検査技師の方々には大変協力いただきました。改めて御礼申し上げます。
 本書は,機器の使い方の最新知識や,新たなガイドラインを踏まえた検査・診療の的確な実施方法など,新しい内容も含めながら,読者の臨床スキルの向上に有用となる最新の内容を網羅した,“より痒いところに手が届く”書籍として刊行いたしました。心エコー図の初心者だけではなく,心エコー図検査に携わるすべての方々にお役に立てると自負しております。是非,本書をご活用いただき,今後の臨床に役立てていただければ幸甚です。

2022年2月
神戸大学大学院医学研究科循環器内科学分野講師
田中秀和
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目次

Ⅰ 今さら聞けない機器の知識
 Q1 超音波診断装置メンテナンスの方法を教えてください (梅田ひろみ)
 Q2 周波数やハーモニックなどの機能がどう画質に影響するのか,それはなぜなのか教えてください (梅田ひろみ)
 Q3 パルスドプラ法や連続波ドプラ法で波形測定を行う際,ノイズと波形信号はどう区別すればよいですか? (梅田ひろみ)
 Q4 ドプラフィルタの適切な設定の仕方を教えてください (岡庭裕貴)
 Q5 プローブの周波数の違いによる使い分けを教えてください (岡庭裕貴)
 Q6 ダイナミックレンジはどのようなときに調整が必要ですか? (岡庭裕貴)

Ⅱ 今さら聞けない言葉の意味
 Q7 Eyeball EFとはなんですか? (楠瀬賢也)
 Q8 PPM(prosthesis-patient mismatch)とはなんですか? どのように評価するのですか?   (阿部幸雄)
 Q9 大動脈弁のfenestrationとはなんですか? (大西哲存)
 Q10 Atrial functional MRとはなんですか? (阿部幸雄)
 Q11 Diastolic MRとはどのようなものですか? (望月泰秀)
 Q12 Mitral annular disjunctionとはなんですか? (小室あゆみ,和田靖明)
 Q13 POCUSとはなんですか? (藤原美佳,山田博胤)
 Q14 Apical sparingとはなんですか? (山野哲弘)
 Q15 左室充満圧と左房圧はどう違いますか? (大原貴裕)
 Q16 L波はどのようにして生じるのですか? (岩瀧麻衣)
 Q17 Pressure recovery現象とはなんですか? 大動脈弁狭窄症の重症度評価に影響を与えるのですか? (大門雅夫)
 Q18 GLSとはなんですか? ルーチンで計測すべきですか? (佐藤希美,石津智子)
 Q19 RV-focus apical 4-chamber viewとはなんですか? (山下健太郎,田中秀和)
 Q20 McConnell signとはなんですか? (和田靖明)
 Q21 先天性心疾患における区分診断法とはなんですか? (杜 徳尚)

Ⅲ 今さら聞けない病態別評価法
 Q22 GLSで潜在性の左室心筋障害が評価できるのはなぜですか? (佐藤希美,石津智子)
 Q23 GLSを測定すべき疾患になにがありますか? (佐藤希美,石津智子)
 Q24 左室流出路狭窄を伴う大動脈弁狭窄症はどのように重症度評価をすればよいですか? (大門雅夫)
 Q25 心室内に複数の閉塞部位がある場合の評価法を教えてください (合田亜希子)
 Q26 心室内に加速血流を認める場合の一回拍出量の測定方法を教えてください (合田亜希子)
 Q27 アーチファクトか実際の構造物かを鑑別する方法を教えてください (岡庭裕貴)
 Q28 肺静脈血流速波形の評価の仕方を教えてください (川合宏哉)
 Q29 肝静脈血流速波形の評価の仕方を教えてください (岩瀧麻衣)
 Q30 僧帽弁の逸脱部位の評価の仕方を教えてください (町野智子)
 Q31 僧帽弁のtetheringはどの断面で観察,計測をすればよいですか? (阿部幸雄)
 Q32 僧帽弁(左側房室弁)のクレフトはどのように診断できますか? (杜 徳尚)
 Q33 MitraClip®の適応となる心エコー図所見を教えてください (大西哲存)
 Q34 MitraClip®後の症例はなにを評価すればよいですか? (大西哲存)
 Q35 弁周囲逆流(PVL)の評価方法について教えてください (泉 知里)
 Q36 大動脈弁閉鎖不全症の汎拡張期血流の計測法の種類,判断の仕方について教えてください (町野智子)
 Q37 人工呼吸やCPAP装着中の下大静脈(右房圧)の評価はどうしたらよいですか? (合田亜希子)
 Q38 S字状中隔を認める症例では,左室径はどの部位で測定するべきですか? (大西俊成)
 Q39 左室拡張能評価の指標にはいろいろあります。どの指標が最も大切ですか? 各指標の評価が一致しないときはどう判断すればよいですか? (瀬尾由広)
 Q40 E/e’,e’を用いて左室拡張能評価を行うときの注意点について教えてください (瀬尾由広)
 Q41 右心機能評価はどのような症例に対して必要ですか? (福田優子)
 Q42 TAPSE,S’を用いて右心機能を評価する際の注意点について教えてください (福田優子)
 Q43 心房細動や房室ブロックなど不整脈の際の左室拡張能評価はどのようにすればよいですか? (谷口直樹,宮坂陽子)
 Q44 頻脈の場合の心機能評価について教えてください(収縮能・拡張能ともに) (郡山恵子)
 Q45 補助循環(PCPS,IABP,IMPELLA®など)挿入中の血行動態評価はどうしたらよいですか? (竹田泰治)
 Q46 Dyssynchronyを心エコー図検査で評価するのは有用ですか? (杉浦英美喜,土肥 薫)
 Q47 心室瘤はどのように評価できますか? (宮坂陽子)
 Q48 滲出性収縮性心膜炎とはどのような病態ですか? (岩野弘幸)
 Q49 三尖弁の前尖,中隔尖,後尖は経胸壁心エコー図のどの断面で描出されますか? (泉 知里)
 Q50 脚ブロックを有する患者の左室駆出率を計測する場合の注意点を教えてください (杉浦英美喜,土肥 薫)
 Q51 Paradoxical low-flow low-gradient ASの評価の仕方を教えてください (出雲昌樹)
 Q52 連続波ドプラ法による肺動脈弁逆流速度波形からなにがわかりますか? (杉浦英美喜,土肥 薫)
 Q53 心房中隔欠損症のカテーテル閉鎖術の適応をどのように診断するのか教えてください (高谷陽一)
 Q54 中等度以上の大動脈弁閉鎖不全症があるときのQp/Qsの評価はどうすればよいですか? (岩野弘幸)
 Q55 心不全患者では左室流出路の時間速度積分値(TVI)の計測はどのように有用ですか? (瀬尾由広)
 Q56 三尖弁逆流を認めない場合,どのようにして肺高血圧症を評価できますか? (山下健太郎,田中秀和)
 Q57 三尖弁輪径の計測の仕方を教えてください (泉 知里)
 Q58 右室肥大はどのように評価できますか? (長谷川 薫,大原貴裕)
 Q59 左室肥大の評価法を教えてください 
 Q60 経胸壁三次元心エコー図検査で左室容積,左室駆出率,左房容積の測定が有用である病態(疾患)を教えてください (町野智子)
 Q61 冠静脈洞の拡大をみたら,なにを疑えばよいですか? (楠瀬賢也)
 Q62 心雑音の精査で有意な弁膜症がない場合はなにを考えたらよいですか? (岩瀧麻衣)
 Q63 急性冠症候群における心エコー図検査の役割を教えてください (川合宏哉)

Ⅳ 今さら聞けない依頼目的の対応の仕方
 Q64 透析患者のみるべきポイントを教えてください (西條良仁,山田博胤)
 Q65 抗がん剤治療予定患者のスクリーニング・評価ポイントを教えてください 
 Q66 非心臓手術の術前検査で評価すべきポイントについて教えてください (大櫛佑一郎,山田博胤)
 Q67 心筋炎を疑う場合,なにを確認すればよいですか? (大門雅夫)
 Q68 収縮性心膜炎を疑う場合,なにを確認すればよいですか? (岩野弘幸)
 Q69 心臓サルコイドーシスを疑う場合,なにを確認すればよいですか? (小板橋俊美)
 Q70 心アミロイドーシスを疑う場合,なにを確認すればよいですか? (山野哲弘)
 Q71 左室が過収縮のときはなにを考えたらよいですか? (望月泰秀)
 Q72 急性大動脈解離ではなにをみればよいですか? (大西俊成)
 Q73 塞栓源検索の精査依頼があったときの注意事項はなんですか? 全例経食道心エコー図検査が必要ですか? (和田靖明)
 Q74 不明熱の精査依頼があったときの注意事項はなんですか? 全例経食道心エコー図検査が必要ですか? (大原貴裕)
 Q75 僧帽弁閉鎖不全症の外科手術の際の術中経食道心エコー図検査で注意すべきポイントを教えてください 
 Q76 大動脈弁閉鎖不全症の外科手術の際の術中経食道心エコー図検査で注意すべきポイントを教えてください (長友慶子,渡邉 望)
 Q77 ファロー四徴症の術後のフォローではなにを注意して検査したらよいですか? (杜 徳尚)
 Q78 経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)に立ち会った場合はなにに注意すればよいですか? (板橋裕史)
 Q79 経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)後のフォローではなにを評価すればよいですか? (板橋裕史)

Ⅴ 今さら聞けない検査法
 Q80 大動脈弁形成術が考慮されている大動脈弁閉鎖不全症患者ではなにを評価すればよいですか? (山野哲弘)
 Q81 運動負荷心エコー図検査の適応と禁忌を教えてください (出雲昌樹)
 Q82 ドブタミン負荷心エコー図検査の適応と禁忌を教えてください (出雲昌樹)
 Q83 弁逆流の定量評価が難しくて時間がかかります。Visualで重症度評価を行ってはいけませんか? (竹田泰治)
 Q84 三次元経食道心エコー図検査は弁膜症に対してどのように有用ですか? 
 Q85 三次元経食道心エコー図検査は弁膜症以外にも有用ですか? (竹田泰治)
 Q86 傍胸骨右縁アプローチとはどのようなものですか? どのような疾患のときに有用ですか? (松谷勇人)
 Q87 胸骨上窩アプローチとはどのようなものですか? どのような疾患のときに有用ですか? (松谷勇人)
 Q88 マイクロバブルを用いた卵円孔開存による右→左シャントの方法と評価法を教えてください (高谷陽一)
 Q89 経食道心エコー図検査による左心耳血栓を見逃さないコツを教えてください。 高度モヤモヤエコー(sludge)は血栓と判断すべきですか? (山﨑誠太,三宅 誠)
 Q90 左心耳血流速度はどのように計測するのですか? (山﨑誠太,三宅 誠)
 Q91 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における心エコー図検査の注意点を教えてください (松谷勇人)
 Q92 肥大型心筋症の検査時に施行するバルサルバ手技の目的を教えてください (諏訪惠信,宮坂陽子)
 Q93 シャント疾患を見逃さないコツを教えてください (高谷陽一)
 Q94 左室壁運動異常(asynergy)をうまく評価する方法を教えてください (水上尚子)
 Q95 人工弁機能不全を見逃さないコツを教えてください (木村俊之,渡邉 望)
 Q96 スペックルトラッキング法による評価は左室以外にも有用ですか? (楠瀬賢也)

Ⅵ 今さら聞けないレポートの書き方
 Q97 心膜液が貯留している場合はどのようにレポートに記載したらよいですか? 心タンポナーデの診断は心エコー図検査で可能ですか? (望月泰秀)
 Q98 異常構造物を認めた際,どの程度鑑別が必要で,どのようにレポートに記載したらよいですか? (水上尚子)
 Q99 所見としてS字状中隔を指摘したほうがよい場合はどのようなときですか? (小板橋俊美)
 Q100 依頼医の所見の見落としを防ぐためにどのような工夫をしていますか? (水上尚子)
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